旅行

2019年8月17日 (土)

ストラットフォードの休日

まつこです。

こんな絵葉書みたいな風景を見ると、何度来ていても観光客の気分になります。

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[エイヴォン川に白鳥]

俗っぽい観光地になって、まるでテーマ・パークのようだと言う人もいますが、テーマ・パークに入り込んだら、あまりシニカルにならず楽しむべし。

シェイクスピアの記念碑の前で写真を撮ったり・・・

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[フォルスタッフの真似をしているうめぞう]

シェイクスピアのお墓まいりをしたり・・・

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[数十年ぶりのお墓まいり]

シェイクスピアの墓石のあるところは有料化されて以来、来たことがなかったのですが、今回は久しぶりにここまで進んで、墓碑を読んだり胸像を見上げたりしてみました。

食事も観光客風に・・・

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[懐かしさを感じるイングリッシュ・ブレックファスト]

一人だとスタバかM&Sで買ったもので済ます朝ごはんですが、今回はうめぞうと一緒にホテルでイングリッシュ・ブレックファスト。

そうなると午後はやはりクリーム・ティーです。

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[シェイクスピア・ホテルのスコーン]

アフタヌーン・ティーでカロリー摂取して、昼夜2本の観劇に備えます。

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[うめぞうはクリームが先かジャムが先か?]

夜もイギリス人の国民食です。

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[イギリス人の国民食はチキン・ティカ・マサラ]

ストラットフォードも新しいお店がいろいろ増えましたが、大昔からあるインド料理店に行きました。古めかしい20世紀っぽいお店です。

20年前とまったく同じ過ごしかたをして懐かしい気分になったストラットフォードの休日でした。

2019年8月13日 (火)

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まつこです。

どんよりとした雲のすきまにのぞくはかなげな青空。夏枯れした茶色い草木をゆらす風はすでに秋。いつもどおりのケンブリッジの8月です。

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[いつもどおりの場所で今年も記念撮影を一枚]

いつもどおりにトムとジュディの家に寄宿し、朝ごはんが終わるとカレッジの庭を通り抜けながら図書館へ。

うめぞうは翻訳の仕事をやり、私は今週観る予定の王政復古期の喜劇を読んで予習。学生がおらず人の少ない8月の図書館はしーんと静まりかえっています。学生気分に戻れる貴重なひとときです。

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[たまには中庭でストレッチ]

いつもどおりティールームで昼食をとりますが、ぼんやりした味でカロリー高めの料理も変わっていません。食事の楽しみがたいしてないので、そそくさと仕事に戻ります。おかげで仕事がはかどります。

年々歳々、訪れる人は変わっても、ケム川と同様、同じ空気がケンブリッジには流れています。

 

2019年8月12日 (月)

シュテーデル美術館

まつこです。

フランクフルトではシュテーデル美術館に行ってみました。以前、訪れたときは人気のある特別展をやっていて、長蛇の列に入館を諦めたのですが、今回はガラガラに空いていました。

入るとまず目にはいるのがゲーテの肖像画。

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[ゲーテはフランクフルト出身です]

よく知られている肖像画ですが、足が両方とも左脚に見えて絵としての評価は???

というような説明をオーディオ・ガイドで聞きながらゆっくり眺めることができます。

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[ルッカの聖母]

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[ヴィーナス]

ファン・エイクもクラーナハも至近距離でひとりじめして見ることができます。

ボッティチェリもコレクションにあると聞いていたのですが場所がわからなかったので、男性係員に尋ねたところ、「ボッティチェリ?あれ、あまり良い絵だとは思えないけどね。君があそこに立っていた方がいいよ。どこから来たの?いつまでいるの?この並びにある彫刻美術館もいいよ。案内しようか?え、夫も一緒?それは残念・・・」というような軽口たたいていました。そのくらい空いていて係員がヒマな美術館です。

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[メディチ家の誰かの愛人]

そのボッティチェリの描いた女性の肖像はうんと近づいて見た方が面白いです。

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[ペンダントに注目]

アポロンとマルシャスが音楽の腕を競っている場面を刻み込んだカメオのペンダント。

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[ゴージャスな袖]

