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2014年9月10日 (水)

タービュラント・タイムズ

まつこです。

スコットランド独立の住民投票まであと9日。テレビも新聞もこればっかり・・・というわけにはいかず、他にも重大で深刻な問題があまりにもたくさんあって、イギリスはかなり深刻な状況です。日頃、あまり政治の話などしない友人のトムも、「こんなに大変な事態は今までなかった・・・」とため息をついています。

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[私もテレビ観戦した8月25日のディベート。ここで潮目が変わったスコットランド独立問題]

スコットランド独立は1ヶ月くらい前までは、「独立? したければどうぞ〜。フフフ・・・」みたいな感じで、一部の血の気の多いスコットランド・ナショナリストが騒いでいるという程度の受け止められ方だったように思います。8月前半の第1回目のディベートでは、反対派のアラスター・ダーリンの冷静な主張の方が勝り、「独立はない」という雰囲気に傾いていました。それが8月後半の第2回目のディベートでスコットランド独立党のアレックス・サーモンが、「ウェストミンスターに任せていたらNHSも民営化される。こんなひどいことになったのは、あんたたちのせいだ!」と、ガンガンまくしたて、これを潮目ににわかに独立賛成派が世論調査で急増し始めました。

トムとジュディは大学がエジンバラだったこともあり、すごく気にしていて、投票日の9月18日にはスコットランドまで行ってその瞬間を目撃するのだそうです。彼らの友人でスコットランド在住のイングランド人は、もし独立が決まったら、次のバスに乗ってイングランドに引っ越すと言っているそうです。さあ、どうなることか・・・

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[このところずっと顔が暗いキャメロン]

景気が若干回復してきたものの、これまで押さえ込まれていた低賃金や物価高、福祉カットへの不満の声が急激に高まってきています。地方都市ロザラムでの連続女子暴行事件を、人種問題がらみで長期にわたって警察が放置してしまったことも大きなスキャンダルになっています。移民問題も深刻、住宅難も深刻、医療費問題も教育費問題も深刻・・・と、国内に問題は山積。

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[キューピー顔も暗くなっているオズボーン]

対外的にもイスラエル/パレスチナ問題、シリア問題、イラク問題、ウクライナ問題、EUとの関係、どれも切迫しています。ジハーディストと呼ばれる過激派にはイギリス国籍の人も多く、アメリカ人ジャーナリスト処刑を実行したジハーディストがイギリス人だったというのが特に衝撃的で、ジハーディストのパスポートを取り上げろ、帰国させるな、など強い対応を求める声があがっています。

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[メイはヴィヴィアン・ウェストウッドも着こなすお洒落な面もありますが、今はそれどころじゃない。見るたびに表情が険しくなっている内務大臣]

テレビで見る政治家の顔も、のきなみ暗くなっていて、柔和なおぼっちゃま顔のキャメロンも、キューピー・フェイスの財務大臣オズボーンも、眉間のしわが深くなっています。内務大臣のテリーザ・メイにいたっては、彼女の険しい表情を見ると「あー、やっぱりこの国、今、大変なことになっているんだわ」と、改めて確信せざるをえません。

日曜朝のニュース・ショーでジャーナリストのアンドリュー・マーは「我々は今、乱気流の中にいる」(turbulent times)と表現していました。マーいわく、この乱気流の中で必要なことはー

1) 分別ある問い(sensible questions)
2) 明快な答え(clear answers)
3) 楽天的精神(spirit of optimism)

この三つだそうです。"Keep Calm and Carry On"といつもの冷静さを保ったまま、この乱気流を通り抜けられるかどうか、イギリスは正念場を迎えています。

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コメント

「ありえない」と一蹴する夫は現地とはだいぶ温度差があり、私の方がヤキモキしています。保守と革新の両方の振れ幅を持つイギリスだけに油断できません。なんとかイギリス流のvia media(中庸)の見識を発揮してもらいたいものです。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

一日ごとにヒートアップしている感じです。キャメロン、クレッグ、ミリバンドがそろって「UKにとどまってください!」と秋波を送り、ジョン・メイジャーまで出てきて独立反対を訴えていました。もはやpassion(ぜったい俺たちゃ独立するぜ!)対emotion(僕たちと一緒にいてください!)の争い。ゴードン・ブラウンの妥協案は「独立反対派がパニックになって繰り出してきた賄賂」とまでけなされています。投票のあとはどんな結果が出ても、ちょっと苦い後味が残りそうです。

まつこさま

確かに現在の英国、危急の難に遭遇している感が強いですね。スコットランドの件は、UKの歴史転換点になるのでしょうか。私の短い滞在中にも大きなニュースが連日(ロザラムの一件は特にビックリしましたが、ジハーディストの件も、スコットランド独立の公開討論会も、全部この短期間にニュースになりました)で、ウィリアム王子夫妻の第2子の明るいニュースがちょっと影が薄くなってしまうくらいですよね。

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

春からずっと不穏なニュースが多いんです。BBCの人気者だったRolf Harrisの性犯罪、バーミンガムの公立校にイスラム原理派が入り込んでいた「トロイの木馬作戦」、UKIPの躍進などなど。イギリスってこんなに問題が多く国だったのね・・・と改めて、びっくりしています。せめてワールド・カップで憂さを晴らそうと思ったら負け続け、ウィンブルドンもMurrayが途中で敗退。Great BritainからLittle Englandになってしまうんでしょうかねえ・・・?

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