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2017年5月13日 (土)

T2 トレインスポッティング

まつこです。

『T2 トレインスポッティング』(T2 Trainspotting)、観てきました。ドラッグ中毒の若者たちのほとばしるエネルギーを斬新な映像で伝えた第1作から20年。おっさんになったジャンキーを、ダニー・ボイルはやはり鮮やかなキレのいい映像で描き出していました。

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[石造りのエジンバラの街を疾走するレントン]

1996年の『トレインスポッティング』は、オープニング場面が鮮烈でした。ユアン・マクレガーが演じるレントンがエジンバラの街を疾走する画像とイギー・ポップの「ラスト・フォー・ライフ」(Lust for Life)にのせて語られた"Choose life"のモノローグが大きな話題になりました。

"Choose life"ー「人生を選べ」と言われて、レントンは1996年の時点での選択肢を並べたてていきます。

「仕事、キャリア、家族、テレビ、洗濯機、車、CDプレーヤ、健康、保険、固定金利の住宅ローン、友人、バカンス、DIY、娯楽番組、ジャンクフード、三揃いのスーツ・・・」

ここには1996年時点での楽天的展望が反映しています。20年間の保守党政権で不況から抜け出し、「クール・ブリタニア」と呼ばれるような若々しい社会へとイギリスも変わりつつあると感じられていた頃。その勢いに乗って、この翌年には労働党の地滑り的勝利。ブレアがさっそうとして首相の座につきました。

しかし、こうした人生の選択肢はいずれも、人々の欲望を満たしながら、その欲望を狭苦しい檻の中へと囲こむ消費財です。そのことを直感的に気付いているレントンはこう宣言します。

「おれは選ばないことにする」(I choose not to choose life)

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[人生を選ばなかった人たち]

そして2017年ー

社会が用意した選択肢を選ばなかった人たちは、20年後もアウトサイダーです。その外部者の目で社会を眺めるレントンに、2017年の人生の選択肢は次のように見えています。

「ランジェリー、ハイヒール、バッグ、iPhone、Facebook, Twitter, Instagram, セレブリティのゴシップ記事、妊娠中絶反対運動、9/11陰謀説、非正規雇用、長距離通勤・・・」

20年たった今も、人々は欲望にとらわれていますが、その欲望はネット社会の中で氾濫する情報にも向けられています。何を食べ、誰と付き合い、どうやって年老いるかまで、ネットで見せないではいられない。だからレントンは悟ったように言います。

「人生なんてただのデータになっちまってる・・・中毒だよ。中毒になるんなら、別の中毒の方がいいぞ」

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[選ばなかった彼女は弁護士になっていた]

20年たっても懲りない連中。相変わらず暴力的で、刹那的で、嘘つきです。けれどアウトサイダーだからこそ、突き放して社会を眺め、その欲望のメカニズムのからくりを見抜く直感があるのです。

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[20年後の彼ら]

幼少時代の回顧あり、老いた父との再会あり、老いと死への不安もある。そんな中年男たちが、ときおり見せるしぶとい生命力。そのそれぞれの物語の中に、とんがった批判精神を忍ばせる、そのダニー・ボイルの手腕の確かさがはっきりとわかる映画でした。

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コメント

ロバートカーライル😢

ののちゃん、コメントありがとう。

私、ローバート・カーライルと同い年だよ・・・。

それもまたそれで衝撃(^^)

これからは「ベグビーねえさん」と呼んでちょうだい。

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