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2017年3月

2017年3月31日 (金)

北国からの贈り物

まつこです。

数日前、家に帰ってきてびっくり!

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[ずらりと並んだ桜の枝]

びっくりするほどたくさんの桜の枝が飾られていました。

先日、山形県の鶴岡を訪ねたさいに知り合いになったSさんが山から伐ってきてくださった桜です。

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[だんだん花が咲いてきました]

山形特産の啓翁桜という種類だそうです。ピンクが少し濃くて、寒い季節に一足早く咲く桜花です。暖かい部屋の中で花が咲き始めて、窓辺はすっかり桜並木のようです。

Sさんは関東の出身ですが、山形の大学に勤めて定年退職を迎えたあと、鶴岡で山と畑を買って、ほぼ自給自足の生活を送っておられます。地元の保育園の理事もしていて、保育園の卒園式で飾るための桜を一部、私たちにも送ってくださったのです。

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[部屋にいながらにして花見酒]

薄紅色に咲き誇り始めた花を見ていると、長く暗い冬の寒さをじっと耐えたあとの春の喜びが湧き上がってくるように感じられます。

さくらとともに、香りの高いアサツキや、土手で自生していたというフキノトウもたくさん送ってもらいました。

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[フキノトウの天ぷら]

まだ冷たい風の中で、桜の枝を切り、フキノトウを摘んでくださった様子を想像すると、おいしさもひとしおです。

桜花の美しさやふきのとうの香りとともに、雪国の厳しい自然の中で暮らす人々の生活の粘り強さも宅急便で送っていただいたように感じました。都会では決して手に入らない、北国からのすばらしい贈り物でした。

2017年3月27日 (月)

映画『私はダニエル・ブレイク』

まつこです。

先週見た映画は『私はダニエル・ブレイク』(I, Daniel Blake)。イギリスの貧困問題の深刻さと、福祉政策の欠陥をむき出しにした、力強い作品です。

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[心臓病で失業中のダニエルと無職のシングル・マザーのケイティ]

ジョブ・センター(職安)の職員の機械的な対応、複雑すぎる制度、PCが使えないと申請すらできない手続きなど、この映画を見るとイギリスの生活保障制度の現実がよくわかります。

困窮者に食糧援助をするフードバンクに、無表情で並ぶ老若男女の長い列も描かれます。リーマンショック以降の緊縮財政や食品価格の高騰のせいで、イギリスではフードバンクの利用者が急増しているのだそうです。こうした現実への強い怒りがこめられた映画でした。

この映画を監督したケン・ローチは、英国アカデミー賞の授賞式のスピーチでも政府を鋭く批判しました。

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[Bafta授賞式で政府批判をするKen Loach]

"the most vulnerable and poorest are treated by the Government with a callous brutality that is disgraceful"「もっとも弱い人たち、もっとも貧しい人たちに対する政府の扱いは、冷酷で非人間的だ。恥ずべきことだ。」

イギリスでは強すぎる政治的メッセージゆえに興行的にはそれほど成功しないだろうと思われていたこの映画ですが、大方の予想に反して多くの人々の関心を集めヒット作となりました。老監督のぶれない姿勢と信念が人々の共感を呼んだのは確か。

ちなみにこの映画は「文部科学省特別選定作品」だそうです。反体制の気骨の人、ケン・ローチの映画を選定するなんて、ちょっと意外。ひょっとしてカンヌ映画賞パルム・ドールっていうお墨付きだけで決めたのかも・・・と、私は勘ぐっています。

2017年3月21日 (火)

バスオイル

まつこです。

年度末でちょっと忙しい。気がつけば家の中にストックがなくなっているものがいろいろ。トイレットペーパー、お風呂洗いの洗剤、綿棒、キッチンペーパー、オリーブオイル、ごま油、クリーム、その他もろもろ。

忙しいから全部通販で購入。アマゾン、オイシックス、ニールズヤード・・・と次々クリック、クリック、クリック。

結果、我が家の通販依存率が非常に高くなります。二日に一度はクロネコヤマトさんが配達に来るほど。これじゃあ、クロネコヤマトの配達員の方たちの過重労働が問題になるはずです。(うちはマンションなので宅配ボックスがあるのでマシですが。)

