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2016年1月 3日 (日)

『お気に召すまま』

まつこです。

元旦の夜に一人で芝居を見に行くなんて、これが最初で最後だろうなあと思いながら、サウスバンクのナショナル・シアターへ。

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[なんだかんだ言ってもやっぱり好きなこの風景]

その前夜に花火で盛り上がったテムズ河畔はまだお祭り気分が漂っていて、にぎやかに音楽が流れ、人々の歓声があがっていました。ビッグベンもロンドン・アイもカラフルにライトアップされていて、ロンドンは巨大な遊園地のようです。もう少し落ち着いた街だった頃のロンドンを懐かしく思うのは、こちらが年だからでしょう。

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[ロザリー・クレイグのロザリンド、ジョー・バニスターのオーランドー、パスティ・フェランのシーリア]

見に行ったのはポリー・フィンドレイ演出の『お気に召すまま』。宮廷から森への場面転換のコントラストがはっきりしている喜劇ですが、今回の演出ではその場面転換が息を飲む大スペクタクルに仕立てられていました。現代に舞台を設定していて公爵の宮廷は、社員が一丸となって働く現代的な企業のオフィスです。そのオフィスの無数の机や椅子がいっせいにワイヤーで引っ張り上げられ、天井から宙づりになって、不気味な森へと姿を変えます。

おおおーーー、と観客はみなあっけにとられて口をぽっかり開けて舞台を見つめます。

しかし・・・

この圧倒的なスペクタクルのせいで、かえってドラマの影が薄くなる印象です。役者はみんなうまくて、戯曲も程よくカットされて展開が速く、軽快な喜劇に仕上がっているのですが、あとになんにも残らない。物語まで装置の中に巧みに埋め込まれた感じで、生き生きとはじける若さや恋のせつなさが自然に立ち上がってこないのです。

ロンドンの夜景は色とりどりにライトアップされ遊園地のようですが、この『お気に召すまま』も遊園地のショーのようでした。もちろん楽しいんだけど。若者たちには楽しいだけじゃなくて、もうちょっと不格好な恋愛をしてもらいたい!と過ぎ去って行った遠い日々を思いながら小雨に濡れながら元旦の夜のテムズを眺めました。



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