衣装のレースや刺繍の細かさが丹念に描き込まれていてため息が出るほどです。

ほかにもレンブラントやフェルメールなどたくさんの逸品が収蔵されています。美術好きの人にはおすすめの穴場美術館です。

 

2019年8月 9日 (金)

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まつこです。

いつもどおり、かわりばえのしないワードローブを用意して出発。

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[4週間、ほぼこれだけでのりきります]

いつもどおり、フランクフルト空港に隣接したヒルトン・ホテルに投宿しています。

我が家は都内にありますが、羽田より成田の方がずっとアクセスが簡単。成田発のJALでヨーロッパに来ようと思うと、フランクフルトになるのです。フランクフルトからだとスタンステッドかロンドン・シティに飛ぶと、あの大混雑のヒースローを回避することができます。さらにスタンステッドからケンブリッジは車で30分ほど。日本からケンブリッジに行くには、「成田→フランクフルト→スタンステッド」というルートがおすすめです。

いつもどおり、うめぞうも一緒。

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[量が多いドイツの料理]

いつもどおり、白ワインのリースリンクとシュニッツェルがドイツでの定番夕食です。とりあえず白ワインで乾杯して旅の無事を祈念しました。

 

 

2019年1月 6日 (日)

ハンブルク滞在追記

まつこです。

10日間ほどの旅から、昨日、帰ってきました。備忘録もかねて、ハンブルク滞在の追記です。

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[Fier Fahreszeitenは英語にするとFour Seasonsだけど、あのフォーシーズンズとは別のフェアモントというホテルチェーンに入っています]

今回、ハンブルクで宿泊したのはフィア・ヤーレスツァイテン、ハンブルクで一番格が高いとされるホテルです。普通、私たちはこんな贅沢はしないのですが、ハンブルクはうめぞうが40年前に留学した地。若かったうめぞうは「一生の間にフィア・ヤーレスツァイテンに泊まれることがあるのかなあ・・・」と思いながら、この湖畔のホテルを遠くから眺めていたそうです。若くて貧乏な留学生活では、よくある話です。

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[ロビーのクリスマスツリーも立派です]

だったら今回思い切って泊まってやろうじゃないの、と決断。ま、ドイツの場合は比較的ホテル代が安いので、それも可能だったわけですが。(ロンドンでサボイとかクラリッジズに泊まるのとは比べものになりません。)

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[部屋はこんな感じ]

「うめぞう、あんまり期待しないほうがいいよ。ヨーロッパのクラシックなグランドホテルって、厚化粧のおばあさんみたいな感じのことあるからね」と、私はあらかじめ期待値を下げていたのですが、失礼しました。ゴージャスなマダムのようなホテルでした。バス・ルームは大理石の床に床暖房が入っているし、バス・ローブはふかふかだし、ミニ・バーにはヴーヴ・クリコが入っているし(飲まなかったけど)、ハウス・キーピングは丁寧だし。たいへん快適な滞在でした。

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[ドイツの朝ごはんはたっぷりとした量があります]

朝食は一度だけホテルで食べました。灰色の湖の風景が眺められる良い席でしたが、朝食そのものは特筆すべきものでもなかったので、翌日からはStadtbackerei am Gansemarktという近くのパン屋さんでいただきました。うめぞうはたっぷりの朝食セット、私は連日、ベルリナーと呼ばれるジャム入りのドーナツです(旅に出たら体重増など気にしません)。

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[遊覧船で港内を1時間ほどかけてひとめぐりできます]

ハンブルクはあまり観光客のいない街です。それが街としての落ち着きを保つ要因になっていて、港湾商業都市としての華やぎと、良いバランスになっているという印象でした。私には初めてのハンブルクだったので、観光バスに乗って街をひとめぐりしました。途中で降りて港を周遊する観光船にも乗りました。

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[大迫力のコンテナー船]

街を海側(正確にはエルベ川河口)から遠く眺めたり、大迫力のコンテナー船を至近距離で見たりできました。ヨーロッパではロッテルダムにつぐ第2の規模の港だそうです。

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[今日、この記念館を訪ねた5人目の日本人だそうです]

