« The City Madam/ Cardenio | トップページ | 『トップ・ガールズ』 »

2011年8月30日 (火)

レイフ・ファインズの『テンペスト』

まつこです。

1991年の春、冷やかな表情の美男子がうっかり恋に落ちてあわてふためく・・・その『恋の骨折り損』に出演したレイフ・ファインズを最前列の席で見たとたんスイッチが入ってしまったのです。以来20年。髪がすっかり薄くなり、額に深いしわが刻まれても、ファンの想いは変わりません。その熱い想いを胸に、今晩はレイフ・ファインズがプロスぺローを演じる『テンペスト』を見に行きました。

Photo_4

[ヘイ・マーケット・シアターの前で満面の笑み]

演出はトレバー・ナン。はっきり言って新鮮味のない演出でした。冒頭、暗い影の中にヨロヨロの姿の中年男がたたずむ場面は『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンみたい。エアリエルは分身の術みたいに複数に分かれるのですが、ボディラインのはっきりした衣装で立ち並ぶチーム・エアリエルは『キャッツ』そっくり。バックグラウンドの音楽は多すぎ、宙づりなどのスペクタクルも陳腐。

でも、いいんです。レイフ・ファインズがセリフを語り始め、その柔らかく深い声で、きれいに言葉が流れ出すと、それはまるで劇場を満たす魔法のように観客を引きつけます。

もともとドラマティックなアクションに乏しく、プロスペローの一人芝居になりがちな戯曲ですが、そのぶんレイフ・ファインズの台詞回しの美しさが引き立ちます。植民地支配や国家簒奪の権力闘争、兄弟の憎悪の苦々しさを、すべてを和解へと解消させる溶媒として、言葉の美しさが作用しているようでした。

しかし、いまどきの甘ったれた高校生みたいなミランダを溺愛するパパといった表情を見せるレイフ・ファインズ、いやプロスペローを見て、次はリア王か・・・もう恋のつらさに懊悩するレイフ・ファインズは見られないのか・・・と寂しい思いにもかられるのでした。

終演後、一緒に行ったショウガネコさんに、「楽屋口行かなくていいんですか? 行きたいなら付き合いますよ」と背中を押してもらい、じっと待つこと数十分、サインをもらっちゃいました。「東京から見に来ました。素晴らしかったです」と言ったら「ありがとう」とあの声で答えてもらいました。

Photo_5

[わりと小柄です]

運転手つきのBMWに乗り込んだものの出発せず、じっとこちらを見ているので、「どうしたのかな? わっ、目が合っちゃった!」とか思っていたら、私の横をモデル体型の黒人女性が通り過ぎ、さっとレイフの横に乗り込んだとたん、車は発進しました。いちばん最近のガールフレンドだそうです。まあ、いいんだけど・・・。なぜかガッカリ。

Photo_6

[よく見ればマーク・ライランスと同じ程度にヨレヨレの中年俳優になりかけているかも・・・]

Photo_7

[それでもサインは我が家の家宝にします]

私が見たいのはガールフレンドがいる素顔のレイフ・ファインズじゃなくて、舞台かスクリーンで愛憎に苦しむレイフ・ファインズなのです。そうだ、老いて娘に見放されるリア王の前に、妻への嫉妬の妄想に苦しむ『冬物語』のレオンティーズをぜひとも演じてもらいたい、そう思いながら走り去るBMWの後ろ姿を見送りました。

« The City Madam/ Cardenio | トップページ | 『トップ・ガールズ』 »

コメント

まつこさま

レイフ・ファインズの写真、まともに撮れていて良かったです〜。ほっと胸を撫で下ろしました。数々のドジはこれでご勘弁いただけるでしょうか? 

ショウガネコさま

補って余りあるものがあります。Stage doorで待つなんて、一人だったら絶対にできませんでした。ご声援ありがとうございました。おまけに写真まで撮っていただき、この写真は冥土の土産、いや日本に帰る土産にします!

まつこさん、

サインまでゲットするなんて!やりますなー。よかったですね!

でも写真の彼はまつこさんのスマホの写真とはたしかに少し違いますね(笑)。

ぽにょさん、コメントありがとうございます。

どこが違うかというと、やはり髪ですね。新作の映画『コリオレイナス』ではスキン・ヘッドにしています。

今、ウェスト・エンドではジュード・ロウも舞台に出ていますが、あちらもかなり危機的です。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: レイフ・ファインズの『テンペスト』:

« The City Madam/ Cardenio | トップページ | 『トップ・ガールズ』 »