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2013年9月

2013年9月30日 (月)

朝の儀式

まつこです。

今日は月曜日。1週間が始まったと思うと、あっというまに過ぎて行く。そんな忙しい時こそ、日々の日課を決めて、規則正しく落ち着いた気持ちで暮らしたい・・・。

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[トイレのニッチのディスプレイ。今はロンドンで買ったHeyland and Whittleのフレグランスを使っています]

というわけで、今期の目標を設定しました。それはー

「毎日、朝一番にトイレ掃除する」

出勤前はことのほか忙しいもの。シャワー浴びて、お化粧して、朝ご飯食べて、ゴミ捨てて、うわー、遅刻だあ〜・・・あっ、忘れものした!えーん、キーホルダーが見つからない。うぉー、もうダメだ〜・・・あれ、キーはバッグに入っていた!いってきま〜〜す。

このようなパニックを日々繰り返していましたが、なんとかこの繰り返しから脱却したいのです。そのため出勤前の朝、精神的余裕を持つために、あえて、まずはトイレ掃除から一日を始めてみることにしました。

トイレ掃除といってもマジッ○リンをシュシュッ、ブラシでチャチャッ、クイック○ワイパーでチョイチョイ、はい、終わり。しめて50秒ほど。たいした手間ではありません。

でもその50秒を使って単純な作業を毎朝繰り返せば、それは一種の「儀式」となって日常生活に一定の折り目正しさを与えてくれるのではないかと思うのです。

9月はなんとか毎日、実践することができました。この調子で10月も継続したいと思います。

2013年9月28日 (土)

実りの秋

まつこです。

大阪の母を訪ねると、母が書道クラブで書いた字がありました。

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[実りの秋]

たっぷりした文字が、いかにも豊穣の秋らしくて、目にしたとたん微笑んでしまいました。

母の名誉のために付け加えますが、以前の母はもっと端整で形のとれた字を書いていました。でも認知症の症状が進んだら、すっかり字も形がとれなくなってしまいました。けれど天衣無縫というか、純粋無垢というか、稚拙かもしれないけれどおおらかで気持ちの良い文字を見ると、母の気持ちもこんなふうに落ち着いているのだろうと思えて、ほっとした気分になります。

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[秋の青空]

最近、母は膝の具合がよくなくて、歩くのがだんだん難しくなってきました。本当は散歩に連れて行けると良いのですが。せめて秋の気配を感じてもらおうと、一緒にベランダに出てみました。

爽やかな風を感じるだけで、母の表情が生き生きとしてきます。遠くの山を眺めながら、「いろんなことがあるものね・・・」と、そうポツリと言った時の母の顔は、深い感慨にふけっているようで、一瞬、認知症であることを忘れさせるようなものでした。私が「いろいろあるけれど大丈夫よ」と言ったら、「そうね」と言ってニッコリ母は笑いました。

母がこの老人ホームに入って三度目の秋。「いろいろあっても大丈夫!」心の中で私は自分にも向かってそう言ってみました。

2013年9月23日 (月)

強化合宿5日目

まつこです。

朝起きて外をみると・・・あ、うろこ雲。
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[秋らしい朝の空]

日中は日ざしが強かったので、やや日が傾きかけた午後3時頃、散歩に出かけました。

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[うめぞう、散歩の途中で何か見つけた様子]

散歩の途中、稲刈りの終わった田んぼで、白いサギを見かけました。

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[すらりとした姿が美しい白鷺]

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[飛んで行く姿も優雅です]

この景色を見ながら、「秋の田の〜、かりほのいほのとまをあらみ〜」と言うと、うめぞうが「わが衣手はつゆにぬれつつ〜」と応えてくれました。(うめぞう、意外にも百人一首が得意らしいです。つい最近まで知りませんでした。)

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[秋の食卓]

秋の一日、食卓の上も秋らしく、サンマの塩焼き。私たちは今年初めてのサンマです。(だって、東京のマンションだと匂いがこもるので、サンマの塩焼きはしたくない!)