買い物が多くなると、各通販業者とも「送料無料」にしてくれますが、日付ばかりか時間帯まで指定して正確に配達してくれるサービスが無料なんて、消費者が甘やかされているような気がします。イギリスの荷物配達なんて、半日や一日の遅れはざら。日本の宅急便の方が過剰サービスなんじゃないかと思うようになりました。

・・・そんなこんなの自戒の念もあり、シャンプーとコンディショナーは、通販を使わずにお店に買いに行きました。ついでに買ってきちゃったのがバスオイル。

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[ロクシタンのバスオイル。これ1本で10回分ほど]

3800円(税抜き)もしたけれど、これ、いいわ〜。最初は香りが弱すぎるかと思ったけれど、このくらいほのかな香りの方がリラックス効果があると実感。お湯が乳白色になって、肌もしっとり。

忙しいさなかにお店まで足を運ぶと、ついでだから買っちゃえ!と値段もろくに確かめず衝動買いしがち。でもこういうものの中に良い出会いがあるものです(強弁)。

1回400円のバスタイムは高いかしら?でもやさしいラベンダー系の香りにふわりとつつまれてミルキー色のお湯に身を浸せば、昼間のあれやこれやのストレスも湯けむりのかなたに消えていく・・・。このバスオイルは自信をもっておすすめします。

2017年3月13日 (月)

誕生日

まつこです。

あれからまた1年・・・。

3月11日は東日本大震災の起きた日。私の誕生日でもあります。

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[背後にすし桶が見えます。今年は手製のちらし寿司で誕生祝い]

外食が続いてちょっと体が疲れていたり、忙しかったりしたので、今年は自宅で静かに過ごしました。

あの日も寒かったな・・・と6年前の大地震の日を思い出し、特別番組などを見ながらあれこれ思いめぐらせる誕生日です。

あまり浮かれた気分にもならず、「ほんとに、ほんとに、いらないの?」と繰り返し聞くうめぞうには、「物欲がわいてくるまで権利を保留しとく」と伝え、プレゼントもなし。代わりに自分でアマゾンから取り寄せた本はこの2冊。

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[なんとなく買っちゃった2冊]

岸本葉子『続々 ちょっと早めの老い支度』とドラ・トーザン『好きなことだけで生きる フラン人の後悔しない年齢の重ね方』。この手の、いわば「おば(あ)さんの自分探し本」が、最近はたくさん出版されています。

ちょっと前まで、「自分探し」といえば「ほんとうの自分を見つけたい」という不安と希望を抱く若者の専売特許でした。しかし最近は「最後まで私らしく」とか「自分らしい老後を生きたい」という迷える中高年も「自分探し」。健康問題からファッション・アドバイスまで助言、応援、叱咤激励のたぐいの本が続々出ているようです。

で、読んでみた感想ですが・・・

軽く読めるエッセイで、シャンパンの泡みたいなもの。良くも悪くも、あとにはあまり残らない。ドラ・トーザンは「今、一番、自分がやりたいことをやりましょう」という「今を生きる」派」。岸本葉子は「快適老後を目指して暮らしも心構えも工夫しましょう」という「明日に備える」派。

どちらも30分もあれば読めちゃうような軽い本です。この手の本はもう買うまいと思いながら、ついついタイトルにひかれて買っちゃう、雑誌みたいな娯楽と思って手にとるのがよろしいかと。

でもドラ・トーザンが引用していたマハトマ・ガンジーの「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」という言葉は重みがありました。そのように心定めれば、もはや自分探しなど不要でしょう。

"Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever."

このガンジーの言葉をかみしめてみる56歳の誕生日でした。

2017年3月 7日 (火)

シアター・ライブ

まつこです。

BBCのクイズ番組University Challengeで、「『熊に追われて退場』(Exit, pursued by a bear)というト書きのあるシェイクスピア劇は何か?」という問題が出たことがあります。

答えは?

