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2012年8月26日 (日)

羊とオペラとピクニック

まつこです。

羊とオペラとピクニック・・・この組み合わせでピンと来る人はかなりなイギリス通です。ロンドンから電車で1時間ほど南のグラインドボーンの音楽祭に行ってきました。美しいイングランドの田園の中のカントリー・ハウスでオペラを楽しむという、たいへん贅沢な音楽祭です。

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[古いカントリー・ハウスに現代的なホールが付設されています。この日のオペラはヘンリー・パーセル作曲の『妖精の女王』。シェイクスピアの『夏の夜の夢』のお芝居と仮面劇が組み合わせられているオペラです]

劇場にお知り合いがいるショウガネコさんに誘っていただき、初めてのグラインドボーン。「えっ!ドレスコードがブ、ブ、ブラックタイ!」ということで、いささか緊張しました。

でも初めて参加してみてわかったのは、グラインドボーンは思いきりくつろいでをオペラを楽しむための場所ということ。当日は残念ながら雨天だったのですが、周囲は美しい緑が広がる牧歌的楽園。長いインターバルが用意されていて、オペラの始まる前やインターバルによく手入れされた芝生の上に、テーブルやラグを広げてピクニックを楽しみます。

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[雨だとこういうホワイエのような場所にテーブルをセットしてくれます。予約しておくとポーターがバスケットに入ったごちそうをテーブルまで運んでくれます。テーブルだけ予約してお料理やお酒を持ち込んでもかまいません]

インターバルに雨があがったので、庭に出てみましたが、冷たい風がビュービュー吹いています。写真を撮ろうとしても奥歯がカチカチ鳴るほど寒いです。それにも関わらず、雨の合間をぬって芝生でピクニックをしているグループが数組いました。その向こうには羊の群れがいつもと同じようにのんびり草を食んでいます。イギリス人と羊にとって、冷たい雨はいつものこと。いたって平然と食べ、飲み、語らう。脱帽です。

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[震えている私の向こうには、ピクニックをする人、そして羊の群れ。羊の間に見えるのは、熊じゃなくて美術品のオブジェです]

ショウガネコさんからこちらの劇場のお料理はおいしいとうかがっていたのですが、本当に美味しいです。事前にオンラインで好きなメニューを選べます。ピクニック用なので冷たいお料理ですが、それがどれも洗練された味です。たとえば・・・

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[オードブルは焼いた桃と生ハム]

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[メインはオマール海老]

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[デザートにサマー・プディング]

よく冷えたシャンパンがついてきて、ポットに温かいコーヒーも用意されています。完璧です。

グラインドボーン音楽祭は「聞き」に行くだけではなく、「参加」するところだと実感しました。美しいカントリーハウスという舞台の上で、ゆったりとイギリスらしい雰囲気を味わい、語らいくつろぎ、そしてオペラも楽しむ。ここに行く人は一人一人その贅沢なひと時の芝居に参加する登場人物のようなものです。ブラックタイやドレスはそのための衣装です。群れなして咲く花々も、羊くんたちも、このお芝居の重要な舞台装置です。さあ、都会の喧噪を忘れ、ひととき田園に遊ぶ紳士、淑女の役を演じましょう。

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[すっかりその気になっているウメマツ。気分だけは紳士と淑女です]

ショウガネコさん、お誘いいただきありがとうございました。本当に思い出に残る一日でした。またぜひご一緒してください!


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コメント

グラインドボーンで『妖精の女王』!お風呂で一曲歌い上げるぐらいパーセル好きの私は、羨望の溜息どころか、羨望の呻き声をあげております。素敵すぎます!ウメマツご夫妻の正装もばっちりキマっています。かっこいい~。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

この『妖精の女王』の演出はJonathan Kentで、Shakespeareの戯曲の部分はわりあい普通の演出なのですが、仮面劇のところがハチャメチャで笑えました。最後の方に登場したHymenはショッピング・バッグを手にしたジャンパー姿の、めっちゃ普通のおっちゃんでした。このあたりをぜひ専門家の視点で解説いただきたい!

まつこさま

とにかく印象的な一日でした。パニック映画のような出だしでしたが、終わり良ければすべて良し、でしょうか? 要領が分かったので、次回はもうちょっとオトナの余裕で楽しみたいです。是非またご一緒に!

ショウガネコさま、コメントがとうございます。

切符販売機の不調とか、悪天候とかも、かえって良い思い出ですよ。イギリスでしかできない経験です。グラインドボーンは確かに余裕をもったオトナのための祝祭空間ですね。若い子よりも老人にふさわしい・・・うれしいですね〜、そういう場所があるって。また行きましょう!

ショウガネコさま
まことに貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
あんな格好は生涯初めてなので私も電車の中ではこわばってましたが、いったんその場にもぐりこめば、ずいぶんとリラックスした雰囲気で驚きました。おかげで田舎者の私もすっかり緊張から解き放たれて、心から楽しめました。
最初、ものおじしていた私も「ああいうところは、やはり男が必要だから、うめぞうでもそれなりに役に立つんだよ」とまつこに言われ、勇気をふるって参加してよかったです。
劇場や列車の切符の手配など、ありがとうございました。今後とも宜しくおねがいします。

Pukiさん
お風呂の中でパーセルですか。それはぜひ一度聞いてみたいものですね(ちょっと無理か…)。
今回の歌はどれもこれも素晴らしかったですが、特に最後の O, let me weep!は絶品でした。

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