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[地元の漁港であがった鯛のお刺身もつけちゃおう]

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[今日も良い日だったな〜、とうれしそうなうめぞう]

窓を開けているとひんやりとした風がカーテンを揺らし、庭から虫の鳴き声が合唱のように聞こえます。朝から晩まで、一日中、秋を満喫した強化合宿5日目でした。

2013年9月22日 (日)

強化合宿4日目

まつこです。

今日は朝から祭り囃子の音が聞こえていました。秋祭りです。

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[我が家の前にもやってきた祭り囃子]

いつも留守がちな我が家にも、獅子舞がやってきました。獅子の頭が、うめぞうとわたしの頭をがぶっとかじって行きました。

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[赤い半纏の獅子舞の人たち]

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[わお、こんなのもやってきた!]

秋のお祭りはおそらくもともとは秋の収穫を祝うためのものでしょう。周辺の田んぼでは稲刈りに精を出している人たちもいました。

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[稲刈りの様子を眺めるうめぞう]

稲刈りの様子を見ていると、わらの匂いが漂ってきます。

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[黄金色の稲穂]

今日は少し曇り空で、ぐっと涼しくなりました。

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[庭に咲いている彼岸花]

遠くから聞こえ続ける祭り囃子を聞いていると、なんだかちょっと切ない気分になります。秋の気配に包まれて少しセンチメンタルな強化合宿4日目でした。

2013年9月21日 (土)

強化合宿3日目

まつこです。

年寄りは朝起きるのが早い。うめぞうは朝、6時に起きて「朝勉」(あさべん)しているようです。寝坊の妻は8時に起きて朝食の用意。うめぞうはお腹ぺこぺこ。

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[いただきまーす]

お腹がすいていれば朝ご飯もいっそう美味しくいただけます。今日は朝からがっつり和食。

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[鮭、納豆、お味噌汁など朝の定番料理]

母の友人からもらった新米のコシヒカリは、もっちりして甘みがあります。

ご近所で農園を経営している方にうかがったら、今年は猛暑のあと、8月末に日照が少なく、やや収穫量が少なかったとのこと。さらに稲刈りの途中で、先週は台風の豪雨にあってしまい、いろいろご苦労があったようです。

農作業をしている人を見かけると、ほんとうに大変なお仕事だなと思います。おいしいお米や野菜は、自然の力を借り、時に自然の猛威に耐え、時間をかけて育てられた産物です。農家の方とお話すると、改めてそのありがたみがわかります。

最近ではいろんな新しい種類の野菜もいろいろ工夫して作られているようです。近所のスーパーでは地元の野菜コーナーで、こんな珍しいものを見つけました。

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[つららなす]

緑色のお茄子です。「つららなす」と呼ばれているそうです。初めて見ました。ネットでレシピを調べて、緑色を活かしてこんな料理にしてみました。

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[色が鮮やかになるように、白玉粉をまぶして熱湯にくぐらせ、冷やしてから冷たいお出汁を張る]

白玉粉が透明になると涼しげで、食感もツルンとしていていい感じでした。

スーパーで今日のおすすめの魚はヒラメとハチメでした。北陸地方で「ハチメ」と呼ばれているのはメバルのことです。メバルと言えば煮魚が多いような気がしますが、地元ではお刺身にすることが多いです。

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[ヒラメとハチメのお刺身]

帰省するたびに、夫婦で魚売り場のケースをじっくりのぞき込んでいる私たちは、売り場のおじさんに顔を覚えられ、いろいろアドバイスをもらうようになりました。今日はノドグロもあったのですが、この時期のノドグロはまだ美味しくないから、ヒラメかハチメにしたほうがいいよと勧められました。(ヒラメはノドグロの三分の一のお値段なのに。)

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[今晩のお酒は「越の寒中梅」]

新鮮なお刺身と、少しのお酒と、いくつかの野菜料理と、白いツヤツヤのご飯。今晩も健康的な夕食です。

朝晩の和食作りで、民宿のおばちゃんみたいな気分になってきた強化合宿3日目でした。

2013年9月20日 (金)

強化合宿2日目

まつこです。

あら、植木屋さん・・・

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[植木屋の見習い]

ではなく、うめぞうです。

今日も快晴。あまりの好天に、市内の公園まで散歩に行きました。

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[真夏を思わせる日ざしの強さに、うめぞうは麦わら帽子をかぶって出かけました]

