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2011年9月 4日 (日)

『から騒ぎ』『キッチン』

まつこです。

ずっと寒い雨まじりの日が続いていたロンドンですが、昨日と今日は短い夏が2日間だけ戻ってきました。今日はいったん図書館に行ったもののあまりのお天気の良さに、仕事はそこそこに切り上げて、午後はチェルシー界隈を散歩。

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[キングズ・ロードで買い物を楽しむ人たちも表情も今日は晴れやかです]

華やかなショッピング・ストリートの散歩も良いのですが、チェルシーは静かで落ち着いた住宅街を、特に目的もなくのんびり歩くのが私は大好きです。閑静な住宅街の中に、ちょっと洒落たレストランやインテリアのお店があったりします。

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[残念ながら住宅街の美しさは日本の都市景観に欠けているものの一つです]

緑の多さも魅力の一つです。住宅街の中にある美しい教会(St Lukes and Christ Church)は広い墓地を公園に造り替え、人々に開放しています。貴重な晴天を惜しむように、多くの人たちが芝生の上に寝そべって読書したり、子供を遊ばせたりしています。幸福感のあふれている景色でした。

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[19世紀の前半に作られた教会だそうです。ここでディケンズが結婚式を挙げたそうです]

昨日、今日も、1本ずつ芝居を観ました。昨日はグローブ座でシェイクスピアの『から騒ぎ』、今日はナショナル・シアターでアーノルド・ウェスカーの『キッチン』。

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[グローブ座は屋根のない劇場です。晴れてよかった!]

『から騒ぎ』は顔を合わせれば口喧嘩ばかりという男女が、周囲の人々の計略にかかって、恋に落ちてしまうという副筋をもつ喜劇です。純情過ぎる男女が、誤解を乗り越えて結ばれるというロマンティックな主筋よりも、上演すると副筋のほうが面白くなりがちです。この日も、実に達者な役者二人が、「本音では好きなのにプライドが高くて素直になれない」というひねくれ者同士の恋愛を、明るい陽光のもといきいきと演じていました。

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[ナショナル・シアターの夜景]

『キッチン』は第二次世界大戦後、1950年代のロンドンの大きなレストランの厨房が舞台になっています。30人くらいの調理人やウェイトレスが登場する群集劇です。厨房という閉ざされた空間の中に、そこで働く若者たちの抑え込まれたエネルギーが充満して、今にも爆発しそうになっている様子が描かれます。夢を抱え込んだまま、あるいは夢を見ることも忘れてしまって、狭い厨房でせっせと働く若者から噴出する熱気を、30人の役者が息のあったアンサンブルで見せていました。

イギリスの劇場のプログラムには役者の個人的なメッセージなどが書かれることはほとんどないのですが、今回は経歴のところにウェイトレスや調理人として働いた経験が書かれていました。ドラマ・スクールで教育を受けても、すぐに役者として生活するできるわけではなく、レストランやバーでアルバイトする人がたくさんいます。そういう苦労をしている無数の役者の層の厚さが、イギリスの演劇を支えているのだと改めて思いました。

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コメント

まつこさま 

イタリア+英国の長旅、お疲れさまでした。
今回、ロンドン観劇をご一緒させていただいて、本当に楽しかったです!
すでに今から、来年の夏も是非と思っています。

『キッチン』、私も見ればよかった。。。
そうすれば、高いコートを買わなかったかも?!

ショウガネコさま、コメントありがとうございました。

『キッチン』は悪くなかったけど、ショウガネコさま好みの美形実力派は出ていませんでした。ポール・スミスのコートのほうが収穫大だったでしょうね。

実に楽しいロンドン滞在でしたね。来年も、再来年も、企画しましょう!

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