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2020年8月25日 (火)

映画『ジョーンの秘密』(Red Joan)

まつこです。

郊外の平凡なセミ・デタッチドの家に住み、いつも平凡なカーディガン姿の隣の家のおばあちゃん。そんな彼女が実は国家機密を旧ソ連に渡していたスパイだった!

まるでスパイ小説のような実話をもとに作られた映画が『ジョーンの秘密』(Red Joan)。シェイクスピア劇や人気ミュージカルの演出家で名高いトレヴァー・ナンが監督しているというのにも興味をそそられ、観にいってきました。

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[ヒロインの老後を演じるジュディ・デンチ]

映画のストーリーは1930年代と2000年を行きつ戻りつして進行します。2000年に国家反逆罪の容疑で逮捕され、尋問を受ける老女の記憶の中で、若き日々が回想されるという構成です。ケンブリッジ大学で物理学を学びながら、共産主義者の友人や恋人ができ、卒業後は研究者として原子爆弾の開発に関わり、そこで得た情報をKGBに流していた・・・。そうした経緯が、次第に明らかになります。

国を裏切った悪人か、それとも世界の平和を願った善人か?この映画ではそれがはっきりとは区別できないように描かれています。イギリスでの映画評を見ると、その曖昧さを批判しているもののありましたが、大国の思惑が交錯する原爆開発では、明快な善悪の判断などできないものでしょう。その善悪の曖昧さこそが、この映画のメッセージのように思えました。

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[若い頃を演じているのはソフィー・クックソン]

16世紀のクリストファー・マーロウから、20世紀のキム・フィルビーまで、どういうわけかイギリス人スパイというとケンブリッジ大学出身者が多いようです。セント・ジョンズやニューナムなど、ケンブリッジ大学のカレッジが映画撮影に使われていて、古き良き時代の雰囲気をスクリーン上でたっぷりと見せてくれます。イギリスびいきの方たちにはオススメです。

ちょっと考えさせて、しっかり楽しませる。「ミドルブラウ」といささか揶揄まじりに言われることもあるトレヴァー・ナンらしい、よくできた映画です。

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