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2019年12月29日 (日)

『家族を想うとき』(Sorry We Missed You)

まつこです。

今年、最後に見た映画は『家族を想うとき』。巨匠ケン・ローチが再びイギリスの貧困問題をリアルに描いた秀作です。

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[善良な家族なのに・・・]

ノーザン・ロック銀行の破綻によってマイホームの夢が破れた主人公リッキーが、なんとか家族の生活をラクにしようと、宅配ドライバーに転職します。しかし「自営」とは名ばかりで、実態は徹底的に低コストを追求するフランチャイズ方式の配送業者との「ゼロ時間契約」。有給休暇も安全の保証もいっさい認められておらず、すべてを自己責任に転嫁する過酷な労働現場で、心身ともに追い詰められ、家族の心も次第にバラバラになっていってしまう。

善良な心優しい人々が、貧困に追い込まれ、そこから抜け出そうとして、かえって苦境へと追い込まれていく過程を、リアルに描きとった映画でした。センチメンタルな結末などは無用とばかりに、最後まで現実の厳しさをつきつけて映画は終わります。

原題のSorry We Missed Youは、宅配の不在通知に書かれている「配達に来ましたがお留守でした」という意味の文言です。これが同時に、崩壊しかけた家族が互いを必要としながら、一緒にいることができない辛さを表現するタイトルともなっています。「安く、早く」というサービス競争の恩恵を受けている私たちも、この非人間的なシステムの一部であることを改めて考えさせられる映画です。苦々しい思いが残るけれど、見て良かったと思える映画でした。

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