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2015年3月

2015年3月28日 (土)

姉妹都市

まつこです。

ここはどこでしょう?

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[ゆったりと流れるネッカー川]

ヒント1: ドイツで一番古い大学のある街です。

ヒント2:ケンブリッジと姉妹都市です。


イギリス滞在のビザが切れる25日に出国し、飛行機とバスを乗り継いでやってきたのはハイデルベルクです。今回は知人のご夫妻にお招きいただき、日本に帰国する前の数日をハイデルベルクで過ごすことにしました。

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[ハイデルベルク大学の図書館]

ハイデルベルクを案内してくださるのは、長年、日本研究をしていらっしゃるS先生です。碩学S先生は江戸末期の漢籍、日本近代文学、ギリシア語、ラテン語、さらにはウェールズ語にまで通じていらっしゃいます。すでに70歳を超えておられるのですが、スタスタと歩く姿は若々しく、次々にあふれでる知識は、滔々と流れるネッカー川の水量のように豊かです。

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[ハイデルベルクの街歩き]

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[街の中心の精霊教会]

大学図書館から街角の建物の装飾まで丹念な説明をしてもらい、ドイツやハイデルベルクの歴史がよく理解できました。

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[ハイデルベルクで一番古い建物だそうです。ユグノー教徒の織物商人が16世紀の終わりに建てたそうです]

お城や大学など古い建物が美しいハイデルベルクの街ですが、負の歴史も刻まれています。ナチスの支持者が多かったハイデルベルクでは1938年の反ユダヤ主義暴動の夜「水晶の夜」にシナゴーグが放火されました。ハイデルベルク大学からもユダヤ人教員が追放されました。

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[かつてシナゴーグがあったところ]

シナゴーグの跡地には余分なモニュメントを作ったりはせず、あえて空き地のままにして「喪失」の記憶を残しているのだそうです。

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[石畳に埋め込まれた迫害されたユダヤ人の記録]

また街の中では、ユダヤ人のかつて住居を示す金色のプレートが、石畳に埋め込まれています。雑踏の中で人々に踏まれている金色のプレートにはかつてそこに住み、財産や生命を奪われた人々の名前と生没年が小さく刻まれています。

こうしてS先生から、歴史、政治、美術、文学と・・・幅広いお話をうかがい、おいしいワインを飲みながら、愉快に笑い、とても贅沢な数日を、今回のヨーロッパ滞在の最後に過ごしています。

2015年3月24日 (火)

春なのに・・・

まつこです。

荷造りもほぼ完了。クロネコさんのトラックを待っている最中にブログを書いています。

このところ暖かな春らしい好天に恵まれているケンブリッジ。あちらこちらでいっせいにさまざまな花が咲き始め、コートが重く感じられるようになりました。ミツバチも飛び始めています。

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[いよいよ春本番!]

これからが美しい季節なのに、この地を離れるのは残念です。1年間でやりたかったことと、実際できたことの差も大きく、後ろ髪をぎゅーっと引かれている気分です。美しい青空を見上げてはちょっとため息・・・。

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[安心のクロネコさんと先日書きましたが、必要書類についての大事な連絡が来ていなかったことが昨日になって判明。昨日、大慌てでインボイスなどを作成。真夜中になってもクロネコさんとのメールのやり取りが続きました]

「春なのに〜、春なのに〜、ためい〜きまたひとつ〜」という懐メロのフレーズのが頭の中でリフレインし続けています。

今日はこのあと、お布団やテレビを買ってくれた人たちの家に配達に行きます。だんだん部屋が空っぽになりつつあります。

2015年3月22日 (日)

引越し準備

まつこです。

目下、引越し準備中。

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[このクロネコのマークがうれしい]

欧州ヤマト運輸さんは電話での対応もとても丁寧。クロネコヤマトはやっぱり安心だわ〜。

大学のAccommodation OfficeがMoving Salesのページを持っていて、売りたいもののリストを掲示することができます。ブレンダーやプリンターはブラジルからやってくる研究者に、自転車はアゼルバイジャン出身の研究者に買ってもらう・・・という具合に、この1年間に使った家財道具もそれぞれ行き先が決まりました。

だんだん身軽になって、生活者から旅行者に変身しつつある気分です。

2015年3月19日 (木)

