演劇・映画・音楽

2018年5月12日 (土)

ギンレイ・シネマ・パスポート(7):『否定と肯定』

まつこです。

しばらく使っていなかったギンレイ・シネマ・パスポートを使って『否定と肯定』を見てきました。原題はDenial、脚本はイギリスの社会派劇作家デイヴィッド・ヘアー。

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[主人公デボラ・リップシュタットを演じるのはレイチェル・ワイズ]

ホロコーストの真実をめぐって激しく対立するホロコーストを否定する歴史修正主義者デイヴィッド・アーヴィングとアメリカの歴史学者デボラ・リップシュタット。この二人の間で1996年に争われた名誉毀損裁判を描く歴史映画です。

法廷での知的戦略、事実を追い求める学問的正義、反ユダヤ主義者の狂信・・・とテーマは硬派なのですが、私の気持ちを引いたのは主人公演じるレイチェル・ワイズのスカーフ使い。

ひょっとして・・・

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[アメリカの名門エモリー大学の教授デボラ・リップシュタット]

と、調べてみたら、やっぱり実際のデボラ・リップシュタット教授もスカーフやマフラーをうまく使う人のようです。

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[レイチェル・ワイズとデボラ・リップシュタット]

この映画でのレイチェル・ワイズの衣装は事実にかなり忠実です。

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[これはエルメスかしら?]

アーヴィンを「危険なホロコースト否定論者」と呼んだことでリップシュタットは版元ペンギン出版とともに名誉棄損で訴えられます。

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[やはりエルメス?]

ケンブリッジ大の歴史学者リチャード・エヴァンズ、ダイアナの離婚訴訟も担当した弁護士アンソニー・ジュリアスといった大物たちがチームを組み、リップシュタットの主張を認める判決が出ます。

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[堂々たる勝利をおさめたリップシュタット]

裁判での勝利が決まった時の記者会見でのスーツ姿も本物そっくり。

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[正義感が強く知性ある女性はレイチェル・ワイズの得意とする役どころ]

ダイアナ皇太子妃とかジャクリーヌ・ケネディを登場させる歴史物の衣装は話題になりますが、歴史学者なんていう地味な職業の衣装が忠実に再現されたのは意外。でもこれはリップシュタットのファッション・センスが認められたということでもあります。大学教師だってやっぱりおしゃれしないといけません!秘訣のひとつはやはりスカーフ使い、と確信しました。

2018年5月 5日 (土)

『ペンタゴン・ペーパーズ』と『ウィンストン・チャーチル』

まつこです。

この連休中、うめぞうと見に行った映画2本は『ペンタゴン・ペーパーズ』(原題The Post)と『ウィンストン・チャーチル』(原題Darkest Hour)。どちらも権力の中枢をとりまく駆け引きがスリリングに描かれる映画です。

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[トム・ハンクスとメリル・ストリープ。実力派同士がっぷりに組んだ映画]

新聞社を相続した奥様が最初は男性社会の中でおどおどと戸惑いながら、やがては権力と対抗して報道の自由を守る社主へと変貌していきます。そのあたりの演技の細やかさは、さすがストリープ。

緊張感とスピード感を併せ持つ展開、権力と報道の関係をめぐる力強いメッセージ性など、スピルバーグらしくしっかりと仕上げた映画でした。

でも「あれ・・・?」と思ったのは、エンド・クレジットの最後がノーラ・エフロンへの献辞で締めくくられたとき。ノーラ・エフロンといえば『恋人たちの予感』や『ユー・ガット・メール』などで知られる脚本家。このロマンティック・コメディの女王ノーラに、なんで『ペンタゴン・ペーパーズ』が捧げられているのかしら???

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[ノーラ・エフロンとメリル・ストリープ。ハリウッドの大物リベラル派]

 帰宅して調べたらわかりました。『ペンタゴン・ペーパーズ』は民主党本部のウォーターゲート・ビルへの侵入の場面を描いて終わります。ペンタゴン・ペーパーズをめぐる『ワシントン・ポスト』とニクソン政権の戦いは、やがてもっと大きな第2戦へとつながることを示唆しています。そのウォーター・ゲート事件を暴いたワシントンポスト紙の記者カール・バーンスタインと、ノーラ・エフロンは一時、結婚していました。

スピルバーグ、ハンクス、ストリープといったハリウッドの大物リベラル派たちの輪の中にノーラ・エフロンもいたわけですから、この『ペンタゴン・ペーパーズ』の献辞にも納得です。

