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2010年2月

2010年2月26日 (金)

『パイレーツ・ロック』で船酔い状態

まつこです。

年をとると得することもあります。映画館の「夫婦50割引」もその一つ。男女二人連れのどちらか一方が50歳以上であれば、映画館の入場券が二人で2,000円になるというものです。

Photo[戸籍上の夫婦である必要はないようです。どちらか一方が免許証などで50歳以上であることを証明できれば大丈夫。恋人同士、友人同士でも使えます。ただし同性同士のカップルはダメみたい]

今日は高田馬場の名画座、早稲田松竹に出かけました。リチャード・カーティス監督・脚本の『パイレーツ・ロック』(The Boat That Rocked, 2009)を見ました。『アンヴィル』と二本立てだったのですが、時間の関係で『パイレーツ・ロック』一本のみ見てきました。

『フォー・ウェディングズ』『ラブ・アクチュアリー』とヒット作続きのリチャード・カーティスの一番新しい作品ですが、興行的には不成功。イギリスではかなり手厳しい批評を浴びたようです。

要は欲張りすぎ。若者の成長、父親探し、男同士の友情、海賊ラジオ放送局対政府の対立、ロックやフリーセックスなど60年代サブカルチャーの隆盛、アメリカ人とイギリス人の差異などなど、物語がてんこ盛りなのです。

Photo_3

(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED 

[ビル・ナイ、ケネス・ブラナー、フィリップ・シーモア・ホフマンなど役者も芸達者ぞろいなのですが…]

キンクス、ストーンズ、プロコル・ハルムなど、60年代後半以降の大ヒット曲が次々流れるのですが、その歌詞に合わせてストーリーを積み重ねていったら、てんこ盛りになってしまったという印象です。長くなりすぎたのでアメリカ公開に先がけ再度編集してさらにカットしたらしいのですが、そのため筋書きでつじつまの合わないところが出てきたりするのは、ちょっとお粗末。

ケネス・ブラナーは海賊放送局をつぶすことに躍起になる大臣の役です。労働党ウィルソン内閣の逓信大臣トニー・ベンのパロディだそうですが、ブラナーの演技もくどくてマンガに出てくる独裁者みたいでした。この大臣の指示で新たな法律が制定され、いよいよ船上からロック・ミュージックを流し続けていた海賊ラジオ局もも放送停止を余儀なくされます。最後のセリフは"The rest is silence"。

これで終わりかと思いきや、ここから『タイタニック』ばりの大スペクタクルが始まります。北海の荒波に沈む船。水の中でレコードを守ろうとするDJ、父の命を守ろうとする息子・・・。揺れる船に流れ込んでくる水、水、水。やはりこのあたりが、この映画のあまりに過剰なところ。さんざん引っ張って、でも、もちろん最後はハッピーエンドです。

Photo_4[映画館を出ると、うめぞうが青ざめていました]

しかし映画館を出るとうめぞうが青ざめた硬い表情をしています。びっくりして「どうしたの?」と聞くと、水の中で息ができなかったから苦しくなったとのこと。船酔いしたような顔です。

とびきり気の弱いうめぞうは、映画やテレビでサスペンスが続くと、自己投入して、一緒にきりきり舞いしてしまう傾向があります。『ナイロビの蜂』のときにも貧血を起こしかけました。今度も沈みゆく海賊放送船とともに、水に飲み込まれた気分になったようです。やれやれ・・・。

日頃とうって変わって無口なまま、元気をなくして地下鉄に乗ったうめぞう。我が家の近くの駅で降りると、うってつけのポスターが目に入りました。

Photo_5

[うめぞうもこのポスターを見て、ゆっくり深呼吸。ようやく頬に血の気が戻ってきました]

せっかくの「夫婦50割引」ですが、次からは内容を精査して、はらはらドキドキの場面があまり多くない映画であることを確かめてからうめぞうを誘いましょう。リチャード・カーティスには、次はぜひ高齢者にもやさしい程よいコメディを製作してもらいたいものです。

[ちなみに上の「深呼吸」ポスター、実は大手予備校のものです。昨日、今日と国立大学の入試が行われています。地下鉄の駅を出る前に受験生に、さあ深呼吸しなさいと呼び掛けるポスターです。]

2010年2月21日 (日)