こちらの公園には、大正時代にガス会社を起こしたという町の有力者が残した庭園があります。きちんと手入れされていて、四季折々の美しさを楽しめます。

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[日本庭園への入り口]

この庭園内には茶道美術館があり、茶室で説明を受けながらお点前をいただけます。

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[庭園の中の古い井戸]

高麗末期の花入れとか、李朝初期の水差しとか、なんとかの茶杓とか説明をしてもらうのですが、私たちは二人とも不調法なので、馬の耳に念仏。わたしは萩焼、うめぞうは志野焼の、それぞれ人間国宝の方が作ったお茶碗で抹茶をいただきましたが、まさに豚に真珠。お茶碗のどこをどう鑑賞したらよいのかよくわからない・・・。茶道の「基本のき」くらいは身につけておかないと恥ずかしい、と実感しました。

夕食は今日も地産地消にこだわって、ぜんぶ新潟産。

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[天然物の石鯛とかんぱち]

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[海藻で作った練り物で「えご」と呼ばれる郷土料理]

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[昨日もらったお茄子を今日はつけびたしにしてみました]

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[今日も良い一日だったと満足げなうめぞう。お酒は久須美酒造の「清泉」の、年に1度9月だけ発売する「越淡麗」です]

仕事の合間に自然の中を散歩し、夜は地元の酒と魚。なかなか充実している強化合宿2日目でした。

2013年9月19日 (木)

強化合宿

まつこです。

例年、この時期にはゼミ合宿で学生と出かけるのですが、諸般の事情により今年はゼミ合宿は取りやめ。代わりにうめぞうと二人で新潟に来ました。講義の準備や原稿書きなどに必要な資料を持ち込んで、1週間の「強化合宿」という計画です。

しかし・・・

部屋にこもって仕事をするのはもったいない、あまりにも良いお天気!

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[もう田んぼの稲刈りはだいぶ終わっていました]

稲の刈られた田んぼを眺めながらトコトコと歩き、母の友人の農家のおばさんを訪ねました。収穫したばかりの新米や、畑の茄子など、たくさんお土産をいただきました。

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[新米のコヒシカリや、ツヤツヤ光っている採りたてのお茄子など]

うめぞうはうれしそうに重い荷物を抱えて帰ってきました。

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[この人、食べ物だと嬉々として重い荷物も運びます]

お隣からも野菜をもらいました。だったら今晩は新潟の農産物だけで夕食を作ってみようと考え、スーパーで新潟産の和牛など買い足しました。

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[新潟産茶豆]

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[ステーキのつけあわせは、頂き物のいんげん豆、ジャガイモ、お茄子など]

畑から採れたてのお茄子やエンドウ豆は「え?お茄子ってこんなに美味しいものだったの!」とびっくりするほど美味しい。

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[産地が近いとアスパラやトマトの味も濃厚。キュウリもみずみずしい]

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[うめぞうもご満悦]

さわやかな空気を吸い込むだけでお腹がキューっと気持ちよく空いてきます。仕事をして、散歩をして、地元の美味しい農産物を食べる。老後は田舎生活もいいかも・・・という気分になってきます。

うめぞうは「退職したら毎日こんな生活したい〜」と言っています。これでは「強化合宿」というより「ヴァカンス」ですね。でもまあ、心身の健康状態は確実に強化されます。

今晩は満月。明日もお天気が良さそうです。

2013年9月17日 (火)

きもだめし

まつこです。

台風一過、だいぶ涼しくなったので、久しぶりに夕食後の散歩に出かけました。今晩は根津神社の方に行ってみたのですが・・・

夜の神社って怖い〜。

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[月に照らされた楼門]

「うめぞう・・・肝試しみたいだね・・・」
「うめぞう・・・怖くない?」
「うめぞう・・・大丈夫?」
口数が多くなる妻と、口数が減る夫。二人とも臆病者です。

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[暗闇に浮かびあがる神楽殿]

人っ子一人いない夜の境内は深閑としていて、不気味です。

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[手水舎の卍マークも闇に浮かび上がっています]