で、ゴールデンウィーク2本目の映画は『ウィンストン・チャーチル』。

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[クリスティーン・スコット・トーマスとゲアリー・オールドマン。こちらも実力者同士]

1940年5月、チェンバレンの内閣不信任案が出されたために首相の役が廻ってきてしまったチャーチル。ドイツとの戦争も政権基盤も危機的な状況を切り開いたのは、人々を鼓舞するチャーチルの言葉の力。"He mobilized the English language and sent it into battle"(チャーチルの武器は言葉だった)というのが、この映画の決めのセリフです。

その変わり者で嫌われ者のチャーチルの不安定な精神状態を支えたのが、妻クレメンタイン。夫を時に叱咤し、鼓舞し、おだて、慰撫する。その彼女の時に辛辣な言葉もまた、イギリスを危機から救う力強さを持っています。

しかし、ここで「あら・・・・!」と驚いたのは、クリスティーン・スコット・トーマスの老け具合。

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[スコット・トーマス現在57歳・・・(私と同じ年)]

イギリスの上流階級にありがちなエキセントリックな夫婦像を描いている映画とはいえ、堂々のしわくちゃ婆さんぶりです。これは特殊メイクか、それとも本物のシワか?

帰宅してこちらもさっそく調べてみました。映画の公開直前に掲載されたVanity Fairのインタビューです(Kristin Scott Thomas: "If I can do it standing on my head: don't do it")

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[イギリス女優はシワをかくさない?]

スコット・トーマスは当初、この役を断ったのだそうです。それどころか数年前には映画界からの引退を発表していたそう。しかしクレメンタインがただの夫の支えというだけでなく、その複雑な生い立ちや戦時下でも独特のファッション・スタイルを持っていたことを知り、役を引き受けることにしたとか。

スコット・トーマス、確かに昔の色香はあせ、気難しそうな眉間のシワが目立つようになっています。しかし変わり者でガンコなおばあちゃんを演じさせたら、ハリウッド女優にはない個性の強さをイギリス女優たちは発揮します。スコット・トーマスもそういうイギリスおばあちゃん俳優の一人になってきたようです。

『ウィンストン・チャーチル』にはサミュエル・ウェストもアンソニー・イーデンの役で出演していて、こちらもしっかり年取っていました。メリル・ストリープ、トム・ハンクス、ゲリー・オールドマン、クリスティーン・スコット・トーマス、サム・ウェスト・・・50代、60代の俳優たちが円熟した演技で、言論の力を表現した映画2本でした。

2018年3月19日 (月)

時間・演劇・俳優:『ドレッサー』

まつこです。

先日、下北沢の本多劇場でドナルド・ハーウッドの『ドレッサー』(松岡和子訳)を観ました。老俳優と付き人の関係を描く、いわゆるバックステージものの芝居です。

この芝居を最初に見たのは1988前、老俳優が三國連太郎で付き人が加藤健一でした。今回はその加藤健一が老俳優を演じます。劇中、「役者は観客の中にしか生きられない」というセリフが印象的に語られますが、30年前の記憶が蘇ってきて、記憶の中の上演と目の前の上演が重なり合って、「時間・演劇・俳優」についてあれこれ思いを巡らせる観劇になりました。

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[左が30年前、右が今年の上演のフライヤー。(両方ともネットで拾ってきた画像です)]

身勝手で、女好きで、奥さんに頭があがらない、根っからの役者バカ。こんな役柄がぴったりだった三國連太郎の記憶は鮮烈で、芝居の進行とともに、「ああ、ここではあんなふうに若い女優のお尻をなでてたなあ」、「ここではこんな表情で重量級の渡辺えり子のコーディリアをかかえあげたなあ」と、細かなことが思い出されてきます。自分でもこんなにはっきり覚えていたことにびっくり。

その天衣無縫な老俳優にぴったりと寄り添う付き人の加藤健一の生真面目な表情も、一緒に鮮やかに蘇ってきました。終幕、老俳優の遺体のそばにひざまずき、喪失感の中で呆然と佇んでいた若い俳優の記憶と、今、目の前で死んだ老人を演じている俳優の姿。その間に流れた年月が30年・・・。

演劇は美術や映画とちがって、時間の法則に縛られた芸術です。2〜3時間の芝居が終われば、残るのは観客の記憶だけ。その記憶もやがて観客とともにこの世から消えていきます。

だから地道な演劇史の研究もなされています。17世紀のバラッドや、18世紀の劇場ポスターや、19世紀の劇評を詳細に検証し、少しでも古い上演の記憶の破片を再生しようとする試みがなされます。でもそれはどこか、失われた時を蘇らせようとするのにも似た、見果てぬ夢を見る努力でもあります。

