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2013年8月

2013年8月31日 (土)

Relatively Speaking

まつこです。

今晩はウェスト・エンドの劇場でアラン・エイクボーンの喜劇Relatively Speakingを見ました。ちょっと意地悪な言葉遊びや辛辣な笑いにあふれた、いかにもイギリスらしい軽妙な喜劇です。

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[Relatively Speakingのプログラム]

良く手入れされた庭のある郊外の家の中年夫婦のところに、ちん入してきた若い男女。誤解や思い違いや嘘が交錯して、話が混乱するうちに、夫の浮気や、それに気づいていた妻の意地が浮かび上がってくるという物語です。

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[フェリシティ・ケンドールは今回はこんな奥さんの役ですが]

妻の役をやったのはフェリシティ・ケンドールという、イギリスのベテラン女優です。2度の結婚と、妻のいる劇作家トム・ストッパードとのおおっぴらな恋愛関係で、人生を奔放に生きる女性としても知られています。(ちなみにストッパードとの関係が収束したあと、二人目の夫のところに戻ったそうです。演技だけではなく、恋愛も実力派です。)

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[今年66歳。自分の恋愛遍歴を隠さず語るタイプの女優さんです]

このケンドールが、随所で確実に観客の笑いを誘います。亭主関白な夫ととの長年の夫婦生活の中で、澱のように沈殿している複雑な気持ちを、コミカルに表現していました。とぼけたり、戸惑ったり、ぐっと堪えたり、しっかり反撃したり。自分が浮気をしていながら、妻の恋愛なんて受け入れられないという、保守系の中年男性の欺瞞を表現する相手役のジョナサン・コイも、顔を真っ赤にして怒るほどに、観客の笑いも高まります。

一見、お行儀の良い家庭にひそむ夫婦関係の影の部分を笑いの中にあぶり出す喜劇ですが、1960年代に設定されています。21世紀の今日では、夫婦の間の秘密も嘘も、すぐにむき出しになってしまうので、これほど面白い喜劇にはならないかもしれません。

『ゴールド・フィンガー』や『ティファニーで朝食を』のポスターが貼られたロンドンの若い恋人が同棲するフラットや、マリー・クワント風のミニ・ドレス。郊外の家の白いテーブルクロスや、花柄のコーヒー・セット。開幕前には「1960年代の設定です。携帯電話はなかった時代です。鳴らないように気をつけてください」とアナウンスが流れました。イギリスがイギリスらしかった時代のイギリスらしい喜劇。古き良き1960年代に思いをはせて、ちょっとノスタルジックな気分になった一夜でした。

2013年8月30日 (金)

『エドワード二世』

まつこです。

学生だったときに、授業でクリストファー・マーローの『エドワード二世』という戯曲を読まされたことがあります。同性の寵臣に執着するあまり、国政をないがしろにしてしまう王様の時代を扱った歴史劇です。老教授が「材源となった歴史書では、この王が受けた拷問が、もっと生々しく書かれています。とても女子学生のみなさんにお話できるような内容ではありません・・・」と、意味ありげな微笑みを浮かべていました。

授業の直後、わたしはさっそく図書館へ行き、ホリンシェッドの『年代記』から該当する箇所を探してみました。グロテスクで残酷でエロティックな拷問と、石の建物の中に響き渡る王の悲鳴・・・。純真な女子大生だったわたしは度肝を抜かれました。

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[写真はGuardianより]

今晩は、その『エドワード二世』を見ました。ジョー・ヒル=ギビンズという演出家のナショナル・シアターでのデビュー作品。まだプレビューが始まったばかりです。

博物館の倉庫のがらくたをかきあつめてきたような舞台でした。中世の甲冑姿の人物もいれば、革ジャンやハイヒールの人物もいます。過剰に詩的な台詞を語る王様は、チンピラっぽい男とのホモ・エロティックな関係に溺れ、夫から無視されたヒステリックな王妃はマッチョな黒人に身を任せる。残忍で殺伐としていて、観客に一抹の共感も許さない、ハードな演出でした。

退位させられた王に差し向けられた殺し屋は、王の寵臣ギャベストンと同じ役者が演じていました。王をただれた欲望の世界へと引きずり込んだ男が、最後は残虐な拷問で王を苦痛の果てに殺す。なかなか効果的なダブリングです。

ビニールで包んだ反逆者の首を、まだ幼い新王が高く掲げ上げる結末まで、ずっとアグレッシブな場面が続きます。ハンディ・カメラやマイクで拾った映像も使われていて、スプラッター映画か未編集のドキュメンタリー・フィルムを見ているような気分にもなります。一緒に見に行ったショウガネコさんと二人、いささかくたびれた頭をテムズ川の涼しい風でいやしながら帰路につきました。

マーローってハードボイルドだったのね・・・、と改めて思った一夜でした。

2013年8月29日 (木)

ヴァカンス用の1冊:The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry

まつこです。

ヴァカンスには仕事を持ってきてほしくない!

これは世の多くの妻たちの本音でしょう。しかし「締め切り」があれば仕方がない・・・ということで、うめぞうは遥々フランスはロワールの地まで来て、仕事をしていました。

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[このコーナーは本来、化粧台として使われるものだと思いますが、私たちが滞在した1週間はうめぞうのワーク・スペースとなりました]

わたしの方もするべき仕事がないわけではないけれど、それらはすべて後回しにし、ロワールへはペーパーバック一冊だけを携えて行きました。

このホリデー用の本の選択は、シャンブル・ドットの選択と同じくらい、大切です。貴重なヴァカンスの時間を十分に楽しめる一冊を選びたいものです。わたしはこんな時には、朝日新聞別冊Globeの連載「世界の書店から」でイギリスの担当をしている園部哲さんの記事を、多いに参考にさせてもらっています。

で、今年のホリデーのために選んだのがこの1冊ーー

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[ゆっくりと、心を解きほぐしていく小説でした]

 Rachael Joyceの長編小説The Unlikely Pilgrimage of Harold Fryです。古い友人から突然届いた手紙をきっかけに、イングランドの南の端から北の端まで巡礼(pilgrimage)をしていく60代半ばの男の物語です。

長い日時をかけて歩いていく道のりは、自らの人生を振り返る時間でもあります。人生とは振り返れば、後悔と失意の連続であることが浮かび上がっていきます。一人、家に残された妻も、過去と直面せざるをえません。夫への嘘や自分への偽りが積み重ねられてきた長い時間がそこには横たわっています。

