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2018年12月31日 (月)

あれから10年

久しぶりにうめぞうです。

いよいよ2018年も残すところわずか。今年も、うめまつダイアリーを読んでくださった数少ない皆様には、あらためて感謝をささげます。旅の報告はまつこに任せ、馬鹿の一つ覚えのうめぞう節で旧年をしめくくることにしたい。

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[ハンブルク市庁舎の前で世界を語るうめぞう]

大晦日といえば紅白歌合戦、お正月は初詣のあと家族そろっておせち料理。そんな昭和な時代は、さすがに生活形態の多様化や家族関係の変化とともにかすんできた。それでも商魂たくましい資本主義はたえず新たな祝祭を生み出し、強化していく。キリスト教とは無縁でも、クリスマス・イヴには恋人や家族とディナーを楽しまないと、クリぼっちなどとからかわれる。クリぼっち、おおいに結構じゃないか、とへそ曲がりなうめぞうは思ってしまう。自分の生活スタイルまで、マーケットに決めてもらう必要はない。それぞれの年末年始を、それぞれの仕方で過ごそうではないか、と。

ふりかえってみれば10年前、そのたくましい資本主義も満身創痍の瀕死状態だった。2008年の大晦日、日比谷公園では「年越し派遣村」が開設されていた。村長役は自立生活サポートセンター・もやいの湯浅誠氏。全国コミュニティ・ユニオン連合会などが協力し、炊き出しや生活職業相談、生活保護申請の援助や簡易宿泊所の提供などを行った。その3ヶ月半前に米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズが史上最大の負債を抱えて倒産。金融不安と景気後退の津波が世界を呑み込もうとしていた。

あれから10年、資本主義という名のフェニックスは灰の中からふたたび蘇ったように見える。しかし、あの危機は本当に解決されたのか。

この10年間、株価や不動産価格は持ち直しても賃金は横ばい。当然ながら富裕層のための贅沢品市場を除けば、個人消費も頭打ち。低成長の中で格差は拡大し続け、家計と国家財政が抱える借金の対GDP比はついに10年前の水準を超えた。次の危機が静かに、しかし着実に近づいているのだ。その危機を10年間、封じ込め、先延ばししてきた唯一の市場プレーヤーは中央銀行だった。その時間稼ぎも、いよいよ限界に近づきつつある。

 こんな暗い話で一年をしめくくるのは気が進まないが、危機は忘れるより、覚えておいた方がはるかに身のためだ。フェニックスは、たとえ燃え尽きても復活する。しかし、私たちの生活はそうはいかない。たとえもう一度、市場に火がついても、私たち自身の生活は、市場の原理とは異なる原理で守り続けていきたい。そのための知恵を来たる年にはみなさんと一緒に磨いていきたいものだ。どうぞ良いお年を。

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