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2014年6月

2014年6月27日 (金)

アートを飾る

まつこです。

前に『マチルダ』の挿絵のプリントを買って部屋に飾っていることを書きましたが、一緒にもう一枚買ったものがあります。

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[ヴァネッサ・クーパー(Vanessa Cooper)の「春の歌」(Spring Song)]

今いる宿舎は新しい建物で機能的なのですが、その分、無機質な印象です。ギャラリーでこのプリントを見つけたとたん、こんな絵があれば部屋が楽しい印象になっていいだろうなあと思い買いました。

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[寝室に飾ってあります。朝起きて外が雨でも、この絵を見ると少し元気が出ます]

ヴァネッサ・クーパーはイギリスのハンプシャー出身のアーティストで、動植物をカラフルに描いた楽しい絵をたくさん書いています。どれもかわいくて、カタログを見るとあれもこれも欲しくなっちゃいます。(オリジナルではなく、印刷されたものなので、手が届かないほどの値段ではありません。)

この他、今の宿舎に飾ってあるのは・・・

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[食事コーナーはトムのリソグラフ]

最初に下宿していたB&Bから、今の宿舎に引っ越す日に、宿主のトムが唐突に「で、どの作品を借りたい?」と言い出しました。トムは建築家だったのですが、玄人はだしのアーティストでもあり、家の中には自作の絵やリソグラフがたくさん飾ってありました。

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[カラチのスポーツ用品店でホッケーのスティックが売られていた光景から想を得た作品だそうです]

トムの作品は、どれも線がすっきりしていて、ちょっとユーモラスな雰囲気もあります。でもどれでも好きなのを選んでいいと言われて、私がこのホッケー・スティックのを選んだら、ご本人はやや不満そうでした。他に自信作があったみたいです。

もう一枚、リビング・コーナーに飾ってあるのは・・・

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[本人も似ていると自認している]

スティーヴン・アントニー・デイヴィッズ(Stephen Anthony Davids)というロンドン・イースト・エンド出身のアーティストの一枚。これ、デパートのジョン・ルイスの家庭用品売り場で見かけたとたん、「うめぞうに似てる!」と思って買ってしまいました。

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[この絵の下のソファで、テレビ見たり、軽い読書をしたり、昼寝したり・・・]

全体の雰囲気も似ているのですが、ポイントは寝癖です。

それほど広くない宿舎ですが、コーナーごとに一枚ずつ絵を飾って、ちょっと変化をつけてみました。1年しかいない部屋ですが、好きなものを少しずつ飾って、なごめる空間にしています。

2014年6月25日 (水)

Forget-Me-Not

まつこです。

一人暮らしの部屋はどうしてもわびしくなりがちなので、花をかかさずに飾るように心がけています。ただ市場の花屋かスーパーで売っている花は、チューリップ、バラ、カーネーションあたりがほとんど。ブーケになっている植物の組み合わせも青山フラワー・ガーデンみたいにシャレたのはありません。宿舎の裏の草原沿いの道端で咲いている野生の花を、ちょっと摘んできてコップに活けてみると、そのほうが可憐でかわいい気がします。

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[道で手折ってきた花をコップに入れて]

この青い花はたぶん忘れな草(forget-me-not)。黄色い花は何かしら?

食卓に飾って眺めているうちに、老人ホームにいる母はもう私のこと忘れちゃったかな・・・と、ちょっとしんみりしてしまいました。いやいや、私が母のことを忘れないでいることが大切なのだと思い直してみたり・・・。

と、そのとき義妹からメールが届き、母の写真や動画が添付されていました。あまり変わりない様子に安堵。義妹はときどきこうして母の様子を知らせてくれます。ほんとうにありがたいです。職場や介護のさまざまな責任から解放されて、自由な時間を与えてもらっているのだから、有意義に過ごさなければと改めて思います。

ついでに、私の部屋にある他の植物も紹介しましょう。

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[サボテンとセージと、もうひとつはなんだったかしら?]