イングランドの小さな町や村の景色、そこで出会う人々、彼ら一人一人にも取り返しのつかない過去の物語があります。各地にはそれぞれの地域色があり、歴史的な遺産もあります。世界がネットワークで瞬時につながり、どこも同じようになってしまったように見えて、イングランドという小さな国の中にも地域の多様性が残っていることを、主人公のゆっくりとした足取りとともに確かめていくことができる小説です。

家族、老い、生、死、信仰、愛情、孤独・・・様々なテーマが浮かび上がるたび、すこし立ち止まって考え込み、そしてまた先に進んで行く。ただただ愚直に進むだけではなく、予想通ににはいかない逸脱や、大きなどんでん返しも組み込まれています。

ヴァカンスのようなゆっくりした時間に、丁寧に読むことができて良かったと思える物語でした。ただイングランドの細かい地名が出てくるので、ちょっと注意が必要です。わたしはしょっちゅうGoogle mapで小さな村や町の名前を確認しながら読みましたが、実は最後のほうにイングランドの地図がのっています。物語の結末を読んでしまわないように気をつけながら、巻末のこの地図を参照すると読みやすいでしょう。

2013年8月28日 (水)

ロンドンでお一人様

まつこです。

「君もたまには一人の時間が必要だよ。ロンドン行って来たら?」

うめぞうにたまにそう言われることがあります。確かにこの年齢になると、老いた母親のこと、そのほかの家族親戚のこと、仕事のこと、今晩の食事、明日の買い物、うめぞうのこと、肌のたるみのこと、などなど常に考えることがたくさんあって、ひとりっきりでぼんやりする時間はなかなかありません。

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[滞在中のアパートのリビング・スペース]

時間に追いかけられるように暮らす日々の微かな疲れが蓄積すれば心身の状態も不安定になり、イライラして、結局、被害をうけるのはうめぞうになります。そんなとき、ぜひとも「ロンドンでお一人様」の時間を持って妻にリセットしてほしい、というのはまことに切なる願いです。

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[部屋は二人まで滞在できる大きさです]

これが「パリでお一人様」でもいいわけなのですが、言葉の問題やら、仕事とのからみやら、買い物の誘惑の危険やら、(ひょっとしてアヴァンチュールの可能性も?)、いろいろあって、まあ「ロンドンでお一人様」というのが妥当なところでしょう。

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[食洗機、電子レンジ、オーブン、食器、調理器具など、とりあえず一通りそろっているキッチン]

あまりのんびり暮らしているわけでもなく、図書館行ったり、留学中の学生に会ったり、趣味と仕事を兼ねて芝居を見たり、あれこれ予定は入っているのですが、それらを含めて24時間の使い方を自分だけで決められるというのが、実にストレス解消になります。

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[バスタブもついていました。ただしこのバスルームの換気扇はヘリコプターの音のようにバタバタうるさい]

今、滞在しているアパートは、決して豪華なところではありませんがサービス付きなので、ベッドもキッチンもちょこっと片付けてでかければ、帰宅時にはきれいになっています。ゴミ捨てもなし。リネン類も週に一度、替えてくれます。食事も食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ・・・ああ、極楽、極楽。

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[洗濯機がついていないと思ったら、クローゼットの中にあってびっくり・・・。狭いクローゼットで音が反響するので、まるでジェット機の離陸時のような騒音がします]

その間、うめぞうも厳しい妻の監視から解放されて、自由を謳歌していることでしょう。フランスから帰って、冷蔵庫にある鰻の蒲焼きを温めてご飯にのせたら、涙がでるほど美味しかったそうです。

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[うめぞうが鰻を食べた日、わたしはステーキを食べた]

気の合うパートナーがいるというのは、実に幸運なことなのですが、だからこそあえてたまには「お一人様」の時間を持ってみるというのは、とても贅沢なことだと実感しています。

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[今晩はもらった白ワインがあったので、サーモンを焼いて食べた。一人でほろ酔い。ああ、パラダイス・・・]

2013年8月27日 (火)

Private Lives

まつこです。

8月の最後の月曜日はバンク・ホリデー。ノッティング・ヒルでは毎年、にぎやかにカーニバルが行われます。この日が来ると、イギリスの夏もそろそろ終わりです。

お天気の良い休日、わたしはイギリスに住む友人夫婦とのんびりランチを楽しみ、夜はウェスト・エンドの劇場でノエル・カワードのPrivate Livesを見てきました。演出はジョナサン・ケント。

似た者同士の元夫婦が、それぞれ二度目の結婚をして、その新婚旅行先で偶然出くわしてしまう。焼けぼっくいに火がついて、新しい配偶者を放り出して二人で逃げ出してしまうものの、結局はけんかばかり。そんな腐れ縁の男女エリオットとアマンダの、甘くて苦い関係を、洒脱な台詞の連続で描きだしている喜劇です。

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[写真はGuardianより]

演じるのはマギー・スミスの息子のトビー・スティーヴンス。真面目で神経質そうな顔立ちでちょっとシニカルなエリオットでした。

一方のアマンダは、映画『フォー・ウェディングズ』でヒュー・グラントに結婚式の祭壇でふられる役をやったアンナ・チャンセラー。強気な外見と、もろい内面を、自覚している大人の女性をうまく演じていました。

軽佻浮薄なコメディのようでいて、中年男女の心理のかけひきの裏に潜んでいるエゴが鋭くえぐり出されます。エレガントでありながらラディカル。こんな洗練された喜劇は、大人の休日の夜にこそふさわしい。こういう劇の面白さは若い子にはわからないでしょうね、フフフ、とちょっと余裕の笑みを浮かべて劇場をあとにしました。

(注:わたしも20代の時にこの喜劇を読んで「面白い」と思っていましたが、いやいや、あの頃にはわかっていなかった・・・。)

2013年8月26日 (月)

紅灯の巷:A Mad World My Masters

まつこです。

ストラットフォードではもうひとつ芝居を見ました。トマス・ミドルトンというシェイクスピアと同時代の作家の喜劇A Mad World My Mastersです。ところがプログラムを買ってみると、登場人物の名前が違っています。この17世紀冒頭の喜劇の舞台を1950年代のロンドンのソーホーに移すという大胆な演出でした。

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[1950年代のソーホーはまさに紅灯の巷。写真はthegoodreview.co.ukより]

第二次世界大戦が終わったあと、人々の価値観も大きく変わりました。1950年代から60年代にかけては性的なタブーがどんどん崩された時代です。そんな時代の変わり目で欲望がうずまくソーホーは、まさに「マッド・ワールド」。酒と音楽とセックスにあふれた狂乱の街。