観光客の少ないハンブルクですが、日本人が特に多く訪ねるのが、この地に生まれたブラームスの記念館です。2、3部屋だけの極小の記念館ですが、ボランティアのおばさんたちが郷里の音楽家について丁寧に説明してくれます。

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[ハンブルクの歌劇場は近代的な建物です]

出発前に少し気になったのが、オペラや音楽会に行くときの服装です。シュターツオーパーに行くと言ったら、うめぞうは「じゃ、僕はタキシードで行きたい」と言ったのですが、最近、ヨーロッパのオペラ劇場もみなさんそれほど正式な服装では行っていないようです。タキシードだと小物もごちゃごちゃ持っていかないといけないし、それに合わせると私の服装も大げさになるし、どうしたものか・・・?

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[シワにならないボンディング素材のワンピース]

結局、和戦両様(?)でうめぞうは普通のスーツにし、私も簡単なワンピースにしたのですが、そのあたりが正解でした。オペラも30日の年末コンサートも、だいたい男性はスーツ姿が多く、女性もそれに合わせた程度のおしゃれです。中にはセーターなど、ごくカジュアルな服装の人もいます。子供多いバレエの『くるみ割り人形』だとさらにくつろいだ雰囲気でした。

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[トリュフかけのパスタ]

ハンブルクでの食事は、ドイツ風料理を最初の二日間続けていただいたら量は多いし、塩分もひどく高かったので、途中からはずっとイタリアンを選んで行きました。ドイツは外食費もフランスやイギリスに比べると、全般に安く抑えられています。これさいわいと、私は遠慮なくトリュフのかかった手打ちパスタなどいただきました。

音楽も宿も食事も、ぜいたくにたっぷり楽しんだハンブルクの5日間でした。

2019年1月 4日 (金)

『ウィンザーの陽気な女房たち』

まつこです。

短いロンドン滞在の最後の1日は『ウィンザーの陽気な女房たち』を見ました。最初から最後まで笑いが絶えない、完全なる笑劇でした。

舞台は現代のエセックスに設定されており、Daily Mailを読んでいそうな奥さんたちが、庶民的な英語でペラペラペラペラしゃべりまくります。シェイクスピアが書いた数少ない「現代劇」に、イギリスの今日を反映させた上演でした。

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[エステサロンでフォルスタッフを懲らしめる計画を語りあう二人]

「ブレグジットは危機的状況!」というような時事ネタや、イギリス人お得意の辛口の冗談、体をはったナンセンスな笑いが次々繰り出されます。

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[なにがあっても懲りない男]

フォルスタッフがテムズ川に投げ込まれるのは原作どおりですが、この上演では洗濯カゴではなく、車輪付きの大きなゴミ収集箱に逃げ込みます。その汚さときたら、芝居のための大道具とはわかっていても、臭いがプンプンしてきそうなほどです。

ドタバタ喜劇だからこそ、役者たちのうまさが印象に残ります。ウェールズの愛唱歌Bread of Heavenをうれしそうに歌うエヴァンズ神父、フランス語と英語のちゃんぽんで怒ったり嘆いたりのキーズ医師、あげ底ブラにヒョウ柄ドレスのガーター亭の女主人・・・。どの役者も観客の笑いのツボを的確に押さえながら、本人たちも楽しそうです。

シェイクスピアで新春初笑いを楽しんだ1日でした。

2019年1月 3日 (木)

『クリスマス・キャロル』

まつこです。

ロンドンで二日目の観劇はオールド・ヴィック劇場の『クリスマス・キャロル』。劇場に入るとヴィクトリア朝の衣装の役者たちがミンスパイを配ってくれます。劇中ではおなじみのクリスマス・キャロルが生演奏で次々と流れ、本物そっくりの雪が客席にふりそそげば、いやがおうでも感傷的なクリスマス気分が劇場を満たします。

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[マシュー・ウォーカス演出で2年目の上演。主役は交代してスティーヴン・トンプキンソン]

しかしこの『クリスマス・キャロル』は原作に、より現実的な心理的説明や倫理的主張を加えたものでした。

最初の亡霊にうながされスクルージが自分の過去を省みるという展開は同じですが、この上演ではスクルージの父親の冷酷さが強調されます。借金まみれで愛情の薄い父親、過酷な学校生活、結ばれなかった恋・・・そうした辛い過去ゆえに、スクルージの心は閉ざされてしまったのだと背景が浮かび上がる趣向です。

