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2011年8月16日 (火)

『ロンドン・ロード』

まつこです。

今回のロンドン滞在はホテルではなく、サービス付きのアパートにしました。スローン・スクエアの駅に近いチェルシーの一角です。朝食、散歩、昼はそれぞれ仕事、夜は劇場で芝居を見る、というような生活です。旅行と日常の中間といった感じです。

Photo

[アパートの前で。サンダル履いているところが「日常っぽい」感じが出ているでしょう?]

昨日は『ロンドン・ロード』というミュージカル仕立てのドキュメンタリー・ドラマを見に行きました。イプスウィッチという田舎町で、娼婦5人が裸の遺体で見つかるという衝撃的な事件が起きてしまう。その犯人が住んでいた通りの名前がロンドン・ロード。連続殺人事件の犯人と隣り合わせに住んでいた人々のインタビューを綴ってミュージカルにしたという異色の作品です。

街娼の立つ通りという悪いイメージ、犯人が見つかるまでの不安、自分たちの居住地がメディアの注目の的となることの戸惑い、有罪判決が出るまでの落ち着かない気分、地域再生に協力し合おうとする努力など、この通りに住むさまざまな人の声を集めて、ミュージカルに仕立てています。

地元のなまりたっぷりで話す普通の人々の言葉をそのまま使っているのに、それがリズム感ある音楽に自然にのるところがひとつの面白さです。役者は11人だけですが、その11人で60人以上の人々を演じる巧みさも見ごたえがあります。

小さな劇場で周囲を観客がぐるりと取り囲んだ小さな空間で演じられるのですが、「自分たちが経験した地域の崩壊と再生のドラマはどこにでも起こりうるのだ」と役者たちがすぐそばにいる観客たちに向って訴えます。

イギリス各地で暴動と略奪が起き、地域社会の崩壊を切実に実感しているこの時期に、「悲劇」(とそこからの「再生」)のドラマはごく日常的な生活の中に潜んでいるのだと改めて訴えかけるミュージカルでした。

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