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2023年2月

2023年2月14日 (火)

Chat GPTの衝撃

まつこです。

いやー、これは衝撃的・・・。今、話題のChat GTP、試してみました。

Chatgpt_logo

[このロゴをこれからはしばしば目にすることになるでしょう]

まつこ:シェイクスピアが『じゃじゃ馬ならし』を書いたのは何年ですか?

Chat GTP: 1590年から1592年の間と考えられています。

まつこ:その根拠は?

Chat GTP: 当時の手書き原稿や記録は残っていないため、正確な年代はわかりません。しかし他の作品での言及、シェイクスピアの他の作品との比較、文体やテクストの特徴などから、創作年代を推定しています。これらに基づき、『じゃじゃ馬ならし』は1590年代初期の作品と、一般に考えられています。

まつこ:1591年と推定する研究者は誰ですか?

Chat GTP: 創作年代についての決定的な合意はなされていませんが、1591年と推定する研究者はいます。たとえば高名な研究者であるE. A. J. Honningmanは、テクストの分析と歴史的検証から1591年と推定しています。他に同様な推定をしているのは、R.A. FoakesとH.J. Oliverです。しかし、他の可能性を論じる研究者もおり、年代設定については1588年から1594年まで意見は分かれており、決定的な答えは出ていません。

まつこ:それでは1594年と論じているのは誰ですか?

Chat GTP:1594年の可能性を論じている研究者もいます。たとえば著名なシェイクスピア研究者Stanley Wellsは、スタイル、言語、テーマなど内的証拠から1594年と推定しています。他にもDavid BevingtonとBrian Morrisが同じ年代を支持しています。しかし、先ほどもお伝えしたように、この問題については決定的な答えは出ておらず、議論が継続しています。

・・・と、まあ、かなり細かい質問について、こんな回答を瞬時に出してくるのです。ほんとうにあっという間です。面くらいました。相当にショッキングです。書きかけの原稿、書き直したくなります。

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[うめぞうともども虎丸ファン。名人就位のお祝いの会の連碁に参加しました]

話題を変えて、次の質問。

まつこ:日本で一番強い囲碁棋士は誰ですか?

Chat GTP: 2009年から21年に関しては、井山裕太です。7冠同時制覇を果たしました。ただし囲碁の世界のランキングは流動的で変化しますので、ご留意ください。

まつこ:では別の囲碁棋士、芝野虎丸はどの程度の強さですか?

Chat GTP: 2009年から21年に関しての私の知識の範囲では、芝野虎丸は日本で最も才能のある若手とみなされています。2019年、15歳のとき、竜王戦での活躍で注目されました。

・・・このあと、英語で書かれた棋書、日本語で書かれた棋書でオススメを聞いたら、英語、日本語で、定評の本のタイトルを4冊ずつ挙げてくれました。江戸時代の本因坊道策から現代の羽根直樹まで、並べてくれました。脱帽です。

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[Carolina Herreraのニットとバッグ]

全然、話題を変えてこんな質問もしてみました。

まつこ:50歳以上の女性たちの間でもっとも人気のあるファッション・デザイナーは誰ですか?

Chat GTP: 一人一人の好みが大きく違うので、決めるのは難しいですね。この世代に人気のデザイナーにはDonna Karan, Diane von FurstenbergそしてCarolina Herreraなどがいます。でもファッションの好みは主観的なものですし、個人の好みやスタイルによります。

何も聞いてもそつがなく、文章がきちんとしています(上記は私の翻訳ですが)。「これでお役に立つといいですけど(I hope that helps)」というような、丁寧な挨拶まで付されています。

知識や資料の収集や整理については、AIが人間をはるかに上回ることは確かです。アメリカの大学ではすでにAIにレポートを書かせる学生が出てきているそうです。研究や教育の仕方に影響が出ることは必至です。その変化はきっと予想より速くやってきそうです。面白いような、怖いような・・・。

 

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このブログを書いた後、Chat GPTの回答の内容を少し詳細に検討してみたところ、かなり不正確な情報が混じっていることがわかりました。囲碁関連の本については、「趙治勲の中国流」とか「羽根直樹の初段突破」とか、いかにもありそうなタイトルだけど、実際は存在しない本のタイトルが並んでいました。The Taming of the Shrewの成立年代についても同様で、議論が単純化されていて、年数は微妙にずれています。こういう「あたらずとも遠からず」みたいな内容を、いかにも信頼できそうなしっかりした文体で答えることに長けているようです。ますます使い方が難しい・・・。

2023年2月 8日 (水)

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

まつこです。

なんだかいろいろあって、1月はブログの更新がすっかり滞ってしまいました。立ち寄ってくださったみなさん、ごめんなさい。

秋学期の成績も卒論所見も提出し、ここから2ヶ月が集中的に自分に栄養補給をする時期です。読みたい本、読まなければいけない本、書きたい原稿、書かなければいけない原稿のリストが長く伸びています。さて、このうち、どれだけやれるかな?ま、とりあえず見たかった映画を見ることから始めよう・・・。

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[書斎にたった一人で頭の中の音楽を指揮するモリコーネ。巨匠の最晩年からドキュメンタリーは始まります]

というわけで、見に行ったのは『モリコーネ 映画が恋した音楽家』です。2020年に亡くなった映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの生涯をたどった映画です。『ニュー・シネマ・パラダイス』を一緒に作り上げたジュゼッペ・トルナトーレが監督。モリコーネの音楽が彩った数々の名画の断片と、モリコーネ自身へのインタビューとをまじえた、たっぷり2時間半のドキュメンタリー映画です。

芸術としてのクラシック音楽と、娯楽としての映画音楽を分け、映画音楽を商業目的として低く見る。そんな時代に映画音楽家として実績を積んでいくことに、モリコーネ自身が罪悪感を抱き、葛藤を抱えながら、素晴らしい音楽を作り続けていたことがよくわかる映画でした。彼がその葛藤を乗り越えたのは、モリコーネ自身の作り出した音楽が、芸術と娯楽という人為的な区分を無効にしてしまう深みと広がりを持っていたからにほかなりません。

このドキュメンタリーでは、数多くの映画人がモリコーネへの礼賛を口にするだけでなく、クラシックからロックまで幅広いジャンルの音楽家たちがモリコーネへの深い敬意を語ります。音楽は、言葉や時代を超えて人々が共有する情緒を喚起し、思索を促し、人生を彩ってくれるもの。その原理の前では、商業音楽と純粋芸術などという区別は無意味なものになります。そんな音楽を、尽きぬ泉のように次々と生み出しこの世に残してくれたことに、感謝する気持ちが湧いてきます。

やっぱりイタリア人らしいと微笑ましく感じられたのは、モリコーネの母と妻についての証言です。お母さんについては、「母から美しいメロディーを書けと言われた」とモリコーネ自身が回想します。妻については、監督のトルナトーレの証言ですが、モリコーネは自分の作った曲を、音楽の専門家ではない妻マリアに聞かせて、妻が良いと言ったものだけを世に出したそうです。「映画『ミッション』の「ガブリエルのオーボエ」は宣教師ガブリエルが先住民族と心を通わせるために吹く美しい曲です。親しみの感じられるメロディーがやがて、宗教的な荘厳さを感じさせる大曲へと展開していきます。巨匠モリコーネの平易でありながら深く美しいメロディーの、その根源には母と妻への愛情があるのでしょう。

 

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