・・・というふうに、ミドルトンの喜劇をわかりやすく演出しています。ただし「改作」ではなく「編集」。ずいぶん短くカットされていますが、台詞そのものはあまり変えていません。人物名については、もともとダジャレになっているので、現代でも通じるジョークになるように変えてあります。たとえば妻の浮気を過度に警戒しても結局寝取られてしまう夫は、原作ではHarebrain(「知恵足らず」というような意味)ですが、この演出ではLittledickという名前に変えられています。意味は・・・下品でとても訳せません。

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[写真はIndependentより]

生バンドをバックに黒人歌手がジャズやリズム&ブルースを歌うのに合わせて、次から次へと金をまきあげ、女をだまし取り、欲望全開のドタバタ喜劇がスピーディに展開していきます。かなり露骨で下品な場面も、あっけらかんとした笑劇に仕立てられているので、思わずゲラゲラ笑ってしまいます。

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[写真はTelegraphより]

変装、女装、アリバイ作り、強盗、劇中劇なんでもあり。今にも破綻しそうなスリルの連続を笑いながら見ていると、舞台下に大道具をしまい込むトラップドアが故障して、劇が中断してしまいました。黒服の裏方が出て来て不具合を直し、何事もなかったかのように平然と喜劇が再開したのを見て、「ひょっとしてこれも演出の一部かも・・・」と思うほど、劇場エンターテインメントの手の内を最大限並べて見せた喜劇でした。

再終幕は17世紀ジャコビアンの衣装というドレス・コードつきパーティという設定で、ミドルトンの時代の喜劇として終わるという趣向までついています。

複雑な騙しのネットワークの要所になる男女、Follywit(リチャード・ゴールディング)と娼婦(セアラ・リッジウェイ)は、いずれも若い俳優ですが実に達者で、イギリスはまだまだ若くて良い役者が出てきているのだな、と改めて思いました。

ところが観客席はシルバー世代で一杯です。1950年代の古き良きジャズ・ナンバーが流れると、一緒に歌いだしちゃう人もいます。最近、イギリスの劇場に行くと、観客の高齢化が顕著です。

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[今回泊まったのはFalcon Hotel]

泊まったホテルにも老人世代の宿泊客が目立ちました。「老人ホームに入ったけれど、26人中、歩いて町まで出ていけるのは僕だけなんだ。半分の人は部屋から出られない状態で。友達ができず残念だ・・・」なんて会話をしているのが耳に入ってきました。

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[Folcon Hotelの内部]

観光客であふれているストラットフォードの町ですが、若い家族連れはボートに乗って写真とって帰って行き、劇場まで足を運ぶのはだんだんお年寄りばかりになっているようです。ミドルトンの『マッド・ワールド』には、欲望に身体が追いついてこないおじいさんも登場していましたが、こういうのを見て笑うのは、やっぱり大人の娯楽なんでしょうかね。この老人たちもかつてはソーホーで遊んでいたのかな・・・なんて思った一夜でした。

2013年8月25日 (日)

『オセロー』と『ハムレット』

まつこです。

正直に告白しましょう。わたしはシェイクスピアの悲劇がちょっと苦手です。密度の濃い言葉を真剣に3時間くらい聞き続けることを考えると、「重いし暗いし・・・」と劇場に向かう足どりもやや重くなります。

でも行ってみると、「やっぱりおもしろかった」と再認識して帰路につく、ということもあります。今回のナショナル・シアターの『オセロー』はそんな上演でした。

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[写真はGuardianから]

ニコラス・ハイトナー演出の設定は現代の戦場です。女性兵士もいれば、黒人兵士もいます。休憩時間にサッカーやったり、ときどきビールを飲んで気晴らししたり、普通の若者たちが迷彩服を着て、コンクリートの基地で生活しています。

そんなところに、上官が一人、天真爛漫なお嬢様を新婚の妻として連れてくれば、火種のもと。どんな立派な将軍でも、若者たちの抑圧されたエネルギー(すなわち性欲)が飽和状態になっている基地に、一人だけ新妻を連れてきたらまずいじゃない・・・と懸念していると、やはりあっという間に悲劇が起きてしまいます。

エイドリアン・レスター演じる黒人の将軍オセローは、堂々とした態度と朗々とした声と明瞭な発音でいかにもエリート軍人。一方のロリー・キニア演じるイアーゴは、エスチュアリーと呼ばれるような労働者っぽい英語を話し、パブで飲んだくれているあんちゃん。保守系タブロイドのThe Sunを読んでいそうな感じ。

こうした社会的枠組みを設定した中で、二人の実力派俳優が、真正面からぶつかりあいます。あっけなく人格を崩して転落してしまうヒーローと、冷ややかな憎悪に突き動かされるニヒルなアンチ・ヒーロー。その対立が一瞬の緊張感のゆるみもなく演じられました。

やっぱりシェイクスピアの悲劇もおもしろいわ!

久しぶりにロンドンのナショナル・シアターで、スタンディング・オベーションで役者たちに熱い賛辞を送る観客に囲まれながら、軽い興奮を感じて帰路につきました。

で、その2日後が『ハムレット』。

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[曇りときどき雨、はかない薄い青い空が時々のぞくという、イギリス的なお天気の中、ストラットフォードまで出かけました]

『ハムレット』やるなら、いちおう見ておこうかな・・・、と思ってストラットフォードまで出かけました。

こちらは残念ながら、何をやりたい演出なのかよくわからない、という舞台でした。舞台は1960年代あたりに設定されているようなのですが、その時代設定の意図がまずわからない。フェンシングのマスクが繰り返しモチーフとしてつかわれていて、紳士淑女がマスクをしてダンスをする場面もあるのですが、「素顔を見せない偽善性の表現かな?」と思いながらも確信が持てず、クローディアスと殺されたハムレットの父親の亡霊を同じ人が演じているのですが、この一人二役の意図もわたしにはよくわからなかった・・・。

ただし役者さんがすごくうまいことはわかりました。

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[写真はGuardianから]

母親との関係では、ハムレットの愛着が過剰に強い一方で、きわめて冷酷にもなる。おどけていたかと思うと、あっというまに絶望的な暗い気分に沈み込む。ハムレットはひょっとして統合失調症で、ハムレットの頭の中で起きていることを全部見せられているのではないか、という気分になってきます。制御できない気分の激しい変化を、身体も映し出すように、体も動かし続ける様子に圧倒されます。

ハムレットを演じたのはジョナサン・スリンガー。髪もちょっと薄くなりかけていて、背も高くなく、決して二枚目俳優ではないのですが、また見てみたいと思う役者でした。

2013年8月23日 (金)

