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2014年5月

2014年5月31日 (土)

イーリーのレストランで個展

まつこです。

昨日は前の下宿の家主ご夫婦のトムとジュディに誘ってもらい、イーリーまで出かけました。今回はカテドラル見物ではなく、トムの友人マーク・ハンドリーさんの個展のオープニング・パーティです。

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[マーク・ハンドリーさんの個展のポスター]

個展のタイトル"SSSSH & Co."は、パリのモダニズム文学の舞台となった書店Shakespeare and Co.の「もじり」です。

展示されていたのは、こういう知的な遊びの精神にあふれた作品でした。シェイクスピアのソネットなどイギリス詩のパロディとそれにあわせたイラストの組み合わせです。イラストだけではなく、テクストの見た目も美しく、ウィットにあふれた詩が、今は懐かしい活版の活字でくまれています。厚地の紙に刻み込まれた印字は、文字によってほんの少し濃淡の差があり、アナログ印刷の面白みが感じられました。

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[Ely Old Fire Engine Houseはカテドラルのすぐそばの趣のあるレストラン。写真はお店のHPのものです。昨日は小雨でこんなきれいな空ではなかった]

会場になったのはEly Old Fire Engine Houseというギャラリーを併設したレストラン。地元の食材を使って、伝統的なイギリス料理をいただけます。個展を見たあと、トムとジュディ、それにトムの元同僚のビルと一緒に夕食をいただきました。おしゃべりに夢中でうっかり写真をとるのを忘れてしまったけれど、おいしかったです。

デザートはジュディのおすすめでレモン・シラバブにエルダー・フラワー添えというのをいただきました。レモン風味のついた濃いクリームがレモン風味のアイスクリームの上にのっていて、その上にこの季節よく見かける白いエルダーフラワーの花がのっていました。

大学と宿舎を行ったり来たりの一人暮らしなので、こうしてトムやジュディが時々、お茶や食事を一緒にしてくれると、親戚の家に行ったみたいにほっとします。この1週間、ぜんぜん青空の見れない冴えないお天気の日が続いていますが、灰色の空の下でも暖かい笑い声にあふれた生活はあるのだな、と実感した夜でした。

2014年5月29日 (木)

ハイ・テーブル

まつこです。

朝起きると、今日もこんな天気・・・

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[先週後半からずっとお天気が悪い。晴れ男うめぞうが日本に帰ったせいか?]

今朝は思わずヒーターのスイッチを入れてしまいました。昨晩、夕食で同席したアメリカ人研究者は、「ケンブリッジに来たらイギリス人がみんな『天気が悪くてごめんね』と謝るんだよ。おかしいね」と笑っていました。

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[窓を開けて、建物の間に見える草原もこんな灰色]

その昨日の夕食ですが、あるカレッジのハイ・テーブルに招いていただきました。

ハイ・テーブルとは、もともと学生より一段高くなったところで教授たちが食事をするテーブルのこと。昨日は学生はおらず、教員とそのゲストで30名程度でした。

まずパーラーと呼ばれる部屋で食前酒を飲みながら歓談します。マスターやディーンにも紹介され、ぎこちなく微笑みながら挨拶。「日本からですか。何を?おお、シェイクスピアですか?」というような何でもない会話なれど、緊張しちゃった・・・。

それから列になってダイニングに移動しますが、どうもこの並び方の順番も無言の了解事項がありそう。よくわからないので私を招いてくれたフェローの人のそばから、それとなく離れないように気をつけて、列にまじりました。

テーブルの位置も、やはり無言の了解事項があるようで、友人のフェローがめくばせしてくれたところにすっと立ち、さて食事・・・と思ったとたん、マスターの声でラテン語のお祈りが始まりました。「ベネディクトゥス」とか「ドミネ」とか、わかる言葉だけ耳で拾って、皆が「アーメン」と言うとき、さりげなく一緒に口動かしてあわせます。

食事は、前菜(レタスの上にスモークト・サーモン)、メイン(羊のロースト)、プディング(パンナコッタ)で、ごく普通のお味でしたが、ワイン白赤各1杯がとてもおいしかったです。ワイン一口飲んだあたりでやや落ち着いて手元のメニューを見たら、シャブリのグラン・クリュと書かれていました。(赤は読み忘れた。やっぱり緊張してた。)