そうしたことを考えた時、「30年前にこの芝居を見た。加藤健一の付き人を見た目で、30年後に加藤健一の老俳優を見た」と言えるのは、稀有な幸運に思えます。俳優にとって観客の記憶に残ることが大切であるように、観客にとっても観劇とは、その場を楽しむと同時に、記憶を残すという経験に他なりません。そして「記憶する」というのは、他の誰かに代わってやってもらうことも、AIで置き換えることもできない、代替不可能な行為です。

映画なら繰り返し見ることができます。でも映画を繰り返し見ることは、次第に成熟していく経験です。1回目に見た時より、5回目に見る時には馴染んでいるのです。ところが1回しか見られない演劇の記憶は遠ざかるけれど、古くはならない。思い出す時には、1回だけの新鮮な体験として、時のかなたから引き寄せられるのです。

こんなにいろんなメディアが発達しているときに、演劇ってまだ生き延びるんですか、と学生に質問されることがあります。その難しい質問に答えるヒントがちょっとだけ見つかったような気がした『ドレッサー』でした。

2018年2月 1日 (木)

ギンレイ・シネマ・パスポート(6): ボブという名の猫

まつこです。

今週のギンレイホールは『ボブという名の猫:幸せのハイタッチ』。原題のA Street Cat Named Bobはテネシー・ウィリアムズの戯曲A Street Car Named Desire(『欲望のいう名の電車』)のもじりですね。

ドラッグ常用者でホームレスのストリート・ミュージシャンが、一匹の野良猫と出会ったことで人生を立て直すきっかけをつかむ。実話にもとづいたハート・ウォーミングな映画です。

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[こちらは映画の一場面]

ホームレスの青年ジェイムズは俳優ルーク・トレッダウェイによって演じられていますが、猫のボブは本人(本猫)が自ら出演。これが実に芸達者でびっくり。じっとジェイムズを見つめるまっすぐな眼差しが心に残ります。

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[こちらは本物のジェイムズ・ボーエン]

動物と人間の愛の物語というだけではなく、ドラッグやホームレスという深刻な社会問題を扱った映画でもあります。絶望的な状況にある人にとってロンドンは冷たく暗く汚い街です。少しずつ社会に受け入れられるようになると、それにともないロンドンの街も次第に生き生きとした輝きをもって見えてきます。

華やいだ都会の中にある悲惨な闇についても考えるようにと、この一匹のストリート・キャットが訴えているようです。

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2018年1月27日 (土)

パディントン2

まつこです。

愛想つかしながらも、見捨てることのできない男・・・

うめぞうじゃありませんよ。ヒュー・グラントです。結婚もしないまま5人目の子供の父親になったというニュースを読んだときには、思わず「種馬か?」とつぶやいてしまいました。

しかし、それでも公開を待って急いで見に行ってしまったPaddington 2。

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[パディントンを無実の罪に陥れる悪役がグラント]

落ちぶれた俳優の役を「当て書き」してもらっただけあり、ヒュー・グラントはすっかり役にはまり楽しそうに演じていました。変装あり、立ち回りあり、ダンスあり。

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[尼僧にまで変装する罰当たりな役がぴったり]

イギリスを舞台にした役者の役ですから、シェイクスピアからの引用もちょっとだけ出てきます。パディントンを追い詰めたヒュー・グラントが、不敵な笑みを浮かべ、"Exit Bear. Pursued by an actor"と語るセリフは、『冬物語』でアンティゴナスが退場する場面のト書き"Exit. Pursued by a bear"のパロディです。このような細部の遊びがいくつかしかけられています。

このヒュー・グラント演じる落ちぶれた役者のフィーニックス・ブキャナン。自己愛にひたる役者らしく、自宅には自分のポートレイトが所狭しと飾られています。そう、あの若くて美しかった頃のヒュー・グラントの写真が無数に並んでいるのです。

ああ、若かった頃のヒュー・グラント、やっぱりきれい〜!一瞬だけしか映らないこの場面に、思わず胸がキュンとしてしまいます。

往年のファンのみなさん、必見です。

2018年1月 3日 (水)

ギンレイ・シネマ・パスポート(5): ローマ法王になる日まで

まつこです。

大晦日の夜はうめぞうの友人を誘って3人でギンレイ・ホールに映画を観に行きました。現教皇のフランシスコの若き日々を描く『ローマ法王になる日まで』です。

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[若き日のベルゴリオ(のちのフランシスコ)は常に民衆とともにある行動の人]

