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2014年11月

2014年11月30日 (日)

アドヴェント・キャロル・サービス

まつこです。

昨晩はトムとジュディに誘ってもらい、クレア・カレッジのアドヴェント・キャロル・サービスに行ってきました。

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[クレア・カレッジは14世紀創設の古いカレッジのひとつです]

クレア・カレッジの聖歌隊は少年ではなく、男女の混声合唱です。たいへん水準の高いクワイアーとして広く知られています。アドヴェントのキャロル・サービスのチケットも毎年、人気が高く、事前申し込みをして抽選なのだそうです。今回はトムとジュディのお友達が抽選にあたったのに行けなくなって、代わりに私たちが一緒に行けることになりました。

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[サービスは1時間ほど。美しい音楽をたっぷり堪能しました]

オルガンの演奏で始まり、暗い教会の中でろうそくの火が一人ずつ受け渡されていきます。次第に灯りの数が増えていき、やがて美しい声が会堂を満たします。厳かな気持ちが溢れ出す瞬間です。

音楽は古いもの、新しいもの、ラテン語、英語、ドイツ語、うまく組み合わせられていました。一人一人の声が伸びやかなことが、合唱を聴いていてもわかります。会衆も一緒に歌うものは良く知られている曲が選ばれていますが、クワイアーの力強いコーラスに包まれて、私たちの声まで天上に届きそうな気分になりました。

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[市場でもクリスマス・ツリーが売られ始めています]

教会を出ると冬の夜空に、星がたくさん見えました。クリスマスまであと25日です。

2014年11月27日 (木)

露往霜来

まつこです。

朝起きると、宿舎の裏の麦畑が白く見えます。霜がおりていました。

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[Frosty Field]

雲の切れ目から朝日がさしこむと、白い糸状のものがキラキラ光ります。何かと思って近づくと・・・

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[Frosted Cobweb]

雲の糸に霜がついたものが光っているのでした。これが至るところにあります。日頃は見えていない雲の巣ですが、こんなにたくさん張りめぐらされているのかと驚きました。

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[Castle Mound]

寒いと言って家の中にばかりいると運動不足になってしまいます。午後からうめぞうを誘って散歩に出かけてみました。

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[栄華の巷を見下ろすうめぞう]

冬の雲のあいまから弱々しい光が灰色の街にさしこみます。北の国の冬景色です。

2014年11月25日 (火)

冬のグランチェスター

まつこです。

久しぶりの晴天!

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[昨日までの雨で牧草地も水浸し。水たまりに鴨がたくさんいます]

二人とも気になる締め切りがあるものの、こんな日に出かけないのはもったいない。

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[私はすでに真冬のいでたち]

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[きれいな冬の景色を眺めて嘆息するうめぞう]

グランチェスターまで散歩に出かけました。

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[茅葺き屋根の可愛いパブです]

お昼過ぎだったので、村のパブRed Lionで遅めのランチ。

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[暖炉がうれしい季節です]

お店の人は親切で、暖炉の横のテーブルを選んでくれました。

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[古くからあるパブですが、内装は新しくてきれい]

こちらのお店はステーキがおいしいと聞いていたので、二人ともステーキ。

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[シンプルなステーキのお肉がおいしい]

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[付け合わせの野菜もおいしい]

たっぷり食べたら、あまりのんびりせずに帰らないと・・・

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[これで3時半くらい]

今日のケンブリッジの日没時間は15時57分。あっというまに日が暮れてしまいます。

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[夕暮れの中の白い人影がわかりますか?「写真、メールで送って」と頼まれました]

日が傾き始めた牧草地を歩いていると、ケム川の横で服を脱ぎ始めた青年が目に入りました。驚いて見ていると、なんと素っ裸になって川に飛び込みました。ケンブリッジの学生だそうです。ひと泳ぎして川から上がったかと思うと、するするとそばの木にのぼり高い枝の上から川に向かってダイブ。昔も今も学生はヤンチャです。

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[冬のグランチェスター・メドウズで記念写真]

寒いけれど、気持ちの良い散歩ができた午後でした。天気予報によれば、明日からはまた灰色の空が続きます。

2014年11月24日 (月)

ケンブリッジの「クラブ」

まつこです。

数日前、海外からの研究者のための交流イベントに参加し、ケンブリッジにある3つの「クラブ」を案内してもらいました。

ひとつ目はこちらー

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[立派な革張りのソファのある重々しい部屋]