食事が終わったと思うと、誰か号令かけるわけでもないのですが、すっと全員立ち上がり、そこでまたマスターがラテン語でお祈り。

やれやれこれで終わりかと思ったら、また列になってパーラーに戻り、そこで食後酒およびコーヒー。どのテーブルに着くかは、またしても阿吽の呼吸がある気配。ポルト酒とクラレットの両方を少しずついただきましたが、やっぱり両方ともとてもおいしい。

食後酒の席では私のテーブルは、比較的若い世代のフェローとそのゲストたちだったので、和気あいあい、ややくつろいだ雰囲気なのですが、若いフェローたちは、時折、別のテーブルの様子をうかがって、飲み物を持って行っていました。ダイニング・ルームでは給仕の人たちがワインを注いでくれますが、パーラーではそれは若いフェローの役目なのだそうです。友人の若いフェローは、「この部屋に入ると誰が何を飲んでいるのか注意しながら過ごさなくちゃいけないし、2年目になっても、年長のフェローの人たちの中には初対面の人もいるし気をつかうわ・・・」とのこと。「毎日、こんな食事をしているの?」と聞いたら、「希望すれば毎日参加できるんだけど、こういうのは週に1度で十分よ」と言っていました。

とても儀式的なところもあるハイ・テーブルですが、フェローたちが歓談しているのを聞いていると、まったく違う専門分野の研究者が、仲間意識を共有しながら知的談話を楽しんでいる様子が感じられます。ついつい専門分化して狭い領域の話ばかりしがちな研究職にあって、こういう交流こそ学際的というのだろうなあ、と少しうらやましく感じました。

2014年5月27日 (火)

文字を覚えた日

まつこです。

ケンブリッジのキングズ・カレッジの前の目抜き通りにローソン・ギャラリーという美術商があります。美術商といっても大げさではなく、お土産用の絵はがきやカード、手頃なポスターなども売っています。

ケンブリッジに到着した直後、そこのウィンドウで目を引いた一枚の絵がありました。

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[ロアルド・ダール『マチルダ』の挿絵です。絵を描いたのはケンブリッジ大学出身のイラストレーター、クェンティン・ブレイク]

『マチルダ』は親から愛されなかった孤独な少女の物語なので、あまり好きな話ではないのですが、この絵の下に添えられていた『マチルダ』からの引用に心ひかれたのです。

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[横に数字が添えられていますが、いちおうオフィシャル・コレクションということでナンバーがついています。これは595枚のうちの380番]

'who taught you to read, Matilda?' Miss Honey asked. 'I sort of taught myself, Miss Honey.'
「誰が字を教えてくれたの?」とハニー先生がたずねました。「自分でおぼえたんです」

これを読んだとき、私が文字の覚えたときの記憶がよみがえってきました。

あと2ヶ月ほどで4歳になるという年のお正月、母方の祖母の家に遊びに行き、私は「オバQ」のかるたで遊んでもらいました。オバQが大好きだった私は、夢中になって遊びました。

子供の記憶力というのは、水を吸収する綿のようなものです。かるたで遊んだその数時間後、私は絵本を読むようになっていました。あの日の「本が読めるようになった!」という喜びは、今も覚えています。

両親とも働いていたので、日頃ベビーシッターさんに預けられていた私は、あまり大人に遊んでもらう機会が多くありませんでした。祖母や母に何度もかるたを読み上げてもらって遊んでもらうのが、うれしくてたまらなかったこともよく覚えています。

その後、働く母に育てられた私の寂しさを解消してくれたのは本でした。やがて、本を読むことが今の職業に結びついたわけですが、あの本を読めるようになった日や、時間を忘れて物語の中に入り込んでいた小学生の頃の、「のめりこむように夢中になる」という感覚は、だんだん記憶の中で遠ざかってしまいました。

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[今、自宅の机の前にかけられている『マチルダ』]

もう一度、あんなふうに本のおもしろさを感じてみたい、読まなければいけない本ではなく、読みたい本を読もう。イギリスの古い大学街の真ん中で、そんなふうに考えて買うことにしたこの絵は、今、宿舎のお勉強コーナーに飾ってあります。

2014年5月25日 (日)

ドア・ストッパー

まつこです。

こちらにくると「重い!」と感じるのがドア。図書館の回転扉にいたっては、あまりにも重いので、誰か別の人が出入りをするタイミングを狙って、さりげなく一緒に回転するようにしています。

