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2010年7月22日 (木)

アラフォー小説:One Day

まつこです。

1988年の夏を覚えていますか。デイヴィッド・ニコルズの『ワン・デー(One Day) は、1988年から2008年まで20年間、それぞれの年の7月15日を描くことで、主人公の男女二人の関係を追い続けるという趣向の小説です。

Photo[400ページ以上ありますが、ストーリー・テリングがうまいのでどんどん読めます。Starter for TenはDavid Nichollsの小説第一作目。こちらは夏休み中に楽しむ予定]

頭が良くて気の強い女と、意志薄弱なハンサムの男。二人はお互いが自分にとって最適な伴侶だということに心の奥底で気づきながらも、異なる道を歩き続けます。「幸せの青い鳥はすぐそばにいました」というありきたりな真実を、巧みなストーリー展開にのせて描きます。

全体的にコメディタッチでありながら、深い悲しみをたたえた物語でもあります。夏の日差しのような屈託のない若さにあふれていた20代、成功と挫折の30代、そして喪失と追憶の40代。「7月15日」という一日を定点にして20年という時間の流れを描くことで、人生が二度と取り戻せない日々の積み重ねだということを、静かに感じさせる物語になっています。今日、地下鉄の中で終わり近くの部分を読みながら、あまりに切ない展開にウッと息が詰まってしまいました。

20年間で徐々に、しかし大きく変化したイギリスの社会が、男女二人の物語の背景に浮かびあがるのもこの小説の魅力です。サッチャーへの反発を声高に語っていた80年代、メディアが大きな影響力を持ち、ロンドンが「クール」な風俗にあふれかえった90年代、そしてイラク戦争とロンドン同時爆破テロ。

主人公二人は1965年、1966年生まれに設定されています。ですから「アラフォー小説」といえます。笑いと涙がたっぷりな物語は映画化にぴったり。女と酒にだらしない超ハンサムの主人公は、20年前ならヒュー・グラントあたりに合いそうなのですが、もう歳が歳だからダメだな・・・などと思っていたら、やはり映画化の計画はすでに進んでいて、ともに80年代生まれのアン・ハサウェイとジム・スタージェスが主役に決まっているそうです。

映画は2011年に公開予定のようです。それに合わせて翻訳も出ることでしょう。80年代と90年代の自分をまぶしく思い出しているアラフォーの皆さんにぜひ読んでいただきたい一冊です。

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