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2013年6月 4日 (火)

老人ホームの屋上庭園

まつこです。

週末、老人ホームの母を訪ねた際に、職員の方から「バラを見に行きませんか」と声をかけてもらいました。こちらの老人ホームでは屋上に園芸用のコーナーが作られています。

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[屋上の園芸コーナー]

梅雨の合間に、色とりどりの花々が咲いていました。

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[職員の方が丁寧に世話してくださっているバラの花]

この日は薄日がさし涼しい風が吹いていました。日頃、狭い居室にいる入居者にとって、大きな空を見て、頬に風を感じるのは、こういう機会がないとできない経験です。一緒に屋上に出てきた入居者さんたちも、みな「気持ちいいわ〜」とうれしそうな表情を見せていました。

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[花壇もきれいに作られています]

外気に触れた開放感で、自然と会話も弾みます。大阪市内で育ったという上品なおばあさんは、眼下に広がる大阪近郊の景色を眺めながら、いつもよりずっと気さくに昔話をしてくれました。「このあたりは小学校の遠足に来たことがあるわ」「大阪も空襲にあったわ・・・私は女学校の生徒で工場で勤労奉仕をしていたの」ー。花々を眺めながら、戦時下の苦労も明るい表情で話してくれます。

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[紫陽花も咲き始めていました]

それにつられるように、いつもは声すら出さない認知症のおばあさんがポツリ、ポツリと言葉を口にし始めました。「ここは良いところ」「きれい」「和歌山から来た」ー。この方は、うちの母よりも認知症が進んでいて、最近はほとんどいつも無表情です。もう言葉はすっかり忘れてしまったのかと思っていました。その人が「庭にミカンの木があった」と言いながら、微かな微笑みを浮かべました。付き添っていた若い介護職員の方もビックリしていました。

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[自然に触れて言葉を取り戻したおばあさん]

母とそのおばあさんは、「きれいね」「きれい」「あっちもきれい」「きれいね」というような簡単な会話をし始めました。

光や風や草花に触れることで、老人たちが生命力を少し取り戻した瞬間のように思えました。ビルや住宅が密集する地域に建っているこの老人ホームですが、わずかな屋上の庭園でさえ、これだけの効果があります。医療設備や豪華な内装などなくても、美しい自然に囲まれ、家族がしばしば訪ねて来れるような所であれば、それが一番贅沢な老人ホームなのだろうなと思いました。

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