「ねえ、うめぞう・・・誰もいなくて気持ち悪いよ・・・」
「こんな暗いところに誰かいたら、それはそれで怖いよ・・・」

二人ともびくびくしながら、競歩のように急ぎ足で境内を通り抜けました。境内には銀杏の実の匂いが漂い始めていました。

すっかり秋です。

2013年9月14日 (土)

フラワーアレンジメント

まつこです。

仕事が忙しかった1週間を終え、3連休の週末。今日は近所の『包み計画(クルミケイカク)』さんという小さなカフェで開かれたフラワーアレンジメントのワークショップに参加しました。

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[初めてでもこんなのが作れました]

こちらのカフェは2年ほどまえからあるお店だそうですが、ひっそりとした人目につかないところにあるので、今まで気がつきませんでした。アンティーク風の店内で、雑貨や紅茶を売っています。カフェでは自家製のマフィンやケーキもいただけます。ときどきアロマテラピーやお花のワークショップもやっているのだそうです。文京区には珍しいおしゃれなお店です。

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[上から見るとこんな感じ。秋らしい雰囲気です]

今日のフラワーアレンジメントはプルーンや緑色の梨の実を使いました。「暗い森の中で実を集めてきたイメージで作ってください」との言われました。私は一人でアレンジメントを作るのは初めて。お手本を見ながら、1時間ほどかかりましたが、楽しかったです。

このアレンジメントを部屋に飾ったら気分はすっかり秋です。でも・・・

「これ、食べられるの?」

これを見たら、必ずうめぞうはこう聞くことでしょう。(ワイヤーを通してとめてあるので食べられません。)

まだ暑い日が続いていますが、実りの秋はすぐそこまで来ていますね。

2013年9月 8日 (日)

サーチ・ギャラリー

まつこです。

帰国してからほぼ1週間なのですが、いまだ時差ぼけが完全に抜けきれません。「年のせいだ・・・」と、うめぞうに繰り返し言われています。

1週間前の日曜日は夕刻の飛行機に乗る前に、チェルシーのサーチ・ギャラリー(Saatchi Gallery)に行っていました。現代アート専門のギャラリーです。今回は「紙」をテーマにした展覧会をやっていました。

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[スローン・スクエアの近くのサーチ・ギャラリー。写真を撮ろうとしたらキックボードに乗った少女が急いでカメラの前に表れポーズをとってくれました]

サーチ・ギャラリーはもともとチャールズ・サーチの個人的なコレクションを展示するために開設されました。何回か場所を移動したあと、2008年にチェルシーに移ってきました。

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[1979年の選挙戦ポスター]

チャールズ・サーチと言えば、富裕なイラク系ユダヤ人の息子で、兄とともに創設した広告会社サーチ&サーチは、1979年"Labour isn't working"というキャンペーンを繰り広げ、マーガレット・サッチャー政権成立を実現した・・・

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[お騒がせカップルのチャールズ・サーチとナイジェラ・ローソン。写真はThe Timesより]

というようなことよりも、最近ではセクシー系セレブ料理人ナイジェラ・ローソンとの離婚騒動でイギリスのタブロイドをにぎわした人です。メイフェアの高級シーフード・レストランで喧嘩して、チャールズがナイジェラの首を手で締めているように見える写真で物議をかもしました。

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[ふむ・・・確かにそんなふうに見えるかも。写真はMirrorより]

いずれにせよ、このチャールズ・サーチは、1980年代以降、イギリスの現代アート・シーンの活性化させた大立て者であることは確かです。

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[ギャラリーの外観。元は19世紀の陸軍兵舎]


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[ギャラリーの内部]

すっきりとした空間に、ゆったりと作品が配されていて、1ポンドでもらえる解説パンフレットもとてもわかりやすいです。(入場料は無料。)

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[小さな袋の中の樹]

今回は"Paper"というテーマの特別展示でした。「あら、繊細!」と目をひかれたのがこちら。小さな袋をのぞきこむと、小さな、けれど堂々とした枝振りの樹木が見えます。

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[これはディオールのショッピングバッグ]

外から見るとブティックでもらうショッピング・バッグです。

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[マックの袋も、中を覗き込むと・・・]

マクドナルドの紙袋もあります。

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[やっぱり樹が立っている]