私が暮らしている宿舎のドアも重く、手を離すと閉まるときにかなり大きな音がしてしまいます。寝室、廊下、リビングを行ったり来たりするたび、この音が気になるので昼は開けっぱなしにしておきたいのですが、くさび形のドア・ストッパーは床材を傷つけるので使ってはいけないとのこと。

そこで活躍してくれているのがこちら・・・

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[けなげな表情が気に入っています]

先日、ローラ・アシュレーのお店で30%引きになっているのを見つけて買ってしまいました。ドア・ストッパーです。

イギリスではこういう動物などの形をしたドア・ストッパーをよく見かけます。フクロウとか犬とか鳥が多いような気がします。重いドアを押さえるのですから、見た目はかわいくても結構な重さがあります。

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[この角度だとちゃんとドアを開けたままにしておいてくれる]

このワンちゃんのドア・ストッパー、若干、重さが若干不足気味で、時々、ドアの重みに負けてしまいます。でもちょうど良い角度で置いてあげると、ぐっとがんばってドアを開けておいてくれます。

「がんばってね〜」とドア・ストッパーの犬に向かって声をかけています。

2014年5月24日 (土)

イギリス地方選挙

まつこです。

昨日から今日にかけて、イギリスでは地方選挙の結果が報道されています。欧州連合からの離脱を訴えるイギリス独立党(UKIP)の躍進が目立ち大きな話題になっています。党首ファラージがパブで祝杯をあげながら、「もうウェストミンスター(国政)の鶏小屋の中に、UKIPという狐は入っているぜ!」と、不敵な笑みを浮かべていました。他の政党にとっては、それぞれに苦い結果だったようです。

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[ケンブリッジの市議会が入っているギルドホール。市場のある広場に立つ古い建物です]

この際なので、納税者の一人としてケンブリッジの市制がどんな仕組みになっているのか勉強してみました。

ケンブリッジは人口12万人程度ですが、それが14の地域に分かれていて、各地域を3名の議員が代表しています。今回はその議席の三分の一が改選されました。市長は42人の市議会議員から毎年互選で選ばれるそうです

ケンブリッジは自由民主党(Lib Dems)が強い地域で、国会議員も今は自由民主党ですが、今回は労働党が議席を増やし、市議会の多数派になったそうです。16年ぶりの多数派復帰だそうです。ちなみにUKIPは議席なし。

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[開票風景]

数週間前から私の住んでいる宿舎にも労働党のちらしが配布されたり、候補者が戸別訪問にやってきたりしていました。ちらしには車いすの科学者スティーブン・ホーキング博士の「私は労働党に入れます」というインタビュー記事が印刷されていました。(ただし私の住んでいるNewnhamという地域では自由民主党が議席を維持しました。)

選挙に勝利した労働党の市議の一人は「ケンブリッジは二つに分かれている。所得層の低い市民が生活費の高いケンブリッジで暮らしていけるような政策を進める必要がある」とインタビューに答えていました。ちなみにケンブリッジの人口12万のうち、学生は2万数千人。学生は比較的富裕な家庭背景を持っている人が圧倒的に多く、「Gown(学生)とTown(市民)の間に格差がある」とも言われていいます。

経済格差や社会の高齢化など、様々な問題を実感しながら、容易に解決しそうにない・・・そういう閉塞感の受け皿として、排他的政策を掲げる右翼政党が票を集めてしまうという危険は、先進諸国に共通なのでしょう。どうしたよいものか・・・と、一人テレビを見ながら考え込んでいます。

2014年5月22日 (木)

コヴェント・ガーデンの『椿姫』

まつこです。

うめぞうが日本に帰る前日、出かけたのは・・・

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[今宵はちょっと贅沢に]

コヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウス。ヴェルディの『椿姫』です。

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[ヴィオレッタ役のアイリーン・ペレス]

歌手や演出について何の予備知識もなく出かけたのですが、すばらしい舞台で、うっとり楽しみました。ヴィオレッタはアイリーン・ペレス、演出はリチャード・エアです。

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[うめぞうも久々のネクタイ姿]

パリの社交界、一途な恋、親の反対、結核・・・と、わかりやすいドラマチックな要素がそろっていて、音楽も耳になじみやすいメロディが多く、何にも考えずにどっぷり楽しめます。オーケストラの音もぴたりと整っていて、どの歌手も安定した歌いっぷり、演出もゴージャス。休憩時間にはワインやシャンパン。

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[コヴェント・ガーデンの元マーケットを眺めながらのシャンパンは格別の味]

ああ、贅沢!