ひざかけ

まつこです。

新潟もようやく春らしい明るい陽光があふれる日曜日になりました。庭の雪はまだ消え残っていますが、光の力強さが春の到来を予感させます。

Photo[ようやく完成したひざかけ]

冬の間、母はたいくつしのぎに編み物をやっていますが、もともとの趣味ではないので、複雑なものは作れません。マフラーばかり編んでいます。やたらとマフラーが増えてしまいました。編み目が不ぞろいなので、人に差し上げるのはちょっとためらわれます。

そこで今回はひざかけに挑戦してもらうことにしました。四角い単純な形なら大丈夫だろうと思ったわけです。しかし・・・

多少デザインを工夫しようなどと私が欲張ったために、年末から2か月近くかかってしまいました。編み物の本を見て、それを私が自己流でより易しくアレンジしました。母は小さな四角いモチーフを作り、それを私がとじ合わせるという分業です。

母は調子が悪い日は、この単純な小さい四角を編むのに苦労します。「あっ、まちがえたわ」と言って、ちょっと編んでは解きほぐすことの繰り返し。

一方、私は編み物は超初心者。編み物の本の記号を理解し、図解から編み方を習得しつつ編むのですから、時間がかかることはなはだしく、出来上がりも不揃い。

できあがったひざかけは編み目がつまっていて、どっしり重いです。母と娘の苦労が網目につまっていて、それで重みが増している感じです。

この重くて厚いひざけけ、寒がりのうめぞうが来たときにでも使ってもらうことにしましょう。

2010年2月20日 (土)

1セントの使い道

まつこです。

陽光が少しずつ春めいていますね。昨日、来客があり、お土産に大きなチューリップの花束をいただきました。部屋の中がいっきに春らしくなりました。

Photo[ピンクのチューリップ、かわいいです]

チューリップを花瓶に入れるときに、アメリカの1セント硬貨を2枚ほど入れると花が元気になります。サンタモニカに住むアメリカ人のおばちゃんから教えてもらいました。彼女の家に滞在中のことです。お花が届けられて、箱を開けた時点では少しぐったりしていたのですが、そのおばちゃんが茶色い1セント硬貨を2,3枚入れて活けると、あら不思議、しばらくするとチューリップがピンッと背筋を伸ばしました。

しかしこの「1セント硬貨でお花長持ち」という説、どうやらあまり根拠がなさそうです・・・。

Photo_2[こちらは八重咲きのチューリップ、華やかです]

1セント硬貨の金属構成は97.5%は亜鉛で、メッキ部分の銅が2.5%だそうです。硫酸銅が水中の細菌を殺すから花が長持ちするのではないかという説がいちおうはあるようです。ほかにもスプライトとか7-Upのような炭酸飲料を水に加えるとか、アスピリンの錠剤をいれると切り花が長持ちするという説もあるようです。

インターネットのサイトでいろいろ調べたら、砂糖を加えると光合成の代わりに植物に栄養を与えるとか、酸性化剤は水が茎からあがるのを促進するとか、科学的説明が可能な説もあるようです。しかし「切り花は高いからあてにならない俗説を信じずに、市販のお花の長持ち剤を使いなさい」と最後に書いてありました。これを読んでちょっとがっかりしました。

Photo_3[俗説と言われても、ついついチューリップを活けるときには1セント硬貨を入れてしまいます]

1セント硬貨というのは使い道がなくて邪魔、というイメージがあります。根拠のない俗説かもしれませんが、日頃、何の役にも立たない1セント硬貨が利用できると思うと、なんとなくうれしくなって、チューリップを活けるときには入れてしまう。そんな人が多いのかもしれません。

2010年2月18日 (木)

Stiff Upper Lip:『新しい人生のはじめかた』

まつこです。

寒い日が続いていますね。今朝は東京も雪景色でした。

Photo[今朝は窓からこんな景色を眺められました]

知り合いにアメリカ人の女性医師がいます。投資銀行に勤めるご夫君の仕事の関係で、NYの病院勤務をいったん中断し、今は東京在住です。「東京がこんなに寒いとは思わなかった」とぼやいています。「東京の雪は春が近づいているしるし」と教えたら、うれしそうな表情になりました。彼女は去年の春、東京で出産し、娘にSakuraというミドル・ネームをつけました。Sakuraちゃんの季節まであともう少しです。

