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2014年6月19日 (木)

名誉学位授与式

まつこです。

ケンブリッジではイースターの学期が終了し、学年末の行事が続いているようです。各カレッジでは「メイ・ボール」(May Ball)と呼ばれる華やかなパーティが催され、11時近くになると花火の音が鳴り続けます。チケットを買った学生たちはタキシードやイブニングドレスで華やかに盛装し、夜を徹して盛り上がっています。

今日はそういう季節行事(?)のひとつ名誉学位授与式の見物に行きました。今年の対象者には俳優のイアン・マッケランと、日本人ピアニストの内田光子さんが含まれていました。Senate Houseと呼ばれる大学の中心となる建物が会場ですが、残念ながら会場内は写真撮影禁止。それぞれ定めれたガウンをまとい、「メイス」(mace)と呼ばれる職杖を持っている人や、学長(Chancellor)の長いガウンの裾を持つ係までいて、厳かな行列で入場し、京都の葵祭みたいな感じ。

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[式典が終わってレセプション会場のテントに向かうところ]

式はすべてラテン語です。「どうせわかんないから眺めているだけ・・・」と覚悟していたのですが、ラテン語で読み上げられる功績調書の英訳が配布されていました。それをOratorと呼ばれる人が読み上げるのですが、ラテン語ではあっても内容が現代的で、韻文の引用も含まれていたりして、芝居の一場面のようで面白かったです。

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[レセプションの会場ではシャンパンとフィンガー・フードがいただけます]

儀式の後は、中庭に張られたテントでレセプション。マッケランがスピーチをしました。「50年以上前の、ケンブリッジの学生時代には同性愛などという言葉もないことになっていた。ところが今回、ここに来たら出身カレッジのセント・キャサリンには、同性愛者の人権擁護のシンボルであるレインボー・カラーの旗が掲げられていた。ケンブリッジは大きく変わった。けれど、一方で勤勉さや社会への責任感は昔と変わらない。古い建物だけではなく、その精神を守っていてくれてありがとう」という内容でした。

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[スピーチをするマッケラン]

高齢で体調不良も伝えられていたマッケランですが、現役の大学生(式典で歌ったコーラスの学生たち)に囲まれてうれしそうでした。若い学生たちにとっては、シェイクスピア俳優というより、『Xメン』や『ロード・オブ・ザ・リング』でおなじみなのでしょう。古さと新しさ、その両方を求めるこの老俳優にとっては、ラテン語の式典も、10代の青年たちの歓声も、両立しているのが母校の美点に見えているにちがいありません。

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コメント

大学の祝祭行事に興味津々です。あのゲイブリエル・ハーヴェイが死ぬほどなりたがったというOratorという役職は今もあるのですね~。天幕やらガーデンパーティやら、映画のフォーウェディングみたいでイギリスらしい。どんより曇ったお天気も!

Pukiさん、コメントありがとうございます。

そうなんですか。ハーヴェイ、Oratorをやりたかったんですか。

Oratorは読みあげるだけじゃなく、ラテン語で書くことも任務のようですね。学位授与者の「アフリカでのエイズ薬物治療に貢献した」とか「Section 28に反対したマッケランはactorのみならずactivisitでもある」というような現代社会での活躍ぶりを、セネカやルクレティウスの引用をまじえながらラテン語で書いて、それを役者顔負けの語りで披露していました。なかなか芝居心のあるOratorで、ガンダルフが怪物に向かって叫ぶ台詞はシンダル語でやって笑いをとっていました。

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