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2018年8月21日 (火)

リーマン・トリロジー

まつこです。

サム・メンデスの洗練されたミニマリズムの舞台演出と、サイモン・ラッセル・ビールのしなやかで繊細な演技の組み合わせは、ぜひとも見たい!昨晩、ロンドンのナショナル・シアターで見たThe Lehman Trilogyはその期待どおりの完成度の高い舞台でした。

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[3人の役者だけで160年以上にわたるアメリカ史を描きます]

何も持たないユダヤ人移民としてアメリカにわたってきたリーマン3兄弟が、小さな商店を始め、綿花の取引、鉄道敷設への投資、銀行業へとビジネスを拡大させて、やがては巨大な金融機関リーマン・ブラザーズへと変貌していく。南北戦争、二つの対戦や大恐慌という大波がやってくるたびにそれを乗り切り、巨大化していくリーマン・ブラザーズの歩んだ軌跡から、アメリカ史が浮かび上がってくるという趣向です。

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[すべてはこのガラスのボックスの中だけで演じられます]

その拡大の先には、2008年のリーマン・ショックがあるわけですが、綿花や鉄などの「物」だけではなく、「金」や「数字」を取引することによってリーマン・ブラザーズが成功していくプロセスが、まるで空中の綱渡りのように危ういものであることが劇中で示唆されます。

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[綱渡りが金融取引の危うさの象徴です]

2008年、破綻したリーマン・ブラザーズのピカピカのガラス張りのオフィスの中ですべてが演じられるのですが、回転する四角いガラスの空間はお金という危うい魔法が支配する空間です。やがてその魔法の力の限界がきたときに、無一文から巨大金融機関へというアメリカン・ドリームは消え去り、無機質なガラスの空間だけが残されます。

こうした壮大な物語を3人の役者が、三人称の語りと一人称のセリフと軽妙なマイムとを組み合わせながら紡ぎ出していきます。3人のぴったり息のあった演技と舞台装置の転換が一瞬の隙もなく、3時間半の長さを感じさせない舞台でした。

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