土曜日の教会のバザーで売れ残ったのをもらってきた3種類。

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[3つそろったかわいいバケツみたいな植木鉢]

日曜日には隣村コウトンの教会のバザーだったので行ってみたら、ちょうど良い入れ物があったので、入れて飾ってみました。窓辺が楽しい雰囲気になりました。

2014年6月22日 (日)

教会のバザー

まつこです。

昨日は、ジュディとトムに頼まれ、教会のバザー(fete)を手伝ってきました。ニューナムのセント・マークスという教会です。何を出品したかというと・・・

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[広い庭。奥の生け垣の向こうにも畑や温室がある。虫もカタツムリもいっぱいいる]

庭の植物を株分けした花や庭木。あるいは種をまいたらたくさん芽が出て、不要な分をポットに植え替えた野菜の苗など。

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[これは出荷する分のうちのほんの一部]

「えー、こんなに持って行って売れるの?」と内心思ったのですが、二人とも張り切っていて、何度も教会も家を往復し、大量の植物を並べることに。

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[お天気の良い土曜日、たくさんの人たちがやってきました]

幸い、晴天に恵まれた土曜日、教会にはたくさんの人たちが集まりました。入場料は大人2ポンド、子供は無料。バザーで売れたものも含めて、すべて教会の収入となります。テントは全部で5つで、植物、本、くじびき、ケーキ、雑貨。どこも大盛況でした。

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[ジュディは質問に答える係。ときどき図鑑で調べながら答える。トムは販売係。私も同じようにエプロンして販売係]

困るのが植物についての質問。「水やりはどのくらい?」「日陰でも大丈夫か?」「花に香りはあるか?」質問があるたびトムも私もジュディを呼び、ジュディが答えるという役割分担です。

ゲイのカップルがやってきて、ちっちゃなサボテンを見ていたので、「それはあまり水もあげなくて世話が簡単だからどう?」と勧めのですが、あまり買う気なさそう。でも「サボテンの寿命ってどれくらいなの?」と聞かれたので、とっさに「永遠よ」と答えたら、上手い売り方だとほめられ、見事サボテンお買い上げ。

値段はあってないようなものなので、途中からは半額セール。それでも売れ残ったのは、「持って帰るのイヤだからただで良いから持って行って」と皆に頼み、最後にはほぼ完売!

朝から肉体労働、汗ばむほどの陽気の一日で、ほどよく疲れたところで、お夕飯はご近所さんに一緒に呼ばれていただきました。教会は純粋に宗教的な意義よりも、地域のネットワークの拠点として社会的な役割が大きいのだと思います。ニューナムはケンブリッジでも高齢者が突出して多く、一人暮らしのおばあさんも多いので、こういうネットワークは重要です。

私たちの屋台での1日の売り上げは113ポンド。労力を考えると113ポンド寄付しちゃった方が簡単なようにも思いますが、準備から打ち上げまで、みなでワイワイ言いながら、あれこれ多少のいざこざなども経験しながら、協力しあってイベントをやることが大切なんだな、と実感しました。

2014年6月21日 (土)

キングズ・カレッジ聖歌隊

まつこです。

今日はキングズ・カレッジのチャペルのコンサートに行ってきました。演目は全部モーツァルトで、『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』、『ピアノ協奏曲イ長調』、『ハ短調ミサ曲』。一人で行くより誰かと一緒に行った方が楽しいと思い、日頃、いろいろお世話になっているお礼もかねて、前の家主のジュディとトムを招待して一緒に行きました。

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[キングズ・カレッジのチャペルでのコンサート]

モーツァルトの均整のとれた音楽と壮麗なる大伽藍の建物のイメージが重なりあって、クラシック音楽はもともと教会から始まったのだということが、感覚的によくわかりました。

それにしてもキングズ・カレッジ聖歌隊の少年たち、かわいい! 

7歳で超難関の試験に通過したあと、全寮制で音楽の英才教育を受けているとのことです。学期中は毎日の晩祷や日曜日のミサで歌い、さらにコンサート・ツアーや録音、テレビ・ラジオ出演などが任務として課せられています。

キングズ・カレッジの付属学校で他の少年少女たちと一緒の授業も受けていて、音楽だけじゃなくて勉強やスポーツも最高の教育環境が与えられるそうですが、選抜試験では歌唱と楽器演奏(少なくとも1種類)に加え、英語と数学の試験もあるとか。

そんな抜きん出た天才でも、表情はやっぱり男の子。やんちゃそうな子もいれば、気の弱そうな子、夢うつつの子、8歳にしてすでに気障に気取っている子もいます。そんな男の子たちが、出番になると急に表情が変わって、ひたむきに歌っているのを見ていると、胸がキュンとします。いや〜、こんな息子がいたら母親はたまらないでしょうねえ。

コンサートが終わると夜10時近くになっていましたが、まだ夕暮れの明るさが少し残っていました。明日が夏至。聖歌隊の声も、空気も、澄み切っている夏の夕暮れです。



2014年6月19日 (木)