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[愛すること、分かち合うことを思い出そうとうったえる結末]

貧困という社会問題に金融業者が責任を感じるべきかどうかという倫理を、亡霊とスクルージが意見を交わす場面もあります。

人間味のない守銭奴の改悛物語ではなく、トラウマのゆえに人を愛することができない男が自分の弱さを克服する物語へと書き直したところがこの21世紀版『クリスマス・キャロル』の特徴です。

喜びに満ちた結末のあと、最後にもう一曲クリスマス・キャロルが流れます。ハンドベルと弦楽器の静かで美しいの音色で『きよしこの夜』が演奏され、観客の心がしっとりと落ち着いたところで、「イギリスでは今日も貧困の中で満足な食事の取れない子供達がおおぜいいます・・・」と寄付を訴えるメッセージを、スクルージが読み上げます。劇場を出る観客たちは次々と募金バケツを持ったスタッフにお金を渡していきました。(私たちも少しだけ寄付しました。)

クリスマス気分をたっぷりと味わいながらも、内心、「貧困問題は緊縮財政の結果でしょう。人々の慈悲心だけじゃなく、政府の責任を問わないとダメでしょう!」とちょっと思ってしまいました。

2019年1月 2日 (水)

『アントニーとクレオパトラ』

まつこです。

ロンドンの元旦は晴れて、きれいな青空が広がりました。

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[アルバートの像が朝日をうけて輝いていました]

良いお天気に誘われてケンジントン公園まで散歩に行きました。あまり寒くもなく気持ちの良い元旦の散歩になりました。

夜はナショナル・シアターで観劇。レイフ・ファインズ主演の『アントニーとクレオパトラ』です。

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[アントニーは女に溺れる武将]

サイモン・ゴドウィンの演出は舞台を現代に設定しています。エジプトは高級リゾートホテル、ローマは先進国の防衛省のオフィスのよう。その大きくことなる二つの場所を行き来しながら40以上も場面転換があるこの戯曲をどのように演出するのかが、この劇の見所のひとつです。

今回は回転する大規模なステージで、大がかりな舞台装置を次々繰り出しながら歴史絵巻を繰り広げました。生の迫力あるパーカッションにのせて、複雑な場面転換がスムーズに行われ、ナショナル・シアターの底力を見せつけられた感じでした。

女に溺れているアントニーと、女のエゴむきだしのクレオパトラ。人生の盛りを超えた男女の醜悪ささえ感じさせる二人が、それぞれ自死によって最後の名誉を守ろうとするという展開です。似た者同士の中年カップルの恋愛悲劇ですが、安っぽいスキャンダルにならないのは、朗々たる韻文のおかげ。まるでオペラのようなスケールの大きな舞台でした。

2018年12月31日 (月)

エルプフィルハーモニー『こうもり』

まつこです。

港湾都市ハンブルクの倉庫街は、大規模な再開発の最中です。その中で威容を誇るのがエルプフィルハーモニー。計画から完成まで10年を要し、昨年開場したばかりのコンサートホールです。

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[古いレンガ造りの倉庫の上に建てられたガラスばりのコンサート・ホール]

このホールの音響設計をしたのは豊田泰久さんという日本人。開場以来、その音響の素晴らしさが話題になっています。チケット入手も容易でないと聞いていたのですが、9月にオンラインで申し込み、抽選結果を待つこと1ヶ月。30日と31日の二日間だけ開催される年末コンサートのチケットをめでたく手に入れることができました。

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[内部が複雑な作りで階段が多く、老人にはやや厳しい構造をしています]

演目はヨハン・シュトラウスの喜歌劇『こうもり』です。指揮はマンフレート・ホーネック。普通のコンサート形式でやるのかと思ったら、ホール全体を舞台にしたオペレッタでした。

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[階段をたくさんのぼり、回廊をぐるぐる歩いて、ようやく席に到着]

