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2014年5月29日 (木)

ハイ・テーブル

まつこです。

朝起きると、今日もこんな天気・・・

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[先週後半からずっとお天気が悪い。晴れ男うめぞうが日本に帰ったせいか?]

今朝は思わずヒーターのスイッチを入れてしまいました。昨晩、夕食で同席したアメリカ人研究者は、「ケンブリッジに来たらイギリス人がみんな『天気が悪くてごめんね』と謝るんだよ。おかしいね」と笑っていました。

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[窓を開けて、建物の間に見える草原もこんな灰色]

その昨日の夕食ですが、あるカレッジのハイ・テーブルに招いていただきました。

ハイ・テーブルとは、もともと学生より一段高くなったところで教授たちが食事をするテーブルのこと。昨日は学生はおらず、教員とそのゲストで30名程度でした。

まずパーラーと呼ばれる部屋で食前酒を飲みながら歓談します。マスターやディーンにも紹介され、ぎこちなく微笑みながら挨拶。「日本からですか。何を?おお、シェイクスピアですか?」というような何でもない会話なれど、緊張しちゃった・・・。

それから列になってダイニングに移動しますが、どうもこの並び方の順番も無言の了解事項がありそう。よくわからないので私を招いてくれたフェローの人のそばから、それとなく離れないように気をつけて、列にまじりました。

テーブルの位置も、やはり無言の了解事項があるようで、友人のフェローがめくばせしてくれたところにすっと立ち、さて食事・・・と思ったとたん、マスターの声でラテン語のお祈りが始まりました。「ベネディクトゥス」とか「ドミネ」とか、わかる言葉だけ耳で拾って、皆が「アーメン」と言うとき、さりげなく一緒に口動かしてあわせます。

食事は、前菜(レタスの上にスモークト・サーモン)、メイン(羊のロースト)、プディング(パンナコッタ)で、ごく普通のお味でしたが、ワイン白赤各1杯がとてもおいしかったです。ワイン一口飲んだあたりでやや落ち着いて手元のメニューを見たら、シャブリのグラン・クリュと書かれていました。(赤は読み忘れた。やっぱり緊張してた。)

食事が終わったと思うと、誰か号令かけるわけでもないのですが、すっと全員立ち上がり、そこでまたマスターがラテン語でお祈り。

やれやれこれで終わりかと思ったら、また列になってパーラーに戻り、そこで食後酒およびコーヒー。どのテーブルに着くかは、またしても阿吽の呼吸がある気配。ポルト酒とクラレットの両方を少しずついただきましたが、やっぱり両方ともとてもおいしい。

食後酒の席では私のテーブルは、比較的若い世代のフェローとそのゲストたちだったので、和気あいあい、ややくつろいだ雰囲気なのですが、若いフェローたちは、時折、別のテーブルの様子をうかがって、飲み物を持って行っていました。ダイニング・ルームでは給仕の人たちがワインを注いでくれますが、パーラーではそれは若いフェローの役目なのだそうです。友人の若いフェローは、「この部屋に入ると誰が何を飲んでいるのか注意しながら過ごさなくちゃいけないし、2年目になっても、年長のフェローの人たちの中には初対面の人もいるし気をつかうわ・・・」とのこと。「毎日、こんな食事をしているの?」と聞いたら、「希望すれば毎日参加できるんだけど、こういうのは週に1度で十分よ」と言っていました。

とても儀式的なところもあるハイ・テーブルですが、フェローたちが歓談しているのを聞いていると、まったく違う専門分野の研究者が、仲間意識を共有しながら知的談話を楽しんでいる様子が感じられます。ついつい専門分化して狭い領域の話ばかりしがちな研究職にあって、こういう交流こそ学際的というのだろうなあ、と少しうらやましく感じました。

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コメント

オックスブリッジならではの習慣ですね~。人事選考の最終段階では候補者がハイテーブルに招待されて、そこでのマナーや会話が実は面接がわりに審査の対象になると聞いたことがありますが、あれって本当なのでしょうか。そこで泥酔して、つかみかけていたフェローの職をふいにした人は数知れずとか。まことしやかにそんな噂が立つほど、しもじもの学生にはマブしいハイテーブルでした。

Pukiさん、コメントありがとうございます

確かにあのハイテーブルは人事選考のテストに使えそうですね。この習慣を日本に輸入するなら、羽織袴で茶会席でしょうか。学長の茶室に呼ばれてそこでのマナーや会話を見られる。そういう人事プロセスがあれば、教授会の雰囲気が変わるでしょうねえ。いいかもしれません。

終わったらどっと安堵感。いささかくたびれましたが、良い思い出になったハイテーブルでした。

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