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2014年9月

2014年9月30日 (火)

開戦前夜のLove's Labour's Lost

まつこです。

RSCの『恋の骨折り損』を見るのはこれで3度目です。1991年、テリー・ハンズの演出はフランス印象派の絵画をそのまま立体にしたような典雅な舞台でした。1993年のイアン・ジャッジの演出はオックスフォードの学寮に設定していました。

今回の舞台は、ウォリックシャーの治安判事サー・トマス・ルーシーの邸宅チャールコート・パークに設定されていました。(クイズの第2問の答えです。)シェイクスピアが鹿を盗んだといわれている庭園で、恋の狩人たちが遊ぶという、なかなかうまい設定です。

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[プログラムの写真]

音楽を多用した演出で、ノエル・カワード風の甘いメロディや、エルガー調の壮麗な曲がたくさん流れて、エドワード朝かそのあとのジョージ五世の時代の洗練された雰囲気がかもし出されます。劇中劇の『九人の偉人』はギルバート&サリバンのオペラ風でたっぷり楽しませてくれました。

20世紀初頭の貴族の邸宅・・・そう、まさに『ダウントン・アビー』の世界です。貴族たちは優雅に恋をし、学者や聖職者は芝生の上で難しげな議論をし、召使いは一糸乱れぬ働きぶり、そして純朴な村人たち。

階級社会をノスタルジックに描いて、なかなかうまくまとまった舞台だな・・・と思いながら見ていたら、思いがけぬ終幕となりました。

ここから先、ネタバレです。

劇の終わりをしめくくる「カッコーとフクロウ」の歌をどう演出するかが、この劇のポイントのひとつ。前半のカッコーの歌の部分はあま〜いロマンティックな歌でしたが、後半のフクロウの歌になると曲調がだんだんと変化し、『ルール・ブリタニア』や『威風堂々』のようなイギリスの栄光を讃える国威発揚調の曲になりました。

第一次世界大戦の開戦です・・・。

先ほどまで恋に恋して、優雅なソネットなど綴っていた貴族の若者たちが、軍服姿で出征していきます。貴婦人たちと召使いと村人は邸宅の前に整列し声を合わせて歌を歌い、勝利を祈りながら彼らを見送るという結末でした。

甘い言葉をつらね、贈り物を送り、ぶざまな変装までして恋にうつつをぬかしていた貴族の若者たちも、戦争という過酷な現実に巻き込まれていきます。彼らを待ち受けるのは塹壕と火薬。この4人の貴族のうち、誰が無傷で帰ってこれるのかー。

「厳しい生活を1年間耐えることができたら愛する人と結ばれる」と若者たちは約束してもらいましたが、この戦争は4年以上の年月と、900万人を超える戦死者を出すことを、観客は知っています。今年は第1次世界大戦勃発から100年目。さまざまに語り継がれてきた戦争の記憶が、この結末に重なりあい、鼻の奥がツーンとする切ない幕切れとなりました。

ちょうどこの日、イギリス議会はイラクへの空爆参加を決定。苦く複雑な思いも混じりあう夜でした。

クイズの答え

1)ベン・ジョンソン

2)チャールコート、サー・トマス・ルーシー

3)『ウィンザーの陽気な女房たち』第2幕第2場のフォードの台詞

2014年9月28日 (日)

クイズ その3

まつこです。

今週末は再びストラットフォード・アポン・エイヴォンに来ています。

さてここでクエスチョン!

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[エイヴォン川の優雅な白鳥]

ストラットフォードを流れるエイヴォン川には白鳥がいます。シェイクスピアのことを"sweet swan of Avon"と呼んだのは誰?