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[ケネス・ブラナーのレオンティーズとジュディ・デンチのポーライナ]

『冬物語』(The Winter's Tale)です。一昨年の暮れにロンドンでやっていたケネス・ブラナーのプロダクションのライブ映像を恵比寿の映画館で観に行きました。

妻と親友の間の関係を疑って、嫉妬するレオンティーズの複雑なセリフを、ケネス・ブラナーは一瞬のゆるみもなく語り、理性を失いった心理の渦の中へと観客の想像力を引きずり込んでいました。ジュディ・デンチも張りのあるセリフは老いを感じさせません。

でも私が、「おっ!」と心ひかれたのは、「熊に追われて退場」するアンティゴナスです。無垢な子供を捨てる罪の意識にさいなまれた老人の心の重さが、言葉にしっかり感じられる、このアンティゴナスいいな・・・と思って、よく見たらマイケル・ペニントンでした。

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[罪の重みを知って死んでいく老人]

ペニントンは1991年に来日したときは、この『冬物語』のレオンティーズでした。幼子を捨てるアンティゴナスがひざまずいて神に祈ると、その前に現れたのは国王レオンティーズ。王の手がアンティゴナスの頭に伸びると思えたその瞬間、その手は熊の手に変わりアンティゴナスを引き裂くという演出でした。アンティゴナスは王の残虐さの犠牲者だということを表現する巧みな場面でした。そのときのペニントンの冷酷な表情が印象的でした。

あれから四半世紀・・・ああ、時は流れたのね・・・ペニントンももうおじいさん役よね・・・そのうちケネスもアンティゴナスやるのかしら・・・としばし感慨に耽ります。劇の前半と後半の間の16年の時間の経過を語るコーラス役の「時」もペニントンが演じるに違いない、と期待して見ていたのですが、残念ながらそのセリフはポーライナ役のデンチに当てられていました。うーん、ここは死んだアンティゴナスが時の老人になって出てくる方が絶対いいのに。

その前の週にはアルメイダ劇場の『リチャード三世』を日本橋の映画館で見ました。

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[レイフ・ファインズのリチャードとヴァネッサ・レッドグレイブのマーガレット]

演出はルーパート・グールド。レスターでの歴史上の国王リチャード三世の遺骨の発掘を枠にするという演出でした。レイフ・ファインズのリチャードはいかにも暗い魂をかかえた悪人なのですが、レイフ・ファインズの語りが活きる複雑なセリフがあまりないのが惜しまれます。ヴァネッサ・レッドグレイブも弱々しくて、舞台で演じるのを見るのはもうこれが最後かな・・・という感じ。

スクリーンで見て面白いと、やっぱり生の舞台で観てみたかったという気持ちになってしまいますが、それでもこうしてイギリスの舞台を日本の映画館で見れるのはうれしいです。RSCの公演もぜひ日本でも上映してほしいものです。

2017年3月 4日 (土)

雛祭りの誓い

まつこです。

昨日のお雛祭り、お祝いしましたか。

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[窓辺に春がやってきた!]

私は職場の二人の妹分のうち、一番若いアンジュちゃんが1年間の在外研究に出発するので、壮行会。アンジュ・ファンのうめぞうも参加。御茶ノ水のビストロ、テロワール・カワバタで楽しくディナー。

そこで思わぬサプライズ!

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[花束もらって感激]

"Happy birthday to you..."のメロディが聞こえてきたので、どこかのテーブルで誰かの誕生祝いかなと思っていたら、私でした!三人姉妹の真ん中ポニョの計らいで、1週間早めの誕生祝いになりました。

実はこの日は久しぶりのワイン。1ヶ月ほど前の夜、主治医から電話がかかってきて、肝臓の機能を示す数値が急激に悪くなったので再検査と言われました。薬物による肝機能障害ではないか、とのこと。ひょっとしたら服用中の漢方薬かサプリが原因ではないかということで、すべて中断。もちろん禁酒。

その間、どんなご馳走を食べようと「ノンアルコール」。

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[新潟の居酒屋で麒麟山]