二都物語

まつこです。

ロワールからパリに戻って、数日、滞在したあと、うめぞうは東京に戻り、わたしはロンドンに移動しました。

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[パリは快晴。『考える人』もこんな青空の下では悩みもなくなりそう]

ロダン美術館に行ったり、カフェでワインを飲みながら通りを行く人々を観察したり、ホテルの部屋で仕事や読書をしたり、楽しい時間を過ごしました。

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[昨日まではパリのこんなおしゃれなところでシャンパンなど飲んでいたのに・・・]

飛行機が遅れたり、空港から市内へ入る道が渋滞したりで、ロンドンのアパートについたら夜でした。近所のコンビニみたいなスーパーしか開いていなくて、食べたのは結局こんなもの。

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[Sainsburyで買った卵とクレソンのサンドイッチとクリスプス。ヨーグルトはギリシャ風のこってりしたものでおいしかったです]

英仏の食生活の違いを切実に味わったあと、目が覚めてみるとこんな天気・・・。

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[全体が灰色]

やっぱり雨。ロンドンでのまず最初の買い物は傘でした。パリとロンドン。飛行機ならわずか1時間の距離ですが、その違いはいろんな面で大きい・・・。

アパートの部屋にはwifiの設備がなく、わたしのMacBook Airはイーサーネット用のポートがないので、やむなくリージェント・ストリートのアップル・ストアまで行ってthunder bolt用のアダプターを買ってきました。

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[このアダプターを買うために、リージェント・ストリートの人ごみをかきわけかきわけアップル・ストアまで出かけました。ああ、くたびれた・・・]

素っ気ない部屋をちょっと明るくしようとお花も買ってきました。あとはスーパーのWaitroseに行って塩、胡椒、オリーブオイル、果物、チーズ・・・。

塩胡椒とネット環境が整えばこれで準備万端。これからしばらくロンドンでのお一人様生活を存分に楽しみます!

2013年8月21日 (水)

モンソロー村で食べたもの

まつこです。

忘れないうちにモンソロー村での食事を記録しておきます。

1日目(月曜日)

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[Restaurant Diane de Meridor]

こちら村の自慢のレストランです。内装もおしゃれです。窓からロワール川も見えます。

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[デニムにポロシャツみたいな格好は私だけ。他の女性たちはみなリゾート用ワンピースみたいな感じでした]

まだ時差ボケのうめぞうは寝癖だらけで行ってしまいました。「しまった!」と後悔しきり。でも美味しいもの食べている間にそんなこと気にならなくなりました。

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[ソミュール・シャンピニー]

赤ワインのソミュール・シャンピニーを飲み、ロワール・ワインの美味しさに開眼。

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[前菜はシャンピニオンとサーモン。レタスの下にソースで和えた薄切りのマッシュルームがあります]

この前にスイカのジュースと鴨の薫製がアミューズで出て、それも美味しかったです。

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[メインはチキン。つけあわせはリゾットなどちょっと南欧風]

田舎の村のレストランと思って行ったら、ヌーベル・キュイジーヌというのか、妙におしゃれな料理でした。

2日目(火曜日)

宿のおばちゃんフランソワーズに勧められたクレープ屋さんに行ってみました。

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[La Dentelliere]

こちらのクレープ屋の魅力のひとつは女主人。ちょっとクールでいかした人でした。娘さんらしき若い女性は、ちょっと照れ屋の可愛い子。なかなか絶妙なコンビネーションで、うめぞうはすっかり気に入ってしまいました。
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[川の景色も素晴らしい]

川沿いを走る道路沿いにあるお店ですが、次々とサイクリングを楽しむ人たちが通りすぎていきます。フランス人って自転車好きですね。

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[うめぞうのとったサーモンとディルのソースのクレープ。奥の方に見えるのは私がとったシンプルなハムとチーズと卵のクレープ]

おいしいクレープでした。量もたっぷりで、大満足。

3日目(水曜日)

宿のおばちゃんフランソワーズが「景色はいいけれど、料理はダメ。でも景色は抜群」と勧めているのか、警告してくれているのかわからない紹介の仕方をしてくれたのは、宿から徒歩30秒で行ける最寄りの店、Le Montsorelli。

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[確かに景色は抜群。でもなかなか食事がこないのでお腹がすいてきたうめぞう]

確かに景色は抜群。混んでいるので、サービスに時間がかかりますが、城と川と空の素晴らしい景色を眺め、さわやかな風に吹かれていれば、気にならなくなります。

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[前菜の野菜の盛り合わせ]

お料理は確かに特筆すべきところなし。素朴な野菜の盛り合わせが前菜で、ステーク・フリットがメイン。食べ終わった後、うめぞうは「和牛ってやっぱり美味しいんだね」と言いました。

4日目(木曜日)

宿のおばちゃんフランソワーズが、隣村だけど近いし、すごくおいしいと勧めてくれたレストランAuberge de la Route d'Or。前日に散歩に来たときに予約しておいて正解でした。祝日と重なって、超満員。

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[シノンの赤ワイン]

カンド・サン・マルタンの教会の前の広場にテーブルを出しています。雰囲気も抜群。

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[うめぞうの前菜はサーモンと軽いフレッシュチーズのソース]

サーモンの香りのつき方と軽いチーズのソースがよくあいます。

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[私の前菜はフォアグラ]

添えられているチャツネやフルーツのソースとフォアグラがぴったり。日頃、フォアグラがあまり好きではないうめぞうも一口食べておいしいと言っていました。

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[うめぞうのメインは羊]

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[わたしのメインは鴨]

メインの肉料理も肉の滋味と焼き加減がすごくよくて、付け合わせの野菜もどれもおいしい。人参を細く切って揚げたものなど凝っていますが、素材の味がしっかり残っています。

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[食事をしている間にとっぷりと日が暮れました。背後に見えるのが教会とお店の灯り]

予想をはるかに超えるおいしいお料理がいただけ大々満足でした。

5日目(金曜日)

ごちそうが毎日続くと身体が疲れてきます。特についついおいしいのでワインを飲み過ぎてしまうので、このあたりで休肝日をもうけようということになりました。

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[村でただ1軒の肉屋]

村の肉屋には焼いたお肉やサラダなどお惣菜も売っています。

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[村でただ1軒のパン屋]

この村のパン屋のパンはすごくおいしい。お菓子も甘みがあっさりしていてすごくおいしいです。

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[買ってきたものを庭のテーブルに広げてピクニック]

