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2016年10月23日 (日)

青年よ、大志を抱け

まつこです。

忙しいときほど気分転換が必要。秋になったら書道か水彩画のレッスンを再開したい・・・と思いながら、心にも時間にも余裕がないままで、なかなか実現できず。そんなとき近所でポスターを見て行ってみたのがこれ・・・

Dsc03775
[東大の公開講義]

朝日新聞の寄付で開講されている講座の一部が一般公開されているので聞きに行ってみました。第2回目の経営学と第3回目の再生医療の講義です。

60分の講義のあと、学生たちは与えられた課題について20分ほどグループでディスカッションをし、その意見をグループの代表者がまとめて発表。その学生の意見について講師がコメントをするという形式です。

「大学の講義なんて気分転換になるの・・・?」と疑問に思う向きもあるでしょうが、ぜんぜん違う分野のエキスパートが学部横断型の講義で、専門知識のない学生相手にどんな話し方をするのか知りたかったし、いまどきの東大生がどんな意見を発表するのかにもちょっと興味があって行ってみたわけです。

第2回の経営学の藤本隆宏氏の講義は、「地元密着型の中規模の企業でイノベーションを取り込みながら努力し、うまくいっているケースはけっこう多い。これが日本経済の安定要因になっている」という内容。

学生のディスカッションの課題は「地元の会社や産業はどんな問題を抱えているか。またそれに対する対策はないか」というもの。学生の反応はといえば、「地元の商店街が大規模店舗やショッピング・モールに押されてさびれている。対策としてショッピング・モールの中に地元商店も組み込んだらいいと思います」といったところ。藤本先生に「ステレオタイプの意見だね〜。新聞に出ているみたいな意見だね。現場見てないからだよ」と笑いながら一刀両断にされていました。

第3回、日本における再生医療研究のトップランナーと紹介されていた中内啓光氏の講義は、「豚の胚細胞に人間のiPS細胞を注入して作ったキメラ動物の実験」の紹介でした。

再生医療用の臓器を作る目的のためにこの研究開発を進めることに倫理的問題はあるか、というのが学生への課題です。人間と豚の細胞が混ざった動物を作るわけですから、「人間」や「命」をどのように定義し、科学技術と倫理の接点をさぐるという難しい問題です。

しかし・・・

東大生の反応が実にナイーブなんだな、これが。

「私たちのグループでは、もしも病気になったときに再生医療が可能なら自分ではそれを受けたいと全員が考えました。だから実験は進めるべきだと思います。」

「僕たちのグループではキメラ動物で作った臓器を移植した場合に、豚の臓器を移植したといってイジメを受けるのではないかという意見が出されました。」

「私たちの班は、科学的に実現できるという条件が整ったところで、その医療を受けるかどうかは個人の自由にすべきだという意見でまとまりました。」

おいおい、君たち、自分が再生医療を受けるかどうかとか、イジメがあるかどうかとか、個人の自由とか、そういう個々の人間の視点だけじゃなく、もうちょっと巨視的な発想はないのか!社会でコンセンサスが作れるかどうかとか、科学技術を人類が制御できるのかとか、「個人の自由」をどう保証し、どう抑制するのかとか、すぐに結論は出なくても考えるべき難しい問題がいろいろあるでしょうに。

もし自分が・・・という発想も必要ですが、歴史という通時的な物差しに照らし合わせたり、政治や文化という広がりの中に科学的な問題を置いてみるという、背伸びした議論も未来の世界を背負う若者たちにはしてもらいたいものです。「青年よ、大志を抱け」、とおばちゃんは大講義室の一番後ろの席で心の中で怒鳴っていました。

これで気分転換になったか?うーん、どうかなあ・・・?

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