ケンブリッジではスニーカーにデニムで自転車通学という地味な生活なので、たまにはこんな贅沢な夜があってもいいでしょう。

明日からはまたお一人様のケンブリッジ生活です。

2014年5月20日 (火)

イーリー

まつこです。

土曜日の晩、前に下宿していたB&Bの家主夫妻、トムとジュディに食事に招かれました。その時、「えっ、イーリーの大聖堂にまだ行っていないの!」とジュディにあきれられてしまいました。素直なうめぞうは「明日行きます・・・」と即答。

というわけで、翌日、日曜日は隣町イーリー(Ely)へ。

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[よく晴れて観光にぴったりの日曜日。背後に見えるのが大聖堂]

まずはツーリスト・インフォーメーションへ。

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[ツーリスト・インフォーメーション]

実はこのツーリスト・インフォーメーションは、ピューリタン革命で軍隊を率い、共和制を樹立したオリヴァー・クロムウェルが暮らした家です。

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[クロムウェルはこの地方のジェントリー階級の出身で、ケンブリッジ大学を出て、国会議員に選出されました]

現在、この家は1階の一部が観光案内所となっていて、そのほかの部分では17世紀のジェントリー階級の生活ぶりや、クロムウェルの生涯、清教徒革命の歴史などがわかる展示がなされています。わかりやすい英語の音声ガイドもあって、イギリスの歴史の勉強ができます。

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[軍人クロムウェルの肖像画]

すぐれた軍事的指導者か、あるいは政治的野心のために残虐な革命を起こした悪人か、はたまた敬虔なる宗教改革者か、クロムウェルに対する歴史的評価は分かれています。

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[うめぞうはクロムウェルをどのように評価しているでしょうか?]

この記念館では展示を見終わった最後に、「英雄か悪人か」というアンケートに答えるコーナーがあります。来館者が"Hero"(英雄)か"Villain"(悪人)か、いずれかのカードを選び、ボードにはりつけるのです。毎日の回答結果が数値で書かれています。クロムウェル記念館なので、若干、肯定的評価の方が多い日が続いているようです。

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[11世紀に建築が始まった壮麗な大聖堂]

クロムウェルの家を見た後は、イーリーの大聖堂へ。

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[天井画が圧巻の身廊]

圧倒的な迫力の大聖堂です。「こういうのは民主主義の社会じゃ作れないな」というのがうめぞうの感想でした。

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[八角形の塔の天井を中から見上げる]

宗教的権威を見せつける壮大な聖堂ですが、中では「ビジネス・エキシビション」というのをやっていました。地元の関連企業のブースが作られ、それぞれの企業の特色などをポスター展示で見せています。地元活性化のためにビジネスを成功させよう、というキャンペーンのようです。

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[床もとても装飾的]

教会内部がビジネス・メッセとして使われているのです。宗教とビジネスがこんな形で結びつくとは、クロムウェルもびっくり。地元の野菜まで売られていて、観光客もびっくり。

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[イーリーはもともと湿地帯にうかぶ島だったそうです。今のウーズ川はマリーナになっていてボートで休日を楽しんでいる人たちがたくさんいました]

大聖堂を見た後は、ウーズ川沿いを散策。川沿いに公園も整備され、気持ちの良い散策が楽しめました。

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[川沿いのパブで]

パブも川も芝生も、休日を楽しむ人でいっぱいです。遠くからブラスバンドの奏でる音楽まで聞こえてきます。今回、イギリスに来て初めてのパブ、初めてのビールです。ビールがおいしい初夏のような陽気の日曜日でした。

2014年5月19日 (月)

ケトルズヤード

まつこです。

今回のうめぞうのイギリス滞在も残すところあと数日。幸い、初夏のような好天に恵まれたので、週末はのんびり休日を楽しみました。

土曜日に出かけたのはケンブリッジ市内の小さな美術館ケトルズ・ヤードです。

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[生活空間の中でアートを見せるケトルズヤード]

ここは1920年代から30年代にかけてロンドンのテートギャラリーの学芸員をしていたジム・イード(Jim Ede)と彼の妻が、1958年から1973年まで住んだ住居です。