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[昨夜見たLove's Labour's Lostの舞台装置]

第2問

昨晩は『恋の骨折り損』(Love's Labour's Lost)を見ました。舞台として選ばれていたのはストラットフォードから6キロほど離れたところにあるカントリー・ハウス。16世紀以来、広大な庭園には鹿が飼われていて、若き日のシェイクスピアはこの庭園から鹿を盗もうとして罰金を課せられたという伝説が伝えられています。

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[こちらはモデルになった庭園のゲートハウス]

こちらの庭園の名前はなんでしょう?またこの家の主は『ヘンリー四世』や『ウィンザーの陽気な女房たち』に登場するシャロー判事のモデルと言われています。鹿を盗んだとシェイクスピアを訴えたこの地主の名前はなに?

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[There is money. Spend it, spend it; spend more:"]

第3問は、再びお土産に記された台詞です。

このマグネットに書かれている"There is money. Spend it, spend it; spend more:"はどの芝居の誰の台詞でしょう?

2014年9月26日 (金)

GP登録

まつこです。

海外で暮らす際の不安のひとつは医療機関です。先日、歯痛になってしまい、ロンドンのプライベートの歯科医に診てもらいました。不覚にも日本で買っておいた医療保険に歯科特約をつけていなかったので、とりあえず全額実費。歯も痛かったけど、お財布も痛っ!

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[こちらの病院に登録しました]

そろそろ寒い季節が近づき、風邪やインフルエンザも心配。念のためNHSのGP(かかりつけ医)に登録しておくことにしました。

手続きはきわめて簡単で、数枚の書類に名前、住所、既往症などを書いて提出するだけ。無料です。特に大学からの証明書などは必要ありませんでした。

イギリスの誇るNHS(国民健康保険)ですが、私のような短期在住者までこんなに簡単に登録できるのですから、財政負担は大きくなるはずです。民営化も検討されていて、強い反対意見も出ています。いずれにせよこの巨大組織をどうのように改革していくのかは、イギリスの抱える最大の問題の一つです。

必要書類の記入をしながら待合室の様子を観察するとお年寄りばかり。予約の電話をしてから数日後に診察というのがごく普通の模様。どうしてもすぐに診てもらいたいときは、特別な救急扱いになるようです。

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[秋も深まってきて、これからは風邪にも注意しないといけません]

ご近所の開業医に予約もなくかかれる日本の医療の簡便さを思い出し、そのありがたみを認識するとともに、構造的な問題についても、市民がもう少し関心と理解を高めるべきなのだろうなあと、改めて思いました。

2014年9月25日 (木)

古い石畳

まつこです。

少し前になりますが、Open Cambridgeという行事がありました。毎年、9月半ばの2日間、日頃は公開されていないケンブリッジのカレッジのダイニングや図書館を一般公開します。

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[セント・ジョン・カレッジのオールド・ライブラリー。1620年代に作られたものです]

私もコーパス・クリスティ・カレッジのパーカー・ライブラリーや、セント・ジョン・カレッジのオールド・ライブラリーを見学してきました。

ケンブリッジは日帰り観光客がとても多い街です。8月中ほどではないものの、この日も土曜日だったのでロンドンから観光バスが次々とやってきて、特に有名なトリニティ・カレッジやキングズ・カレッジの周囲はごった返しています。

公開されている図書館もけっこう混んでいたので、私は早々に退散。セント・ジョン・カレッジの中庭を通り抜けて帰ろうとしたら、石畳を修復している職人さんの姿が目に入りました。ケンブリッジの古い建物群は、常に補修が必要です。授業のない7月から9月の間は、補修や掃除をしているのをよく見かけます。

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[石畳を修復する職人さん二人]

土曜日なのに、小さな石をコツコツと並べている熱心な職人さんを見て、「時間がかかってたいへんね〜。写真とってもいい?」と思わず声をかけてしまいました。この若い二人の職人さん、たいへんノリが良く、「写真とるなら顔が見えるようにする」と言って、わざわざ身体の向きを変えてポーズをとってくれました。

古い物を使い続けるのは、新しい物を作るよりももっと手間がかかるけれど、だからこそ年月とともに価値が増していくのです。職人さんたちの明るくて誇らしげな様子は、自分たちのやっている仕事の価値がよくわかっているからなのだと思いました。