一枚の袋から繊細な木を切り出して、小さな空間の中に物語を作り出しています。ちょっと手法が寄席の「紙切り」にも似ているな、と思って作者を見てみたら日本人アーティストでした。Yuken Teruyaさん。帰宅後、改めて調べたら照屋勇賢さん、沖縄出身でニューヨークをベースにしておられるそうです。

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[壁一列に並んでいます]

解説を読むと「紙袋という消費生活の象徴から、紙の原料である樹木へと時間を逆流し、環境問題への芸術家の鋭敏な意識を反映させた作品」とのことです。そこまで意味がわからなくても、すごく繊細で、覗き込む楽しさがあって、きれいに並んだ清潔感も爽快で、気持ちの良い作品でした。

現代アートというと、なんだか難しそう、という気がしてしまいますが、ちょっと好奇心を持ってみて見ると新しい発見がいっぱい。こちらのギャラリーは観光客も少なくて、だいたいいつも空いていますから、のんびり現代アートが体験できます。

2013年9月 5日 (木)

列車の遅れ:日仏英

まつこです。

昨日は大阪の母を訪問。行きの新幹線は地震で一時停車し、帰りの新幹線は西日本から東海にかけての豪雨のため大混乱。散々でしたが、1ヶ月ぶりの母はあまり様子も変わっておらずほっとしました。

それにしても、日本の鉄道会社は正確で丁寧です。新幹線が停止したり、徐行したりするたびに、どこそこで雨量計が何十ミリリットルを超えたとか、現在の遅れは何分とか、ひっきりなしにアナウンスがあって、そのたびに「お急ぎのところたいへん申し訳ありません」と謝罪の言葉まで流れます。

フランスでの夏の休暇でロワールからパリに戻る際に鉄道を乗り継いで帰る予定だったのですが、なんだか理由もわからないまま乗るべき列車が大幅に遅れました。

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[やっと乗れた列車でほっとするうめぞう]

ソミュールの小さな駅で電光掲示に「10分遅れ」と表示され、それがやがて「30分遅れ」に、変わりました。定刻より30分ほど遅れてホームに入って来た列車に乗ったところ、指定席に行くと若い男性がすでに座っています。私たちが切符を見せると、「間違って二重に指定席が売られたのかも」というようなことを言って席を譲ってくれました。

念のため、向かいの席の人にも切符を見せると、「あなたたち、この列車じゃないわよ」と言われました。スーツケースを持って、出発直前の列車からあわてて飛び降りました。危機一髪!やれやれと電電光掲示板を再び見上げると、目的の列車は「1時間30分の遅れ」と出ています。やれやれ・・・。

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[間違えた列車から急いで降りてソミュールの駅のホームで呆然としていたところ、ポロシャツにデニム姿の大学生みたいなお兄ちゃんが、「インターシティ(特急列車)はしばらく来ないから各駅でトゥールまで行った方がいいよ」とたどたどしい英語で教えてくれました。「フランスの若者は親切だな。英語の勉強しているバックパッカーかな?」と思っていたら、胸にSNCF(フランス国鉄)のバッジをつけていました。「駅員なら駅員らしい格好してほしい」と思いましたが、ちゃんと乗り継ぎ列車の時刻も書き込んで、遅延証明のスタンプも押してくれました]

イギリスでも列車の遅れは日常茶飯事です。"Delayed"(遅れ)という掲示を見つめ続けること30分、それが突如"Cancelled"(運休)と表示が変わるなんてことにも慣れっこです。それまで辛抱強く待っていた乗客たちがため息一つつかずに粛々とその場から立ち去るのを見て、初めてイギリスを訪れた時はビックリしました。

モンソロー村で出会ったイギリス人観光客が、"Public transportation is poor here"(フランスの公共交通機関はダメだよね)と言っていましたが、日本人の私たちから見れば、英仏の間にそれほどの差はないと思うけどねえ・・・。

時間に正確で、駅も車両もきれいな日本の列車は、世界に誇れるものです。京都駅の新幹線改札口にあふれかえった膨大な乗客たちに丁寧に対応している駅員さんを見て、「日本も捨てたもんじゃないんだけどね・・・」と改めて思いなおしました。

