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2015年2月19日 (木)

BBCドラマ:ウルフ・ホール

まつこです。

BBCのドラマ『ウルフ・ホール』(Wolf Hall)の第1回目は、この10年で最高の視聴率を獲得したそうです。新聞、雑誌のレビューもおしなべて大絶賛。

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[ヒラリー・マンテルの小説『ウルフ・ホール』『罪人を召し出せ』をドラマ化。6回シリーズで見せる権謀術数の歴史]

ところが6回シリーズのこのドラマ、第2回目以降は、ガクリと視聴率が低下してしまいました。「チューダー朝をリアルに再現してるため、ろうそくの灯りが薄暗くて何が起きているのかよくわからない」、「不眠症の処方箋にしたら良い。見れば退屈で眠くなる」などという手厳しい声も上がっています。

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[マーク・ライランスの演じるクロムウェル]

1000ページもの大部の原作を6時間のドラマに濃縮する際に、脚本家が使った手法はミニマリズム。権力の中枢での欲望、思惑、屈託、愛憎といった複雑な心理や、歴史の転換点で生き延びていくための駆け引きのスリルが、最小限に抑えられたセリフを通して表現されています。見る側の知的な理解力をかなり求めるスタイルなので、「よくわからん」「退屈」という感想が聞こえてくるのも仕方ないところかもしれません。

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[ジョナサン・プライス演じる枢機卿ウルジー]

この抑制されたスタイルのドラマに、深みのある緊張感を与えているのはイギリスの誇る名優たちです。クロムウェルはマーク・ライランス、ウルジーはジョナサン・プライス、トマス・モアはアントン・レッサー。いずれも舞台での経験豊かな演技派です。言葉に陰影を与える声だけでなく、目の動きや頬の歪みといったわずかな表情の変化で、心の微妙な動きを表現していて、見入ってしまいます。(ヘンリー八世のダミアン・ルイスも悪くないのですが、おじさん世代の役者にばかり注目してしまうのは、こちらの年齢のせいかもしれません。)

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[アントン・レッサー演じるトマス・モア]

放送が終わればDVDが発売されるはず。こういうドラマは繰り返し見ても見応えがあります。イギリス好き、歴史好きの人には、ぜひ見ていただきたいドラマです。

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コメント

わー、ドラマ化されたのですか。この小説は頑張って読んだのですよ。冷酷非情な策士という印象だけが先行するクロムウェルの心優しい家庭人としての一面など、興味深く読みました。DVD化されたら是非入手したいものです。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

あの小説、読みにくくなかったですか。翻訳のせいかと思って原文の方も見てみましたが、クロムウェルのことを常に"he"と呼ぶあの文体は、なかなか難物・・・。DVD、ぜひぜひご覧になってください。少年時代のトラウマ、家族への愛情、ウルジーへの愛着、モアへの矛盾した気持ちなど、マーク・ライランスのクロムウェルは実に細やかに表現しています。来週はいよいよ最終回、追い詰められていくところを見るのが楽しみ(?)です。

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