名誉学位授与式

まつこです。

ケンブリッジではイースターの学期が終了し、学年末の行事が続いているようです。各カレッジでは「メイ・ボール」(May Ball)と呼ばれる華やかなパーティが催され、11時近くになると花火の音が鳴り続けます。チケットを買った学生たちはタキシードやイブニングドレスで華やかに盛装し、夜を徹して盛り上がっています。

今日はそういう季節行事(?)のひとつ名誉学位授与式の見物に行きました。今年の対象者には俳優のイアン・マッケランと、日本人ピアニストの内田光子さんが含まれていました。Senate Houseと呼ばれる大学の中心となる建物が会場ですが、残念ながら会場内は写真撮影禁止。それぞれ定めれたガウンをまとい、「メイス」(mace)と呼ばれる職杖を持っている人や、学長(Chancellor)の長いガウンの裾を持つ係までいて、厳かな行列で入場し、京都の葵祭みたいな感じ。

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[式典が終わってレセプション会場のテントに向かうところ]

式はすべてラテン語です。「どうせわかんないから眺めているだけ・・・」と覚悟していたのですが、ラテン語で読み上げられる功績調書の英訳が配布されていました。それをOratorと呼ばれる人が読み上げるのですが、ラテン語ではあっても内容が現代的で、韻文の引用も含まれていたりして、芝居の一場面のようで面白かったです。

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[レセプションの会場ではシャンパンとフィンガー・フードがいただけます]

儀式の後は、中庭に張られたテントでレセプション。マッケランがスピーチをしました。「50年以上前の、ケンブリッジの学生時代には同性愛などという言葉もないことになっていた。ところが今回、ここに来たら出身カレッジのセント・キャサリンには、同性愛者の人権擁護のシンボルであるレインボー・カラーの旗が掲げられていた。ケンブリッジは大きく変わった。けれど、一方で勤勉さや社会への責任感は昔と変わらない。古い建物だけではなく、その精神を守っていてくれてありがとう」という内容でした。

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[スピーチをするマッケラン]

高齢で体調不良も伝えられていたマッケランですが、現役の大学生(式典で歌ったコーラスの学生たち)に囲まれてうれしそうでした。若い学生たちにとっては、シェイクスピア俳優というより、『Xメン』や『ロード・オブ・ザ・リング』でおなじみなのでしょう。古さと新しさ、その両方を求めるこの老俳優にとっては、ラテン語の式典も、10代の青年たちの歓声も、両立しているのが母校の美点に見えているにちがいありません。

2014年6月17日 (火)

金ぴか猫が招いたブラック・コメディ:『フェヴァシャムのアーデン』

まつこです。

週末にストラットフォードで見たもう一本のお芝居の主人公はこんな人物です。

女:40代半ば。プラチナ・ブロンドをゆるやかに束ねるヘア・スタイル。ヒップラインを目立たせるストレッチの効いたタイト・スカートと大柄のプリント・ブラウスを組み合わせ、太めのベルトでウェストを強調。黒いストッキングに、ベージュと黒の二色使いの10センチ・ヒールのアンクル・ブーツ。アクセサリーは思い切っておおぶりなものを。リップスティックとマニキュアは深紅、アイシャドウは80年代風の鮮やかなブルーをまぶた一面に。夫は、通販ビジネスで成功し、不動産取得も順調。

いかにも金満マダムというファッションでしょう?このマダムが愛人と共謀して夫殺害をはかる・・・女性読者の多い大衆紙デイリー・メールが派手に書き立てそうな、色と金にまみれたスキャンダルです。

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[スキャンダラスなマダムとその愛人]

実はこれが今回もう一本見た16世紀末の作者不詳の劇『フェヴァシャムのアーデン』です。16世紀半ばに実際に起きた殺人をもとにしています。今年のRSCのスワン座では強烈な個性を放つ女性を主人公にしたドラマを連続で上演していますが、そのうちの一本です。

16世紀の家庭悲劇を現代のブラック・コメディとして解釈し、欲望のグロテスクで滑稽な姿をむき出しにしてみせた面白い演出でした(演出はPolly Findlay)。

その金と色への欲のシンボルとして使われていたのがこれー

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[え?招き猫・・・]

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[1匹や2匹ではない。最後は無数の招き猫に見つめられて流血の殺害が繰り広げられます]

金ぴかの招き猫です。主人公アリスの夫は、この招き猫を通販で売って富を増やしました。しかしネット・ビジネスは24時間労働の劣悪な労働環境で酷使される従業員の上に成り立っています。慈悲心のない無愛想なこの実業家が殺されても、あまり気の毒に思えません。死体を入れた通販用の段ボールから血がにじみ出し舞台を汚します。

