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2018年12月31日 (月)

エルプフィルハーモニー『こうもり』

まつこです。

港湾都市ハンブルクの倉庫街は、大規模な再開発の最中です。その中で威容を誇るのがエルプフィルハーモニー。計画から完成まで10年を要し、昨年開場したばかりのコンサートホールです。

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[古いレンガ造りの倉庫の上に建てられたガラスばりのコンサート・ホール]

このホールの音響設計をしたのは豊田泰久さんという日本人。開場以来、その音響の素晴らしさが話題になっています。チケット入手も容易でないと聞いていたのですが、9月にオンラインで申し込み、抽選結果を待つこと1ヶ月。30日と31日の二日間だけ開催される年末コンサートのチケットをめでたく手に入れることができました。

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[内部が複雑な作りで階段が多く、老人にはやや厳しい構造をしています]

演目はヨハン・シュトラウスの喜歌劇『こうもり』です。指揮はマンフレート・ホーネック。普通のコンサート形式でやるのかと思ったら、ホール全体を舞台にしたオペレッタでした。

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[階段をたくさんのぼり、回廊をぐるぐる歩いて、ようやく席に到着]

序曲が終わると私たちの座っている席のあたりにスポットライトが当てられたので、何かしらと思ったら、席のすぐ横で大きなバラの花束を抱えた男性が立っていて、甘いメロディのセレナードを歌い始めました。この至近距離のテナーの歌声も、遠く離れた客席から聞こえてくるソプラノの歌声も、オーケストラの音と一体化して、会場全体に鳴り響きます。残響が柔らかく残り、音がまろやかに聞こえてきます。

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[壁を埋め尽くす白いボードは「ホワイトスキン」と呼ばれているらしいです。なんとなく有機体ふうの雰囲気を醸し出しています]

この音響効果を作り出すために1万個もの石膏ボードが使われているのだそうです。凹凸のある白いボードが壁を埋め尽くしていて、まるで白いサンゴ礁の中に入り込んだような印象です。

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[演奏後、万雷の拍手がホールを満たしました]

オーケストラもソリストもコーラスも安定感のある演奏を聴かせてくれて、ときどき背筋がぞくっとするほどです。ハンブルクまで来た甲斐がありました。この空間の中にいなければ味わえない幸福な経験です。深く心に残る一夜でした。

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