軍事独裁政権下のアルゼンチンで政治的弾圧を受けながらも、ベルゴリオは決然とした行動をとり続けます。強烈に青い空、赤い土ぼこり、胸締めつけるタンゴの音楽、そして残虐な暴力と息苦しい言論弾圧。70年代から80年代のアルゼンチンの激動の歴史の一端が学べる映画でした。軍事政権が終焉を迎えたあも、ベルゴリオは開発に取り残される貧民たちに寄り添います。柔和な青年がたくましい指導者へと成長していく物語でもありました。

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[さまざまな苦悩の結び目を解いてくれるマリア]

そのベルゴリオの転機になるのが、ドイツに留学している時のベルゴリオと「結び目を解くマリア」の絵との出会いです。アウグスブクルの教会で、このマリアに向かいスペイン語で祈りを捧げる移民の話を聞くと、残虐な政治情勢の中で殺伐としたものを抱え込んでしまっていたベルゴリオが、魂を洗われたように、ふたたび穏やかな表情を取り戻します。

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[背負った弟の遺体の火葬の順番を待つ少年]

アルゼンチンに戻ったベルゴリオはこのマリアの絵が印刷されたカードを人々に配って苦悩の結び目が解かれることを祈ります。今朝の新聞によると、今年の年末年始にあたり、フランシスコ法王は長崎で被爆した「焼き場に立つ少年」の写真をカードにして配布することにしたそうです。

小さなカードの中に大きな祈りをこめてメッセージを発する。映画の中のベルゴリオと、ニュース報道の中のフランシスコ法王が同じ人なのだと、あらためて思いました。


2017年12月29日 (金)

映画『女の一生』

まつこです。

久しぶりに訪れた岩波ホール。見たのはフランス映画『女の一生』。

主人公ジャンヌの一生は波乱続き。ハンサムな子爵と結婚したものの夫は女中に子供を産ませるわ、人妻とW不倫するわ。夫がダメなら息子もダメ。徹底して金にだらしない。支えてくれた実家の両親も亡くなり、経済的に破綻し、屋敷も売払い、ひたすら没落の一途。

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[オフィシャルサイトより]

このジャンヌの10代から40代までの一生を演じたのはフランス女優のジュディット・シュムラ。この女優さん、横顔の演技が印象的でした。

横顔だけでわかる女の一生です。

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[結婚前、伸びやかな娘の横顔]

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[夫に愛されている幸せな横顔]

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[裏切られた妻の横顔]

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[孤独を引き受けた女の横顔]

横顔って気がつかないうちに心のうちが映し出されているものかも。女の一生は横顔に表れる・・・。たまには三面鏡で自分の横顔もチェックしてみましょう。

2017年12月26日 (火)

ギンレイ・シネマ・パスポート(4): Beauty and the Beast

まつこです。

ギンレイ・シネマ・パスポートの4回目は、いかにもクリスマスらしい映画『美女と野獣』。

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[エマ・ワトソンのベルは強い意志と行動力を持ったフェミニスト]

ディズニー映画もファンタジーも日頃は興味がないのですが、飛行機の中で一度見て、映画館でも再度見てみようと決めていました。CGの吹き替えで顔の露出こそ少ないものの、エマ・トンプソン、イアン・マッケラン、ユアン・マクグレガーなど、イギリスの実力派俳優たちががっちりと脇を固めています。舞台はフランスですが、美しいイギリス英語が楽しめます。

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[王子様役がぴったりのダン・スティーヴンズ]

でもこの映画で顔が見えないのは、なんといっても野獣役のダン・スティーヴンズ。『ダウントン・アビー』のマシューのイメージを払拭すべく、ハリウッドに渡り、髪の色も濃く染めて、いろいろ個性の強い役に挑んでいるようですが、この人、やっぱり正当な二枚目の役があっているのよねえ。

ケンブリッジのエマニュエル・カレッジで英文学を学び、名門ドラマ・クラブのマーロウ・ソサエティでマクベス役をやって注目され、ブッカー賞の審査員もつとめたことがあるというエリート俳優。ホワイト・タイやロココ調の衣装が似合う貴重なハンサムです。あまり無理してあれこれ奇抜な役に挑戦せず、その美しい金髪碧眼で私たちの目を楽しませ続けて欲しい!