見上げれば春

まつこです。

ここにきてウメマツともに、体調がイマイチ・・・。

うめぞうは膝痛と腰痛を悪化させ、私は外耳炎が長引き、ついでに血液検査してもらったら貧血が悪化していました。もうじき帰国なので、引越しの荷物をまとめなければならないし、ここは慎重に体調管理をしてうまくのりきりたいものです。

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[見上げれば春]

そんな具合で私たちはややさえないのですが、ケンブリッジはいろんな花がいっせいに咲き始めていて、春本番を実感します。

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[立ち止まっても春]

あちこちで梅や桜が咲いています。

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[この季節、意外と桜の木が多いことがわかります]

膝痛のリハビリ代わりに散歩に出たうめぞう、「かわいい花が咲いていた」と報告してくれました。うめぞうが見つけたのはうめの花でした。

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[うめぞうはこれを見て「加賀百万石の梅鉢だ」と言いました。うめぞうは金沢出身です]

少し暖かくなってきた風にのってふわりと沈丁花の香りもしています。

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[沈丁花と黄色いのは何の花かな?]

私は絵画教室へ。今日が最後のレッスンで、日本に帰ると言ったら、ジャズミ先生や仲間の生徒さんたちが拍手をしてくれました。

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[今週の作品は「ぶどう」]

1年間で知り合った人たちと、別れの挨拶が続く日々です。ちょっと切ない春を迎えています。

2015年3月14日 (土)

コヴェント・ガーデンの『魔笛』

まつこです。

コヴェント・ガーデンのオペラ・ハウスで『魔笛』を楽しみました。モーツァルトの「魔笛』は娯楽作品でありながら哲学的、どの瞬間も素晴らしい音楽にあふれた至福の作品です。

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[啓蒙君主のようなザラストロと黒人歌手のパミーナ]

David McVicarの演出は2003年のものだそうですが、啓蒙時代に舞台を設定し、ロココ絵画のように美しい舞台でした。

絵画的要素がピーター・グリーナウェイの映画『プロスペローの本』と少し似ています。そう思って見ていたら、ザラストロとプロスペローをはっきりと重ね合わせる演出がなされていました。

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[字幕でプロスペローのセリフが引用されていたザラストロ]

コヴェント・ガーデンは英語の字幕が出ますが、パミーナを強姦しようとしたモノスタトスを罰する場面で、ザラストロのセリフにシェイクスピアの『テンンペスト』の一節がそのまま使われていました。"This thing of darkness I acknowledge mine."「この暗い者も、私のものなのだ」

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[夜の女王は月]

この舞台では、夜の女王は月、ザラストロは太陽で象徴されていますが、全体が暗い闇の世界です。結末のハッピーエンディングに至るまでは、王子タミーノやパパゲーノは暗い闇の中で試練を経験しなければなりません。ザラストロは光と闇の両方の世界を統べる支配者なのだということがこのセリフで主張されているように思えました。

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[ザラストロは太陽]

臆病者でだらしないパパゲーノが底抜けに明るいのと対照的に、深い叡智にあふれたザラストロは、暴力、陰謀、憎悪といった暗闇への洞察も持っている。そこがシェイクスピアのプロスペローとモーツァルトのザラストロの共通性です。

どの歌手も安定感のある歌いっぷり。特にアメリカ人黒人歌手のJanai Bruggerはクリームのように温かみのある声で、天真爛漫なパミーナを演じていました。

深夜10時半を過ぎても渋滞しているロンドンの街。ぜんぜん動かないタクシーの中でも、オペラの余韻にひたっている気分でした。

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[パパゲーノとパパゲーナ?]

2015年3月13日 (金)

レイフ・ファインズの『人と超人』

まつこです。

休憩を含めて上演時間3時間半の長丁場。その半分以上を一人の男が思想信条をベラベラ、ベラベラしゃべり続ける・・・。いかにもうんざりしそうな芝居ですが、でもレイフ・ファインズ主演となれば、見に行かないわけにはいきません!

