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2010年2月18日 (木)

Stiff Upper Lip:『新しい人生のはじめかた』

まつこです。

寒い日が続いていますね。今朝は東京も雪景色でした。

Photo[今朝は窓からこんな景色を眺められました]

知り合いにアメリカ人の女性医師がいます。投資銀行に勤めるご夫君の仕事の関係で、NYの病院勤務をいったん中断し、今は東京在住です。「東京がこんなに寒いとは思わなかった」とぼやいています。「東京の雪は春が近づいているしるし」と教えたら、うれしそうな表情になりました。彼女は去年の春、東京で出産し、娘にSakuraというミドル・ネームをつけました。Sakuraちゃんの季節まであともう少しです。

先日、エマ・トンプソンとダスティン・ホフマン主演の映画、『新しい人生のはじめかた』(Last Chance Harvey)を観ました。中年女性と初老の男性が、それぞれに人生の痛みを抱えつつ、偶然に出会い心通わせるようになるという大人の恋愛映画です。地味目なロマンスですが、主演二人の細やかな演技は見ごたえがあります。

Photo_2(C)2008 OVERTURE FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

[テムズ川南岸の散歩道やナショナル・シアターなど、ロンドンの街のおなじみの場所がよく出てきます]

面白い場面の一つは、二人が出会って、英米二つの国民性の違いを話題にするところです。ダスティン・ホフマン演じるアメリカ人男性がヒースロー空港で出会ったイギリス人女性(エマ・トンプソン)に、イギリス流の"stiff upper lip"とは正確なところどんなものなのかと尋ねます。

"stiff upper lip"とは、表情を崩すことなく、内心の苦しさを表に出さないこと、というような意味です。「感情を大げさに表現するアメリカ人」と、「感情を抑制するイギリス人」というような、英米の違いをアメリカ男が話題にしかけたとたん、エマ・トンプソンが「そんなものはダイアナが死んで以来、無くなっちゃったわ」と切り返します。エマ・トンプソンは"stiff upper lip"の表情を実際にやって見せるのですが、この「抑えた表情」がなんとも絶妙です。

ダイアナが亡くなったのは、1997年8月。若き労働党党首トニー・ブレアが選挙に圧勝し首相になってまもなくのことでした。先進諸国の間でさまざまな画一化が進み、「感情を押し隠すイギリス人」などという伝統が、まるで観光土産のような紋切り型のイメージでしかなくなったのは、確かにその頃からだったかもしれません。テレビカメラを向けられても気にすることなく、号泣しながらダイアナの棺に花を投げかけていたイギリス人がたくさんいました。

"Stiff upper lip"という表現にふさわしいのは、離婚した元妻の遺体を引き取りに行った時のチャールズ皇太子だったと思います。表現すべき感情などない、というような淡々とした様子でした。

エマ・トンプソンは1959年生まれ、ダイアナは1961年生まれ、同世代です。身長はエマ・トンプソン172センチ、ダイアナは178センチで、二人とも長身です。ダイアナは結婚当初は同じ身長のチャールズと並ぶとき、やや身をかがめがちで、ハイヒールは履かなかったとか。今回、映画でエマ・トンプソンの相手役になったダスティン・ホフマンは166センチ。映画の最後の場面でエマ・トンプソンはハイヒールを脱いで、ダスティン・ホフマンとテムズ川沿いを歩きます。

ちなみにエマ・トンプソンの元夫ケネス・ブラナーは公称177センチ。もう少し低い印象ですが、実際、彼に会った人は思っていたよりも背が高くて、「177センチ」に納得するそうです。(これらの瑣末な情報はCelebHeights.comというページで調べられます。)

小柄なダスティン・ホフマンと並んで歩くエマ・トンプソンを観て、うめぞうは身長よりも体重の方が気になったようです。知性と明るさにあふれていた若いころのエマ・トンプソンを気に入っていたうめぞうは、「大きいお尻だねー、太ったねー、あれじゃあイギリス版メリル・ストリープだよ・・・」と、やや残念そうに何度も繰り返していました。

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コメント

最初、Stiff Upper Lip を「新しい人生のはじめかた」と邦題つけたのかと思って、感心しそうになりました。

私にとって英国的 stiff upper lip の感じが一番よくでている劇作家は Terence Rattigan ですね。「武士は食わねど高楊枝」とは違うんですね、これが・・・。

wombyさん、コメントありがとうございます。

Rattiganの作品には確かに、何かをこらえているという人物が出てきますね。アッパー・ミドルの出自でホモ・セクシュアルという伝記的要素を読みこみたくなってしまいますが、どうなんでしょうね?
  

私もそう読みたくなる口ですね。ただ、アッパーミドルといっても、必ずしも大学時代に金銭的には恵まれていなかったのが、コンプレックスにつながったとどっかで読んだような気がします(確かめてませんけれど・・・)。

テネシー・ウィリアムズなんてのも、やっぱり同性愛で読みたくなっちゃいますね。

wombyさん、コメントありがとうございます。

ラティガンはオリヴィエに片思いしていた、とどこかで聞いた気がします(確かめてませんけれど・・・)。「派手で欲張りなスター俳優にじっと想いを寄せ続ける劇作家」、これだけでラティガンの劇世界みたいな設定ですね。

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