« ケンブリッジ・リテラリー・フェスティバル | トップページ | ザ・ボート・レース »

2014年4月 6日 (日)

ケンブリッジ・リテラリー・フェスティバル2

まつこです。

寒さの中で咲いていたケンブリッジの桜もそろそろ散り始めています。

Dsc00001
[セルウィン・カレッジの桜。お天気の良かった4月1日が見頃でした]

今日もケンブリッジ・リテラリー・フェスティバルで二つのトークを聞きました。一人目はハニフ・クレイシ。日本では映画『マイ・ビューティフル・ローンドレット』の作者として知られていますが、舞台の戯曲も小説も書く、インド系イギリス人の作家です。

Hanifkureishi010
[ハニフ・クレイシ]

最新作The Last Wordについての話でしたが、インド系の作家が主人公の小説なので、小説家とはどのような職業かというテーマが焦点になりました。「これで一生食べているかどうか心配しながらやる仕事だよ。コミカルだろ?」みたいな感じで、文学とか作家ということに幻想を持たなず、ちょっとブラックなユーモアを感じさせる話でした。

Germainegreer_cjonathanring
[ジャーメイン・グリア]

もうひとつ夜にジャーメイン・グリアの話を聞きに行きました。戦闘的なフェミニストで知られる人ですが、今回は故郷のオーストラリアで森の再生に取り組んでいる話でした。エコ・フェミニストと自己紹介していました。「スティーブン・ホーキングは地球は核などで人間がダメにしたせいで2000年後には住めなくなるから宇宙を植民地開発すべきだと言っているけどとんでもないわ」とか、「リチャード・ドーキンズは『利己的遺伝子』って言うけど発想がマッチョだわ。生き物は闘争するんじゃなくて、もっと利他的なものよ」とか、著名な男性研究者をばっさり切って捨てる話し振りはかつての迫力を偲ばせるものでしたが、「私も75歳。職業病である鬱病にならずにすんでいるのは森に救われているから。私が森を救っているのじゃない。森に救われているんだ」と最後に語ったときは、なんだか戦いすんで森に帰っていった元女戦士という感じでした。

それにしても客席は満席で、会場に彼女が現れただけで拍手がわき起こり、ずいぶん人気があるのだなと驚きました。今もケンブリッジシャーに家を持ってオーストラリアと半々に住んでいるようなので、やはり地元意識を聴衆と共有しているのでしょう。

話を聞き終えて家に帰っても、トムとジュディが「ジャーメイン・グリアの話どうだった?」と聞いてきました。実は、この家はもともと1軒だった家を3分割していますが、数年前まで、隣はイアン・ドナルドソンという英文学者が住んでいたそうです。彼もオーストラリア人なのでジャーメイン・グリアと仲が良く、グリアは時々遊びに来ていたそうです。「あの人、隣に来るとよくオペラのアリアを歌っていたわね」と二人とも思い出して苦笑しています。

「森に救われた?その前に結婚しておけばよかったんだよ」とトム。「ま、救われたならよかったわ」とジュディ。やんちゃなフェミニストを、ややあきれながらも微笑ましく見守る、というところがイギリスの平均的な中流家庭の受け止め方なのだろうな、と思いました。

« ケンブリッジ・リテラリー・フェスティバル | トップページ | ザ・ボート・レース »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ケンブリッジ・リテラリー・フェスティバル2:

« ケンブリッジ・リテラリー・フェスティバル | トップページ | ザ・ボート・レース »