古い戯曲を使って、マテリアリズムという現代社会の病理を描きだした演出家の意欲を高く買いたい。そして10センチヒールで派手に立ち回り続けた主人公アリス(Sharon Small)にも拍手を送りたい。現代の演劇界の女性たちの力を実感した一夜でした。

2014年6月16日 (月)

暴走老人の涙:『ヘンリ四世』

まつこです。

お天気の良い、日曜日、ストラットフォードには家族連れがたくさん遊びに来ていました。劇場の観客は最近、高齢化が著しのですが、この日は若い人たちも客席に目立ちました。この日は『ヘンリー四世』の二部作を昼、夜の連続で見ました。

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[お天気の良い日曜日]

若者たちと大人が対照的に描かれている戯曲ですが、大人世代の方に共感して見てしまうのは、こちらの加齢のせいかしら・・・?

第一部のハル王子(Alex Hassell)を見て、私は「あーあ、もう大人なのに遊んでばっかりで、これじゃ親御さんもご心配よね・・・」と思っちゃいました。いつまでも就職しないモラトリアム男子に見えるのです。ハルのライバル、ホットスパー(Trevor White)は常に興奮状態で他者のことはいっさい考慮できない性格。「ADHD(注意欠陥多動性障害)なのね、親御さんもご苦労ね・・・」と、またしても親に同情。

若者たちがこんなふうだから、ヘンリー王(Jasper Britton)は気短に怒ってばかり。ホットスパーの父親ノーサンバランド(Sean Chapman)も病気になっちゃう。それも当然に思えてきます。

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[老人たちの好演が目立つ『ヘンリー四世』。酸いも甘いも噛みわけたマダム・クイックリー(Paola Dionisotti)もいい味出していました]

・・・というような世間の良識ある人々の心配や苦労とは無縁なのが、大酒飲みでほら吹きのフォルスタッフ。アントニー・シャー(Antony Sher)が演じました。名優として認められているシャーですが、私は今まであまり好きにはなれなくて、なんというか「北島三郎が歌がうまくても好きになれない」というのと似た感じ。

ところが今回は、シャーのややしつこい演技がフォルスタッフにぴったり。他の役者の台詞のスピードと関係なく、たっぷりと自分の台詞を聞かせ、観客の関心を一身に集め続ける濃厚さが、フォルスタッフのわがままぶりと重なり合うのです。

嘘がばれようと気にしない。見栄なんか気にしない。借金なんか気にしない。いい年して酒好き、女好きですけど、それが何か?自分の欲のためなら、他人のことなんか一顧だにしないフォルスタッフは、まさに暴走老人です。

ところが第二部、この暴走老人が唐突に涙する姿に、観客は唖然とします。娼婦相手の気ままな酒場暮らしから無理矢理かり出され、内戦に重い足取りで向かう場面です。(劇評での評価はまちまちですが)私はこの場面に、人生への執着と死の予感がせめぎあう中で涙もろくなった老人の哀感が見えた気がしました。

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[若い頃はやんちゃだったよなあ・・・と、古い記憶をたぐりよせる老人たち]

徴兵のためグロスタシャーの田舎に行ったフォルスタッフは、そこで旧友に再会します。よぼよぼのシャロー判事(Oliver Ford Davies)とボケちゃったサイレンス判事(Jim Hooper)と3人で、青春時代の互いの放蕩ぶりを懐かしむ場面は、めちゃくちゃおかしくてちょっと悲しい。夕日の茜色に染まった田園の景色の中に、人生の晩秋の気配が漂います。

こんなふうに老人にばかり共感するのは、こちらの歳のせい?いやいや、アントニー・シャーやオリヴァー・フォード・デイヴィスが圧倒的に演技がうまいせいでしょう。若い世代でも、そろそろスターの華やぎを持ったシェイクスピア役者が出てきてくれないものかしら・・・とぼやくのはやっぱり歳のせいかしら?

2014年6月14日 (土)

クイズ

まつこです。

さて、ここでクエスチョン。

この橋の名前はなんでしょう?

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[15世紀の後半、橋の建造のため資金を出した人の名前がついています]

もひとつクエスチョン。

川面に影を映すこの教会の名前はなんでしょう?

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[とても有名な人が埋葬されています]

おまけにもうひとつクエスチョン。

このTシャツにプリントされているのは誰の台詞でしょう?

