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2015年11月

2015年11月28日 (土)

月の男か猫のモグか?

まつこです。

そろそろ11月も終わりです。街を歩くとクリスマスの飾りが目立ちます。少し早い気がするけれど我が家もクリスマス・ツリーを出しました。

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[出すのもしまうのもちょっと面倒くさいクリスマス・ツリー。だったら長く飾らないともったいない(?)と思って、先週から飾っています]

先日、イギリスの新聞『インデペンデント』のオンライン版で、イギリスのデパート、ジョン・ルイスとスーパー、セインズベリーのクリスマス用テレビ・コマーシャルが人気を競い合っているという記事を読みました。

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[ こちらジョン・ルイスの月に住む男]

ジョン・ルイスは月に住む孤独なおじいさんと地球に住む少女の心温まる交流を物語にしています。"Show someone they're loved this Christmas." 孤独のうちにある人にも愛を届けようというメッセージを伝えています。

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[主役は猫のモグ、ナレーションはエマ・トンプソンのセインズベリー]

セインズベリーはジュディス・カーの絵本の猫モグを登場させました。あわや大惨事というボヤ騒ぎで台無しになったクリスマスが、近所の人たちの思いやりによって暖かな祝祭に変わるという物語です。"Christmas is for sharing."分かち合いというクリスマスの精神を伝えています。

いずれのコマーシャルも商品を売り込むのではなく、クリスマスにふさわしい愛と分かち合いの心を訴え、間接的にプレゼント購買の意欲を高めるというソフト・セルの手法です。市場調査会社の分析によると、先行したジョン・ルイスにセインズベリーが猛追しているとのことです。

独居老人という高齢化社会の問題をいち早く取り込み、Age UKという慈善団体とタイアップしているあたりに、ジョン・ルイスの目の付け所の良さが感じられます。ちょっと寂しくて、ちょっと重いけれど、私ならこちらに一票投じようかな。

みなさん、どちらがお好きでしょうか。見比べてみてください。



2015年11月21日 (土)

The Gap of Time

まつこです。

あたふたと忙しい日々を過ごすうちに、読んだ本の中身もあっというまに忘れてしまいそう。最近読んだ本からいくつかメモを書きとめておきます。

ヴァージニア・ウルフ夫妻が始めた出版社ホガース・プレスでは「シェイクスピア・プロジェクト」というシェイクスピア作品10作を、近年のベストセラー作家に小説化してもらうという企画を始めました。

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[彫像復活の原作『冬物語』にちなんでルーヴル美術館で買ったミロのヴィーナスのしおりを使って読みました]

その第1作目は、ジャネット・ウィンターソンが『冬物語』を現代の小説に仕立てたThe Gap of Time。シェイクスピア劇に登場するシチリア王レオンティーズは、この小説ではロンドンのヘッジ・ファンドの運営会社シチリアの社長レオという設定です。刻々と変化する金融市場で時間の差によって生じる巨大な利益。レオはこの過酷な金融ゲームの勝者でありながら、自らの狂った嫉妬によって家庭を喪失した人生の敗者となります。

ボヘミア王ポリクシニーズはコンピュータ・ゲームのクリエイターのゼノ。捨てられた赤ん坊が美しい娘へと成長し、やがて和解をもたらすというシェイクスピアのおとぎ話の世界は、この現代小説ではゼノが作り出すヴァーチャルなゲーム空間に置き換えられています。

このようにウィンターソンは巧みに設定を現代社会に移し替えながら、シェイクスピア劇でも問われている「時」の意味をこの小説で探ります。嫉妬、憎悪、死という悲劇の中で未来への希望は失われる。けれど長い時を経て許しと和解を人々が選ぶとき、再び未来への希望が生まれ、それによって失われた過去が再び意味のある人生の一部として見えてくる。未来は過去によって作られ、過去は未来によって作り直される。「時」の持つ残酷さと治癒力を、独特の散文で印象的に描いた小説でした。