グラスからあふれる新潟の地酒に口をつける夫を眺めながらガマン。

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[村上の温泉で〆張鶴]

海の幸、山の幸が並ぶテーブルで〆張鶴の盃を手に嬉しそうな夫を眺めながらガマン。

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[山形イタリアンの有名店アル・ケッチャーノ]

庄内の食材を使った鶴岡のイタリア料理店でたっぷりと注がれた赤ワインのグラスを手にする夫を眺めながらガマン。

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[私が選んだメインはクチボソカレイのアクアパッツァ]

地元在住の人に案内された鶴岡のおいしいお寿司屋さんでも、新潟のお寿司屋さんでも、近所のフランス料理屋さんでも、ずーっとガマン。

その甲斐あって、今回の血液検査では見事に正常値になりました。

医師からはお酒のせいではないだろう、たぶん薬物のせいと言われました。あれこれの不定愁訴を一刻も早く駆逐しようと、漢方薬に加え、多種多様なサプリを試したので、そのうちのどれかが原因だと思います。あせって自分の判断で余計なものにまで手を出したのが悪かったのだと反省。

ちょっと早めに56歳の誕生日を祝ってもらいながら、これからは焦らず、食事、睡眠、運動と、お医者さんからもらうお薬だけにしようと、「脱サプリメント」を誓った雛祭りの夜でした。

2017年3月 1日 (水)

お殿様

まつこです。

今回、訪ねた二つの町、新潟県村上市と山形県鶴岡市の共通点は、城下町だったこと。村上藩5万石、庄内藩は12万石。町の人たちと話してみると、こういう歴史が今も人々の生活の中にしっかり根ざしているのに気がつきます。

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[村上の茶舗、九重園]

村上は町家の雛人形めぐりが観光客の間で人気なのですが、残念ながら3月1日からでまだ始まっていませんでした。でもお茶の九重園でちょうど飾り付けをしているところで、女将さんが人形の由来などを詳しく話してくれました。

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[女将さんがお店の歴史やお雛様の由来を詳しく話してくださいました]

江戸時代には町人はお雛様を持つことは許されていなかったのだそうです。明治維新で廃藩置県となり、この地の藩主が東京に引っ越すことになり、その費用を分担したのがこのお茶屋さん。藩主は感謝の印として自分たちの家財のお雛様を下賜したのだそうです。

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[前に並ぶ大名行列の人形もお殿様からいただいたものだそうです]

村上は日本におけるお茶栽培の北限とされていますが、そもそもそのお茶栽培を支援したのも藩主やその臣下だったのだそうです。

こういう話をしてくださるとき、言葉の端々に藩主への敬意が滲みます。100年以上昔の藩主でも、「私たちのお殿様」という意識が町の人々の間には深く残っているようです。

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[鶴岡城の城址は公園になっていて、明治以降の歴史的な建物が移築されています]

鶴岡も同様ですが、こちらは藩主の子孫が今も市内に在住で、町の人々からは「第17代ご当主」とか「第18代ご当主」というふうに、今も「お殿様」として扱われているようです。

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[庄内の藩校だった致道館]

数日の滞在でしたが、町の中でよく「忠明書」と署名された書をみました。

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[宿泊したホテルに飾られていた書]

ホテルのレセプションのデスクの後ろにもかけられていました。

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[天主堂という文字も忠明書]

ひょっとしてこの忠明さんは鶴岡出身の書家なのかしら・・・と思い、一人で散策中に思い切って致道館の受付の人に尋ねてみました。すると「酒井忠明(ただあきら)様は17代当主でいらっしゃいます・・・」と長い説明が始まりました。その口調に、いかにも深い敬愛の念がこもっていて、思わず「それはそれは存じませんで失礼しました」と頭を下げてしまいそうになりました。

2004年に亡くなった酒井忠明氏は歌人でもあり、「今もなほ殿と呼ばれることありてこの城下町にわれ老いにけり」と歌ったそうです。封建制度というのは政治的な制度はなくなっても、社会や文化の中ではなかなか消えないものだなあと、城下町を歩きながら考えました。

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