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[女同士の親友がいざ喧嘩を始めるとヤバい・・・ということを示す台詞です]

3問とも即答できたあなた、ただものではありませんね。

答えは「クロプトン・ブリッジ」 (Clopton Bridge)、「ホーリー・トリニティ・チャーチ」(Holy Trinity of Stratford-upon-Avon)、「『夏の夜の夢』のヘレナ」(Helena in A Midsummer Night's Dream)でした。

芝居を見るため、ケンブリッジから電車を乗り継いでストラットフォード・アポン・エイヴォンまで来ています。うっかりパジャマを持ってくるのを忘れちゃったので、RSCの売店でTシャツ買いました。

そろそろ夏至(midsummer)も近づいています。今日はこのピンクのTシャツ着て寝ます。観劇の報告は明日以降にまた。

2014年6月12日 (木)

レスター・アームズ

まつこです。

先週、ペンズハーストの学会に参加する際、学会指定の宿は近くの町の大きなホテルだったのですが、私は一泊だけ村の宿に泊まってみることにしました。この宿屋レスター・アームズに行ってみると、「あれ、ここ、前に来たことがある!」と思い出しました。

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[あれ、ここなら来たことがある、と思った村のパブ・宿屋]

もう20年近く前、ケント出身のイギリス人に友人にドライブに誘ってもらってペンズハーストに来たことがありました。館を見たあと、村のパブに立ち寄ったときに私がラーガーを頼もうとしたら、その友人に「こういうときはローカル・エールを飲むものだ」と言われ、昔ながらの古めかしいパブでちょっと癖のあるローカル・エールを飲んだことを覚えています。

その時のパブの2階が今回泊まった宿でした。

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[入り口を入るとこんなのが迎えてくれます]

小さな村では教会の近くにパブが一軒、そのパブが宿屋もかねているというのが、イギリスではよくあるパターンです。

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[ギシギシ音がする階段・・・でも部屋は改装されたばかり]

薄暗い廊下、ギシギシいう階段、黒光りする手すり・・・古めかしくていい感じだなあと思っていたら、部屋は改装されたばかりでピカピカで快適でした。

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[眺めのいいレストラン。メニューは現代風にリノベーションされていました]

レストランも村の宿屋だから田舎料理だろうと思っていたら、メニューもおしゃれでオーガニックの地元農産物を使って洗練された料理を出しているようでした。

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[hake(メルルーサというらしい)の料理]

しばらくお魚を食べていなかったので魚料理を選んだら、ウェイトレスさんが「その魚料理にはソーヴィニヨン・ブランが合いますよ」と勧めてくれました。

田舎料理だから量が多いだろうと思ってメインしか頼まずにいたら、程よい量・・・というかちょっと物足りなかったので、デザート(+デザートワイン)も注文。

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[ルーバーブ・クランブル、バニラアイス添え]

このデザートが量が多くて、大量のルーバーブを食べて食物繊維の補給になりました。この無骨なデザートが、イギリスの村の料理っぽい雰囲気でした。

田舎に来たのだから田舎料理を食べてみたいというのは、東京から来た人間の勝手な注文なのでしょうけれど、たまには素朴なイギリス料理も食べてみたいものです。あのミントのソースやジェリーがどばっとかけられたラムのローストが、ちょっと懐かしいなあと思いながら、美しい田園風景を眺めてほろ酔い気分になりました。

ついでにペンズハーストの村の風景を数枚。

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[教会]

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[ガソリンスタンド。平日はニューズ・エイジェントもやっているようです。たぶん村で一軒だけのお店]

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[ティー・ルーム。日曜の午後だったので混んでいました。こんなところでクリーム・ティーもいいですね]

2014年6月10日 (火)

ペンズハースト

まつこです。

ロンドン南東部のケントに二泊三日で出かけてきました。なだらかな起伏があり、「イングランドの庭」と呼ばれるほど美しい所ですが、残念ながら今回は仕事(学会)での出張だったので、観光はなし。

でも、会場はペンズハースト(Penshurst)と呼ばれる美しいマナー・ハウスでした。

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[こんな14世紀に建てられた古い館の中で学会]

もともとは14世紀に建てられた荘園領主の邸宅でしたが、やがてイングランド国王の所有となり、それが16世紀の半ばにウィリアム・シドニーという宮廷人に下賜され、今日にいたるまでシドニー家の邸宅となっています。

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[こんな門から入ります]

このシドニー家からは何人かの文人が出ているのですが、今回はその一人の女性作家メアリー・ロウスについての学会でした。

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[女性作家についての学会なので女性研究者が多い。アメリカから来た人が多かった]

