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2015年5月 9日 (土)

それぞれの妻

まつこです。

今回から任期固定制が導入されたため、これまでよりはるかに長い選挙戦となったイギリス総選挙。選挙民も候補も長〜いキャンペーン期間に、いささかくたびれ気味になったところで、ようやく投票日。

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[開票日がヨーロッパ戦勝記念日-VE Day(Victory of Europe)-にあたっていました。選挙結果が出たあとに、それぞれの選挙区から大急ぎでロンドンに戻り式典に参加。その間にキャメロンは女王に面談、あとの二人は辞任。大忙しの3人。このスリー・ショットもこれが最後になるでしょう]

「僅差」「連立政権」が予測されていたにもかかわらず、ふたを開けてみれば、まさかの保守党過半数獲得。出口調査での予測まで大幅にはずれていました。即日、労働党のミリバンドと自由民主党のクレッグは党首を辞任。3人の党首のうち残ったのはキャメロン一人。

・・・と、明暗をわけた3人の政治家ですが、「やっぱり僅差だった」と評価されているのはこの3人。

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[サマンサ・キャメロン、ジャスティン・ソーントン、ミリアム・ゴンザレス・デュランテス]

キャメロン、ミリバンド、クレッグの妻たち3人です。投票日から翌日にかけては彼女たちのファッションにも注目も集まりました。女性読者が多くDaily Femaleとも呼ばれている大衆紙Daily Mail。保守系のタブロイドですが、ミリバンドとクレッグの妻の健闘も称えています。

それでは今回の選挙での3人の妻たちのスタイルを見てみましょう。

まずはサマンサ・キャメロン。貴族の娘で、イギリスの老舗革小物メーカーであるスマイソンのクリエイティブ・ディレクター。ほっそりとしたスタイルの良さを生かした、現代的なファッション・センスで、選ぶドレスについてはキャサリン妃の次に注目を集めています。「サム・キャム(Sam Cam)」というニックネームで呼ばれる人気は、保守党の支持層の基盤固めに貢献していることは確実。

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[投票所に向かうところ。薄いブルーのシャツドレス。白いエナメルのベルトはWhistles(35ポンド)。Whistlesはシンプルなデザインで、手堅いOL風ファッションを展開するチェーン店]

保守党党首の妻ですから、シンボルカラーの青は外せません。

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[オックスフォードシャーの選挙区からロンドンの首相官邸に戻ったところ。ジャケットの下はPaul Smithのワンピース。295ポンドだそうです]

サム・キャム、イギリス人デザイナーの服を着ることが多いのは、やはり英国首相の妻の役目なのでしょう。

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[勝利を確認してからバッキンガム宮殿に向かうことろ。ソーントンとブルガッジという二人のデザイナーが立ち上げた高級ブランドPreenのドレス。882ポンド]

今回、話題になったのがこちらのPreenのドレスです。前から見ると保守党の青を基調にしたワンピースですが、後ろ姿が大胆なデザイン。

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[おお、背中が鮮やなイエロー。もはや黄色は後ろに回った色ということか・・・]

黄色は自由民主党の色。安定的多数を獲得し、もはや連立を組む必要がなくなった保守党。たった8議席しか獲得できなかった自由民主党。このサム・キャムのドレスは背中越しに、自由民主党に別れを告げているようにも見えます。

その自由民主党の党首ニック・クレッグ。悲痛な面持ちで、「不安と不満の時代だからこそリベラリズムが重要なのに」と訴えながら辞任しました。(実は私はひそかにちょっとだけ応援していたので、今回の惨敗は残念・・・。)

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[投票所に向かうクレッグ夫妻。連立政権の黄色(Lib Dem)と青(Conservative)を組み合わせている副首相の妻。でもイギリスの市民権を持っていないので、ミリアムは国政選挙には投票できない。ヨーロッパ議会と地方選挙の投票権は持っているけれど]

クレッグの妻、ミリアム・ゴンザレス・デュランテスは名前からわかるようにスペイン人。ベルギーに拠点を置く国際弁護士事務所のパートナーでEUの通商関係法の専門家。3人の息子の母でもあります。

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[自由民主党の惨敗が確実になった深夜。シェフィールドの選挙区で]

ばりばりのスーパー・ウーマン。サム・キャムほど夫の政治活動には協力しなかったものの、「ニックが首相になれば仕事を辞める」と言っていたミリアムですが、その必要もなくなりました。

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[選挙区からロンドンに戻ったところ。コートの黄色はまだ自由民主党の色ですが、フランスのブランドPetit Bateauのものだそうです]

クレッグ自身もロシア、オランダの血を引く家系で、仏、独、西などを操るマルチ・リンガル。ミリアムもいかにもヨーロピアンな風貌。EUに対する不信感がむやみと強まっている今のイギリスでは、やや息苦しいかも。夫が党首を辞任したあとロンドンに戻った時には、ミニアムの表情がむしろ清々しているように見えるのは気のせい?

ミリアムと同様、「夫は夫、私は私」という姿勢だったのが、エド・ミリバンドの妻ジャスティン・ソーントン。ケンブリッジ卒の環境問題専門の法律家です。

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[投票所に向かうミリバンド夫妻。ジャスティンの「ピンク」のジャケットは、党首の妻だからと言って労働党の色「赤」を着る必要はないというメッセージかしら。このジャケットM&Sのものだそうです。あまり高価なものを着ないあたりに、政治家の妻としての配慮は見えるかも]

子供の頃に子役でテレビに出演したこともある明朗闊達なジャスティン。選挙戦後半、労働党内ではミリバンドの「変わり者」「ダサイ」というイメージを払拭する「秘密兵器」はジャスティンしかないという声もあったようですが、年収が日本円でおよそ四千万円というサクセスフルな妻を、夫の「兵器」とみなすような古臭い男中心の発想がそもそもイカン!という批判も出ました。

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[敗戦の将とその妻]

ジャスティンも一夜明けたら、なんだかさっぱりした表情。自立して成功し、夫の選挙結果がどうであれ、カメラに笑顔を向けられる。これが現代的な政治家の妻なのかもしれません。今頃、「あ〜、あと5年も・・・」とため息をついているのは、ダウニング10番地で完璧な妻の役を演じてるサム・キャムなんじゃないでしょうか。

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コメント

こうして見ると、なんか3人ともTory Ladyの雰囲気がありますね。キャメロン続投ということで、EUとの関係がどうなるのか心配です。スコットランド独立みたいに気を揉みたくないわー。なんとかのらりくらりと中道で頑張ってほしいものです。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

今回の選挙で注目を集めた女性といえば、この3人の妻以上にSNP党首のニコラ・スタージョン。インタビューなど聞いていても頭の回転の早い、なかなか手ごわい政治家だという気がしました。キャメロンがUKの最後の首相に、スタージョンがScotlandの最初のPrime Ministerになるのでは・・・という声もあがっています。まだまだ気が揉める日々が続きそうですね。

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