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2012年4月 8日 (日)

母と息子

まつこです。

この週末は大阪の母を訪ねました。風の冷たい土曜日でしたが、弟と3人で咲き始めた桜を見に出かけました。

Photo_3

[大阪の桜は五分咲きくらいでした]

思春期の反抗期以来、息子との関係に母は少し手こずっていました。父が病気だったため、母は仕事をしながら一家を支えていました。子供は放任主義というか、自由に育てるという原則だったと思いますが、仕事と家庭を両立させてがんばっている母の言うことにはすべて従わざるを得ないような雰囲気が自然とできていた家庭でした。そんなしっかり者の母に対して弟は、男の子が父親に抱くような反発を感じていたように思います。

弟が幼かった頃、母が勤務から帰ると、「ママ」と書いた小さく折りたたまれた紙片がいくつもいくつも鏡台の引き出しに入っていたことがあったそうです。厳しい姑に息子を預けて出勤している間、幼い息子がいかに寂しい思いをしているかを知って胸が痛んだという話を、ポロリと一度だけ私に打ち明けたことがありました。息子との関係がうまくいかないのは、仕事のせいで愛情をかける時間が足りなかったからではないか、と母はずっと気にしていたようです。

やがて老いた母に認知症の症状が出始めると、それを弟はなかなか受け入れることができませんでした。「さっきも言ったじゃないか」「しっかりしてくれよ」ときつい口調になることもあり、母は息子の前でオドオドと緊張するようになりました。そして母は誰よりも先に、息子のことを「この人誰だったかしら?」と認識できなくなりました。

弟が母に対して優しくなったのは、その頃からでした。「あなた誰?」と言われショックだったと思いますが、気にする様子も見せずに、弟は母に自分の家のそばの老人ホームに入居するよう辛抱強く説得し続け、何度も大阪と新潟の間を車で往復しました。今も仕事帰りに、週末にと、頻繁に母のところに立ち寄っているようです。

花冷えの寒い週末、桜の木の下で穏やかな表情でよりそう母と弟の写真を撮りながら、今また二人の間に静かな親子の愛情が戻ってきたんだなと改めて思いました。シャッターを切りながら、私も安堵に満ちた暖かな気持ちになりました。

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コメント

とてもいい写真ですね。小さくたたんだひとこと手紙の話には泣けました。夫婦も家族も、状況や年齢によって様々な時期があるから、こうでないといけない、と思わない方がよいのでしょうね。せっかち大阪人は肝に銘じたいと思います。

Pukiさん、コメントありがとうございます。

幼い頃の弟は、体が弱くて甘ったれで、その分、みんなにかわいがられる性格でした。私が歯をくいしばってカギっ子生活に耐えている間に、弟はこっそり「ママ」に手紙を書いて母の涙を誘っていたのね・・・と、この話を聞いた時に思いました。

スーツを着て出勤前に子供を保育園に連れて行くお母さんたちを見ると、「がんばれ、働くお母さん! がんばれ、カギっ子!」とエールを送っています。

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