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2014年11月 3日 (月)

アイリーン・アトキンズ:『エドモントンの魔女』

まつこです。

ハロウィンだから選んだわけではないのですが、たまたま10月31日の晩に見た芝居は『エドモントンの魔女』という悲劇。1621年に実際に魔女扱いされ処刑された女性の話をとりこんだ、いわば時事ネタの戯曲です。

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[みなで寄ってたかって魔女扱い。写真はオンライン版Expressより]

この戯曲は3人の作家の共作なので、やや筋書きがチグハグ。本来は善人なのに、親の説得を拒みきれず二重結婚してしまい、苦境に追い込まれて妻を一人殺害をしてしまう男、「犬」の姿をした魔女に仕える霊、悪霊の災いもコミカルにしてしまう田舎者、使用人の女性に手を出す紳士など、あれこれ盛り込みすぎて、悲劇か喜劇かよくわからなくなってしまったような戯曲です。グレゴリー・ドーランの手堅い演出で、役者もみんなうまいのに、かえってそのせいでかえって戯曲の弱点が見えてきてしまいます。

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[孤独な老女には犬の姿の悪霊が付き従う。写真はオンライン版Guardianより]

でも、いいんです。今回は女優のアイリーン・アトキンズを見たくて行ったのですから。

イギリスにはいぶし銀のような素晴らしいおばあちゃん女優がたくさんいますが、アトキンズもその一人。日本では『ゴスフォード・パーク』とか『ロビン・フッド』の脇役で見たという人が多いと思います。

もう80歳だそうですが、眼光鋭く、身体も台詞まわしも、緩急自在。かといってうまさをひけらかして悪目立ちすることなく、年老いて貧しいがために魔女扱いされる恨みを、人間臭く等身大で表現していました。

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[アトキンズの舞台、もう一度、見れて良かった。写真はオンライン版Daily Mailより]

アトキンズの舞台を見るのは今回で二度目。1996年、予備知識がないままイプセンの『ジョン・ゲイブリエル・ボークマン』を見たのですが、ポール・スコフィールド、ヴァネッサ・レッドグレイブ、アイリーン・アトキンズという3人の競演する舞台は衝撃的でした。スコフィールドはもう亡くなってしまいましたが、どうしてももう一度アトキンズの舞台を見ておきたかったのです。

『エドモントンの魔女』というタイトルになっているわりには、魔女の出番は多くありません。台詞も苦々しい社会批判が多くて、あまり内面心理を語るような言葉はないのですが、それでも「アイリーン・アトキンズをもう一度見れた!」という満足感をしっかり味わいました。

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コメント

わー、まつこさま、ポール・スコフィールドも見ているのですか。そのトリオ、すごいですね。私が見たことあるのは、レッドグレイブだけ。グローブ座でプロスペロー役を演じた時です。おそらくは慣れない野外劇場、声が通らず辛そうでしたが、幕切れの演技はさすがでした。テムズ川からカモメの鳴き声が聞こえる夕暮れを背景に島を旅立つプロスペロー、忘れがたい場面になりました。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

演出家のリチャード・エアがスコフィールドにボークマンをやる気はないかと聞いたとき、即座にアイリーン・アトキンズとヴァネッサ・レッドグレイブを共演にしてくれないかと言われたそうです。これがスコフィールドの最後の舞台出演になりました。BBCの下記のページで、関係者のインタビューとスコフィールドの演技がちょっとだけ見られます。(日本でも見られるとおもうのですが。)
http://www.bbc.co.uk/programmes/p01fy48l

人生の終わりの失意、幻滅、愛憎、追憶・・・もう少し年取ってから見たかったような気もしますが、一期一会の舞台でした。

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