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2011年12月26日 (月)

神様の音楽

まつこです。

「石炭をばはや積み果てつ・・・」で始まる文語の近代小説『舞姫』に国語の授業で苦労させられた、という人も多いのではないかと思います。国費で留学するエリート官僚が伯林の古寺の前で薄幸の美少女エリスと出会う。

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[ベルリンはクリスマスの朝も霧雨におおわれています]

その「古寺」は13世紀に建立されたベルリン最古の教会、聖マリエン教会ではないかとされています。ベルリンで迎えたクリスマスの朝、ウメマツはこの教会の礼拝に行ってきました。東ドイツが社会主義国家の威信を誇示するために作った高さ365メートルのテレビ塔の足元に立つネオ・ゴシック様式の教会です。

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[天使の像に囲まれた説教壇]

清潔感のある明るい教会内部。見事な装飾のなされた説教壇で語られるお説教は、ドイツ語を解さない私には全然意味がわからないのですが、明瞭な美しいドイツ語が会堂に響くのを聞くと、自然と敬虔な気分になります。

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[聖餐を受けたあとのうめぞう。祭壇にもクリスマス・ツリーが飾られています]

うめぞうは聖餐も受けました。信徒ではない私は、いつも思うのですが、ワインの回し飲みみたいな聖餐の儀式は、感染症予防の面ではいかがなものか・・・。インフルエンザが流行ったら聖餐式参加は控えた方が良いのではないでしょうか。

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[とても美しい音色のオルガンが教会を満たします]

礼拝に参加する楽しみは音楽です。この日は頭上から流れてきたオルガンとコーラスの美しさに度肝を抜かれました。オルガンというと重厚な響きを想像しますが、聖マリエン教会のこの日のオルガンは透明感のある音で、そこに澄んだ歌声が重なり、一瞬にして心洗われる気分になりました。

夜はシュターツ・オパーでオッフェンバックの喜歌劇『地獄のオルフェウス』を見に行きました。日本全国の小学校の運動会で使われるフレンチ・カンカンの軽快な音楽で親しまれているあのオペラです。

東ベルリンにあった壮麗なオペラ・ハウスの建物は今は改修中で、西のシラー劇場という市民会館みたいなところにシュターツ・オパーは拠点を移しています。

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[オペラにしては雰囲気が地味なのがちょっと残念]

神様は神様でも、こちらは恋愛好き、酒好きが集まったギリシアの神々。神話上理想の夫婦とされるオルフェウスとエウリュディケが、双方、浮気者で離婚したがっているというパロディです。

工事現場みたいな雑然とした舞台セットが、その辺に散らかっている大道具を動かすと飛び出す絵本みたいに変化するという、おもちゃっぽい演出がなかなかおもしろかったです。

時差の解消に失敗してこの時間帯に眠気の絶頂がきてしまった私には、ドイツ語のセリフは子守唄。ところどころ記憶がとんでいるのですが、"You know, you know I love you..."という歌声で、ハッと目を覚ましました。「なぜここだけ英語なの?」

ギリシア・ローマ神話の主神ジュピターはドイツ語ではユピテル(Jupiter)。奥さんはユーノー(Juno)です。女ったらしのユピテルも奥さんには頭が上がらず、「ユー・ノー・アイ・ラヴ・ユー」(愛しているのは君さ)と言い訳がましく連呼します。Junoもyou knowも同じ発音なのを使った言葉遊びです。

最前列で見ていた私たち。ユピテルのお気に入りの女たちのむき出しの太腿がずらりと並んで歌い踊るのを食い入るように見ていたうめぞうは、終幕後、ユピテル同様のデレッとした顔つきになっていました。

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コメント

まつこさま

良いクリスマスでしたね! 教会で宗教音楽の後はドイツ・オペラ。冬のドイツの雰囲気堪能でしょうか。

宗教音楽はやはり教会で聞くに限りますよね。教会の雰囲気と抜群の音響効果で、信者でなくてもうっとりしてしまいます。ミサをあげる司祭にも上手下手があって、上手い人は本当に歌うように語りますし。仏教の読経にも似たようなところがありますよね。

オペラの方は若干雰囲気が寂しかったかもしれませんが、素敵なお召し物! 背景の方々もおめかししてますね? 劇場って、建物だけでなくて観客全体で雰囲気を作るもの。ロンドンのコヴェントガーデンは最近は少々カジュアルな服装が目立つようですが、ドイツはそんなことはなかったですか?

ショウガネコさま、コメントありがとうございます。

今回聞いた司祭のドイツ語、たぶんうまいんじゃないかと思いました。落ち着いた声で明朗に言葉が響いていました。そういうことは意味がわからなくても分かりますね。聖職者、役者、王族、政治家は、やっぱり言葉が命です。

ベルリンのシュターツ・オパーの観客もかなりカジュアルで、コヴェント・ガーデンとあまり変わりありません。うめぞうは「オペラが階級社会の象徴だった時代が終わったからだ」と言っています。庶民だっておしゃれしてオペラに行けばいいのに、と私は思うのでした。

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