1835年創設の「ピット・クラブ」(Pitt Club)です。24歳で首相になったウィリアム・ピット(小ピット)の名を冠した社交クラブです。もともとはトーリーの政治活動を支援するという目的もあったようですが、有名パブリック・スクール出身者の中から紹介された学生だけが入会できる、私的な社交クラブとして存続してきました。

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[クラブの紹介をしてくれた今年の幹部メンバーたち]

エドワード七世、ジョージ五世など王族や、経済学者のケインズ、ソ連のスパイだったガイ・バージェスなど、そのメンバーは華麗です。今でも「選ばれしエリートのためのクラブ」という雰囲気は歴然。イギリスのエスタブリッシュメントはこういうところで脈々と生き続けていると思うと、ちょっぴり複雑な気分になりました。(・・・と思いながら、いそいそと記念写真など一緒にとってもらいました。イヤな顔ひとつせず、感じよく応じてくれるのが、押しも押されもせぬエスタブリッシュメントの証し。)

次に訪問したクラブは体育会系・・・と言っても、汗臭いユニフォームが脱ぎ散らかされているラグビー部の部室ではありません。

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[建物内の壁の色もケンブリッジ・ブルーです。ちょっとペパーミント・グリーンに近い色]

オックスフォードとケンブリッジの対抗戦に出場した者だけに与えられる名誉の印「ブルー」をまとえる者だけが入会できる社交クラブです。このホークス・クラブ(Hawks Club)は1872年創設だそうです。

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[オックスフォードとの試合で活躍するとこういう「ブルー」を身にまとう権利が与えられます]

この「ブルー」が与えられる種目は現在では46競技あるそうですが、そこで良い成績をおさめれば自動的にメンバーになれるわけではなく、やはり社交クラブなのでメンバーからの推薦や投票などで会員になれるかどうかが決まるそうです。

『炎のランナー』の主人公だったハロルド・エイブラハムはメンバーへの選出が否決されました。ユダヤ人だからという理由ではなく、新聞「タイムズ」への寄稿が学生としての謙虚さを欠く行為とみなされたから、とされています。

外からはなかなか見えにくい因習の世界をかいま見たあと、最後のひとつはもうちょっとオープンな言論の場、「ケンブリッジ・ユニオン・ソサイエティ」(Cambridge Union Society)です。

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[得意の弁舌をふるっているつもりのうめぞう]

1815年創設のディベート・クラブです。古くはヴィクトリア朝の大物政治家ウォルポールから、最近ではハフィントン・ポストの創設はアリアナ・ハイフィントンまで、幹部メンバーにはそうそうたる言論人が名を連ねています。

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[うめぞうの議論を聞いて、さて賛成か反対か?]

学生が弁舌をふるうディベートの他、サッチャー、ダライ・ラマ、カンタベリー大司教など、多士済々の論客を招いての討論会もたびたびなされています。ディベートが終わると、それを聞いていたメンバーは「Ayes」(Yes)か「Noes」(No)のいずれかの出口を選んで出て行きます。その数で結果が決まるというのが、原則的なルールのようです。

3つのクラブはまったく性質が違うものですが、強固な階級制度、スポーツマンシップの礼賛、そして言葉の力への評価、この3つをあわせるとイギリスの伝統の大きな部分が見えてくるように思います。

2014年11月21日 (金)

ドイツ:様々な記憶

まつこです。

今日は久しぶりのロンドン。

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[ここはBritish Museumの裏口]

大英博物館で"Germany: Memories of a Nation"という特別展をやっていて、今日は学芸員の講演もあるので、出かけてきました。東西ドイツ統一25年の節目に合わせた催しです。

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[大英博物館の中には講演などをするホールもあります]

講演では600年の歴史を、「国境があいまいで中央集権されていない複合国家」(Floating Frontier)、「帝国としてのまとまりと広がり」(Empire)、「ドイツ人としてのナショナル・アイデンティティの形成」(Nation)、「技術力の高さ」(Made in Germany)、さらに第二次世界大戦と東西分断の暗い過去と未来に開かれた21世紀・・・というような内容でした。

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[ゲーテも「ドイツ国民とは誰か?ドイツとはどこか?」と問うた一人だそうです]