『美女と野獣』は、このダン・スティーヴンズが野獣から王子様に戻ったら、すぐにエンディング。ああ、王子様のダンス姿をもう少し長く眺めていたかったのになあ・・・。

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

2017年11月11日 (土)

今週のギンレイ(3) La La Land

まつこです。

ギンレイパスポート使用3回目はLa La Land。輝けるショービジネスの都Tinsel Townで明日を夢見る若者たちの恋。文句なしの娯楽映画です。⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

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[歌って、踊れて、ピアノも弾けるライアン・ゴズリング]

私は前に飛行機の中で見てしまっていました。そのちょっと切ない結末を知りながら再度見ると、若さが弾けるばかりの冒頭の場面から、早くもちょっとセンチな気分になり、二人が恋に落ちる頃には鼻の奥がツーンとなり、エピローグでは涙がポロリ。

うめぞうもウルっとしているんじゃないかと思い映画館を出たところで聞いてみると・・・。

うめぞう:「僕はカントの『純粋理性批判』のこと考えながら見ていたよ。人間の自由意志をどうとらえるかの問題だね。」
まつこ:「はあ〜、うめぞう、なに言ってるの???」
うめぞう:「人生を自らの自由な意思で選んだのか、自らの力ではどうにもならない運命と考えるのかの問題だけど、目の前の幸せをあえて選ばないこともカントのいう自由意志なんだ。それに対し決定論は・・・」

うめぞう、お得意の哲学講義が始まってしまいました。しばらくしゃべらせたあとで「でも、うめぞう、ちょっとグッときたんだじゃない?」と聞いてみると、「うん・・・あのピアニスト、かわいそう・・・」としょんぼりした顔をしています。

ははーん、うめぞう、La La Landの結末の切なさに心ふるえ、その涙をこらえるため、カントの自由意志と決定論についての議論を披瀝していたようです。夫婦とも年とって、だんだん涙腺がゆるくなってきています。映画よかったわね〜と、ハンカチで目元をおさえるおばあちゃんと、小難しげな批評で涙をごまかすおじいちゃんに、なりかけているようです。

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[パリから進出してきたSacree Fleur]

ギンレイで映画見たあとは、神楽坂で食事をするというのが定番のコース。今回はステーキ屋のサクレ・フルール。

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[これは150グラム]

メインのメニューはほぼステーク・フリットだけのこのお店。ステーキは150グラムか300グラムかを選べます。お肉大好きな私たちは、二人とも150グラムずつだとちと足りない。部位の異なる150グラムと300グラムをひとつずつ取って分け合うのがちょうど良い。

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[これが300グラム]

たっぷりお肉を食べると、老け込むにはまだまだ早いわ、という気分になってきます。

2017年10月29日 (日)

ギンレイ・シネマ・パスポート

まつこです。

9月、10月はとりわけ忙しく、あっというまに過ぎてしまいました。

5時半起床
7時出勤
20時に帰宅

という規則正しい毎日。もはや家事は90%うめぞうの担当。朝、出かけるときも、夜、帰宅したときも、目にするのはエプロン姿のうめぞうです。

たまには女房(?)にサービスしないといけないと思いたって買ったのはこれ。

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[ペアカード、19400円で1年間二人で見放題]

飯田橋の名画座ギンレイホールのメンバーカードです。見たい映画があっても、忙しいとついつい見そびれてしまいます。でも1年有効のメンバーシップを買うと、見れば見るほどおトク。
忙しくても見なきゃソンという心理が働いて、隙間の時間をぬって足を運ぶことに。

で、私たちが最近見たのはイギリス映画『マイ・ビューティフル・ガーデン』とイタリア映画『大人の事情』の2本。

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[『ダウントン・アビー』のシビル役のジェシカ・ブラウン・フィンドレーはうめぞうのお気に入り]

荒れ果てた庭が手入れされて次第に美しくなり、やがて内向的なヒロインの人生が輝き始める。大人のためのチャーミングな童話でした。

様々な植物が一見、雑多に植えられているようで、その無秩序の中に自然な調和を見出すガーデニングがいかにもイギリス。

☆☆☆☆

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[私のスマホは秘密ゼロ。忙しすぎて事情も情事もあったもんじゃない・・・]

ホーム・パーティに集まった7人がスマホを見せ合うゲームを始めたら、次々と出てくる秘密の数々。仲よさそうだった3組の夫婦+1人の仲良しの人間関係がボロボロに崩壊。

ほとんど全員が浮気しているのがいかにもイタリア映画。さんざん派手にモメたあとで、あやふやなうちに元のサヤに納まるのもイタリア流か?

☆☆☆

どんなに忙しくても月に1本くらいは映画を一緒に観に行くという程度の家庭サービス心の余裕は必要ですよね。金曜の夜、仕事が終わったところで、えいっ!とパートナーを誘って見に行きましょう。

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