ロウスの劇作品の上演も組み込まれているとのことだったし、6月のケントならきれいだろうからちょっと観光できるかも・・・と思って参加したのですが、朝から夜までプログラムがびっしり組まれていて、部屋に缶詰状態。観光どころか、会場になったペンズハーストの館や庭すらゆっくり見る時間はありませんでした。

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[色とりどりのバラが咲き誇っていました]

それでもお昼休みにちょっとだけ庭を散策できました。バラの花が咲き誇っていて、歩くとふわりとバラの香りに包まれます。

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[これはイタリア風庭園(Itarian Garden)]

よく広大な庭はいくつかの庭園に区切られていて、それぞれが異なる様式にデザインされています。

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[こちらはジュビリー・ウォークと名付けられた比較的新しい部分。チェルシー・フラワー・ショーで金メダルを取ったデザイナーがデザインしたそうです]

そろそろ次のパネル・ディスカッションが始まるな・・・と思いながらも、庭のあまりの美しさに立ち去りかねていると、やはり同じような気分とおぼしき参加 者の一人が声をかけてきてくれました。このイギリス人の老研究者は「ケントにはまだまだきれいな館がたくさんありますよ。ぜひいろいろ訪ねてごらん」と、 いくつかの館の名前を教えてくれました。

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[この池は『ダイアナの浴場』と名付けられているそうです]

これから8月の後半あたりまでが、イングランドの一番きれいな季節です。この美しい季節を存分に堪能したい・・・と思いながらも、石造りのひんやりした館に戻り、学会に続きに参加しました。

次は仕事ぬきでぜひイングランドの田舎を旅してみたいものです。

2014年6月 7日 (土)

D-Dayから70年

まつこです。

今日も良いお天気の一日でした。

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[いつも自転車で通るGarret Hostel Bridgeからの眺め]

ケム川を自転車で渡るのに一番都合がいいのは、車の通らないGarret Hostel Bridgeです。毎回、通るたびに景色を眺めてしまいます。今日はお天気が良いので、川沿いのクレア・カレッジの塀の上で昼寝している人や、おしゃべりしている人がいました。ケンブリッジも今日は初夏の日差しにあふれていました。

そんな日差しを浴びて、宿舎の中庭でポピーの花も咲いていました。第1次世界大戦のあと、兵士たちを埋めた墓地の荒れた大地で、最初に咲き始めた花がこのポピーだったのだそうです。以来、赤いポピーは戦没者を追悼する花になっています。

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[宿舎の中庭に咲いていたポピーの花]

今日はノルマンディー上陸から70年目の記念日でした。1944年6月6日、いわゆるD-Dayからちょうど70年。昨日から記念行事が行われていて、テレビで次々と特別番組が放送されています。女王はじめ王族も、首相も、野党党首も、フランスで式典に参加しました。

実際に作戦に参加した元兵士たちも参加していますが、彼らはほとんど90代。戦友をここで亡くした、地獄のようだった・・・と、言葉を詰まらせる老人の様子を見ると胸が痛みます。

しかし、空に当時の戦闘機を飛ばし、海に当時の軍艦を走らせ、いかにD-Dayが歴史上重要な日だったかを語り、イギリス軍の貢献の大きさを強調する番組の繰り返しを見ていると、ちょっと疑問も感じます。なんとなく単純な情緒に訴えるナショナリズムをあおっているような印象を受けるのです。

今年は第1次世界大戦の勃発から100年目でもあります。サッカーのワールド・カップもあり、なんだかやたらと愛国心をかきたてる傾向が感じられます。一瞬の高揚感というのは、しばしば思考を停止させるものです。もっと複雑な、解決の難しい問題がたくさんある時に、国家的な行事の連続に大衆の心理がからめとられてしまう危険性はないでしょうか。少し慎重に、注意深くなるべきじゃないか・・・

と思ってテレビ見ながら夕飯、食べていたら、「いくら70年でもやり過ぎだという意見と、D-Dayに対する評価が低すぎるという意見と、両方がある。複雑な問題だ」と司会者がコメントしていました。まあ、こんなコメントが混じるあたりに、最後の歯止めがかすかに効いているというところでしょう。

(来年の終戦70年も大変な行事になるのでしょうねえ。来年の8月はイギリスに来るにはちょっと微妙な時かもしれませんね。)

2014年6月 6日 (金)

マルハナバチ(bumblebee)

まつこです。

今日は住民税の納入期限でした。住民税の金額は家の大きさで決まるようです。私の暮らしている宿舎の場合は、1年間で1,175ポンド(約20万円ほど)ですが、単身世帯だと申請すれば25%割引されます。

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[市役所の市民課みたいなところで払います]

今週は小包の輸入税も2回払ったので、税金ばかり払っているような気がしますが・・・

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[昨日は雨が降って最高気温14度。でも一夜明けたら青空!]