解説を聞いたあとだと展示の狙いがよくわかるります。しかし20世紀の歴史の残した爪痕があまりに深く、どうしても暗い気分になってしまいがち・・・。バウハウスの洗練されたデザインを見た後で、強制収容所の門のデザインもバウハウスのデザイナーの手によるものと知り、いささか複雑な気分でした。

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[カタログはなんと600ページの分厚い本でした]

ドイツの経済力や技術力は認めるものの、ドイツはイギリス人にはわかりにくい国というイメージがあるようです。その「わかりにくさ」ゆえに、今回の展示のタイトルには「歴史」(history)ではなく「数々の記憶」(memories)という言葉が選ばれています。単一の物語に集約されない、多様な記憶の集積としてのドイツという国の姿が見えてくる展示でした。

2014年11月20日 (木)

35 Days until Christmas

まつこです。

クリスマスまで35日。

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[ギルドホールの横のツリー]

大都会のような華やかさはありませんが、ケンブリッジでも少しずつクリスマスの飾りつけが始まっています。

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[市場の花屋さんにもリースが登場]

今日も空は灰色・・・。

寒くて暗い北国の冬だとクリスマスのありがたみがひしひしと感じられます。

2014年11月17日 (月)

ヴィクトリアン・スポンジ・ケーキ

まつこです。

毎日、空は灰色。でも例年よりはかなり暖かい11月。うめぞうを誘って散歩に出かけてみました。

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[まだ黄葉がブナの木に残っています]

散歩していると、たくさんのリスに遭遇します。木に残った葉っぱや木の実を食べているようです。

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[いつものケム川も灰色]

比較的暖かいので(気温は10度くらい)、ケム川ではパントを楽しむ観光客もまだかなりいます。

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[キングズ・カレッジも灰色]

少し陰鬱な冬景色ですが、お店に入るとクリスマス用品が並んでいて華やかです。ポインセチアの赤やツリーの金銀の飾りなどが、外の灰色と対照的です。

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[バターがたくさん使われていてどっしりと重いヴィクトリアン・スポンジ]

たくさん歩いたので、家に帰ったらお茶にしましょう。マーケットで人が並んでいるケーキ屋さんがあったので、つられて並んでしまいました。初めてのお店だったので、とりあえず典型的なイギリスのケーキであるヴィクトリアン・スポンジを購入。

バターたっぷり、お砂糖たっぷり、ずっしり重い伝統的ヴィクトリアン・スポンジでした。ちょっと胸焼け・・・。イギリスらしい日曜日のひと時でした。

2014年11月13日 (木)

Remembrance Day

まつこです。

日本からやってきたばかりのうめぞうは、まだ時差のため早起き。でもおかげでこんな朝焼けを見ることができました。

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[11月11日の朝、7時頃の空です]

火曜日なので私はいつものとおり、教会の絵画教室へ。

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[Remembrance Dayなので国旗が掲げられていました]

1918年11月11日11時をもって第一次世界大戦は停戦となりました。

イギリスでは毎年、11月11日に最も近い日曜日に記念式典を行っています。今年は11月9日でした。このRemembrance Sundayだけではなく、Remembrance Dayの11月11日11時にもお店や学校では2分間の黙祷をすると聞いていました。

絵画教室でも黙祷をするのかと思いましたが、みな熱心に絵を描いていて、誰も11時になったことに気がつきませんでした。

私は相変わらず鉛筆デッサンをやっています。今週の課題は「ガラス、布など質感の違いを鉛筆で描きわける」というもの。

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[ガラスとリンゴ]

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[ぬいぐるみ]

1回ごとに課題が難しくなっているような気がしますが、先生は理路整然と教えてくれます。日本では小学校と中学校で美術は必修科目だと話したら、「デッサンは思考も必要だから若い子供には難しいだろうね」とおっしゃっていました。確かに理屈を聞いて理解する部分があります。絵は才能の問題かと思っていましたが、順序立てて習っていけば、少しずつうまくなれるのかもしれません。年内のレッスンはあと3回。がんばります。

2014年11月11日 (火)

第一声

まつこです。

今日はうめぞうを迎えにヒースローまで行きました。到着ゲートで私を見つけた、うめぞうの第一声は・・・

「おもしろい頭だね〜!」

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[メイフェアのヴィダル・サッスーンでカットして「面白い頭」になってしまいました]

