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2023年9月24日 (日)

映画『ロスト・キング』

まつこです。

2012年、イギリス中部の都市レスターの、殺風景な駐車場から中世の国王リチャード三世の遺骨が発見されました。映画『ロスト・キング』はその大発見を題材にした映画です。

でも映画を見終わって強く印象に残ったテーマは、一人の女性アマチュア歴史家とレスター大学の関係者との間の微妙な関係・・・

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[主人公フィリパをサリー・ホーキンズが好演しています]

持病、職場での不満、元夫とのぎくしゃくした関係と、たくさんの問題を抱えた女性が、リチャード三世の実像を探ろうと調査・研究にのめり込んでいく。その熱意がやがて遺骨発掘につながるのですが、学位も持たないアマチュア歴史家にはスポットライトが当たらず、すべてレスター大学の功績にされてしまう。歴史的な発見そのものよりも、個人の情熱と組織防衛の緊張関係が、この映画の中心となるテーマと言えます。

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[フィリパ・ラングリーは自らの体験を本に著しています。その本の1冊がこの映画の題材になっています]

主人公フィリパには実在のモデルがいて、名前もそのままフィリパ。1990年代の後半にリチャード三世の伝記を読んだことをきっかけとして、リチャードの実像と遺骨を求めるプロジェクトを開始します。私は数年前にこの人が登場するドキュメンタリーを見ていて、ずいぶん意志の強い人だなあという印象を受けていました。なにか取り憑かれている女性で、ちょっと強迫観念的な感じ。そのため、この映画で大学関係者がフィリパに対し、適当にあしらうような冷淡な態度を取るのも、さもありなんという気がしました。

ただ組織の論理よりも、こういう個人の執念こそが、大きな成果をあげるということは、ままあること。「変わり者」をきちんと評価し、讃えるのは難しいことではありますが、「そういう時にこそ学問的公平さは必要なんだよねえ」と、あらためて思わされました。

一緒に映画を見に行ったのは、うめぞうと、同僚のぽにょ。3人とも大学関係者なので、映画を見終わったとたん、顔を見合わせて「レスター大学もやられたねえ」と苦笑いしました。実際、昨年、イギリスで公開された際には、議論となって、レスター大学関係者は反論もしたようです。(BBCの関連記事:The Lost King: Steve Coogan defends Richard III film in university row.)

ドキュメンタリーではなく、事実から想を得たヒューマン・ドラマなので、フィクションだと割り切ってしまえれば良いのですが、でもやっぱり、レスター大学の関係者たち、映画を見て焦っただろうなあ・・・。

 

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