買ってきたもので簡単な食事をしようとしたら、犬が寄ってきました。それは・・・

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[豚のロースト、人参のサラダ、ポテトとゆで卵のサラダ]

好物の骨がお目当てです。フランソワーズに聞いたら、一本だけならあげていいとのこと。わたしのをあげたら、狂喜しながら一瞬にして食べてしまいました。犬と一緒の楽しい夕食でした。

6日目(土曜日)

この日がモンソロー村での最後の食事になります。他にもまだ2、3軒お店はあるのですが、わたしたちは2日目のクレープ屋にまた行きました。

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[さっぱりおいしいスパークリング・ワイン]

今回、モンソロー村での滞在で気づいたのは、単にBrutとだけ呼ばれている発泡性の白ワインの美味しさです。さっぱりしていて、飲むときゅっとお腹が空いてきます。食前酒にぴったり。うめぞうは白ワインの美味しさを再認識したと言っています。

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[うめぞうはほうれん草とサーモンのクレープ]

辛口のワインも、ちょっと甘口のワインも、滑らかに喉をとっていき、いくらでも飲める気がしてしまいます。

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[火をつけてもらっても、まだ明るいので炎が見えなかったクレープ・シュゼット]

さらにしっかりとしたボディの赤ワインが続けば、毎晩、気持ちよくほろ酔い気分。少し熱くなった頬に川の涼しい風が気持ちよい夜。都会の高級レストランでなくても、これ以上ないほどの豊かで贅沢な食事をしたと実感した1週間でした。

コメントありがとうございました

ショウガネコさん、コメントありがとうございました。

実のところ、今回は調査も計画もあまりしておらず、あてずっぽうで選んだ目的地だったのですが、何もかも期待以上に楽しめました。フランスの田舎の食生活の豊かさや田園風景の美しさや歴史の複雑なおもしろさゆえだと思います。

東京を出るとき体調不良だったため、荷物を軽くしようと、暖かい服をあまり持って来ていません。傘すら忘れてきてしまいました。ロンドンのお天気を心配していたのですが、温かいと聞いて安心しました。こちらこそお目にかかるのを楽しみにしています。

2013年8月20日 (火)

フランソワーズ

まつこです。

モンソロー村での1週間の夏休みも終わってしまいました。今回も泊まったのはシャンブル・ドット(民宿)です。部屋が3つしかない小さな宿です。

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[La Forgeというのが宿の名前]

このシャンブル・ドットはフランソワーズという60代後半の女性がやっています。南仏出身で、パリでロシア系の二世と結婚し、アメリカ企業で働いていたけれど、早くに夫を亡くし、60歳になったときパリからこのロワールの村に引っ越して来て宿を始めたそうです。

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[宿の主のフランソワーズと一緒に]

・・・こんな話まで聞けたのは、滞在の前半はお客が私たち一組だけで、宿の主のフランソワーズと親しくなったから。

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[部屋の内装は素朴ですが、まだ新しいので清潔感があります。お風呂にも熱いお湯がじゃんじゃん出て、バスタブの他にシャワーブースもあり快適でした。Wifiも使えました]

3人の娘はいるけれど、それぞれの生活がある。でも誰かと毎日、話をしたい。パリの生活は慌ただしくてくたびれた。英語が話せるからそれを活かせないか・・・というわけで、決心してロワールのこの村を選び、岩をくりぬいた鍛冶屋跡の古い家を買って、大改装して宿を始めたのだそうです。

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[フランソワーズが毎朝おいしい朝食を用意してくれます。絞りたてのオレンジジュースと焼きたてのパンとたっぷりのコーヒー。近所の農園で採れたイチゴとヨーグルト]

世話好きで、私たちが小さな村で退屈しないかと心配し、毎日、あれこれ提案してくれました。ボートに乗ってみたら? フォントヴローには行かないの? ロワールには見るものがたくさんあるのよ。はるばる日本から来て村にばかりいちゃダメよ・・・。

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[おいしすぎてやめられない・・・と言ったら、フランソワーズから「休暇だもの。たっぷり食べなさい」と笑われました]

私たちは村でのんびりするだけでも十分楽しい夏休みだったのですが、フランソワーズに会うたびに、「どこに行くの? 車で送ろうか?」と聞かれるので、ちょっと苦笑いしてしまいました。

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[毎朝、朝食には手作りのケーキが用意されていました]

若い頃、合気道をやっていたそうで、日本にも来たことがあるそうです。

このように闊達なフランソワーズですが、ぽつりと弱音をはくこともありました。「年をとるとパリの生活も大変だけど、村の生活も大変よ。この村には医者は一人いるけれど、薬屋もないし・・・。寂しいし・・・。」

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[フランソワーズは娘さんの犬を夏の間預かっています。うめぞうは大の犬好きなので、すっかり犬とお友達になりました]

寂しさを感じながらも、子供に頼らず、やれるところまで自分の力でやってみようという意思を持っているフランソワーズ。観光客が少なくなった秋には、家族や友人に会いに旅に出かけるそうです。

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[車で送ると言い張るフランソワーズ。必ずまた来ますと、挨拶するうめぞう]

最終日にタクシーを呼んでと頼んだら、自分の車ででソミュールまで送ると言い張ったフランソワーズ。ソミュールの駅で、何度も何度も手を振りながら去って行く車を見て、「絶対また来ようね」とうめぞうと約束しました。

追記:ここだけの秘密

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[この瞬間接着剤はよくくっつきました]

うめぞうは部屋の鍵についていた大きなキーホルーダーを靴べら代わりに使おうとして割ってしまいました。あ〜!割れちゃった・・・。うめぞうは村で唯一の小さいスーパーで瞬間接着剤を買って直しました。フランソワーズには内緒です。

2013年8月19日 (月)

日曜日のマルシェ

まつこです。

モンソロー村では日曜日に市(マルシェ)が開かれます。川沿いの広場に大勢の人たちが集まってきました。

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[野菜屋さん]

野菜を売っていた夫婦は写真をとってもいいかと聞いたら、恥ずかしそうにしていました。

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[果物屋さん]

果物はどれもみな色が濃くて美味しそう。

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[魚屋さん]

魚屋の種類が予想以上に多くてびっくりしました。

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[貝、エビ、蟹だけをうるお店]

甲殻類と貝の専門店もありました。

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[パン屋さん]

パン屋さんはいつもの村のパン屋さんですが、とりわけ大きなパンをたくさん焼いて山のように積み重ねて売っていました。

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[陽気なサラミ屋さんと一緒に村人の注目を集めたまつこ]