2014年9月22日 (月)

成長する子供、老けない大人

まつこです。

待ちに待った『ダウントン・アビー』(Downton Abbey)の新シリーズ(Series 5)が昨晩から始まりました。これまでDVDの発売を待って日本で見ていましたが、今回はリアルタイムの放映で見れます。

さて、新シーズン、始まってすぐに子供たちの成長に気づきます。昨シーズンはまだ乳児だったメアリーの息子ジョージが、可愛い幼児になっています。今回の設定は、初の労働党政権誕生の年、1924年。昨シーズンから2年の月日を経ているという設定です。

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[おお、マシューの子供もこんなに大きくなって、と目を細めるものの・・・。写真はオンライン版Independentより]

しかし、ここでやや疑問が・・・

子供たちは大きくなっているが、大人達はぜんぜん老けていないのは何故?不自然じゃない??

このような不満を抱いたファンは多いらしく、今日のオンライン版のDaily Mailには"Twelve years on and the Lady hasn't aged a bit: Downton viewers question whether the characters have become convincingly old enough in the time since first episode was set"という記事がのっていました。

2010年、このドラマは「タイタニック号沈没」の一報が届けられる場面から始まりました。1912年4月という設定です。それから第1次世界大戦をはさんで12年の年月の経過を5年間で描いているわけですが、豪華な装いに身を包んだレディーたちがちっとも老けていないのに納得できないというファンは少なくないようです。「当主ロバートの愛犬のラブラドールのIsisも、12年たっても元気なのはヘン!」という鋭いコメントも紹介されていました。

このドラマシリーズは2020年までの継続がすでに決まっているそうです。貴族階級の没落や大英帝国の終焉など、歴史的な変化を背景に、堂々たる館を舞台としたスリリングな展開がまだまだ続くのでしょうけれど、貴族の生活のゴージャスでエレガントな部分と、成熟し、やがて老いていく人々の表情のリアルなシワを、どのように両立させるかが、これからの課題のひとつでしょう。

いずれにせよ、今シリーズはジョージ・クルーニーのゲスト出演もあるとかで、まだまだ注目されている『ダウントン・アビー』。これからも、毎週、日曜の夜を楽しみにしたいと思います。

2014年9月19日 (金)

再連合王国

まつこです。

スコットランド独立をかけた住民投票、徹夜の開票作業の結果、明け方4時頃に「独立反対派」の過半数獲得が判明しました。直接民主制の持つ、主体性の意義とリスクとを目の当たりした数週間でした。(とにかくテレビをつけるたびにスコットランド訛りの英語がガンガン聞こえて、だんだん耳が慣れてきた数週間でもありました。)

今回、株をあげたのはこの人ーー

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[前首相のゴードン・ブラウン、毎日、スコットランド訛りで熱く演説していました]

独立反対派"Better Together"のキャンペーンを率いていたのは労働党政権の財務大臣だったアラスター・ダーリンだったのですが、もう一つ迫力にかけ、独立派の急追を許してしまっていました。そこで登場したのが前首相ゴードン・ブラウン。

この人、首相時代は広報面のまずさもあり、きわめて不人気でした。首相の座を降りてからは労働党のバックベンチャー(ヒラの議員)として、まったく目立たず。

ところが今回はゴードン・ブラウンが熱かった!かなりきついスコットランド訛りで「戦後、NHSも一緒に作ったんだ!福祉国家も一緒に作ったんだ!労働党が作ったんだ!これからも一緒にやっていくんだ!」と、力強く説得していました。「ブラウンは生涯で一番いい演説をした」と高い評価が寄せられています。へー、この人、意外と情熱的なんだねえ・・・というのが、多くの人が抱いた感想のようです。

一般市民もから首相経験者まで、熱く燃えた数週間でしたが、さて、問題はこれからです。連合の形を保ったままスコットランド、さらにはイングランド、ウェールズ、北アイルランド、それぞれの独立性を高めるために、どのような大きな改変を実現 していくかが、次の課題です。"Re-United Kingdom"「再連合王国」と見出しをつけた新聞もありました。新しい連合の形を模索していくプロセスも注目したいところです。

