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2014年3月15日 (土)

ありがとう

まつこです。

先週の土曜日、母を訪ねました。

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[雲のかかる富士山]

少しだけ春の気配が空気の中に感じられる朝、新幹線から見る富士山は雲がかかっていました。

最近の母はほとんどいつも眠っています。私が声をかけると、「あら・・・」と一言だけ発し、また目を閉じてしまいます。他の入居者の方たちが「せっかく東京から来ているのに、娘さんのこともわからなくなっちゃって可哀想にねえ」と同情してくださいます。

他の入居者さんたちにとっても、同じフロアに暮らす母の症状が急速に進んでいくのを見るのは悲しいことのようです。母よりずっと年上の80代後半や90代の方が、母を見て辛そうな表情をなさるのを見ると、言葉につまります。

ただ、母はこんな状態なのですが、時折、瞬間的にはっきりした表情で言葉を発することがあります。先週の土曜日、どうせ言っても通じないだろうと思いながら、「ママ、私、イギリスにしばらく行くことになったのよ」と話したら、「あら、それはいいわね、よかったわ!」と、はっきりとした表情でうれしそうな歓声をあげました。

実は来週の日曜日から在外研究が始まります。1年間、日本を離れることになります。こういう状態の母を残していくのはとても気がかりだったのですが、この母の声を聞いた瞬間に心のモヤモヤがふっきれました。

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[これは弟が買ってきてくれたお人形。これを見て、「あら、かわいい」と母は声を出しました。これもこの日に聞けてうれしかった一言です]

職員の方に「立ってください」と言われても、無念無想といった表情で目を閉じている母ですが、子供の朗報には反応するのです。子供への期待が最後の生命力になっているような気がします。

「ママ、ありがとう」と、すぐにまた目を閉じた母に心の中でつぶやきました。母へのこの感謝の気持ちを胸に、元気に出発しようと思います。

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コメント

まつこさまの気持ちが痛いほどわかり、涙がこぼれました。私の母も、もしもの時のことを話した時に、「元気な時のママだったら、きっとこう言ったはず、こうしたはずという風に考えて行動してね。それが私だから」と言いました。だいぶ前のカントに関するうめぞうさんの話も思い出したりなんかしました(細部は完全に記憶から抹消されていますが:笑)。もうすぐ出発ですね。どうかお気をつけて!今度はロンドンでお目にかかりましょう。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

そうなんですよね、母が元気だったならこう言っただろう、こうしただろうと考えるのが、何よりも母の意向にそっているのですよね。だから「あまり悲しみすぎないように」と、いつも自分に言い聞かせています。子供たちが自分のために悲しんだり苦しんだりするのは、母の想いから最も遠いことですから。

ロンドンでお目にかかるのを楽しみにしています。オックスフォードでも出かけていきます!

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