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[私邸に招かれた気分になる美術館]

生活の場にアートを取り込む趣旨で、膨大な個人コレクションから自分たちの生活空間にふさわしい作品を選んで考えぬた配置をしています。

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[古い鏡。覗き込むと物語の世界が広がりそう。私は3月に初めてこの家を訪れたときに一目見て、この古い鏡に引き込まれそうな気分になりました]

美術館を作るのではなく、自分たちの美意識を反映した生活空間の一部としてアートを見せるという理念なので、イード夫妻はここに暮らしながら、毎日、午後には自宅を開放し、自ら案内して見せていたそうです。

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[居心地の良さそうな狭い空間]

やがてこの家と収蔵品を大学に寄贈し、自分たちはエジンバラに引っ越したそうですが、彼らが暮らしていたときのままに家具や本も残されています。

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[これも3月に初めて見たとき、強く心ひかれた作品。Maria Carmiという女優をモデルにした作品です]

小さなん扉の前の呼び鈴のひもを引き、建物に入れてもらうと、まさに私邸を訪ねている気分になります。

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[すっかりくつろいでいるうめぞう]

椅子に座った位置から眺めることを想定して置かれている作品も多いので、このケトルズヤードの中の椅子は、どれも座って良いことになっています。(ただしベッドは寝てはいけない。)

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[さりげなく置かれた小物にも美意識が感じられます]

古いコテッジを4つつなげ、親しい建築家に改装してもらった家は、自然光がたっぷりとさしこみ、窓の向こうにはバラの花や初夏の緑が見えます。窓辺におかれた石ころまで、計算されて置かれていることがよくわかります。清潔感と美意識が隅々にまでいきわたった空間です。

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[石も数十年前に置かれたままの配置になっています]
私はここを訪れるのは2回目ですが、ほんとうに気持ちの良い空間なので、ここにいるといろんな疲れがすっと消えていく気がします。何度でも訪れたい、小さな美術館です。

2014年5月17日 (土)

市場で買った自転車

まつこです。

ケンブリッジには街の真ん中にマーケット・ヒルと呼ばれる広場があり、毎日、テントを張った屋台が並びます。曜日によって少しずつお店が違うのですが、野菜やチーズなど近郊の農家が出しているお店もあれば、アートやアクセサリーのお店など、多彩でにぎやかです。

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[こちらはパン屋さん]

私のお気に入りはこちらのオリーブ屋さん。いろんなオリーブの量り売りをしてくれます。健康志向のお店らしく、日本のあられも売っています。

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[オリーブよりあられに目がいくうめぞう]

めずらしいお店としては、洋服修理のお店や餃子のお店などがあります。さらにケンブリッジらしく、自転車屋さんまで出店しています。

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[さほど広くない市場に自転車屋さんが2軒あります。こちらで修理もしてくれます。店員さんもすごく親切]

この自転車屋さんで、自転車を買いました。

天気の悪い日は乗らないし、バスもあるからいらないと思っていたのですが、昨日から初夏のような好天になり、みながスイスイと自転車で行き過ぎるのを見ていたらうらやましくなり、あまり高くないのを選んで衝動買い。

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[買ったばかりの自転車]

ケンブリッジでは自転車の盗難が多いとのことで、ものすごくごついチェーンのロックを買うように勧められました。これが重くて・・・。

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[さっそくこれで通学]

カゴにパソコンや本を詰め込んで、ちょっとヨロめきながら、気分だけは颯爽と出発。若者たちに次々と追い越されながらも、草原がキラキラ輝くのを眺めつつ、のんびり安全運転しています。

2014年5月16日 (金)

五月晴れ

まつこです。

数日間、断続的な雨が続いたうえ、ヒーターは故障するし、寒いし腰痛にもなるしと、やや冴えない気分でしたが、昨日からはからりと晴れ渡り、気分爽快!急に露出度の高くなった女の子たちを見て、うめぞうも「春だね〜」とうれしそうです。

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[幾何学的なデザインの数学橋]

私は学部学生に混じって講義を聴講したり図書館で本を読んだり、学生に戻った気分です。うめぞうも図書館の入館証を作ってもらい、図書館で仕事。

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[お昼休みのキャンパス]