2014年9月17日 (水)

スコットランドの行方

ひさびさにうめぞうです。

いよいよスコットランドの投票が明日にせまってきた。

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[どうなる、スコットランド?写真は9月17日オンライン版Guardianより]

結果はまったく予想できないが、政界とマスコミを総動員して、双方がなりふり構わぬキャンペーン合戦を展開しているようだ。

ここまできてしまうと感情的にもつれてくる。独立なんかされたら、ポンドも株価も下がってしまう。どうしてくれるんだ。ほんとに困ったことだ。いやいや、身の程知らずのわがままな子はいちど独立してみればいい。どうせろくなことにはならない。なんであんなにぺこぺこして慰留するんだ、等々。離婚であれ、家庭内別居であれ、どちらの結果に転んでも、もうこれまで通りの関係は続けられない。

・・・どうもこれが、まつこの知り合いたちの間での一般的意見のようだ。

しかし、うめぞうの意見は少し違う。今回の投票はひさびさにイギリスが民主主義国家であることを思い出させてくれた。人民は公論と投票を通じて平和裏に新国家を設立しうる。これが近代市民革命の第一歩、アメリカ合衆国の建国理念だったはずだ。

この原点に立ち返ること。Another world is possible. この政治感覚を市民がとりもどすことこそが、今回の選挙の歴史的意義だ。これはイギリス人にとっても、スコットランド人にとっても、政治文化を再活性化させるまたとないチャンスだ。にもかかわらず、北海油田がどれくらいもつか、独立したほうが得か損か、ポンドは使えるのか、などということが主要な争点になるのはじつにもったいない。

振り返ってみると、石油危機以来の数十年、国民国家は金融権力や軍産複合体の利益追求のために徹底的に道具化されてきた。これをもう一度、国民の手にとりもどすための挑戦と捉えれば、この投票には絶大な意義がある。失敗してもよい。一時的に混乱し、生活水準が下がってもよい。それでもこの投票には意義がある。国民こそが国家の主権者であるということを国民が思い出し、そのための法的可能性を積極的に利用すれば、いつかは人民による人民のための人民の政治が実現しうる。

1968年の苦い体験から学習した政治経済権力は、数十年をかけてパンとサーカスによる大衆の慰撫に成功した。対外的には石油危機、対内的には福祉国家の成熟によって収益率を抑えられた資本は、政治を動かし、金融や通貨政策を利用して反転攻勢にでた。まずは紙幣増発によってインフレを作り出し、成長の幻想と実質賃金の引き下げを図った。しかしインフレは資本にとっても副作用がある。そこで次は金利をあげてインフレを抑え、その代わりに将来の納税者からの借金、つまり国債によって国庫収入を確保した。こうして企業及び富裕層の減税が可能になり、国営企業の民営化、規制緩和による資本の収益増を実現した。国家債務が政治問題化し始めた90年代後半からは、国の借金を世帯の借金に組み替えるために低所得者層の持ち家政策を進め、民間銀行にリスクを取らせて、低所得者層に高金利で返済不能な借金をさせた。それが2008年に破綻した。すると今度は税金で銀行を救済し、社会保障費のカットと大衆課税の強化で穴埋めをした。その間に民衆の不満を抑えたのは消費文化の拡大とそれがもたらす解放感だった。犠牲になったのは社会的弱者の生活基盤と、国民の政治文化だった。

道は遠いが、こうした国家の道具化にはどこかで歯止めをかける必要がある。今回の選挙の核心は、イングランドに対するスコットランドの挑戦ではなく、金融破綻の穴埋めを大衆課税と教育福祉予算のカットで解決しようとしたイギリス政府に対する国民の挑戦にある。独立が成功しようが失敗しようが、不公正の是正こそが唯一の解決の道だ。ナショナリズムの再活性化では、この問題はとうてい解決しえない。