この小説で重要な舞台となるのがパリです。セーヌ川の橋下で娼婦を買う心荒んだ若き日のレオ。そのレオが出会うパリの歌手ミミ。親友レオに頼まれミミに求婚するためパリにやってくるゼノ。このゼノとミミの過ごすパリは美しい夜の叙情に包まれています。

汚いパリと美しいパリ、その二面性に、The Gap of Timeとはぜんぜん違う本でも出会いました。ジャンポ〜ル西の漫画。『パリ 愛してるぜ~』、『かかってこい、パリ』、『パリが呼んでいる』。パリに憧れた漫画男子の「男目線のパリエッセイ」です。貧乏なバイト生活をしながら見たパリは、ローアングルの地を這うように低い視点からリアルに描かれています。面白くてついつい三部作を一気読みしてしまいました。

貧困と猥雑のパリは「狂乱の20年代」と呼ばれる大戦間のきらびやかな時代にもありました。ジョージ・オーウェルの『パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)』は、芸術家が集う華やかな時代の舞台裏を赤裸々に描いたルポルタージュです。ロシアからの亡命者、娼婦、詐欺師、どん底にうごめく人々の間に、オーウェルは自ら飛び込んで若き日を2年間過ごしました。感傷を排したリアルな筆致からは、体臭や騒音が生き生きと湧き上がってきます。

様々な人々を引き寄せてきたパリは、歴史のうねりをもっとも強く映し出す都市のひとつなのでしょう。パリという名前に、日本人女性が無邪気な憧れを抱く時代はたぶん終わりつつある(すでに終わった?)のだろうなと思いながらも、冬休みにパリー成田のチケットを買ってしまっていた私は、果たしてどうするべきか・・・いやはや、悩ましいところです。

 

2015年11月 8日 (日)

一点集中

まつこです。

美容院で見る雑誌は『家庭画報』と『ミセス』。両方とも自分では買わない雑誌です。宝石も高級料亭の器や料理もおよそ垣間見る機会のない世界ですが、グラビアの美しさにいつも嘆息します。

今回、『家庭画報』と『ミセス』の両方で特集していたのは京都国立博物館の特別展「琳派京を彩る」。金を多用した豪華絢爛な美術にはあまり興味がないと思っていたのですが、本阿弥光悦の書と俵屋宗達の絵の共作「鶴下絵三十六歌仙和歌集」のグラビアを見たら、思わず見入ってしまいました。

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[一番最初の部分。(京都国立博物館のHPより)]

シンプルに省略されているのに、動きや形がリアルな鶴の群れが、群れなしてたたずみ、やがて高く、低く、波打つように飛んでいく。その絵に重ねられた書が、絵とシンクロするように、時に力強く、時に繊細に変化しながら、延々と続いていきます。

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[全部で13メートルの巻物。(京都国立博物館のHPより)]

本物を見てみたい!全体を見てみたい!と強く思いました。でも秋の京都はただでさえ大混雑。さらにこういう特別展はたいてい入場までに長時間待ったあげく、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車状態ということが多い。それを想像しただけで諦めてしまいます。でも見たい・・・。

そう思っていたところに大阪出張。博物館の入場は17時まで、閉館は18時。17時ギリギリなら待たずに入場できて、閉館間際の人気が無くなりかけた頃なら、ゆっくり見ることができるのではないかと考え、大阪での仕事のあと出かけてみました。

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[夕暮れどきの博物館]

この計画は大成功でした。17時5分前に到着すると待ち時間ゼロで入場できました。それでも館内はかなり混雑していましたが、イヤホンガイドを聞きながらいろんなものを少しずつ見て、おおよその概要を理解します。

今回は「鶴下絵三十六歌仙和歌集」に目標を絞りこんでいるので、超人気の宗達、光琳、抱一3人の「風神雷神図」の競演も潔く省略。いよいよ閉館10分前くらいになったところで、3階の「鶴下絵三十六歌仙和歌集」に戻ります。順路の最初の方の光悦の展示室はずいぶん空いていました。最後は誰もいなくなった静かな部屋で、たっぷりと全体を眺めることができました。

