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2018年5月 5日 (土)

『ペンタゴン・ペーパーズ』と『ウィンストン・チャーチル』

まつこです。

この連休中、うめぞうと見に行った映画2本は『ペンタゴン・ペーパーズ』(原題The Post)と『ウィンストン・チャーチル』(原題Darkest Hour)。どちらも権力の中枢をとりまく駆け引きがスリリングに描かれる映画です。

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[トム・ハンクスとメリル・ストリープ。実力派同士がっぷりに組んだ映画]

新聞社を相続した奥様が最初は男性社会の中でおどおどと戸惑いながら、やがては権力と対抗して報道の自由を守る社主へと変貌していきます。そのあたりの演技の細やかさは、さすがストリープ。

緊張感とスピード感を併せ持つ展開、権力と報道の関係をめぐる力強いメッセージ性など、スピルバーグらしくしっかりと仕上げた映画でした。

でも「あれ・・・?」と思ったのは、エンド・クレジットの最後がノーラ・エフロンへの献辞で締めくくられたとき。ノーラ・エフロンといえば『恋人たちの予感』や『ユー・ガット・メール』などで知られる脚本家。このロマンティック・コメディの女王ノーラに、なんで『ペンタゴン・ペーパーズ』が捧げられているのかしら???

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[ノーラ・エフロンとメリル・ストリープ。ハリウッドの大物リベラル派]

 帰宅して調べたらわかりました。『ペンタゴン・ペーパーズ』は民主党本部のウォーターゲート・ビルへの侵入の場面を描いて終わります。ペンタゴン・ペーパーズをめぐる『ワシントン・ポスト』とニクソン政権の戦いは、やがてもっと大きな第2戦へとつながることを示唆しています。そのウォーター・ゲート事件を暴いたワシントンポスト紙の記者カール・バーンスタインと、ノーラ・エフロンは一時、結婚していました。

スピルバーグ、ハンクス、ストリープといったハリウッドの大物リベラル派たちの輪の中にノーラ・エフロンもいたわけですから、この『ペンタゴン・ペーパーズ』の献辞にも納得です。

で、ゴールデンウィーク2本目の映画は『ウィンストン・チャーチル』。

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[クリスティーン・スコット・トーマスとゲアリー・オールドマン。こちらも実力者同士]

1940年5月、チェンバレンの内閣不信任案が出されたために首相の役が廻ってきてしまったチャーチル。ドイツとの戦争も政権基盤も危機的な状況を切り開いたのは、人々を鼓舞するチャーチルの言葉の力。"He mobilized the English language and sent it into battle"(チャーチルの武器は言葉だった)というのが、この映画の決めのセリフです。

その変わり者で嫌われ者のチャーチルの不安定な精神状態を支えたのが、妻クレメンタイン。夫を時に叱咤し、鼓舞し、おだて、慰撫する。その彼女の時に辛辣な言葉もまた、イギリスを危機から救う力強さを持っています。

しかし、ここで「あら・・・・!」と驚いたのは、クリスティーン・スコット・トーマスの老け具合。

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[スコット・トーマス現在57歳・・・(私と同じ年)]

イギリスの上流階級にありがちなエキセントリックな夫婦像を描いている映画とはいえ、堂々のしわくちゃ婆さんぶりです。これは特殊メイクか、それとも本物のシワか?

帰宅してこちらもさっそく調べてみました。映画の公開直前に掲載されたVanity Fairのインタビューです(Kristin Scott Thomas: "If I can do it standing on my head: don't do it")

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[イギリス女優はシワをかくさない?]

スコット・トーマスは当初、この役を断ったのだそうです。それどころか数年前には映画界からの引退を発表していたそう。しかしクレメンタインがただの夫の支えというだけでなく、その複雑な生い立ちや戦時下でも独特のファッション・スタイルを持っていたことを知り、役を引き受けることにしたとか。

スコット・トーマス、確かに昔の色香はあせ、気難しそうな眉間のシワが目立つようになっています。しかし変わり者でガンコなおばあちゃんを演じさせたら、ハリウッド女優にはない個性の強さをイギリス女優たちは発揮します。スコット・トーマスもそういうイギリスおばあちゃん俳優の一人になってきたようです。

『ウィンストン・チャーチル』にはサミュエル・ウェストもアンソニー・イーデンの役で出演していて、こちらもしっかり年取っていました。メリル・ストリープ、トム・ハンクス、ゲリー・オールドマン、クリスティーン・スコット・トーマス、サム・ウェスト・・・50代、60代の俳優たちが円熟した演技で、言論の力を表現した映画2本でした。

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