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2023年5月

2023年5月 7日 (日)

To Celia

まつこです。

仕事の締め切りがふたつ、ほぼ同時に重なり、新学期の慌ただしさもあり、文字通り髪振り乱して働く間に、4月があっという間に過ぎていきました・・・。

連休を迎え、ちょっとホッとしたところで、デパートに出かけたところ、店内に流れていたギター・ソロの優しいメロディーが耳に入ってきました。「お、この曲は・・・」と思った瞬間、頭の中で歌い始めた歌詞は "O, Alma Mater, mother dear, with songs thy name we greet..."。母校のカレッジ・ソングです。

しかし高島屋が特定の大学のカレッジ・ソングを店内で流すはずもなく、このギター・ソロはイギリス民謡の演奏です。母校のカレッジ・ソングは古いイギリス民謡"Drink to me Only with Thine Eyes"のメロディに、アメリカ人の先生が歌詞をつけたものなのです。

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[古い絵葉書のデザインにもなっているようです]

このイギリス民謡の歌詞を見て、ベン・ジョンソンの"To Celia"とすぐにわかった人は、かなりな英文学通。1616年出版の詩集The Forestの中の一編の詩に、18世紀にメロディが付けられ、以来、長く愛されている曲です。

恋人への想いを綴ったわかりやすくロマンティックな恋愛詩ですが、学問好きなジョンソンらしく、紀元2世紀、古代ローマにいたギリシア人知識人ピロストラトスの詩の英語への翻案だそうです。

Drink to me only with thine eyes,
And I will pledge with mine;
Or leave a kiss but in the cup,
And I’ll not look for wine.
The thirst that from the soul doth rise
Doth ask a drink divine;
But might I of Jove’s nectar sup,
I would not change for thine.

I sent thee late a rosy wreath,
Not so much honouring thee
As giving it a hope, that there
It could not withered be.
But thou thereon didst only breathe,
And sent’st it back to me;
Since when it grows, and smells, I swear,
Not of itself, but thee.

君が瞳にて酒を汲め/ 我も君を見つめ返す/ 盃に残る口づけさえあれば/ 酒はいらぬ/ 魂より湧き上がる渇望は/ 聖なる酒を求めるとも/ 神の美酒さえ/ 君には及ばぬ

君に送りし薔薇の花輪/ 君への賛美と/ それ以上に薔薇への願い/ 枯れることなかれと/ その薔薇に君の息吹を/ 我が手元に戻りしとき/ 花開きし薔薇の匂いは/ まさに君の香気 

ワインの味とバラの香りの甘さが官能性と結びつきながら、愛に死を乗り越える神聖さを見出すという、ルネサンス期の恋愛抒情詩の代表作の一つです。

しかしカレッジ・ソングの歌詞にはワインもバラも出てこなくて、偉大なる先人の歩んだ学問の道を、たとえ険しく長くとも懸命に歩んで成長し、やがて母校を誇りとせよという内容です。甘いギターのメロディを聴きながら、高島屋の婦人服売り場で、"gate of knowledge"とか"wise and true"とかいう言葉が蘇ってきて、思わず苦笑してしまいました。ご関心のある方、あるいは懐かしい方、読んでみてください。

O, Alma Mater, Mother dear
With songs thy name we greet,
Who dost the Gate of Knowledge here
Set open for our feet.
Thou turn'st our faces to the light
Thou pointest us the way,
The great of old, the wise and true
Have trodden in their day.

What though the hills be steep and high
The path the rough and long
From toilsome days comes rest more sweet,
And heart and hand more strong
Then, Alma Mater, Mother dear,
Though parted far we be,
Thy name shall still our bosoms thrill
With pride and loyalty.

いやー、あまり勉強しろ、勉強しろとうるさく言われるよりは、甘いメロディに酔いたい・・・という方は、下記のYouTubeをどうぞ。




 

 

 

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