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2014年10月 9日 (木)

映画『プライド』

まつこです。

「1984年」はどんな年だったか覚えていますか?

カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」がヒットした年です。これで鮮やかに記憶がよみがえった人は、中年まっただなか。イギリスではサッチャー政権下、大規模な炭坑ストライキが行われたのが、1984年です。

サッチャーVS労働組合、どちらを支持するかは、はっきりとした二者択一でした。マギーかトニー・ベンか?保守党か労働党か?右か左か?今日の混迷した政治状況に比べれば、はるかにわかりやすい時代でもありました。

この時代を背景にしたイギリス映画には、これまでも『フル・モンティ』、『ブラス』、『リトル・ダンサー』などの佳作があります。さらにもうひとつ、とても面白い映画が新作の『プライド』(Pride)です。

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[同性愛者と炭坑労働者を描いた映画『プライド』]

同性愛者と炭坑労働者、一見、なんの関係もなさそう。むしろマッチョな炭坑労働者の人たちは同性愛者に対する偏見が強そう。でも、もしもゲイ・レズビアンの人たちが炭坑労働者の支援活動をしたらどうなるか。その顛末を、笑いと涙で描いたのがこの新作映画『プライド』です。

奇想天外の設定に思えますが、実は実際にあったLGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)というキャンペーンにもとづく映画です。ゲイ・レズビアンの人たちが、権力への抵抗のために連帯しようと炭坑労働者組合に支援を申し出るのですが、全国組織の組合は同性愛者からの協力を受けることを躊躇します。やむなくゲイ・レズビアンのグループは、ウェールズの小さな町の組合に協力を申し出る・・・。

ウェールズの美しい風景、小さな炭坑町に暮らす実直な労働者やその妻たち、ウェールズなまりの英語や心洗われるメロディ。いっぽう、ゲイの人たちはロンドンのナイトクラブで歌い踊り、アウトサイダーとしての自由を謳歌しながら、社会から阻害される孤独や家族との緊張やエイズへの恐怖を抱えて生きている。

こうしたたくさんの要素を、監督のマシュー・ウォーカスは生き生きとしたテンポの良い物語にまとめあげていました。ビル・ナイー、イメルダ・ストーントン、ドミニク・ウェストら、芸達者な役者たちの演技も、大げさにならず、いぶし銀のように光っています。

涙と笑いがたっぷりつまった2時間。今日、私が見に行ったケンブリッジの映画館には、10数人しか観客がいませんでしたが、終わった瞬間、この10数人が盛大な拍手を送りました。私は大笑いしながら見て、最後は涙ボロボロ。ぜひ日本でも公開してもらいたい映画です。

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コメント

まつこさま

Pride 、ご覧になったんですね! いつdvdになるかしら〜? 設定&キャストからして面白そうですし、新聞評&コメントがかなり出てたので興味を持っていました。
でも Cambridge の映画館、お客さんが少なかったのはなぜでしょうねぇ?

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

ケンブリッジは町が小さいわりにシネコンが3つもあります。私が行くのは一番古い映画館でいつ行ってもガラガラです。

たくさんの人物が登場するPrideですが、どの役者もみんなうまいので、どの人の人生にもそれぞれに豊かな意味があると感じられます。日本公開ないんですかね?DVD見て、ぜひ滂沱の涙を流してください!

イギリス映画の炭鉱モノは結構見ていて、毎回泣かされています。たしかに、そう言われてみれば、いつもジェンダーの問題が絡んでくるのが面白いですね。差別の構造は常に複雑ということに気づかされます。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

多くの人の心に残るイギリス映画と言えば、文芸モノか炭鉱モノ。サッチャーもこんな形でイギリス映画界に貢献するとは想定外だったでしょうね。そういえば日本の炭鉱モノの『フラガール』も泣けます。歴史の中で役割を終えたものへの郷愁と、それでもなお誠実に生きようとする人々の姿に、涙腺がゆるみます。この映画「Pride」も惜しみなく涙をながせますよ〜。ぜひご覧になってください。

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