2013年9月 3日 (火)

日本人の存在感

まつこです。

ロンドンのサービス付きアパートをチェック・アウトするときに、ポーターのおじさんと話をしました。「20年くらい前は、滞在客の65%くらいは日本人のビジネスマンだったんだよ。日曜日になるとゴルフに行くために、エントランスに車の列ができていたんだ。最近は日本人はすっかりいなくなっちゃったね。」

イギリス人の友人も、最近では日本に関する報道はほとんどなくて、たまに原発事故関係の報道があるだけ、と言っていました。イギリスにおける日本人の存在感はすっかり薄くなったようです。

出発の前日、 BBCのニュースが原発事故の報道をしていました。汚染水が原因の放射線量がこれまで考えていたのより18倍も多かったというニュースです。「18倍」の部分を強調して、専門家のコメントも引用しながら深刻だと報じていました。ガーディアンも同様の報道をしていたので、「こりゃ、大変だ!」と思ってあわてて日本のメディアにネットでアクセスしたら、たいして目立つ報道はありませんでした。あれ? 

意図的な報道規制か、感覚が麻痺しちゃったのか、どちらかわかりませんが、内外の報道の温度差を認識しました。

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[ロワール河畔のシノンの原発。シノンは滞在したモンソロー村から20kmくらいのところ。え、こんなところに原発あるの!とびっくりしました]

旅行中、原発問題についてもうひとつ考えるきっかけがありました。フランスのロワール地方でのことです。たいへん美しい景観が広がるロワール河畔ですが、少し遠くに白い蒸気が3本あがっているところがありました。「うめぞう、あれなんの工場だろうね? ひょっとして原発? まさかね・・・」と言っていたのですが、本当に原発でした。フランスで一番古いシノン原発でした。

フランスは原発大国。消費電力の75%を原発に頼っているそうです。ロワール川の水で冷却しているのだそうです。周囲に広がるぶどう畑。おいしいロワール・ワインの産地ですが、ひとたび放射能が拡散してしまえば、ワインも畜産も、壊滅的ダメージを受けることになります。豊かな緑の大地の上をつっきる高圧電線を見て、にわかに考え込んでしまいました。

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[シノンの原発から伸びる高圧電線。ひまわり畑やぶどう畑の上を走っています]

モンソロー村で「こんにちは」と日本語で声をかけてきた人がいます。以前、東京に滞在したことのある原発技術者の方でした。小さな村でめずらしく日本人を見かけて、声をかけてくれたのです。素敵なお宅にも招き入れられ、おしゃべりもしたのですが、「フクシマ」の話になると陽気な彼が、急に顔をしかめて「あれは深刻だ。収束に何十年かかるかわからない」と言っていました。「シノンの原発? あれは古いけど大丈夫だよ」と楽天的に言っていたのと対照的でした。

経済的な凋落にともない欧米各国で日本人の存在感が薄らいだのは仕方ありませんが、こと原発問題に関しては世界の注目が日本に集まっているはずです。原発事故という人類共通の課題を抱える国として、正確な状況をできるだけ迅速に、世界に向けて情報発信することが期待されているはずです。あくまで核エネルギーを使い続けるというのであれば、はっきりとその覚悟を表明すべきでしょうし、逆に危機感なり、不安なりの声ももっと強く報道さされてもいいのではないでしょうか。

日本の企業がこぞってオフィスをロンドンに持ち、週末は日本人ビジネスマンたちが車をつらねてイングランドの美しい田舎でゴルフ三昧・・・。そんな邯鄲の夢の再来を願うのではなく、科学技術史上の急所に立つ当事者として、日本人は存在感を持つべきだ、と思いながら帰国の途につきました。

2013年9月 2日 (月)

ロンドンの夏

まつこです。

9月1日、今日からは「気象学的には秋」とBBCの天気予報が繰り返し言っています。今年のイギリスの夏は2006年以来の晴天だそうで、フランスから移動した当初だけ、イギリスらしい雨を経験しましたが、そのあとはずっと青空が広がる良いお天気に恵まれました。

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[サウン・ケンジントン駅近くのサムナー・プレイス]