お肉類は村の肉屋の他に、鳥類の専門店とサラミの専門店がありました。このサラミ屋のおやじさんは陽気で、手招きしてどんどん(むりやり)試食させたあと、肩組んで記念写真撮影、さらにはほっぺたを突き出してキスまで求めてきました。

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[私が買ったのはこれ]

私は何か記念になるものをと思って、おばあちゃんがやっているアクセサリーの屋台で、小さな人形の形をしている銀のチャームがついたブレスレットを買いました。

宿のおばちゃんに、「何を買ったの?」と聞かれたので腕を見せると、「これはロワールの名物じゃないじゃない」とあきれられました。いいんです。思い出になるから。

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[つやつやと輝く野菜がずらり]

他にも蜂蜜屋さん、チーズ屋さん、ヤギのチーズ専門店、リモージュの白い食器のお店、お洋服屋さん、花屋さんなどなど。ベッドのマットレスまで並べて売られていました。

村には小さなスーパーが一軒と、肉屋が一軒、パン屋が一軒、お店はそれだけです。薬屋も本屋も郵便局もありません。だから日曜日になると、村の人たちはみなこのマルシェにやってきて1週間分の野菜やチーズを買って行きます。大きなエコバッグにたくさん買い物して、それをぶら下げながら、にぎやかにおしゃべりしていました。マルシェは村の生活の大切な一部なのだということがよくわかりました。

2013年8月18日 (日)

ソミュール城

まつこです。

ロワール川流域には無数の古城があります。古城巡りツアーなどもあるのですが、私たちはのんびり過ごしたいし、たくさん見てもどれがどれかわからなくなりそうなので、今回は隣の町のソミュールのお城見学だけしました。

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[小さいけれど形の良いソミュールの城]

もともとはノルマン人の襲撃を警戒して建てられた要塞で、それがやがて11世紀にアンジュ公のものとなり、その後、次第に城としての形を整えていったようです。

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[城の周辺はぶどう畑が広がっています]

見た目は優雅ですが、戦いのための要塞だったり、その後、兵舎や監獄として使用されたり、城というのは残酷な歴史が残した遺産なのだと思いました。

現在は博物館として使われていて、18世紀の陶器のコレクションが展示されていました。はるばる海をわたってきた柿右衛門も飾られていました。ソミュールには国立の馬術学校もあるので、古い立派な馬具のコレクションもありました。

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[高台の城から町とロワール川がよく見えます]

モンソローからソミュールまではバスで20分ほどです。モンソロー村の人口500人に対して、ソミュールは3万人。しゃれたブティックやサロン・ド・テなどもあります。数日間、静かな村で過ごした目には、立派な都会に見えました。

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[おしゃれなサロン・ド・テでひとやすみ。紅茶をたのんだら日本の南部鉄の急須で出てきました]

ソミュールはココ・シャネルの出身地。19世紀末、厳しい貧困の中で少女時代を過ごしたそうです。マロニエの木陰と高台にそびえる美しい城とロワール川の景色の中で、シャネルは貧しさから抜け出す日を夢見ていたのかもしれません。

2013年8月17日 (土)

祝日を楽しむ人々

まつこです。

水曜日あたりから村に観光客が増えてきたな・・・と思っていたら、木曜日8月15日が聖母被昇天祭(Assomption)でフランスは祝日でした。この数日は、家族連れで田舎に出かけたり、キャンプを楽しむ人たちがひときわたくさんいるようです。

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[自然の景色になじむデザインの船です]

そんな休暇を楽しむ家族連れにまじってロワール川のボートに乗ってみました。

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[モンソロー城を川から見たところ]

船は陽気なお兄さんが操縦しながら、周辺の景色や歴史のことを説明してくれます。

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[隣村のカンド・サン・マルタンの教会]

といっても、全部フランス語なので全然わからない・・・。

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[説明の内容はよくわらかないが、他のお客さんが見る方向を一緒に見て調子をあわせているうめぞう]

フランス語ができない私たちのために、乗船時の安全確認のさまざまな注意は、ひょうきんな身振り手振りで教えてくれました。その様子を見て、フランス人の乗客たちが笑っていました。

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[甲板の上は家族づれでいっぱい]

ボートの上だけではなく、水上や河畔にはそれぞれに休日を楽しむ人たちがたくさんいました。

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[中州で水遊びする人たち]

隣村のカンド・サン・マルタンはロワール川と支流のヴィエンヌ川の合流地点です。その中州では水遊びをするパラソルがたくさん見えました。

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[ゴムボートを連ねた若者たち]

すっぽんぽんではしゃいでいる若者グループを見つけた時は、ボートの上から皆がいっせいにはやしたてていました。

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[カヌーの赤い色が水にはえます]

短い夏の強い日ざしを精一杯全身で浴びようとしているフランスの人たちの夏休みをかいま見た一日でした。

コメントありがとうございました

Pukiさん、コメントありがとうございました。

モンソロー村ではときどきイギリス人旅行客を見かけます。イギリス人が多いのは、フォントヴローのリチャード一世とアリエノールの像を見にくるからだと、宿のおばさんが教えてくれました。リチャード一世は生涯で6ヶ月くらいしかイングランドに滞在せず、英語があまり話せなかったそうですが、イギリス人にとってはやっぱり英国史上の英雄なんでしょうね?

2013年8月16日 (金)

フォントヴロー修道院

まつこです。

モンソロー村から5、6キロ離れたところにフォントヴロー修道院があります。ラディカルな教会改革者ロベール・ダルブリッセルによって始められた修道院です。最盛期には男子用修道院、女子用修道院のほか、ライ病患者用、その他の病人用、元娼婦用と5つの修道院を擁する大修道院だったそうです。

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[白い壁と青い屋根が雲一つない夏空にはえています]

新教のユグノー教徒に破壊され、フランス革命で閉鎖され、19世紀以降は牢獄として使われていたのだそうです。現在は修復されて公開されています。

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[いよいよ修道院入りするまつこ]

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[教会の内部]

この修道院に来ると皆が必ず見るのは、イングランド王リチャード一世とその母アリエノール・ダキテーヌの寝像です。

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[リチャード一世は数々の戦いの後、この修道院に埋葬されました]

リチャード一世は獅子心王(ライオンハート)と呼ばれた勇猛果敢な中世の王。十字軍の遠征を何度も率いた英雄とされています。

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[こちらはアリエノール・ダキテーヌとヘンリー二世]

この息子以上に強烈なキャラクターが母のアリエノール・ダキテーヌ。人並みはずれた美しさと知性以上に、超人的フェロモンの持ち主だったようです。フランス王妃だったのち離婚し、イングランド王妃となり、その間、12歳の少年だったイスラム教徒のサルタンまで恋人にしてしまう大物ぶりです。

