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2010年2月26日 (金)

『パイレーツ・ロック』で船酔い状態

まつこです。

年をとると得することもあります。映画館の「夫婦50割引」もその一つ。男女二人連れのどちらか一方が50歳以上であれば、映画館の入場券が二人で2,000円になるというものです。

Photo[戸籍上の夫婦である必要はないようです。どちらか一方が免許証などで50歳以上であることを証明できれば大丈夫。恋人同士、友人同士でも使えます。ただし同性同士のカップルはダメみたい]

今日は高田馬場の名画座、早稲田松竹に出かけました。リチャード・カーティス監督・脚本の『パイレーツ・ロック』(The Boat That Rocked, 2009)を見ました。『アンヴィル』と二本立てだったのですが、時間の関係で『パイレーツ・ロック』一本のみ見てきました。

『フォー・ウェディングズ』『ラブ・アクチュアリー』とヒット作続きのリチャード・カーティスの一番新しい作品ですが、興行的には不成功。イギリスではかなり手厳しい批評を浴びたようです。

要は欲張りすぎ。若者の成長、父親探し、男同士の友情、海賊ラジオ放送局対政府の対立、ロックやフリーセックスなど60年代サブカルチャーの隆盛、アメリカ人とイギリス人の差異などなど、物語がてんこ盛りなのです。

Photo_3

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED 

[ビル・ナイ、ケネス・ブラナー、フィリップ・シーモア・ホフマンなど役者も芸達者ぞろいなのですが…]

キンクス、ストーンズ、プロコル・ハルムなど、60年代後半以降の大ヒット曲が次々流れるのですが、その歌詞に合わせてストーリーを積み重ねていったら、てんこ盛りになってしまったという印象です。長くなりすぎたのでアメリカ公開に先がけ再度編集してさらにカットしたらしいのですが、そのため筋書きでつじつまの合わないところが出てきたりするのは、ちょっとお粗末。

ケネス・ブラナーは海賊放送局をつぶすことに躍起になる大臣の役です。労働党ウィルソン内閣の逓信大臣トニー・ベンのパロディだそうですが、ブラナーの演技もくどくてマンガに出てくる独裁者みたいでした。この大臣の指示で新たな法律が制定され、いよいよ船上からロック・ミュージックを流し続けていた海賊ラジオ局もも放送停止を余儀なくされます。最後のセリフは"The rest is silence"。

これで終わりかと思いきや、ここから『タイタニック』ばりの大スペクタクルが始まります。北海の荒波に沈む船。水の中でレコードを守ろうとするDJ、父の命を守ろうとする息子・・・。揺れる船に流れ込んでくる水、水、水。やはりこのあたりが、この映画のあまりに過剰なところ。さんざん引っ張って、でも、もちろん最後はハッピーエンドです。

Photo_4[映画館を出ると、うめぞうが青ざめていました]

しかし映画館を出るとうめぞうが青ざめた硬い表情をしています。びっくりして「どうしたの?」と聞くと、水の中で息ができなかったから苦しくなったとのこと。船酔いしたような顔です。

とびきり気の弱いうめぞうは、映画やテレビでサスペンスが続くと、自己投入して、一緒にきりきり舞いしてしまう傾向があります。『ナイロビの蜂』のときにも貧血を起こしかけました。今度も沈みゆく海賊放送船とともに、水に飲み込まれた気分になったようです。やれやれ・・・。

日頃とうって変わって無口なまま、元気をなくして地下鉄に乗ったうめぞう。我が家の近くの駅で降りると、うってつけのポスターが目に入りました。

Photo_5

[うめぞうもこのポスターを見て、ゆっくり深呼吸。ようやく頬に血の気が戻ってきました]

せっかくの「夫婦50割引」ですが、次からは内容を精査して、はらはらドキドキの場面があまり多くない映画であることを確かめてからうめぞうを誘いましょう。リチャード・カーティスには、次はぜひ高齢者にもやさしい程よいコメディを製作してもらいたいものです。

[ちなみに上の「深呼吸」ポスター、実は大手予備校のものです。昨日、今日と国立大学の入試が行われています。地下鉄の駅を出る前に受験生に、さあ深呼吸しなさいと呼び掛けるポスターです。]

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コメント

まつこさま 

ストーリーを追いかけるだけで大変そうな映画ですね。
ケネス・ブラナーの「マンガみたいな独裁者」も目に浮かぶよう。でも、この人の「くどくない」演技、想像できませんね。

それにしても、「ここで深呼吸」、ナイスです。

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

Richard Curtisお得意の小さなエピソードを寄せ集めた作りの映画で。決して複雑ではないのですが、今回は盛り込みすぎですね。

Bill Nighyの舞台、私いくつか見ていて、シリアスな役もなかなかうまかったのですが、Curtisの映画ですっかり「インチキおじさん」がはまり役になってしまいました。授業でThe Merchant of Veniceのテープを使ったら、Antonioがこのインチキおじさん。イメージがずれて、笑っちゃうんですよね。

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