湿気のない透明な青空の下、チェルシー界隈のよく手入れのされた住宅街を散歩するのが、ロンドン滞在の一番の楽しみです。

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[こちらはキングズ・ロードからちょっとだけ入った住宅街]

この界隈は緑も多いのですが、その多くが居住者専用のプライベートな庭。庭と言っても公園のように広々していて、きれいに刈り取られた芝や花壇にゆったりとした木陰が贅沢な空間です。可愛らしい子供の遊ぶ声が聞こえて、まるで美しい絵本のよう。

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[公園ではなくプライベート・ガーデン]

それが一般に公開されない私有財産の庭・・・というあたりが、イギリスの階級社会のなごりです。

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[柵越しにうらやましく眺めるだけ。入れません]

ピカデリー・サーカスとかレスター・スクエアあたりの人ごみは、巨大ディスプレイがけばけばしい渋谷駅前のスクランブル交差点か新宿、秋葉原あたりと雰囲気はほとんど一緒。ナイツブリッジの高級ブランド・ストリートは、中東か中国のお金持ちがそぞろ歩いています。チェルシーあたりの高級住宅街もロシア人がどんどん住宅購入しているそうです。

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[こちらは誰でも入れる教会の庭]

ロンドンにいて、昔ながらのイギリスらしい雰囲気を経験することは、どんどん少なくなっています。それでも湿度の少ないからりとした空気のさわやかな夏と、必ずおもしろい芝居を見ることができる劇場は、ロンドンの大きな魅力です。

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[花が咲き乱れるロンドンの夏]

住民限定のプライベート・ガーデンを通り過ぎて、誰でも入れるチェルシーのセント・ルーク教会のきれいな庭で、のんびり時間をすごしました。少し涼しくなったさわやかな風の中に、ほんの少し秋の気配を感じる、ロンドン滞在、最後の一日でした。

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[さわやかな空気の中で咲き誇るバラの花]

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[ロンドンの夏の景色]

2013年9月 1日 (日)

The Drowned Man

まつこです。

今回のロンドン滞在の最後の芝居はPunchdrunkという劇団のThe Drowned Manでした。パディントン駅近くの古い大きな建物をまるごと使って、演劇空間に作りかえたところで上演されます。観客は全員、マスクをかぶり、その演劇空間の中を自由に動けけるという趣向の上演です。

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[観客も仮面(マスク)をかぶると演技者の一人になります。写真はNTのHPより]

荷物を持たず楽な靴でくるようにという指定がなされていました。4階だての巨大な建物が、いくつもの空間に分けられいます。真っ暗なところや狭い通路を通って、観客は3時間の間、自由にどこにでも行くことができます。

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[愛憎や暴力の断片が暗闇の中で幻影のように浮かび上がります。写真はNTのHPより]

仮面をかぶることで、観客はただ眺める人ではなく、同じ空間を共有する演技者になります。古い映画の撮影スタジオという設定の空間には、楽屋や衣装部屋があって、いたるところにひび割れたり、曇ったりした鏡があります。不気味な仮面をかぶった自分の姿がしばしば鏡にうつります。虚と実の区分ももはやはっきりしません。

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[古い鏡に自分の姿もうつります]

1960年代の古い色あせた映画スタジが、幻影のようによみがえり、自分もまたその中に吸収されてしまったという感じになります。

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[嫉妬ゆえに愛する女を殺す。この場面も怪しく美しい]

この幻想的な空間で二つの物語が同時に進行しています。愛情と嫉妬と精神的病理の物語です。観客は自由に歩き回るので、必ずしもその物語の展開を順序良く追うことはできません。巨大な空間の中に物語の断片がちりばめられていて、観客はその破片にランダムにまきこまれます。

とてもスリリング!

ちょっと怖くて、不気味で、そう、お化け屋敷に入った感覚に似ています。ただしきわめて洗練された芸術的なお化け屋敷です。

シュールな3時間を過ごした後、外に出てみるとロンドンの遅い夕暮れの空が広がっていました。現実に戻れてほっと安堵したような、同時に幻影の空間から外に出てしまったことが惜しまれるような、くれなずむ空の下で不思議な感覚に包まれました。

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