夕刻にはいろんなセミナーや講演会が催されていることが多く、うめぞうと一緒に歴史や日本学など少し違う分野のものを聞かせてもらっています。分野を超えて聞きに来ている人たちの間での質疑応答やディスカッションでは、問題の所在が大きな枠組みから見えてきます。こういうセミナーや講演会では必ずワインが用意されていて、リラックスした雰囲気です。

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[7時過ぎの柔らかい光がさしこむフィールド]

セミナーが終わって7時過ぎでもまだまだ明るいので、のんびり歩いて帰宅。そんなとき新緑に囲まれた芝生の上でクリケットをやっている人をあちらこちらで見かけます。

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[クリケットをやっている人たち]

美しく手入れされた芝生、白いウェア、さわやかな風・・・ああ、イングランドだわ、とため息が出るほど美しい光景です。たいへん贅沢な経験をしている気分になれた五月晴れの一日でした。

2014年5月15日 (木)

あわれ彼女は娼婦

まつこです。

ケンブリッジにも劇場があり、国内ツアーをしているプロダクションをいろいろ見ることができます。4月にはRSCのLife of Galileoを見て、今日はCheek by Jowlの'Tis Pity She's a Whoreを見ました。いずれも水準の高い上演だったのですが、小さな劇場に観客が半分も入っていなくて、いかにも寂しい感じです。イギリス演劇、これからどうなるのかなあ・・・とちょっと心配。

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[エロティック!バイオレント!スピーディ!]

'Tis Pity She's a Whore(『あわれ彼女は娼婦』)は1630年くらいに書かれた悲劇です。兄妹の近親相姦、無神論、殺人など、スキャンダラスなテーマを扱った凄惨な流血悲劇です。

Declan Donnellan率いる劇団Cheek by Jowlは、戯曲をかなり刈り込んで、休憩なしの2時間の、スピーディな悲劇に作り替えていました。赤=エロティック、黒=バイオレンスの二つの色を濃厚に混ぜ合わせた舞台です。舞台を現代に設定していて、欲望の暴走に歯止めがきかない今日的な社会の様相も見せていました。

かなりショッキングな場面を鮮烈に見続けた2時間。終わったときには、数少ない観客が、腰が抜けたようにしばらく立てなくなっていました。16歳未満には推奨できないとあらかじめ制限がかかっていましたが、60歳過ぎの観客にも心臓に負担がかかってよくないかも・・・と、高齢化している観客席を眺めて思いました。

2014年5月14日 (水)

ケンブリッジのランナーたち

まつこです。

イギリス、やっぱり雨が多いです。うめぞうは「金沢と同じくらい天気が悪い」と言っています。

でもそんなお天気でも、雨の合間をぬって走るランナーがたくさんいます。ケンブリッジに来て驚いたのはランナーの多さ。

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[今日の夕暮れ。ちょっと晴れたと思ったらランナーが続々走っていました]

パリのリュクサンブール公園でもランナーはたくさん見かけましたが、走り方が違うんですよね・・・。パリのランナーはいかにも楽しんでます、という表情の人が多いのですが、ケンブリッジのランナーたちの表情は真剣そのもの。走り方も、自分を追い込んで鍛えているという感じが、全身から発せられているように見えます。

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[呆然とランナーを見送るうめぞう]

うめぞうはそれを見て、「この人たち、頭脳も身体も鍛えて、世界制覇を狙っているみたいだね」とつぶやきました。かたやコートとマフラーで防寒しながら寒さに震え、かたや半袖半ズボンでランニング。かなり違う生き物に見えます。

2014年5月10日 (土)

東西南北

まつこです。

うめぞうの弱点は数々ありますが、中でもかなり重症なのが「方向音痴」です。ケンブリッジはごく小さな街ですが、それでもなかなか覚えられません。

そこで・・・

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[ケンブリッジのど真ん中、キングズ・カレッジの前にある教会。写真はwikipediaより]

街の真ん中にあるグレート・セント・メアリー教会の塔に登ってみることにしました。123段の細い螺旋階段を登ると街が一望できます。

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[東]

眼下にマーケットがあります。

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[西]

タワーのように見えるのが図書館。そのずっと先に私の住んでいる宿舎があります。

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[南]

週末になると下の道は観光客であふれかえります。

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[北]

こうしてみると東西南北とも少し行けば緑が広がっているのがよくわかります。

びゅーびゅーと吹く冷たい風の中で、うめぞうはじっくりと地図と目の前の景色を見比べていました。これでようやくケンブリッジの街のおおよそが頭の中に入ったようです。

ま、迷子になっても小さな街なので、なんとかなるでしょう。

2014年5月 8日 (木)

