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2016年1月 7日 (木)

1988年

まつこです。

1988年がどんな年だったか覚えていますか。日本はまだ昭和、東京ドームが完成した年。ソウルでオリンピックが開かれたのもこの年です。ロシアはまだソ連で、ゴルバチョフがペレストロイカを始めたたけれど、まさかこのあと地滑りのようにソ連の共産党体制が崩れ、東西冷戦が解消するとは思っていなかった頃です。

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[スイス・コテッジにこんな高層マンション群が建っていたとは知らなかった]

私はこの年はまだ大学院生。夏休みを利用してロンドンの北部に住む友人のIさんのお宅に泊めてもらって、ロンドンで芝居を見ていました。そのとき見た芝居のひとつがトム・ストッパードのHapgood。東西冷戦下、スパイ組織の女ボスであるハップグッドが、自分のチームの中の裏切り者を探し出すという内容です。

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[ハムステッド劇場の前でファーマーズ・マーケットをやっていました]

スパイなのか、ダブルスパイなのか、はたまたトリプルスパイなのか。一人の人物なのかそっくりな双子がいるのか。そもそも誰が裏切り者なのか。その謎解き に、量子力学の不確定原理のたとえが使われます。粒子の位置とエネルギーを正確に測定できないように、スパイたちの正体も捉えがたい。

自分が話についていけていないのか、それともそもそもすべてが不確定なのか、そのあたりが判然としない。だけどスリリング、という不思議な面白さのある劇です。

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[カッコいい女スパイのハップグッド。黒のスーツ、またはライダーズ・ジャケットに黒のピン・ヒール]

このHapgoodが30年近くを経て、Hampstead劇場で再演されているので見に行きました。スタイリッシュな舞台で繰り広げられる知的でスピーディなスパイ劇の面白さが楽しめます。かつてフェリシティ・ケンドールが演じた主役はリサ・ディロン。シングル・マザーの情報部のボスは、やっぱりカッコいい!

デスクの上にドーンと置かれたプッシュホン式の電話とか、トランシーバーみたいな通信機器とか、「時代」を感じさせる要素がいろいろあるのですが、ハップグッドのラグビー少年の息子の言葉使いがきちんとしていて丁寧というのが、いかにも一昔前のイギリスです。劇場の周りのスイス・コテッジ界隈の風景もすっかり変わりましたが、子供たちの服装や話し方も今では様変わり。こんなにお行儀の良いラグビー少年は、鉄のカーテンやベルリンの壁とともに消えていなくなったなあ・・・と、ハンサムな子役の少年を見ながら感慨にふけりました。

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コメント

イギリス滞在記、とても楽しかったです。いろいろ興味深い舞台も紹介して下さり、ありがとうございます。V&Aのビスケット缶↓に目が❤です。私、エリザベス女王のダイヤモンド・ジュビリーの年にM&Sが売り出したビスケット缶を愛用していますが、ビスケット缶にも歴史があるのですね。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

そのビスケットの缶、あと30年くらいすると価値が出始め、50年たったらアンティーク。100年たったらオークションでけっこうなお値段がつくかも・・・と、このあたりの息の長さがイギリス流ですよね。

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