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2010年7月27日 (火)

黄金のラッパゼンマイ?

まつこです。

数年前のことになりますが、うめぞうが初めてイギリスを訪れたときに、案内役をしようと思った私は、うめぞうにイギリスで行きたいところはどこかを聞いてみました。即座に「ロンドン塔と湖水地方」という答えが返ってきました。直球ど真ん中の答えです。

Wordsworth_ennerdale[湖畔に水仙の花が咲く・・・]

イギリスと言えば、血塗られた歴史の跡をとどめるロンドン塔と、ワーズワースやコールリッジなどロマン派の詩人たちがその美しい自然を愛した湖水地方―。こんなイメージを持っている人は多いと思います。

その湖水地方のあるカンブリアの観光局のHPに、2007年以来、一匹のリスが登場しています。MC Nutsという名のこのリスは、ワーズワースの有名な詩「水仙」をラップにして、湖畔で歌い踊るのです。

Wordsworth_wood_3 [これが歌って踊る巨大なリスのMC Nuts]

カンブリアの観光局が若い世代に湖水地方の魅力を伝えるために、詩が作られてから200年を記念して、ヒップ・ホップ・ヴァージョンに仕立てて、ビデオクリップまで用意したのです。これを取り上げた新聞「テレグラフ紙」の記事は、「奇想天外」とやや懐疑的な感想を伝えています("Squirrel rapper releases hip-hop Wordsworth")。

こんなパロディが作られるのも、原作の詩がとてもよく知られているからです。英語圏では子供の頃、学校で無理やり覚えさせられたという人もたくさんいます。

最近、この詩の一節を試験問題に出しました。冒頭の一番有名な部分です。

I wandered lonely as a Cloud
That floats on high o'er Vales and Hills,
When all at once I saw a crowd
A host of golden Daffodils;

古い訳ですが田部重治はこう訳しています。

谷また丘のうえ高く漂う雲のごと
われひとりさ迷い行けば
折りしも見出でたる一群の
黄金(こがね)色に輝く水仙の花

これがどういうわけか、学生の答案を見たら、「黄金のラッパゼンマイ」と書いてあるものが、次々に出てくるのです。1枚や2枚ではなく、数十人が「ラッパゼンマイ」です。「ラッパゼンマイ」って何???

どうやらミクシーか何かで、学生の間にこの珍妙な訳が広がってしまったようです。しかもこの「ラッパゼンマイ」の詩に「imaginationを通して人間の内面は崇高なものになりうるとするRomanticismの考え方が表れている・・・」ともっともらしい説明がつけられていたりしいます。「ゼンマイ」じゃなくて「スイセン」だったら満点あげられるのですが。

「みわたす限り一面の黄金のゼンマイ」じゃ湖水地方で山菜採りができるよ・・・と苦笑いしながら赤ペン握って採点しています。

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コメント

まつこさま

MC nuts!めちゃ、ゆるキャラですな・・・。しかも途中でシャンパンまで飲んでいらっしゃる。

しかし、ゼンマイとは・・・。むかーし学生のころ湖水地方でdaffodilを見て本物だあと思って感動しましたが、今の学生さんは見たことないのかな??でも野っぱら一面に広がるゴールデンゼンマイ・・・。それはそれでおいしそうです。

ぽにょさん、コメントありがとうございます。

受けをねらって、このゆるーいラッパー・リスのビデオを授業中に見せたのですが、あんまり受けなかったです。カウチならぬベンチで瞑想したりと、芸が細かいんだけど。笑う人が少ないんで、強引に2回も見せてしまいました。そのあげくゴールデンゼンマイです。

次回からワーズワースやるときに、"golden daffodils"のところで吹きだしそう・・・。

まつこさま

そちらも採点中ですか。私は珍解答は気分転換!と思ってメモしてます。
先日はrest of one's life が「人生の休憩」という解答に多数遭遇しました。

それにしても大きなリスですねぇ、現地でばったり出くわしたら、腰抜かしますね。
英国人のセンスって、やっぱり謎に満ちています。

まつこさまご夫妻は、暑い日本脱出ですか?

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

Oliver Twistの"Please, sir, I want some more"のあたりのテクストを出題し、作者とタイトルを書かせようとしたら、「一度、聞いたら忘れられない印象的な一節であるが、思い出そうとすると不思議なことに思い出せない」という答えがありました。これにはしばらく笑いが止まりませんでした。記憶に残る珍答案です。

フフフ・・・脱出まであともうちょっとです。ショウガネコさん、いらっしゃらないのですか?

まつこさま

傑作解答ですねぇ。解答者の顔を見たくなります。

私は残念ながら今夏は東京足止めです。。。くすん
まつこさまご夫妻はどこへ脱出ですか? 涼しい日記、楽しみにしてます!

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

脱出直前、目下ねじりはちまきで採点中です。脱出先は・・・とりあえず冷房のよく効いたBLのリーディング・ルーム(やれやれ)。お楽しみはそのあとです。

まつこさん、こんにちは

Wordsworthの詩、学生時代に習いましたが、もうすっかり、きれいさっぱり忘れています(苦笑)
それにしても、ラッパゼンマイですか~面白いですねぇ。
思わずゼンマイにそういう種類があるのかと調べてしまいました。
でも、何故ゼンマイなのでしょうねぇ・・・それが知りたいです(笑)

湖水地方、夫は行ったことがありますが、私は行ったことがないのです。いつか行きたいと思ってます。

翡翠さん、コメントありがとうございます。

ひょっとして「らっぱぜんまい」なるものがあるのかと、私もググッてしまいました。そしたら「アンパンマンらっぱ(ぜんまいつき)」という赤ちゃん用の玩具がヒットしました。どこまでもおちょくられている気分です~。

湖水地方、ウォーキングが楽しいですよ。首からマップ(宿で貸してくれること多いです)をぶら下げて、ただただ歩く。パブリック・フットパスが整備されていて歩きやすいです。(ピーター・ラビットを愛する日本人もたくさん訪れています。)

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