久しぶりにロンドンまで出かけるので、美容院に行ってカットしたのです。先回と同じ、メイフェアのヴィダル・サッスーン。「分け目なくしてみるのはどう?」「じゃ、それでお願いします」というような簡単な話し合いの後、カット。

私、日頃は、カットについては思い切りの良い方。「髪型?ちょっとくらい短くしすぎたってどうせまた伸びるんだから気にしなくていいよ」、「髪型?額縁で絵が変わるわけじゃなし。髪型で美人になれるなら気にするけど、顔は変わんないもん、適当でいいよ」と、だいたい美容師さんにお任せ。

しかし・・・

今日はあまりに大胆にバサバサと切られて、途中で若干、びびりました。仕上げはワックスで毛先が四方八方に飛び散っていました。

うーむ・・・

まあ、いいや・・・

また伸びるし・・・

ロンドンっぽいかも・・・

でも・・・

せめて毛先は撫で付けておこう・・・

帽子買おうかな・・・

ヒースロまで地下鉄のガラスに写った自分の姿を見ながら、毛先をひっぱったり、寝かしたり。そこに第一声、「おもしろい頭だね〜!」は、かなり強烈なパンチ力がありました。

ま、いいや・・・

2014年11月 8日 (土)

チャールコート

まつこです。

先週末、ストラットフォードに行った際、Love's Labour's LostとLove's Labour's Wonの舞台のセットとして使われたチャールコート(Charlecote)まで行ってみました。ストラットフォードから4マイル程度の距離です。

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[ゲートハウスはチューダー朝から変わっていません]

エリザベス一世も滞在したことのある館ですが、ゲート以外は19世紀に大規模改装されたので、本館の内部はヴィクトリア朝の貴族の邸宅です。今回のRSCの演出が1914年〜1918年に設定されているのは、現存する館のインテリアにも合っています。

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[ゲートを入ると見えてくる邸宅]

大広間の隣にはビリヤード室がありました。Love's Labour's Wonでドン・ジョンが悪事を企むのはこのビリヤード室ということになっています。演出の細かい工夫です。

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[エイヴォン川沿いの邸宅と庭]

邸宅も庭も、イギリス貴族の館としてはこじんまりしている方だと思いますが、周囲は広大なパーク(狩猟園)です。Love's Labour's Lostでは原作でもフランス王女たちとナヴァール王たちはパークで出会うことなっていますが、これもうまく実物のチャールコートに合っています。

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[広々としたパークの中をエイヴォン川が流れています]

ストラットフォード生まれのシェイクスピアがどういうきっかけでロンドンに出て劇作家になったのかは謎です。いくつかある伝説のひとつによれば、シェイクスピアがこのチャールコートの鹿を盗んだことが発覚したため、故郷にいられなくなって出て行ったそうです。

ここが鹿を盗んだパークなのね・・・

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[今も鹿が飼われています]

と思って眺めていたら立派な角の鹿が、のんびり草を食んでいました。

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[悠然とパークを散策する鹿。真ん中に小さく写っているのが鹿です]

風は冷たかったけれど、空が澄みきって気持ちの良い日曜日でした。

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[色も形もさまざまなスクウォッシュ]

見学客用の駐車場や受付の建物は館から数百メートル離れたところにあります。近隣で採れた農作物やガーデニング用の植物を売る一画もありました。でも決して景観を崩さないような作りになっています。

貴族の邸宅、庭、パーク、村、教会・・・晩秋の美しいウォリックシャーの田舎の風景を楽しんだ半日でした。

2014年11月 7日 (金)

ガイ・フォークス・ナイト

まつこです。

11月5日はガイ・フォークス・ナイト。

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[冬空の花火もきれいでした]

1605年、政権転覆を狙い、国会議事堂を爆破しようとしていたカトリック教徒の計画が未然に発覚しました。火薬とともに国会の地下に潜んでいたガイ・フォークスが捕らえられたのが11月5日です。ガイ・フォークスは仲間とともに絞首刑。その後、遺体は市中を引き回され、バラバラに解体され、かがり火に投げ込まれました。