近くで見ると、細く美しい筆の流れなど、書の高い完成度にため息が出るほどです。でも少し遠ざかって全体を眺めると、13メートルの大きな流れがよくわかります。凝縮された密度の高い部分と、おおらかに広がる部分とが、波のように繰り返されます。

ほかにも見どころはたくさんある展覧会ですが、こんなふうに一つだけに集中して見るのも悪くありません。長く、長く、うねるように続く絵と書の流れの前に一人で立ち尽くした数分間は、とても贅沢な時間でした。

2015年11月 5日 (木)

昭和の花嫁たち

まつこです。

最近、休日にジムでヨガのクラスに参加しています。血行が良くなり、リラックスもできてなかなか良いようです。今日はヨガのクラスがなかったので、代わりに「青竹体操」に参加。

「足裏を刺激し、心身をリラックスさせるクラス」と書いてあるので、ヨガみたいなものだろうと思って出かけたところ・・・

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[私が通っているのは後楽園のラクーアの中にあるジム。ラクーアはもうクリスマスのデコレーションで飾られています]

「認知症予防」のクラスでした。

プラスチックのイボイボのついている青竹を踏みながら、「グーチョキバー」「はい、今度はグーチョキパーチョキグーチョキパー」「はい、では今度はチョキグーパーチョキグーパーチョキ」と、先生の声に合わせながら手を動かします。体と脳を同時に使って認知症を予防するのだそうです。あら、なかなか難しいのね・・・ううう、ついていけない・・・と、焦り始めるとめちゃくちゃになってしまいます。

周囲はほぼ全員60代から70代の女性。平日昼間のジムはシニア世代が圧倒的多数です。体操に合わせて流れる音楽も昭和のフォークソング。中山千夏「あなたの心に」(1969年)とかシューベルツ「風」(1969年)などなど、団塊の世代の青春ソングがアップテンポにリミックスされて流れるわけです。それにあわせて、青竹踏みながらグーチョキグーパーとやります。

小学生の時によく流れていたヒットソングの数々。手も足も忙しいのに、ついつい聞いてしまいます。「は〜な〜よめは〜、よぎしゃ〜にのぉぉてぇ〜、とつい〜で〜ゆ〜くの〜」。これは1971年のヒット曲「花嫁」。「夜汽車」というのがいかにも昭和だな、と思って聞いていたら、その後の歌詞にびっくり。

かえ〜れない〜、なにが〜あぁっても〜、こころ〜にちか〜うの〜

「なにがあっても帰れない?いやはや、昭和の花嫁は純情だね。何かあったらいったん帰って、場合によっては前向きに一人でやり直すってのもありだよね」などと思いながら、グーチョキパー。

改めて周囲を見渡せば、くたびれて座り込んでいる白髪の女性や、マイペースで適当にやっているおばあちゃまなど。体操が終わればロッカールームでおしゃべり。孫の自慢や嫁への愚痴、ご近所の噂など、いつ終わるともなくにぎやかです。

このシニア世代のマダムたちも、かつてはひたむきな恋をし、ラブソングを聞いて涙を流し、純白のウェディングドレスを身にまとった昭和の花嫁たちだったんだなあ、と思ったら人間が生きていることが愛おしくも、また人生の短さが切なくも感じられました。今、キラキラ若さに輝いている女の子たちも、50年たてばAKB48にあわせて青竹体操していることでしょう。時間はみんなに平等。残酷でもあり、優しくもあります。

2015年11月 3日 (火)

はじめての野菜

まつこです。

知り合いからいろんな野菜をどっさりいただきました。有機農法で作ったというカブや大根、たっぷり葉がついていてうれしい!

でも一緒に入ってきた、これはなに?

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[緑の珍妙な形?]

初めて見る野菜です。

ネットで調べてみたら「ハヤトウリ」。鹿児島の伝統野菜だそうです。薩摩隼人にちなんで「隼人瓜」。炒め物やお漬物にして食べると良いとのこと。

形が面白いので少しの間、鑑賞用に飾ってから食べることにしましょう。

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