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2014年12月19日 (金)

フード・マラソン

まつこです。

「朝7時出発、歩きやすい靴をはいてくること。朝食は軽めに」これは昨日申し込んだツアーの注意書きです。まだ夜も明けきらぬ早朝にガイドさんは「さあ、フード・マラソンに出発よ」と言います。向かうのはボローニャとモデナの間の田舎。

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[パルミジャーノ工場の朝は早い。早朝に運び込まれた新鮮なミルクが、昨晩一晩ねかされたミルクから作られたホエー(乳清)と一緒にされて、撹拌されます]

まずはパルミジャーノ工場の見学です。

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[私と一緒に参加したのはアメリカ在住のイタリア人と香港チャイニーズのカップル]

「試食付き」の言葉にひかれて申し込んだ時には、ちょっと工場を眺めて、売店で試食してお土産買って・・・というようなことを想像していたのですが、いや〜、本格的な見学でした。このように白いガウンや靴カバーで衛生管理にも気を使っています。

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[見ている間にどんどん変化して、30分くらいでこのように1つにまとめられるようになります]

温度の管理や、重いものの移動などには機械が使われていますが、凝固ぐあいを見定めるのは手の感覚だそうです。

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[上の写真で1つにまとめたのを二つに分けて、このあと型にいれます]

1トンくらいの大釜1つで二つのパルミジャーノが作られます。ここまでは朝の手早い作業ですが、ここからじっくりと時間をかけた工程になります。

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[塩水につけるところ]

型に入れたばかりのものはフニャフニャしているので、漬け物石みたいに重さをかけて水分をぬいてから塩水に20日くらいつけます。

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[どこまでも、どこまでもチーズがならんでいます]

そのあとは乾燥と熟成です。その間に検査官がきて、ハンマーでたたいて音を聞き、中に気泡がはいっていないかを確かめ、その検査を通過したものだけが、24ヶ月熟成され「パレミジャーノ・レッジャーノ」として認定されるそうです。パスしなかったのは二級品として若いうちに食べるチーズとされ、値段も大きくことなります。

・・・と説明を聞いたところで食べ比べ。

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[朝からチーズとワイン]

工場の片隅にテーブルが用意され、1年ものと4年ものを食べ比べました。1年のを先に食べるように言われ、それなりに香りも味も良いと思ったのですが、4年ものはギュッと味がしまって、ホロリとした舌触りも独特で、「珍味」という感じです。

地元産の微発泡性の赤ワインも出され、これがよく合うこと!さらにボローニャ・ソーセージのサンドイッチやピザも出て、ついつい赤ワインが進む、進む。まだ朝なのに。さらに「これがイタリアの朝ご飯だよ」と渡されたのは、大きなクロワッサンにたっぷりカスタードクリームがつまったもの。ああああああ・・・ぜんぶ食べちゃった。

お腹いっぱいで、良い気分になったところで次はバルサミコ工場。

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[工場といっても田舎のお屋敷の裏の納屋みたいなところです]

酢はイタリア語でアチェート。パルミジャーノよりもっと気長な熟成期間があるのがバルサミコ酢。納屋の屋根裏で12年以上寝かせたものだけがアチェート・バルサミコとして認定されるのだそうです。

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[屋根裏で長く長く保管されるバルサミコ。大きい樽から次第に小さな樽に移し替えられていきます。夏は暑く、冬は寒い屋根裏がバルサミコの熟成には望ましい環境なのだそうです。でも夏に見学に来るとあまりの香りの強さに卒倒する人もいるとか]

スーパーでバルサミコと称して売っているものはお砂糖などが入って、バルサミコとはほんとうは言えないのだそうです。

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[手前の小さな下部がコロリとした形の瓶に入ったものだけが本物のアチェート・バルサミコ。有名な工業デザイナーがデザインした瓶で、この形以外のは本物ではないそうです]

では、実際に味を比べてみましょう。

廉価版、混ぜ物はしていないけれど12年未満のもの、12年以上のもの、25年以上のものを、小さなスプーンで少しずつ味わってみました。廉価版ははっきりと甘みの種類が違うのがわかりました。それ以外は時間がたつほどに濃厚かつまろやかになるのがわかります。

ふ〜ん、こんなに違うのね。たまには25年以上のを買ってみようかしらと値札を見たら、小さな瓶で70ユーロ(1万円以上)でした。

ここではさらにリコッタチーズにバルサミコをかけたもの、ジェラートにバルサミコをかけたもの、さらには同じ製造者が作っている栗のリキュールまで出され、さらに良い気分になりましたが、ほろ酔いでも70ユーロのバルサミコを買う踏ん切りはつきませんでした。

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[庭には昔、バルサミコ作りに使われたブドウの圧搾機などが飾られています。快晴で暖かい日です]

田舎道をドライブして、次はプロシュート(生ハム)工場へ。

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[豚の股に塩をしているところ]