こんなお天気だと、支払いに行く足取りも軽くなります。(昨日までずっと雨だったので行く気にもならなかった。)

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[中庭の花でマルハナバチ(bumblebee)が蜂蜜の収穫中]

宿舎の中庭にも花が咲いています。貴重な晴天の日にせっせと働かなければならないのか、今日はミツバチをたくさん見かけました。Bumblebee(マルハナバチ)という、こちらに多い種類です。クマのプーさん(Winee-the-Pooh)に出てくるのもこの種類。(みつばちマーヤとかみなしごハッチもこの種類だったかも?)

私は虫に刺されると、アレルギー体質なのか、ひどく腫れたり熱が出たりするので警戒しなければならないと思っていましたが、ちょっと調べたらこの種類のハチはおとなしいので捕まえたりしなければ刺されないそうです。

緑豊かなケンブリッジにいると、いろんな動植物に接します。イギリスの児童文学に動植物がたくさん登場するのも当然だと、改めて思いました。

2014年6月 4日 (水)

うめぞうの小包

まつこです。

日本から荷物が届きました。わーい!

しかし・・・

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[荷物の片隅に貼られた課税ステッカー]

イギリスでは時折あることですが、税金がかかってしまいました。正確には関税(Customs Duty)ではなく、Import VAT(輸入税)です。日本から送られた荷物に常にかかるわけではなく、かかる時とかからない時がありますが、その基準はよくわかりません・・・。さらに腹立たしいのは、輸入税だけではなく、その支払いのための手数料がかかることです。この手数料の金額も、ときによってまちまち。

これに関しては、英国在住の日本人の方達の苦い経験を綴られたページが、ネット上に無数に見つかります。

ある日、突然、Parcel Forceという荷物配達の会社から納税の請求書が届き、それを支払わないと配達されない仕組みになっています。オンライン上で支払いはできるのですが、指定日に配達に来てくれなかったり、お隣さんに預けられていたり、ぐずぐずしていると行方不明になったり・・・。

こういう事情なので手元にようやく荷物が届いた時はすごーくうれしいです。

うめぞうからの荷物、開けてみると・・・

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[うめぞうから届いた荷物の中身]

リーフティーを飲んだあとに、ポットを洗おうとすると水切りカゴのないこちらの流しでは、茶葉が流れないようにするのにひと苦労します。私は新聞を折り畳んで水切り袋を作ったりしていたのですが、その話をしていたので、うめぞうは三角コーナーの代用として使われている水切り袋を3種類取り混ぜて送ってくれました。

また滞在中にイギリスのラップは使いにくいと実感したうめぞうは、日本の誇るクレラップも送ってくれました。さらにコーフィーのフィルターとドリッパー。これもありがたい。イギリスではcoffee infuserというお湯の中にコーヒーの粉を入れて、上からぎゅっとフィルターで押すタイプか、電動のエスプレッソ・マシーンかいずれかを使うことが多いようで、単純なドリッパーが売っていないのです。豆を蒸らし、かぐわしいコーヒーの香りを楽しむには、ドリッパーがお手軽。これも今回の荷物に入っていました。

なかなかケンブリッジの文房具屋で見つけられなかったクリアファイルも大量に送ってもらいました。

というわけで、台所用品中心の小包ですが、うめぞうが律儀に正確な値段を書いたため、たっぷり税金がかかってしまいました。でもお金じゃない!その細やかな心配りがうれしいうめぞうからの小包でした。

2014年6月 2日 (月)

隣村コウトン

まつこです。

やっと晴れました〜!一週間ぶりの青空とお日様です。素直にうれしいです。

天気予報によると晴天も一日限りとのこと。貴重な晴天なので、家にいるのはもったいない。隣村のコウトン(Coton)まで自転車で出かけてみました。

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[宿舎の裏]

宿舎の裏の草原は牧草地かと思っていたのですが、どんどん草の背が伸びて、よく見たら麦畑でした。

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[もう麦の穂が出ています]

この麦畑の中をずっと続く小道を自転車で行くと、高速道路を超えて、果樹園を抜けて、隣村のコウトンに到着。コウトンは人口700人くらいの小さな村です。

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[ここが村の中心のセント・ピーターズ教会。教会の前に自転車を止めて村の様子を見てみましょう。最近、この自転車に愛着を感じるようになってきました]