ボンファイファ・ナイトとも呼ばれるこの夜には、かがり火を焚き、ガイ・フォークスの人形(effigies)を燃すというのが伝統的な祝い方でした。しかし最近では処刑の残酷さを祝うのは、子供の教育上いかがなものかという意見もあり、ケンブリッジでは人形を焼くのは数年前にやめたそうです。

ミッドサマー・コモンと呼ばれる放牧地に仮設の遊園地みたいなのができて、そこで花火も打ち上げられました。もともとのテロ未遂事件のことは忘れ、大人も子供も楽しむ冬の行事になっているようです。

このミッドサマー・コモン、日頃は牛もいるので、ときどき牛のウ◯チが落ちています。暗い夜に、足下をちょっと気にしながら、上空の花火を見上げた夜でした。

2014年11月 6日 (木)

クリスマスのLove's Labour's Won

まつこです。

先週末にストラットフォードでもうひとつ見た芝居は『恋の骨折り甲斐』(Love's Labour's Won)。聞き慣れないタイトルですが、シェイクスピアと同時代のフランシス・ミアズという人が著書の中で、シェイクスピアの喜劇として『恋の骨折り損』と並べてこのタイトルをあげています。失われてしまった作品なのか、あるいは他の喜劇の別の題名なのか、研究者の間でも議論が続いています。

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[プログラムのデザインも合わせてあって楽しい!]

今シーズンのRSCの上演は、Love's Labour's Wonは『空騒ぎ』の別名という想定のもと、『恋の骨折り損』と『恋の骨折り甲斐』を二本立てで上演するという企画です。舞台は両方ともストラットフォードの近隣のカントリー・ハウスであるチャールコート。『恋の骨折り損』の時代は第一次世界大戦前夜。せっかくの恋も戦争でハッピーエンディングがお預けになるという設定でした。

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[会うやいなや口論のたえないベネディックとベアトリス。舞台写真はすべてRSCのHPより]

今回の『恋の骨折り甲斐』は第一次世界大戦直後。幕開け、チャールコートの大広間はまだ負傷兵のための病院として使われています。『空騒ぎ』の幕開けも戦争の後ということになっているから台詞もぴったり符合します。

第一世界大戦の休戦の休戦記念日は11月11日です。戦争が終わり、久々に平和の中で人々はクリスマスを迎えます。今回の『空騒ぎ』は、クリスマスの祝祭気分に恋の騒動を重ね合わせた楽しい演出でした。

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[人々の幸福をそねむドン・ジョン]

けれどこの喜劇には人々の喜びの輪に加わろうとしないドン・ジョンという悪人が登場します。今回の演出ではドン・ジョンを第一世界大戦で負傷した将校にしていました。松葉杖をつき、足を引きずりながら帰還したドン・ジョンは、身体だけでなく心も病んでいるのかもしれない。観客にそんな想像をうながす巧みな演出です。

『恋の骨折り損』でビルーンとロザライン演じた二人(エドワード・ベネットとミッシェル・テリー)が、今回はベネディックとベアトリス。こうして並べてみると、丁々発止の舌戦を繰り広げる意地っ張りな男女の組み合わせの系譜がうまく浮かび上がってきます。

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[大きなクリスマスツリーが飾られたチャールコートの大広間]

ときどき悪ふざけし過ぎかな・・・と思うようなコミカルな演出もあるのですが、クリスマスのお祭り気分の中でなら気になりません。ベネディックが巨大なクリスマス・ツリーの中に身を隠して恋の噂を立ち聞きしていると、「知性と同様、見た目もきらめいている男だよ」(He doth indeed show some sparks that are like wit)というお世辞が耳に入り、そのとたんツリーの電飾がスパークするといった調子です。

でもクリスマスは楽しく騒ぐだけではなく、感謝と祈りの季節でもあります。しんしんと冷え込む夜に静かにキャロルが流れ、平安な時を分かち合う厳かな気分も混じり合う演出でした。暗い舞台に『木枯らし寒く吹きすさび』(In the Bleak Midwinter)が静かに聞こえてくると、ああ、今年もそろそろ終わりだなという感慨がわきます。

おおいに笑い、少しだけしんみりした気分にもなった一日でした。

2014年11月 3日 (月)

アイリーン・アトキンズ:『エドモントンの魔女』

まつこです。

ハロウィンだから選んだわけではないのですが、たまたま10月31日の晩に見た芝居は『エドモントンの魔女』という悲劇。1621年に実際に魔女扱いされ処刑された女性の話をとりこんだ、いわば時事ネタの戯曲です。