地元の良い豚を使い、シチリアの良い塩を使い、いっさい加熱はせずにじっくり熟成させるというのがプロシュート。

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[どこまでも、どこまでもプロシュート。プロシュートの森に入った気分になります]

プロシュートの熟成は、馬の骨で作ったスティックを決まった3カ所に差し込んで、それぞれの部分の匂いで判定するそうです。それで合格すると認定の印が豚の太ももにギュッと押され出荷できるようになります。

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[検査の仕方を説明してくれるガイドさん]

では検査に合格したプロシュートを味わってみましょう。

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[家族でやっている工場で、こちらはお母さん。お父さんと息子もせっせと働いていました]

この生ハム、私がこれまでの人生で食べた中で一番おいしい生ハムだと思います。しっとりと柔らかくて、塩味の中に甘みがあるのです。一緒にツアーに参加した二人もおいしいとびっくりしていました。お母さんもうれしそうに、どんどんスライスしてくれます。ここでも微発泡性の赤ワインが出て、これがまたあうんだな〜、生ハムと。

と、朝から食べ続けていますが、このツアーはランチつきでした。

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[山のレストランに連れてきてもらいました]

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[レストランの裏にはこんな風景が広がります]

朝から飲み続け、食べ続けているのに、ここでドーンとたっぷりランチが出されるところが「イタリア式フード・マラソン」。さあ、がんばって食べましょう!

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[パスタ3種類(トルテリーニ、ラビオリ、タリアテッレ)、肉料理2種類(うさぎのグリル、白豚の煮込み)、野菜の付け合わせ2種類、白ワイン、赤ワイン、パン、デザート(レモンのシャーベット。ピンクのストローがついているの)、食後種(栗のリキュール、飲まないと消化に良くないと言われた)、エスプレッソ]

イタリア式フード・マラソン、最後にお肉は少し残してしまいましたが、完走しました!

ボローニャのあるエミリオ・ロマーニャ州の特産品は、パレミジャーノ・レッジャーノ、アチェート・バルサミコ、そしてプロシュート。この3つに共通するのは、「じっくり熟成」「きびしく検査」だということがわかりました。

品質を保証するためにきびしい基準を設け、その基準を満たしたものだけにDOPという認定を与えることによって、このような手間ひまのかかる食品の製造者を保護をします。市場にだけ任せていたら簡単に安く作れる食品ばかりが流通してしまいます。こういう保証制度があることで、伝統的な食文化が守れるのだということがよく理解できました。

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コメント

すみません。間違えて投稿してしまいました。スマホの入力に慣れてなくって。五感を刺激するリポートありがとうございました!小さな村の物語の世界で、すごく楽しい。しかし、このマラソン、飲めないと楽しみが半分ですよね。でも、これは試してみたいです。

こんばんは、
随分と本格的な見学ツアーなのですね。
最近日本で流行りの「大人の社会科見学」とは、別物感があります!!
こういうのが日本でもあれば、是非参加したいです。
でも、大きな胃袋がないと辛そうですね^^;

こりゃいいねえ。一緒に行きたかったねえ。
料理は、やはり中欧のバター圏よりも、南欧のオリーブオイル圏が勝っていますね。
自然への敬意、時間への信頼、仕事へのこだわり。いずれの文化圏でも、こうした職人仕事が伝統的な食文化を支えています。こういう家族経営資本が、ファーストフード店の国際資本に淘汰されないようにするには、やはりきちんとした認証制度作りと、その制度を監視するマンパワーが必要ですね。そこではじめて競争条件がそろいますからね。こういうところに公的資金を投じるなら、国民も税金の払いがいがあります。
ところで、無粋な質問ですが、このツアー、コミコミでいかほどなんでしょうか。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

『イタリアの小さな村』に出て来る人たちのように、工場で働くみなさんの表情が明るいんですよね。パルミジャーノ工場は365日、休みの日はないそうですけれど。家族、地域、伝統、そういうものの底力を感じました。

微発泡性の赤ワインはアルコール度8%で少し弱めなのですが、栗のリキュールは40%。車で山道も走るので、少し警戒してセーブしながら飲んだんですけどね。さすがにこの日の晩は食事を抜きました。

白玉さん、コメントありがとうございます。

ガイドさんの説明がかなり詳しいのですけれど、ガイドさんもこのお仕事を始めるまでは知らなかったことがたくさんあるそうです。地元の食文化を紹介することに誇りを感じている様子がうかがえました。観光客相手だからと表面的な宣伝だけをするのではなく、歴史や制度を詳しく説明する方が観光資源の価値もますます上がるのだと思いました。

日本でもいろいろできそうですけどね。日本酒作りとか、そば打ちとか。

うめぞう、コメントありがとう。

ずばり、150ユーロです。でもその価値は十分あったと実感したわ。

あの70ユーロでびびったバルサミコ酢は、ボローニャの街では120ユーロだった。空港でも115ユーロだった。工場で買っておけば良かったと後悔。リコッタ・チーズにのせて食べたあの味が夢に出てきそう・・・。

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