しかし真の悲劇は、その事実にひそかに気付いているのが、イングランドの市民でもスコットランドの市民でもなく、当の政治権力、経済権力の側だということだろう。それはキャメロンの眉間のしわの深さからもうかがえる。

2014年9月14日 (日)

コンカー

まつこです。

ケンブリッジのいたるところに、今、茶色い木の実が落ちています。栗のように見えますが、j弱毒性で食べられません。マロニエ(セイヨウトチトノキとも呼ぶそうです)の実です。英語ではホース・チェストナッツ(Horse Chestnut)といいますが、多くの人はこの木をコンカー・ツリー(Conker tree)と呼んでいます。

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[きれいなので拾ってきて飾ってみました]

コンカー(Conker)はこの木の実を使ったゲームのことです。同じ発音の'conquer' (征服)という言葉からゲームの名前は派生したようです。マロニエの実にヒモを通して、ぶつけ合い、相手の実を割ったら勝ち。実の固さとコントロールを競うゲームのようです。毎年、10月に「ワールド・コンカー・チャンピオンシップ」が、イギリスで開催され、世界中から参加者が集まるそうです。

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[相手の実を割ったら勝ち。写真はTelegraphの9月14日版より]

今年は8月に雨が多く、気温が高かったため、マロニエの実が例年より早く落ち始めてしまい主催者が困っています。大会までに実が乾燥してしまうと割れやすくなってしまうのだそうです。

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[本当はまだ枯れる時期ではないのに、葉が茶色くなってしまったマロニエの木。ジーザス・グリーンという市内の大きな公園の木です]

もう一つの悩みは、このマロニエの木が将来イギリスからなくなってしまいそうなことです。外来の蛾の一種が害虫となり、猛烈な勢いでイギリス中のマロニエの木を病気にしているのだそうです。この病気が広がったせいで、マロニエの木は8月中から葉が茶色くなってしまい、実も小さくなっています。

ニレの木(elm)も同じような病気にかかり、今ではイギリスにはほとんどニレの木は残っていないそうです。今のままだとマロニエの木も早晩イギリスからなくなってしまうと、コンカー好きのイギリス人はやきもきしています。

2014年9月13日 (土)

実りの秋

まつこです。

9月は安定した晴天が続き、青空の下、いたるところに木々の実が赤く色づいていて、とてもきれいです。

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[トム&ジュディの家からもらってきたリンゴ]

先日、トム&ジュディの家に行ったら、「押し付けて悪いわね」と言いながらジュディがリンゴをたくさんくれました。たくさん実って家族だけでは食べられないそうです。

家に帰ると部屋にリンゴの甘酸っぱい香りがただよっています。リンゴがこんなに香りの高い果物だと、今まで思っていませんでした。瑞々しくて美味しいです。数日後には皮が少しずつしなびてきました。不揃いでしなびかけたリンゴには、いかにも家庭菜園ののどかさが感じられます。

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[こちらのお宅のリンゴもたわわに実っています]

庭で取れたリンゴを門の前で売っているお宅や、どうぞ持って行ってくださいと置いてあるお宅もあります。

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[ブラックベリーの実。黒くなったのから摘んでいきます]

宿舎から大学図書館までの道にはブラックベリーの木がたくさんあり、近所の人達が実を摘んでいるのをよく見かけます。犬の散歩をしながらつまんで食べている人もよくいます。

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[小さな赤い実のついた図書館前の木。名前を知らなくて残念・・・]

図書館の前に並ぶ木にも赤、オレンジ、ピンクと少しずつ違った色の実がついています。確かに春にはこれらの木々にも花が咲いていました。

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[少しずつ違う色の実のついた木々]

少ししなびた、けれど香りの高いリンゴを毎日食べて、実りの秋を味わっています。

2014年9月10日 (水)