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[みなで寄ってたかって魔女扱い。写真はオンライン版Expressより]

この戯曲は3人の作家の共作なので、やや筋書きがチグハグ。本来は善人なのに、親の説得を拒みきれず二重結婚してしまい、苦境に追い込まれて妻を一人殺害をしてしまう男、「犬」の姿をした魔女に仕える霊、悪霊の災いもコミカルにしてしまう田舎者、使用人の女性に手を出す紳士など、あれこれ盛り込みすぎて、悲劇か喜劇かよくわからなくなってしまったような戯曲です。グレゴリー・ドーランの手堅い演出で、役者もみんなうまいのに、かえってそのせいでかえって戯曲の弱点が見えてきてしまいます。

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[孤独な老女には犬の姿の悪霊が付き従う。写真はオンライン版Guardianより]

でも、いいんです。今回は女優のアイリーン・アトキンズを見たくて行ったのですから。

イギリスにはいぶし銀のような素晴らしいおばあちゃん女優がたくさんいますが、アトキンズもその一人。日本では『ゴスフォード・パーク』とか『ロビン・フッド』の脇役で見たという人が多いと思います。

もう80歳だそうですが、眼光鋭く、身体も台詞まわしも、緩急自在。かといってうまさをひけらかして悪目立ちすることなく、年老いて貧しいがために魔女扱いされる恨みを、人間臭く等身大で表現していました。

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[アトキンズの舞台、もう一度、見れて良かった。写真はオンライン版Daily Mailより]

アトキンズの舞台を見るのは今回で二度目。1996年、予備知識がないままイプセンの『ジョン・ゲイブリエル・ボークマン』を見たのですが、ポール・スコフィールド、ヴァネッサ・レッドグレイブ、アイリーン・アトキンズという3人の競演する舞台は衝撃的でした。スコフィールドはもう亡くなってしまいましたが、どうしてももう一度アトキンズの舞台を見ておきたかったのです。

『エドモントンの魔女』というタイトルになっているわりには、魔女の出番は多くありません。台詞も苦々しい社会批判が多くて、あまり内面心理を語るような言葉はないのですが、それでも「アイリーン・アトキンズをもう一度見れた!」という満足感をしっかり味わいました。

2014年11月 2日 (日)

クイズ その4

まつこです。

この景色も今年は4回目。ストラットフォード・アポン・エイヴォンです。

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[Royal Shakespeare Theatreの前の公園]

10月31日なのにこの日は気温が20度を超えました。10月としては観測史上初めてらしいです。あまりに良いお天気なので食事は劇場の最上階にあるレストランの屋外テラスで。

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[RSCのRooftop Restaurant。ストラットフォードではここが一番おいしいようと私は思います]

ここでクエスチョン。

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[食事の時に注文したスパークリング・ウォーター]

第1問

注文したスパークリング・ウォーターはRSC特注のビンに入っていました。台詞がプリントされています。"The earth hath bubbles, as the water has!"

これは誰の台詞でしょう?

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[ホテルの窓から見えた風景]

第2問

ストラットフォードに行くと、私はだいたいいつもシェイクスピア・ホテルに投宿します。(数年前にメルキュールに買収されてから安くなりました。)今回泊まった部屋は窓から、隣の建物の庭が見えました。

ロンドンで劇作家として成功したシェイクスピアが故郷に買った屋敷の庭です。シェイクスピアが娘スザンナに遺したこの屋敷の名前は?

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[スワン座のギャラリーでやっていた写真展のフライヤー]

第3問

スワン座の2階ギャラリーでは女優のハリエット・ウォルターが企画した写真展をやっていました。50歳以上の女性の顔だけを集めた写真展です。悲しみや喜びの経験がシワとして刻みこまれた女性たちの顔には人生の真実が見える。年老いた女の美しさを直視しよう!という趣旨の展示です。

この写真展のタイトルとして使われた"Invinite Variety"はどの芝居の誰の台詞から取ったもの?

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[例年にない暖かさもそろそろ終わり。急に冷えて来た夕暮れ。劇場の上に月が出ています]

今回は1泊だけでしたが、なかなか充実した2日間でした。その報告はまた明日以降に!

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