ケンブリッジで囲碁

まつこです。

うめぞうがケンブリッジを訪ねてくる前に、「囲碁クラブがないか調べておいて」と頼まれました。調べてみるとありました。CUGOS(Cambridge University Go Society)といいます。

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[CUGOSの集会はほぼ毎日開かれています]

メールで問い合わせをしたら学生でなくても参加可能とのこと。宿舎から比較的近いロビンソン・カレッジで集会は開かれています。うめぞうさっそく、参加してみました。

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[うめぞう、イギリスでの第1局目]

長髪のもの静かな青年(3年生)に対戦をお願いしてみました。実力はほぼ互角。うめぞうは粘っていましたが、結局、中押し負け。

その後、近所に住んでいる中国人の少年に3子置かせてて(ハンディをつけて)勝ち、うめぞうの初日の結果は一勝一敗。

私は付き添いのつもりで行ったのですが、「初心者」と自称する青年と9路盤で対局するハメになってしまいました。いかにも優秀そうな若者が、真剣に考えぬいて打ってくるので、これははなから勝てる気もせず、2戦2敗でした。

うめぞうがいなければ、絶対に足を踏み入れることのない世界をかいま見ることができました。もうちょっと腕をあげて再挑戦してみようかな・・・なんて思っています。

2014年5月 7日 (水)

ボタニック・ガーデン

まつこです。

イギリスでも今週はバンクホリデーで連休でした。運良く日曜日も月曜日も好天に恵まれました。

日曜日には最初に下宿したB&Bにうめぞうと二人でお茶に呼ばれました。庭の芝生でクローケーというゲームのやり方を教わったり、藤の花が満開の東屋でお茶を飲んだり、いかにもイギリスらしい午後を過ごしました。ヘリテージ映画のような時間に、うめぞうもうっとりとため息をついていました。

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[晴れた休日を植物園で楽しむ人々]

そのときトムとジュディにぜひ行くようにと言われて、翌日はケンブリッジ大学の植物園を訪ねました。教育研究目的の植物園として19世紀に作られたものです。

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[水の少ないところで生きる植物を集めたロック・ガーデン]

広大な敷地を歩いていると、大きな木は植物分類にしたがって並んでいます。ダーウィンの先生だったヘンズロウという植物学者の発案だそうですが、やがてダーウィンの進化論にもつながるイギリス博物学の発想を目で見ることができます。

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[湿地の植物を集めたボッグ・ガーデン]

学術目的だけではなく、ガーデニングのモデルとして作られている部分もあります。

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[いかにもイギリスの庭らしい一角]

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[水を節約するためのドライ・ガーデン]

雨が多い印象のイギリスですが、夏になると水不足になることもあります。ドライ・ガーデンは節水型のガーデニングのサンプルとして作られたものだそうです。

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[うめぞうには「ネギ坊主」に見えた花]

よく手入れされた芝生では、子供たちが転げ回っています。

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[広々した芝生が気持ちいい]

この日もたくさんのガーデナーの人たちが働いていました。40エーカー(約6万坪)の園内に8000種類の植物があるそうですが、これを管理するのはたいへんな作業でしょう。

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[今年のチューリップはこれが見納め。変わった色のチューリップです]

ケンブリッジの各カレッジの庭も含めると、いったいケンブリッジには何人のガーデナーがいるのかと気が遠くなるようです。

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[リンゴの木にも花が咲いています]

花盛りのイギリスの春ですが、リンゴの木にも花が咲き、ミツバチが受粉をしていました。この植物園にあるリンゴの木は、ニュートンが万有引力を発見するきっかけになったリンゴの木の子孫だそうです。

これから1年間、折々にこの植物園を訪ね、赤くなったリンゴの実も眺めてみたいなあ、と思いました。

2014年5月 5日 (月)

フランスで食べたもの

まつこです。

フランスからケンブリッジに戻って数日たちました。パリの街並み、ロワールの流れ、ケンブリッジの新緑、それぞれに異なった魅力があります。

風景の違いに比べると、食べ物については近年では以前ほど大きく、英仏の間に開きがなくなっているように思います。パリでも美味しくないお店もあれば、ケンブリッジでも美味しいお店もあります。大きな違いはパリでハズレのお店を選ぶと落胆するけれど、ケンブリッジでハズレても仕方がないあきらめることでしょう。期待値の違いですね。

というわけで、忘れないうちに、フランスで美味しかったお店の記録を残しておきます。

パリについた初日は13区のAu Petit Marguery。現在パリで在外研究中の同僚に案内してもらいました。

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[パリで学生生活を送った同僚のTさんはパリ通。赤中心のインテリアも伝統的な雰囲気のレストラン]

こちらは伝統的なフランス料理を、手頃な価格でおいしくいただけるレストランとのこと。

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[この季節はホワイト・アスパラガスがおいしい!]

