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2017年3月 7日 (火)

シアター・ライブ

まつこです。

BBCのクイズ番組University Challengeで、「『熊に追われて退場』(Exit, pursued by a bear)というト書きのあるシェイクスピア劇は何か?」という問題が出たことがあります。

答えは?

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[ケネス・ブラナーのレオンティーズとジュディ・デンチのポーライナ]

『冬物語』(The Winter's Tale)です。一昨年の暮れにロンドンでやっていたケネス・ブラナーのプロダクションのライブ映像を恵比寿の映画館で観に行きました。

妻と親友の間の関係を疑って、嫉妬するレオンティーズの複雑なセリフを、ケネス・ブラナーは一瞬のゆるみもなく語り、理性を失いった心理の渦の中へと観客の想像力を引きずり込んでいました。ジュディ・デンチも張りのあるセリフは老いを感じさせません。

でも私が、「おっ!」と心ひかれたのは、「熊に追われて退場」するアンティゴナスです。無垢な子供を捨てる罪の意識にさいなまれた老人の心の重さが、言葉にしっかり感じられる、このアンティゴナスいいな・・・と思って、よく見たらマイケル・ペニントンでした。

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[罪の重みを知って死んでいく老人]

ペニントンは1991年に来日したときは、この『冬物語』のレオンティーズでした。幼子を捨てるアンティゴナスがひざまずいて神に祈ると、その前に現れたのは国王レオンティーズ。王の手がアンティゴナスの頭に伸びると思えたその瞬間、その手は熊の手に変わりアンティゴナスを引き裂くという演出でした。アンティゴナスは王の残虐さの犠牲者だということを表現する巧みな場面でした。そのときのペニントンの冷酷な表情が印象的でした。

あれから四半世紀・・・ああ、時は流れたのね・・・ペニントンももうおじいさん役よね・・・そのうちケネスもアンティゴナスやるのかしら・・・としばし感慨に耽ります。劇の前半と後半の間の16年の時間の経過を語るコーラス役の「時」もペニントンが演じるに違いない、と期待して見ていたのですが、残念ながらそのセリフはポーライナ役のデンチに当てられていました。うーん、ここは死んだアンティゴナスが時の老人になって出てくる方が絶対いいのに。

その前の週にはアルメイダ劇場の『リチャード三世』を日本橋の映画館で見ました。

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[レイフ・ファインズのリチャードとヴァネッサ・レッドグレイブのマーガレット]

演出はルーパート・グールド。レスターでの歴史上の国王リチャード三世の遺骨の発掘を枠にするという演出でした。レイフ・ファインズのリチャードはいかにも暗い魂をかかえた悪人なのですが、レイフ・ファインズの語りが活きる複雑なセリフがあまりないのが惜しまれます。ヴァネッサ・レッドグレイブも弱々しくて、舞台で演じるのを見るのはもうこれが最後かな・・・という感じ。

スクリーンで見て面白いと、やっぱり生の舞台で観てみたかったという気持ちになってしまいますが、それでもこうしてイギリスの舞台を日本の映画館で見れるのはうれしいです。RSCの公演もぜひ日本でも上映してほしいものです。

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