序曲が終わると私たちの座っている席のあたりにスポットライトが当てられたので、何かしらと思ったら、席のすぐ横で大きなバラの花束を抱えた男性が立っていて、甘いメロディのセレナードを歌い始めました。この至近距離のテナーの歌声も、遠く離れた客席から聞こえてくるソプラノの歌声も、オーケストラの音と一体化して、会場全体に鳴り響きます。残響が柔らかく残り、音がまろやかに聞こえてきます。

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[壁を埋め尽くす白いボードは「ホワイトスキン」と呼ばれているらしいです。なんとなく有機体ふうの雰囲気を醸し出しています]

この音響効果を作り出すために1万個もの石膏ボードが使われているのだそうです。凹凸のある白いボードが壁を埋め尽くしていて、まるで白いサンゴ礁の中に入り込んだような印象です。

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[演奏後、万雷の拍手がホールを満たしました]

オーケストラもソリストもコーラスも安定感のある演奏を聴かせてくれて、ときどき背筋がぞくっとするほどです。ハンブルクまで来た甲斐がありました。この空間の中にいなければ味わえない幸福な経験です。深く心に残る一夜でした。

2018年12月30日 (日)

ハンブルクの『くるみ割り人形』と『魔笛』

まつこです。

うめぞうは40年ちかく前にハンブルクに留学していました。私はハンブルクは初めてなので、まず最初にうめぞうが案内してくれたのが聖ミヒャエル教会です。

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[約40年ぶりに再会したミヒェル]

ひときわ高い塔が街のどこからでも見えるので、ハンブルクの象徴になっています。 街のひとたちは「ミヒェル」という愛称で呼んで親しんでいるそうです。

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[港内をめぐる遊覧船からもミヒェルが見えました]

港湾都市のハンブルクで、船が港に入ってきたときまず見えるのも、このミヒェルです。

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[大きなクリスマス・ツリーが飾られていました]

毎日開かれている正午の祈りの時間に参加してきました。

昼間はこうして教会を訪ねたり、遊覧船に乗ったり、街歩きをしたりし、夜はオペラやバレエを楽しんでいます。

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[少女がバレエの魅力に目覚め成長する物語]

クリスマスらしいと思って『くるみ割り人形』のチケットを買っておいたのですが、このハンブルクのバレエ団の『くるみ割り人形』はジョン・ノイマイヤーの振り付けで、よく知られているクリスマスのお話とはずいぶん異なっていました。

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[バー・レッスンが幻想的な美しい場面に仕立てられていました]

クリスマスではなく12歳の誕生日を迎えた少女の物語です。バレリーナの姉に憧れ、トウシューズをはくことを夢見た少女が、バレエ指導者の影響によって踊りが持つ多彩な幻想を生み出す力に目覚めていくという成長譚でした。バレエを通してバレエの魅力を伝えようとする、いわば「メタ・バレエ」です。

主人公の少女の姉のバレリーナ役のHélène Bouchetという細くて背の高いプリンシパルがとても優美で、思わずうっとりするほどでした。

2日目の夜は『魔笛』です。指揮者はケント・ナガノ。こちらも斬新な演出で、主人公の成長がテーマです。

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[最初は赤ん坊、やがて少年になるタミーノ]

幕開けに客席で観客の一人が倒れ、救護の人たちがかけつけ、場内がざわめきましたが、それは実は演出のうち。その人の死で残された赤ん坊が少年になるところから劇は展開し始めます。

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[試練を経て老境を迎える主人公]

あとは普通の『魔笛』と展開は同じなのですが、ザラストロから与えられる試練を経験するうち、青年は中年へと成熟します。やがてすべての試練を乗り越えて愛する人パミーナと結ばれる時には、老いていたというところが、他の『魔笛』とは大きく違うところです。苦労の果てにようやく結ばれた男女が、互いをいたわりながら舞台奥に消えていく後ろ姿に、モーツァルトの晩年の円熟した音楽が重なる終幕は、見ていて鼻の奥がちょっとツーンとしてきました。

現代に時代設定されていて、舞台装置や衣装がかなり凝りすぎというきらいはありましたが、芸達者なパパゲーノのおどけぶりに笑いながらも、人間の弱さや強さについて考えさせられる舞台でした。

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