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2011年9月 1日 (木)

A Woman Killed with Kindness

まつこです。

今晩もショウガネコさんと一緒に観劇。今日はナショナル・シアターで、シェイクスピアと同時代のトマス・ヘイウッド作A Woman Killed with Kindnessという芝居を観ました。あまり上演されることのない戯曲ですし、「お勉強」というつもりで行ったのですが・・・

Photo

[プログラムと赤ワイン]

洗練された舞台にくぎ付けとなり、休憩なしの2時間の上演が終わったときには、軽い興奮状態。こんなときはちょっとだけお酒でも飲んで芝居談義をしてから帰路につきたくなります。(ショウガネコさんはお酒飲まないので、ジンジャーエールですが。)

演出家のケイティ・ミッチェルは大胆な二つの工夫をしていました。ひとつは1603年に書かれた劇ですが、舞台設定を1919年にしたこと。もうひとつは主筋と副筋で、通常は交互に演じられる二つの筋書きを、舞台を二つに分けて同時に見せ続けたことです。第一次大戦終結後、上流階級の二つの家庭が、一方は妻の不倫で、もう一方は金銭問題で、それぞれ崩壊するプロセスをシンクロさせながら描きます。

それぞれの家庭のトラブルを表に出さないために、不倫した妻には殺害や離婚の代わりに追放という「お情け」がかけられ、一方では借金まみれの家の娘を資産家が結婚という「お情け」で救うのですが、その偽善性は女たちの生きる意欲や自発的な愛情を奪ってしまいます。情けによって殺された女(A Woman Killed with Kindness)というわけです。

一方はロンドンのタウンハウス、もう一方はカントリーのマナーハウスで、ともにエレガントな内装がほどこされた上流階級の邸宅でドラマは展開します。その二つの空間の両方で常に動きがあって、一刻も目が離せません。血や裸体などの生々しいリアリズムや、グラス・蜀台・肖像画・リネン・鍵などの微細なリアリズムを取り込みながら、全体はスタイリッシュでかっこいい舞台です。照明、音響も含め、一部の隙もない完成度の高さ。イギリス演劇の底力を垣間見た夜でした。

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