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[バーナード・ショー『人と超人』(1905)はめったに上演されることのない戯曲です]

3月10日にはうめぞうも誘って、ナショナル・シアターで、ジョージ・バーナード・ショーの『人と超人』を見ました。3時間半で確信したのは3つのこと。

その1、レイフ・ファインズは「おしゃべり男」も流麗に演じる

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[劇の冒頭、BBCラジオの長寿番組Desert Island Discsのナレーションが流れ、ジャック・タナーは作家・思想家として紹介されます。進歩的知識人としての自負があるジャックは、誰に対しても自分の信念を滔々としゃべり続けます]

あのなめらかな声と口調であれば、くどいおしゃべりも耳に心地よく聞こえてきます。第1幕、第2幕、第4幕では、女がいかに欲深い生き物であるか、そこからいかにして逃れるかを、延々しゃべり続けるのですが、バーナード・ショーの台詞の理屈っぽさを、レイフ・ファインズは流麗に聞かせてくれます。(そういえば25年ほど前に初めてレイフ・ファインズを見たときも、『恋の骨折り損』のビルーンというおしゃべり男の役でした。一見、無口な役が似合いそうなレイフ・ファインズですが、意外とおしゃべり男の役がはまります。)

その2、レイフ・ファインズは意外と「コミカル」

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[女の欲深さを見抜いていたつもりでも・・・]

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[どこまでいっても女の発する力から逃れられないのが定め]

レイフ・ファインズが演じたジャック・タナーは、女の生命力の過剰さを冷ややかに分析し、イギリスの社会道徳の偽善をあざ笑う男です。自らの知性に絶大な自信を持っている男が、実際は女の心理をまったく理解しておらず、結局は女の手のひらの上で踊らされているだけ・・・。レイフ・ファインズは、こういう男の幼児性を真面目な顔で演じます。ちょっと神経質な表情と身体の動きが、妙にコミカル。(『グランド・ブダペスト・ホテル』で、レイフ・ファインズ、コメディではじける快感をおぼえたのかも。でもまたロマンティックな役もやってほしい・・・。)

その3、レイフ・ファインズはやっぱり「コスチューム」が似合う

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[夢の中でドン・ジョバンニとして登場するレイフ・ファインズ。地獄で悪魔と議論をするという展開ですが、すっきりとしたガラス張りの舞台で、色の変化だけで地獄を表現するスタイリッシュなデザインでした]

今回のナショナル・シアターの『人と超人』は時代設定を現代に変えていました。レイフ・ファインズ演じるタナーも現代服でスマホを手にし、ジャガーのスポーツ・カーで女から逃げ出します。しかし第3幕で眠りに落ちると、夢の中ではドン・ジョバンニになっています。女から逃げ出したタナーが夢の中で、女ったらしのドン・ファンになるというアイロニカルな展開です。モーツァルトのオペラのように18世紀の服装です。レイフ・ファインズは時代劇の服装の方がずっと似合います。逆に現代服のデニムが妙に似合わない。レイフ・ファインズの演技スタイルは、虚構性の高い戯曲に合っているのでしょう。(いくら虚構性が高いとはいえ『ハリー・ポッター』のヴォルデモートみたいなのはもうやらないでほしい・・・。)

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[久しぶりにレイフ・ファインズの舞台を見れて興奮気味の私]

というわけで、3時間半、たっぷりとレイフ・ファインズの演技を堪能でき、ファンとしてはご機嫌な一夜でした。

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[時代を超えてバーナード・ショーと意気投合した気分になり興奮気味のうめぞう。テムズはやっぱりいいなあ・・・と感慨にふける]

観劇後、うめぞうは「やっぱり女の人からは逃げられないんだね!無駄な抵抗はしないほうがいいね!」と妙に興奮した口調で語っていました。

2015年3月12日 (木)

ケンジントン・ガーデン

まつこです。

「3月11日」は、誰にとってもいろいろな思いを確認する日だと思います。この日がたまたま誕生日の私。50歳以降の誕生日はにぎやかに楽しく過ごすというよりも、また1年を無事に過ごせたことを感謝する日になりました。

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[ウメ、マツ、チェリー、3人そろって記念写真]

昨日からロンドンに来ています。春めいた一日、ロンドン留学中の友人のCherryさんと一緒に、3人でケンジントン・ガーデンを散歩しました。水仙がたくさん咲いていて、水鳥たちがのんびりとサーペンタインの池に浮かんでいます。

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[水鳥の一家がすいすい泳いでいます]

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[椿の花もたくさん咲いていました]

家族と友人がいて、健康にも恵まれて、春の日ざしの中、ロンドンの公園を散策している。これ以上、望むものはないとしみじみと実感する3月11日でした。

2015年3月 9日 (月)

ヨークシャー

まつこです。

週末、ヨークシャーまで2泊3日の小旅行にでかけました。

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[ヨークのミンスター]

歴史あり・・・

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[ヨークシャーの風景]

自然あり・・・

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[ヘンリー・ムーアの彫刻]