ライオンハートのリチャード一世と、失地王と呼ばれるジョン王は、ともに彼女の息子。82歳という長き生涯ののち、この修道院でシスターたちに囲まれて亡くなったそうです。

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[修道院の回廊。ここが牢獄として使われていた時代、この回廊を見下ろす2階の一室に小説家のジャン・ジュネが収監されていたそうです]

というような歴史を知ると、遺跡見学もずっと面白くなります。この修道院ができた頃はこのあたりはイングランド王の領地でした。

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[修道院の台所だったと推定されている部分。十字軍遠征の結果、イスラム文化の影響を受けてこのような他部分と異なる様式で建てられたそうです]

・・・しかし少し勉強し始めると、イングランドもフランスも同じ名前の王様ばかりで、だんだんこんがらがってきます。 「なんでこんなにシャルルばかりたくさんいるんだ?このヘンリーとあのアンリは同じ人、それとも違う人?」と混乱してしまうのです。

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[モンソロー村を散歩しているときに、近所のおじいさんに「フォントブローに行ったら必ず教会の後ろに回ってみなさい。そこが一番きれいだから」と教えてもらいました。ここがその教会の裏側です]

フランスの子供たち(大人も?)も同じように混乱するらしく、お城や修道院のお土産屋には必ずといっていいほど歴代国王の系図をデザインしたポスターや歴史の絵本などが売っています。みんな苦労しているのね・・・。

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[修道院の庭に咲いていたコスモスやポピー]

真っ青な空の下、様々な色で咲き乱れる花々とそこを飛びかう蝶々を眺めていたら、歴史の勉強はどうでもよくなってきました。アリエノールもリチャード獅子心王もロベール・ダルブリッセルも、そして数えきれない無名の人々も、「見ていた空はおんなじだよね〜」と、悠久の時の流れに思いをはせたのでした。

コメントありがとうございました

Pukiさん、コメントありがとうございます。

うめぞうも「Pukiちゃんと一緒に読んだ戯曲に関係した村で良かったね〜」と言っています。

この旅行をきっかけに少しはフランス史の知識を増やしたいと思ったのですが、シャルルとアンリとルイばかり何人も登場してお手上げ状態です。こちらのアンリがあちらのヘンリーだったり、こちらで離婚した王妃があちらの王妃になったり、ややこしや、ややこしや。

2013年8月15日 (木)

モンソロー城の物語

まつこです。

数多くの古城が建つロワール川流域はユネスコの世界遺産に指定されています。フランス史にも城の建築様式にも詳しくないないので、せめて滞在する村のモンソロー城については、その由来くらい知っておこうと予習してみました。

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[川べりに建つ小さな城モンソロー城。手前にはHotel Bussyというのが見えます]

この城を舞台にしたデュマ作の『モンソローの奥方』が有名なのだそうです。アンリ三世の宮廷で繰り広げられる陰謀と恋愛の大長編小説。美しいディアーヌは誘拐され、モンソロー伯爵との強引な結婚のあと幽閉されてしまうが、実は彼女には若く勇敢な恋人がいた。その名もビュッシー・・・。

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[見学してみましょう。泊まっている宿からお城まで徒歩1分。なにせ小さな村ですから]

ここまで調べて、このデュマの小説に出てくるヒーローのビュッシーが、17世紀のイングランドの作家ジョージ・チャップマンの悲劇『ビュッシー・ダンボア』の主人公と同一人物であることに気づきました。チャップマンの戯曲に登場するビュッシーは、プライドが高く、欲望にまみれた宮廷文化を軽蔑しながら、野心にかられてやがて破滅するアンチ・ヒーローです。一方のデュマの小説では愛する女性のために命をかける高潔なヒーローに作り上げられているようです。

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[ロワール川の流れを見下ろしながら若き恋人に思いを馳せる人妻の気分にひたってみる]

フィクションは史実に忠実とは限りません。歴史をそれぞれに脚色して独自の個性を持った人物を造形していくのが文学です。

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[城の窓辺で妻の恋に悶々と悩む伯爵の気分を想像してみるうめぞう]

私のこうした説明を聞いて、「君はそのチャップマンの戯曲を読んでいたからモンソロー村に来ることに決めたんだね」とうめぞうは納得していましたが、それは全くの誤解です。チャップマンの戯曲ではビュッシーが密通する夫人は「モンサリー伯爵」の奥方となっています。私はこのモンソロー村がチャップマンの悲劇に関係しているとは、つゆ知りませんでした。

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[モンソロー伯爵夫人の本当の名前はフランソワーズ。この伯爵夫人の名を冠した通りもあります]

美しい静かな村でロワール・ワインがたくさん飲める。それだけを期待してやって来たら、ビュッシー・ダンボアの恋物語がおまけについてきたみたいな感じです。

この村には「ビュッシー・ホテル」とか「ビュッシー小路」とか、いろんなところにビュッシーの名前が使われています。美しい村で過ごすうちに、ビュッシー・ダンボアのイメージは、イギリス文学史の中の血なまぐさい悲劇に登場するマッチョな主人公から、一途な恋に身を投じる勇気ある剣士に変わりました。

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[ビュッシー小路とフランソワーズ通りの二つの小道が出会う三叉路]

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[この三叉路は、「愛の象徴」とされているとのことです]

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[この愛の出会う場所でリハビリ代わりの散歩をする老夫婦を見かけました。不自由な身体で懸命に歩く夫と、それをさりげなくエスコートする妻。ちょっとほのぼのした一場面でした]

2013年8月14日 (水)

フランスの美しい村

まつこです。

今回の旅行先は「フランスの最も美しい村」の一つを選びました。「フランスの最も美しい村」は、景観と歴史・文化遺産を守りながら小さな村の観光を活性化するために1982年から始まった全国組織だそうです。1)人口2000人以下、2)文化的な遺跡・遺産が2カ所以上保存されていて、3)住民の同意が議会で承認されている、という3条件がそろったところで厳格な審査を経て、「美しい村」として認定されるのだそうです。現在157の村がこの組織に加入しているそうです。

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[川と岩山にはさまれた細長い村なので、細い坂がたくさんあります]

この157の村から、暑さの厳しい南仏を避け、車がなくても比較的行きやすく、宿がまだ空いているところで選んだのが、今回の休暇の目的地モンソロー(Montsoreau)です。あわてて計画を立てたため、うめぞうなどは出発直前まで(出発後も?)、「僕たちは何ていう所に行くんだっけ?」という程度の認識でした。私もあまり下調べしていなくて、「ま、とりあえず行ってみよう・・・」というノリでやってきました。