タービュラント・タイムズ

まつこです。

スコットランド独立の住民投票まであと9日。テレビも新聞もこればっかり・・・というわけにはいかず、他にも重大で深刻な問題があまりにもたくさんあって、イギリスはかなり深刻な状況です。日頃、あまり政治の話などしない友人のトムも、「こんなに大変な事態は今までなかった・・・」とため息をついています。

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[私もテレビ観戦した8月25日のディベート。ここで潮目が変わったスコットランド独立問題]

スコットランド独立は1ヶ月くらい前までは、「独立? したければどうぞ〜。フフフ・・・」みたいな感じで、一部の血の気の多いスコットランド・ナショナリストが騒いでいるという程度の受け止められ方だったように思います。8月前半の第1回目のディベートでは、反対派のアラスター・ダーリンの冷静な主張の方が勝り、「独立はない」という雰囲気に傾いていました。それが8月後半の第2回目のディベートでスコットランド独立党のアレックス・サーモンが、「ウェストミンスターに任せていたらNHSも民営化される。こんなひどいことになったのは、あんたたちのせいだ!」と、ガンガンまくしたて、これを潮目ににわかに独立賛成派が世論調査で急増し始めました。

トムとジュディは大学がエジンバラだったこともあり、すごく気にしていて、投票日の9月18日にはスコットランドまで行ってその瞬間を目撃するのだそうです。彼らの友人でスコットランド在住のイングランド人は、もし独立が決まったら、次のバスに乗ってイングランドに引っ越すと言っているそうです。さあ、どうなることか・・・

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[このところずっと顔が暗いキャメロン]

景気が若干回復してきたものの、これまで押さえ込まれていた低賃金や物価高、福祉カットへの不満の声が急激に高まってきています。地方都市ロザラムでの連続女子暴行事件を、人種問題がらみで長期にわたって警察が放置してしまったことも大きなスキャンダルになっています。移民問題も深刻、住宅難も深刻、医療費問題も教育費問題も深刻・・・と、国内に問題は山積。

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[キューピー顔も暗くなっているオズボーン]

対外的にもイスラエル/パレスチナ問題、シリア問題、イラク問題、ウクライナ問題、EUとの関係、どれも切迫しています。ジハーディストと呼ばれる過激派にはイギリス国籍の人も多く、アメリカ人ジャーナリスト処刑を実行したジハーディストがイギリス人だったというのが特に衝撃的で、ジハーディストのパスポートを取り上げろ、帰国させるな、など強い対応を求める声があがっています。

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[メイはヴィヴィアン・ウェストウッドも着こなすお洒落な面もありますが、今はそれどころじゃない。見るたびに表情が険しくなっている内務大臣]

テレビで見る政治家の顔も、のきなみ暗くなっていて、柔和なおぼっちゃま顔のキャメロンも、キューピー・フェイスの財務大臣オズボーンも、眉間のしわが深くなっています。内務大臣のテリーザ・メイにいたっては、彼女の険しい表情を見ると「あー、やっぱりこの国、今、大変なことになっているんだわ」と、改めて確信せざるをえません。

日曜朝のニュース・ショーでジャーナリストのアンドリュー・マーは「我々は今、乱気流の中にいる」(turbulent times)と表現していました。マーいわく、この乱気流の中で必要なことはー

1) 分別ある問い(sensible questions)
2) 明快な答え(clear answers)
3) 楽天的精神(spirit of optimism)

この三つだそうです。"Keep Calm and Carry On"といつもの冷静さを保ったまま、この乱気流を通り抜けられるかどうか、イギリスは正念場を迎えています。

2014年9月 8日 (月)

ブナの木

まつこです。

今日は久しぶりの快晴!ケンブリッジのボタニック・ガーデンに出かけました。

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[夏から秋への変わり目、まだまだ花がたくさん咲いています]

今回は「目的」があって、ノート持参で出かけました。実は私は動植物についてはオンチに近く、鳥も動物も植物もあまり名前を知りません。三島由紀夫は「松」さえ知らなかったというのを聞いて、植物の名前を知らなくても文学は理解できるんだ、とタカをくくっていました。でもケンブリッジに来てから自然密着型の生活。あれこれ目に入るうち、「あれはなんという鳥?」「この花はなに?」と、若干、気になるようになりました。

うめぞうも私以上にダメ。夏の間、うめぞうと毎日散歩していた遊歩道沿いに、巨木が何本かあったのですが、「この立派な木はなんていうんだろうね?」と知らない同士二人で首を傾げていました。

そうだ、植物の名前を知りたければ、ケンブリッジには植物園があるじゃない!