茹でたての太いアスパラガスに、温かい半熟卵がとろりとかかって、とても美味しかったです。

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[私がとったメインは子牛のお料理]

「ここは量が多いんですけど、大丈夫ですか?」という同僚Tさんの気遣いはまったく不要。がっつりお肉を私はペロリと食べてしまいました。

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[デザートはスフレ]

デザートのオレンジリキュール風味のスフレも、見た目は大きかったけれど、軽いので全部残さず食べました。大満足。

うめぞうと合流してから数日目に出かけたのは、リュクサンブール公園からほど近いビストロLe Timbre

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[この日はブルゴーニュの赤ワインをいただきました]

狭いお店が7時過ぎには満席。テーブルがお隣とふれあうほどの近さで、くつろいだ雰囲気のお店です。

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[やはりオードブルはホワイト・アスパラガス]

給仕の方はイギリス出身とかで、黒板に書かれたフランス語のメニューを、英語で説明してくれるので安心。

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[私がとったメインはウズラ]

あんまりインテリアがおしゃれなお店よりも、こういう街のビストロっぽいお店の方が、観光客の私たちにはかえってうれしいものです。

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[デザートはミルフィーユ]

ミルフィーユはパイもクリームも軽やかで、こちらも完食。

ロワールのモンソロー村では、昨年も行ったレストランDiane de Meridorを再訪。

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[モンソローに行ったら地元のワイン、ソミュール・シャンピニーをぜひ飲みたい]

こちらは田舎なれども、なかなかおしゃれなプレゼンテーションでお料理を出してくれるレストランです。

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[またしてもホワイト・アスパラガス]

川辺に立つレストランなので、窓からはロワール川が見えます。刻々と様子を変えて、夕日に包まれる景色を眺めながらの食事は最高です。

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[うめぞうのメインは子羊]

ケンブリッジに戻ってみると、体重が2キロ増えていました。でもいいんです、美味しかったから。3軒とももまたぜひ行ってみたいお店です。機会があれば皆さんもぜひお試しください。

2014年5月 3日 (土)

ユッセ城

まつこです。

ロワール渓谷といえば古城めぐり。それなのにあまり出かけようとしない私たちに、宿の女主人フランソワーズが「ロワールに来ているのに家にばかりいるなんてダメよ!」と業を煮やして、とうとう「自分が車で連れていく」と言い出しました。

連れていってもらった先はユッセ城です。

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[ロワールの森を背にしたユッセ城]

このユッセ城は「眠れる森の美女」のお城として知られています。17世紀の詩人シャルル・ペローがこの城に滞在して童話「眠れる森の美女」を書いたのだそうです。

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[王の間。ルイ15世の時代まで、貴族の館には必ず王のための部屋を作ることが義務づけられていたのだそうです]

お城の中に入ると、18世紀の衣装を展示する目的で多くのマネキンが配されています。また塔の内部の各部屋では「眠れる森の美女」の場面がマネキンで展示されています。

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[100年の眠りから目が覚めた場面]

数あるロワールの古城の中でも、子供たちに人気のある城です。このほかにワイン作りの様子をマネキンで表したケーブなどもあり、テーマパーク風のお城です。

たまにはこういう観光を楽しむのも悪くありません。「面白かった?ああ、よかったわ〜。あなたたちもようやく外出してくれて」と言う、フランソワーズの満足げな顔を見れたのがよかったです。

東京の雑踏の中で暮らしている私たちにとっては、静かな村とロワールの美しい風景があればそれで十分なのですが、地元の人たちは退屈だろうと心配してくれるのです。宿の女主人フランソワーズの善意に応えることができて、なんだか親孝行をしたのと似た気分を味わった、ロワールでの一日でした。

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