村の中心は教会です。12世紀に建てられた、村で一番古い建物です。

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[教会の裏にはサイクリングの途中で休憩している青年がいました]

日曜日の午後の小さな村はひっそりとしています。たまにサイクリングしている人とすれ違うくらいで、歩いている人も見かけません。

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[村の目抜き通り]

表示されている通りの名前を見て笑ってしまいました。「ハイ・ストリート」です。ハイ・ストリートと言っても、全部で10軒くらいしか建物がありません。

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[古い石造りの建物]

教会の前の石造りの家は昔の学校でした。

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[Old Schoolという表札が残っています]

今はここは住宅として使われているようです。その横に新しい学校がありましたが、人口700人の村で何人くらい生徒がいるのでしょう。

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[こちらも古い建物]

静かな村を一人でのんびり自転車に乗っていると、なんだか20世紀の前半、第二次世界大戦の前くらいにタイム・スリップした気分になります。

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[この村では珍しい藁葺き屋根の家]

ハイ・ストリートをあっというまに抜けると、少し新しい家が増えます。ケンブリッジに通勤する若い世代の住宅が多いようです。その他にパブが一軒。以上で終わり。ほんとうに小さな村でした。

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[キャベンディッシュ研究所の庭]

夕刻になってもお天気が良いので、宿舎のお隣のキャベンディッシュ研究所の庭に散歩に行きました。

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[鴨(?)の親子]

池には鴨(?)の親子がいました。理科系の研究施設なので、建物からは実験機材の音が聞こえていますが、広い芝生では若い研究者(ポスドクかな?)がのんびりひなたぼっこしていました。

村も、鴨も、ポスドクも、みんなのんびりしていた晴天の日曜日でした。

2014年6月 1日 (日)

NVS

まつこです。

このしわくちゃな楽譜は何かというと・・・

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[半日練習、午後から本番で、すっかりしわくちゃになった楽譜]

今日、私が合唱(!)で使った楽譜です。エルガーの"As Torrents in Summer"と、サリヴァンの"The Long Day Closes"の2曲。いずれも混成四部の合唱曲です。

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[コーパス・クリスティ・カレッジのチャペルが今日の会場]

この楽譜の真ん中あたりに印刷されているNVSはNewcomers and Visiting Scholarsの頭文字です。このNVSというのは、国内外からケンブリッジ大学に来ている研究者やその家族がケンブリッジで安心して暮らすためのサポートをしてくれる組織です。

毎週定例の交流会のほか、英会話のレッスン、講演会、小旅行、読書会、編み物クラブや料理教室まで、多彩なプログラムが提供されています。子供たちが参加できるイベントもたくさんあります。

どちらかというと研究者本人よりも、夫(または妻)の研究のためにケンブリッジに長期滞在することになった家族が、不慣れな土地で孤立しないように、ネットワークを作って精神的サポートをするという趣旨のように思えます。

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[朝、練習が始まるところ]

私はあまり参加していなくて、今日が2回目でした。コーパス・クリスティ・カレッジのチャペルが会場と聞いていたので、「カレッジが見物できる!有名な曲を楽しく歌う会でしょう」と気軽に参加したのですが、これがなかなか、本格的な合唱ワークショップでした。朝の準備運動から始まって、午前中みっちり練習があり、なんと午後からはコンサートまでありました。

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[コンサートでは合唱以外に、ピアノやオルガンや独唱の曲も演奏されました]

2曲とも聞いたこともない曲で、変イ長調とか変ホ町長とか、フラットのたくさんついている楽譜で、しかもアルトのパートを選んだら時々不協和音が出てくるので音程はとりにくいし、楽譜を握りしめて真剣そのものの一日を過ごすことになってしまいました。でもどちらもきれいな曲で、久しぶりに合唱に参加して楽しかったです。

休憩時間や終了後はマスターズ・ロッジ(学寮長の住居部分)でお茶や軽食が用意されます。日頃は入れないマスターズ・ガーデンでワインまでいただき、なかなか充実した一日でした。

こうしたイベントを支えてくれている人たちは、ケンブリッジ市民のボランティアの人たちです。その多くが自ら在外経験があるのだそうです。異国で研究やビジネスをする際に、地域のコミュニティにつながることがいかに大切かを身をもって感じているからこそ、こうしてケンブリッジに来ている人たちを支える活動をしているのだとか。世界から研究者を集めるケンブリッジ大学の国際化は、このような組織にも支えられています。

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[おまけの一枚。マスターズ・ロッジのトイレ]

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