というわけで、晴天の日曜日、ノート片手に大きな木を一本一本見て歩きました。葉と実の形を覚えておき、同じ木を探したわけです。

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[これだ!]

木には一本ずつ名札がついています。

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[ラテン語でFagus sylvatica, 英語だとBeech]

その場でスマホを使って調べたら「ブナ」だそうです。温帯の落葉樹の代表的なものだそうで、こんなのも知らなかったのは恥ずかしい・・・。でもこうして調べて、一つ知識が増えたのはうれしいです。

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[ガイドさんに説明してもらいながらのツアー]

ちょうど良い時間にガイド付きのツアーもあったので参加してみました。2本並べて植えたのに片方だけ変異を起こして、ずいぶん違う形に育った樹木のことや、植物園を維持していく上での苦労など、いろんな話を聞けて面白かったです。

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[赤く色づき始めた木が水に映ってきれい]

今年は木々の紅葉が早く始まっていて、今は夏と秋が混在しているそうです。そこかしこに秋の気配が感じられました。
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[ススキはZebra grassというそうです。これも今日、覚えました]

今日のガイドさんは、樹木の説明をたくさんしてくれました。おかげで、今日は花ではなく、樹木の美しさに気づきました。

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[これは日本のオオヤマザクラ。Prunnus sargentiiというそうです。これは覚えられない・・・。桜はバラ科だということも今日、知りました]

メタセコイアやブナが色づく頃、ぜひまた出かけてみようと思います。

2014年9月 7日 (日)

ハウス・オブ・イラストレーション

まつこです。

ロンドンには数多くのギャラリーやミュージーアムがありますが、最近、オープンしたばかりの小さなギャラリーに行ってみました。House of Illustrationです。

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[キングズ・クロス駅のすぐ裏には運河があります]

キングズ・クロス駅の裏の運河沿い、再開発地域の一角にあります。2011年に名門アート・スクールのセントラル・セント・マーティンズもここに引っ越してきて、にわかに洗練されたエリアになりつつあるようです。

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[キャムデンの再開発地域の中心、Granary Square。ここにアート・スクールもHouse of Illustrationもあります]

House of Illustrationはごく小さなギャラリーです。オープニング第一弾としてQuentin Blake: Inside Storiesと題する展示を行っています。そもそもこのギャラリーはクエンティン・ブレイクの発想がもとになり、ブレイクが長年資金集めをして、開設にこぎつけたのだそうです。

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[ブレイクのイラストに包まれる部屋]

クエンティン・ブレイクというと『マティルダ』など、ロアルド・ダールの作品につけたイラストで良く知られていますが、自分の文章や他の作家の本のイラストもたくさん描いています。今回の展示では、9つの作品を選んで、最初にラフを書いたところから完成にいたるまで、どのようにアイディアが変化していったかを、本人の解説文つきで見ることができます。

邪悪な人物もいれば、ヴォルテール『キャンディード』につけたイラストのように歴史に対する風刺あります。女装する少年の物語や、喪失の悲しみなど、シンプルな線と透明感のある水彩絵の具で描かれたわかりやすい絵の中に、多様なものが描きこまれていることがよくわかりました。

ワークショップ用のスペースでは子供たちが自由に絵を描いていました。ブレイクの創作の様子を見れるビデオを放映しているコーナーもあります。小さいけれどとても楽しめるギャラリーでした。

2014年9月 5日 (金)

鬼太郎ヘア

まつこです。

髪をショート・カットにしていると、美容院に行く頻度が増えます。こちらに来てから2回、パリの美容院に行きましたが、わざわざカットのために毎回ユーロスターでパリに行くわけにもいかず、今回はロンドンでカット。

どうせ行くなら、話の種(ブログのネタ)に有名なところに行ってみよう!