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[村のいたるたるところに花がたくさん]

でも確かに「美しい村」でした。

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[花の街コンテストでも3つ星を獲得しています]

人口は500人前後、面積は5キロ平米程度の小さな村です。

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[川と岩山にはさまれた細長い村]

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[石灰岩を採石した後の岩穴がたくさんあります]

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[畑もきれい]

散歩していたら、こんな名前の小道がありました。何も知らない村に来たつもりだったのですが、実は少しは知っているところでした。

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[ビュッシー・ダンボア小路]

ビュッシー・ダンボアといえば・・・(続く)。

2013年8月13日 (火)

コメントありがとうございました

フランスからはコメントが書き込めないので、こちらに書きます。

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

私は観光名所より人間観察の方が好きなんです。パリのブルジョアおばあちゃまたちが、朝からばっちりお化粧して貫禄十分なおしゃれでカフェにいるところなんか見ると、わくわくしちゃいます。

田舎に来てもリッチなお年寄りは見かけました。そこまで富裕でなくても、年配の人たちがヴァカンスや日常生活を楽しんでいる様子が目立ちます。若い人たちは仕事が忙しいか、失業しているか、どちらかなのかもしれません。


Pukiさん、コメントありがとうございます。

その聖母子像、今まで見ていませんでした・・・。なぜかこの教会に来るのは、いつも日曜日で、信者の方たちに混じって、言葉がわからないままミサに参加させてもらいます。週明けにパリに戻ったとき、ぜひその聖母子像を見てみようと思います。

たいへんな猛暑になっているようですね。Pukiさんもイギリスに避難なされば良かったのに。お身体に気をつけてね!

フランスの小さな村

まつこです。

最近はインターネットで様々なものが手配できるようになりました。ヨーロッパの列車の乗り継ぎ時刻表を調べ、指定席を買っておく、というようなことも簡単にできます。

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[苦労して手に入れた切符で出発]

しかし、予想外のトラブルに見舞われるのも旅の醍醐味。パリのモンパルナスの駅に行って予約した切符を発券しようとしたところ、オンライン・システムの不具合で自販機が全部ダウンしているとのこと。窓口で発券してもらうように言われましたが、見ると長蛇の列。駅職員は不機嫌そうな表情で働いています。動作も実に緩慢。いったいいつになったら順番がまわってくることやら・・・。ヨーロッパに来たんだな、と実感するのはこんな時です。

ま、結局、一部動いている自販機があると判明し、なんとか手に入れた切符で向かった先は・・・

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[滔々と流れるこの川は?]

ロワール川のほとりの小さな村です。

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[川と城]

今年は旅の計画を立てるのが遅くなり、職場に海外渡航の申請をする期限がせまってしまいました。何の予備知識もなく、いろいろ調べている時間もなく、Google mapとTripadvisorを見て適当に選んだ村です。

このよく知らない小さな村で、読書と昼寝とワイン三昧の1週間を過ごそう、とはるばる日本からやってきました。

2013年8月12日 (月)

日曜日の朝

まつこです。

この写真を見ただけでどこかわかるあなたはかなりパリに詳しい方ですね。

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[静かな日曜日の朝]

サン・ジェルマン・デ・プレの教会の前です。

この近くの小さなホテルに宿泊。一晩休んで長距離フライトの疲れも少しとれた朝、静かな日曜日の朝のサンジェルマンを散歩すれば、気分すっきり。

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[カフェで朝食]

観光客でごった返す前の朝の時間帯、カフェ・ドゥ・マゴで朝食を食べました。周囲の席はご近所に住むとおぼしきお金持ちそうなおじいさん、おばあさんばかり。

とりわけゴージャスだったのが私の隣の席にいた70代後半くらいのおばあちゃま。エルメスの小さなバッグにシャネルのジャケット。小さなダイヤが連なる上品なピアス。よく手入れのされたマニキュアがきれいに塗られた指には、無数の指輪が重ねづけされていました。細く入れられたパープルのアイライン。きちんと塗られた口紅。腕にはかわいいチワワがずっとおとなしく抱かれていました。

ふとこちらを見れば寝癖があっちこっちにはねているうめぞう。あちらのチワワは完璧なトリミング。彼我の差は大きい・・・。

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[カフェのお向かいはサン・ジェルマン・デ・プレ教会]

日曜日のミサに少しだけ参加しました。この小さな教会に美しいフランス語と美しいオルガンの音が響き渡ると、おのずと敬虔な気分になります。後ろの列に座って静かな気持ちでお祈りをしてきました。

フランス滞在第一目の始まりです。

2013年8月10日 (土)

出発

まつこです。

私は風邪が治りきらず、うめぞうは膝痛や腰痛のリスクを抱え、昨日は二人そろって整体へ。あれこれ不安要因はあるものの、何はともあれ出発。


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[スカイライナーはあいかわらず空いています]

健康不安を感じながらの熟年海外旅行…。今回の旅の目的は「無事帰還」、それにつきます。無理しないようにゆるゆる旅してきます。

2013年8月 7日 (水)

蜂蜜大根シロップ

まつこです。

しつこい咳は辛いものです。咳止めの民間療法として良く効くと言われている「蜂蜜大根シロップ」を作ってみました。

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[角切り大根に蜂蜜をかけて、数時間後にはこのように水が出ます]

いろいろ作り方はあるようですが、All Aboutで見つけた方法でやってみました。

大根を1センチの角切りにして、密閉容器に入れ、蜂蜜を適量かけまわし、蓋をして数時間。

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[お水かお湯で割って飲みます]

すると大根から水気が出てきます。そのしみ出た大根の汁と蜂蜜が混じったものを、水かお湯で割って飲みます。

ああ、明日の朝には、これで咳が消えていますように!

蜂蜜

まつこです。

不覚にもこの猛暑のさなか、風邪をひいてしまいました。

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[咳には蜂蜜が効くらしい]

もともと健康には自信があったのですが、どうもこの数年、風邪にかかりやすく、治りにくい。やはり歳でしょうか・・・。

夜中に咳こんで、なかなか安眠ができません。咳止めも処方してもらったのですが、一刻も早く治したいので、民間療法にも頼って、蜂蜜入りハーブティーなど飲んでいます。蜂蜜には殺菌作用があるのだとか。大根蜂蜜というのも良さそうなので、これから試してみます。

猛暑のおり、皆さんもどうぞお身体に気をつけてください。

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