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2019年9月10日 (火)

絵と目があう

まつこです。

美術館の中で「絵と目があう」という瞬間があります。特に予備知識もないまま、時間つぶしのために、人の少ないがらんとした美術館をぼんやり歩いていると、視線が吸い寄せられるようにひとところに向かい、そこで立ち尽くしてしまう。そんな経験です。

今回はミラノのアンブロジアーナ美術館でそんな瞬間を経験しました。この絵です。

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[上方が大きく空き、下辺からカゴがわずかに突き出しているように見える大胆な構図]

部屋の突き当たりにある、さほど大きくもない静物画です。でもそのモダンな構図と個々の果物のエッジのきいた輪郭がカッコいい!そう思って近くとカラヴァッジョの作でした。

いったん吸い寄せられた視線は、なかなかそこから離れず、見ている間にどんどんその絵の魅力が大きくなるように感じる。ちょっと大げさですが運命の出会いみたいな気分になってきます。

そういえば2011年12月にベルリンの美術館でも同じような感覚に捕らえられました。そのときもカラヴァッジョでした。

ひょっとしてわたしってカラヴァッジョ好きなのかも・・・。そう意識しながらブレラ美術館へ。Img_3043

[マテオの晩餐]

こちらにもカラヴァッジョの大作が一枚あります。弟子たちが復活したキリストに気づくドラマティックな瞬間を闇と光の中でとらえています。全体がダイナミックで豪胆なようでいて、脇役の老婆たちの深く刻まれた皺やそっけなく置かれたパンまで精緻に現実が描きこまれています。

カラヴァッジョ、本名ミケランジェロ・メリージ、ああ、この男、荒っぽいのか、繊細なのか・・・? 殺人犯でありながら、深い信仰も感じさせるのはなぜ・・・? 少年の体の美しさを隠すことなく描き出すその画家は、女に対しては残酷か・・・?

いろいろ興味がわいてきて、帰国後、カラヴァッジョについて2冊ほど読んでみました。

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[神戸大の宮下規久朗さんの著書2冊]

地道な学術研究にもとづいたけれん味のない本だったので、カラヴァッジョついての下世話な好奇心はあまり満たされませんが、1600年前後のイタリア美術の大きな様式転換の中でのカラヴァッジョの位置付けがよくわかりました。

カトリックの反宗教改革のうねりの中で、バロック美術という新しいスタイルが生みされ、一方のプロテスタントはバロック音楽の成長をうながしたという大きな構図も見えてきます。

でもわたしが一番知りたいのは、カラヴァッジョの女(および男)関係なんだけど・・・。次は伝記を探して読んでみようと思います。これはやっぱり恋か!(笑)

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コメント

東京都庭園美術館で開催されたカラヴァッジョ展がとてもよかったのですが、今回はどんな感じでしょう。あまり混むと興ざめなので、難しいところです。私は暗いカラヴァッジョ(2枚目)よりも明るいカラヴァッジョ(1枚目)が好きですが、暗いカラバッジョがカラバッジョらしいのでしょうね。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

私、庭園美術館のカラヴァッジョ展見ていないんです・・・ひどく残念。カラヴァッジョは逃亡しながら、描く作品も暗くなっているようですね。まだ熱冷めやらず、次の旅行先はカラヴァッジョを見るためにローマかな、と真剣に考え始めています。

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