と思って選んだのは・・・

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[Sassoon Salon in Mayfair]

ヴィダル・サスーン(Vidal Sassoon)は1960年代に、バウハウスっぽい幾何学的なデザインのボブヘアで有名になったヘア・ドレッサーです。シャンプーや髪のスタイリング剤の販売で世界的に成功した実業家でもあります。「はさみ一つで世界のファッションを変えた男」として伝説化され、ドキュメンタリー映画も作られています。

気になる仕上がり具合を公開しましょう!

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[いかにもサスーン風にしてもらいました]

最初に担当の美容師さんと、どんなスタイルにしたいか話し合います。けっこう丁寧にこちらの要望を聞いてくれました。カットもかなり長い時間をかけて丁寧です。私の場合、もともとアンシンメトリーのボブだったのですが、パリの美容院でシャギーをかなり入れて、だいぶフェミニンな感じになっていました。それをラインをはっきりさせてシャープな感じにしてほしいとお願いしました。

もうひとつ気になるのがお値段・・・。

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[正面はこんなふう。MacのPhoto Boothで撮った写真です]

メイフェアのサスーンでは担当してくれる美容師さんのキャリアによってカットの値段が9段階に分かれていました。予約の際に担当者の希望を聞かれたのですが、「初めてでどの人に頼んだらいいかわからない」と伝えたら、一番、若手の人(一番値段が安い)にしてくれました。それでもそれなりのお値段でした。(私は東京では地元のごく普通の美容院なので、それに比べると2倍くらい。)

このアンシンメトリーのボブ、うめぞうには「ゲゲゲの鬼太郎みたい」と言われています。メイフェアのサスーンまでわざわざ行って、「鬼太郎」と呼ばれるのは、若干、不本意な気もしますが・・・。

でもまあ、ちょっとした冒険心を満たすことができて、私としては満足しています。

2014年9月 3日 (水)

小さな名所

まつこです。

うめぞうが帰国し、ふたたびお一人様の生活に戻りました。まだまだ夏の終わりで良い天気の日もあるので、そんな日は一人でも散歩を楽しみます。

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[Castle Moundは頂上でも海抜21メートル。頂上の自転車に注目]

ケンブリッジは平坦な地形の町です。イングランドの東側のこの地域は、もともとは湿地帯(fen)で、そこを干拓して農地にし、今も農業のさかんな地方です。

その平らなケンブリッジの町で一番高いのがこのCastle Mound。ここに登るとケンブリッジの街が一望できます。

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[頂上にいた若い男女に撮ってもらった写真。カメラマンは私より風景をおさめたかったみたい]

輸送手段として重要な川と、防衛上の拠点となる山があるので、紀元前40年頃、ローマ人がここに町を作ったのがケンブリッジの始まりだそうです。その後も、地の利を生かして11世紀にはノルマン人が、この丘の上に城を作りました。そのためここはCastle Moundと呼ばれています。

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[ケンブリッジシャー州のカウンシル、シャイア・ホール(Shire Hall)]

そのふもとにはケンブリッジシャーの行政の中心であるシャイア・ホールもあり、広々とした芝生が広がっています。この広い芝生めがけて、丘の上から自転車やローラーボードで滑降するやんちゃな若者がたくさんいます。この日も、肩に自転車背負った若者が登ってきて、仲間達にはやし立てられながら滑走して行きました。あああああ・・・最後は転んで痛そうにしていました。

丘というよりも、hillに「小さい」という意味の接尾辞ockをつけた"hillock"(小山、塚)と呼ぶのがふさわしいでしょう。ケンブリッジの小さな名所です。

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