芸術あり・・・

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[トム、ジュディ、パム、デイヴ、ウメ、マツ]

暖かいもてなしあり・・・

ヨークシャーをたっぷりと楽しんだ週末でした。

2015年3月 3日 (火)

画材は食材

まつこです。

毎週、火曜日の絵画教室も残すところあと1回になりました。

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[今日の作品]

今日は隣のテーブルで油絵を描いていたおばあちゃまと休憩中におしゃべりしました。スイスのレマン湖の絵でした 。9歳までそこで育って懐かしい風景なのだそうです。

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[先週の作品]

この数週間、私はもっぱら野菜や果物ばかり描いています。写真を見ながら描いている生徒さんが多いのですが、ジャズミ先生は「写真ではなく実物を見ながら描いたほうが良い」とおっしゃいます。新入りの私はその指導方針に素直に従って、冷蔵庫にある食材を適当に持って行って描いています。

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[うめぞうが『食べたい〜』と言ったバナナ。先生からは『黄色すぎる』と言われてしまった・・・]

光の当たり方や素材感を出すのは難しいけれど、毎回、新しい試行錯誤をするのは楽しい経験でした。日本に帰っても続けられるといいのですが・・・。

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[数週間前に描いた果物いろいろ。こうやって比べてみると、自分でも若干は進歩しているような気がします]

お隣のおばあちゃまも大学教師だったそうで、「現役の間は絵を描く時間はなかったわね〜。退職してからは毎日描いているわ。楽しいわよ」とおっしゃっていました。

私も退職後に、「昔1年過ごしたケンブリッジの景色よ」などと言いながら、のんびり絵を描く日がくるのかもしれません。

2015年3月 1日 (日)

日曜日はトムズ・ケーキ

まつこです。

日曜日は市場に出かけるのが習慣になっています。今日はうめぞうも誘っていつもどおり市場へ。

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[風は強いけれど、ずいぶん春めいて、パントをする人たちの歓声も明るく響きます]

グレート・セント・メアリー教会の美しい鐘の音が響きわたっていると思ったら、セネット・ハウスから続々とガウンを着た人たちが、教会に移動していました。今日は18世紀末から続くHulsean Sermonの日で、今年はアリスター・マクグラスという神学者がキリスト教の立場から見た現実の一貫性というようなテーマで話をしたそうです。

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[セネット・ハウスから続々とガウンの人たちが出てきます]

オックスフォードやケンブリッジでは、科学の最先端の研究と、中世から続くキリスト教神学の両方が共存しているのだと再認識することがしばしばです。羊の皮をなめしてそれを削りながら繰り返し書かれた文書に赤外線をあてて研究している人もいれば、ミクロレベルの分子生物学の実験をしている人も、この石造りの街に混じり合って暮らしています。

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[グレート・セント・メアリー教会にガウン姿の学者たちが入っていきます]

古色蒼然とした儀式と、先鋭的な科学的探求の共存を、矛盾として問い詰めることもなく、そのままに並存させておく懐の深さというか、曖昧さというか、泰然としたところが、イギリスらしい一面なのでしょう。

しかしグレート・セント・メアリーの鐘を聞きながら、私が一目散に向かうのは日曜日だけケンブリッジの市場に出店しているTom's Cakes。

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[11時前後に来ると行列していることが多い人気店]

最初にヴィクトリアン・ケーキを買った時はバター・クリームがやや甘すぎると思いましたが、その後、様々なフルーツがたっぷり使われたケーキを食べるうち、いつしかイギリスらしい素朴なケーキが好きになり、「日曜日にはTom's Cakes」というのが習慣になりました。

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[見た目は地味なケーキばかり]

今日は私のお気に入りのケーキをうめぞうにも味わわせようと、「アップルとシナモン」のケーキを選びました。

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[リンゴとクルミとシナモンがたっぷりのケーキ]

東京やパリのパティスリーのガラスケースの中で宝石のように輝く、繊細なデコレーションと、軽やかな味のケーキが懐かしくもあるのですが、そんなおしゃれなケーキは、ここケンブリッジではないものねだりです。郷に入っては郷に従う。イギリスのドーンと重厚なケーキをもうしばらく堪能します。

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[どこから見ても市場に買い物に着たおばさん・・・これは12月の写真]

しかし私の服装センスまでイギリスの田舎風になっているのは、若干問題あり。ニット帽もシープスキンの手袋もそろそろいらない季節が近づいています。そろそろ春らしく変身したいと思っています。

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