先日、エマ・トンプソンとダスティン・ホフマン主演の映画、『新しい人生のはじめかた』(Last Chance Harvey)を観ました。中年女性と初老の男性が、それぞれに人生の痛みを抱えつつ、偶然に出会い心通わせるようになるという大人の恋愛映画です。地味目なロマンスですが、主演二人の細やかな演技は見ごたえがあります。

Photo_2(C)2008 OVERTURE FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

[テムズ川南岸の散歩道やナショナル・シアターなど、ロンドンの街のおなじみの場所がよく出てきます]

面白い場面の一つは、二人が出会って、英米二つの国民性の違いを話題にするところです。ダスティン・ホフマン演じるアメリカ人男性がヒースロー空港で出会ったイギリス人女性(エマ・トンプソン)に、イギリス流の"stiff upper lip"とは正確なところどんなものなのかと尋ねます。

"stiff upper lip"とは、表情を崩すことなく、内心の苦しさを表に出さないこと、というような意味です。「感情を大げさに表現するアメリカ人」と、「感情を抑制するイギリス人」というような、英米の違いをアメリカ男が話題にしかけたとたん、エマ・トンプソンが「そんなものはダイアナが死んで以来、無くなっちゃったわ」と切り返します。エマ・トンプソンは"stiff upper lip"の表情を実際にやって見せるのですが、この「抑えた表情」がなんとも絶妙です。

ダイアナが亡くなったのは、1997年8月。若き労働党党首トニー・ブレアが選挙に圧勝し首相になってまもなくのことでした。先進諸国の間でさまざまな画一化が進み、「感情を押し隠すイギリス人」などという伝統が、まるで観光土産のような紋切り型のイメージでしかなくなったのは、確かにその頃からだったかもしれません。テレビカメラを向けられても気にすることなく、号泣しながらダイアナの棺に花を投げかけていたイギリス人がたくさんいました。

"Stiff upper lip"という表現にふさわしいのは、離婚した元妻の遺体を引き取りに行った時のチャールズ皇太子だったと思います。表現すべき感情などない、というような淡々とした様子でした。

エマ・トンプソンは1959年生まれ、ダイアナは1961年生まれ、同世代です。身長はエマ・トンプソン172センチ、ダイアナは178センチで、二人とも長身です。ダイアナは結婚当初は同じ身長のチャールズと並ぶとき、やや身をかがめがちで、ハイヒールは履かなかったとか。今回、映画でエマ・トンプソンの相手役になったダスティン・ホフマンは166センチ。映画の最後の場面でエマ・トンプソンはハイヒールを脱いで、ダスティン・ホフマンとテムズ川沿いを歩きます。

ちなみにエマ・トンプソンの元夫ケネス・ブラナーは公称177センチ。もう少し低い印象ですが、実際、彼に会った人は思っていたよりも背が高くて、「177センチ」に納得するそうです。(これらの瑣末な情報はCelebHeights.comというページで調べられます。)

小柄なダスティン・ホフマンと並んで歩くエマ・トンプソンを観て、うめぞうは身長よりも体重の方が気になったようです。知性と明るさにあふれていた若いころのエマ・トンプソンを気に入っていたうめぞうは、「大きいお尻だねー、太ったねー、あれじゃあイギリス版メリル・ストリープだよ・・・」と、やや残念そうに何度も繰り返していました。

2010年2月15日 (月)

食洗機修理

まつこです。

先週のことになりますが、朝食の支度をしていたうめぞうが、「ねえ、食洗機が動かないよ」と言い出しました。ランプが二つ点滅していて、どのボタンを押しても、全く動きません。

取り扱い説明書を出して調べてみると、水漏れの可能性があるので、元栓を閉めて、修理を依頼するようにと書いてあります。「食洗機の元栓ってどこかしら?」「さあねえ・・・あの、ボク、今日は仕事なので行くね」とうめぞう。仕事だから仕方ないとは思いつつ、「逃げるのね?」という私の冷やかな視線を背にうめぞうは出かけて行きました。

Photo[食洗機の元栓はこんなところにありました]

だいたい我が家は家電製品やパソコン関係は私の管轄ということになっています。うめぞうは大昔は理科系、工学系少年だったそうですが、今は何の役にも立ちません。真空管ラジオを作ったとかアマチュア無線をやっていたという経験はノスタルジックなセピア色の思い出です。

さて食洗機の元栓、あれこれ調べてようやく見つけました。こんなところにあるとは思ってもみませんでした。水の元栓を閉めたところで、修理依頼です。

あいにくこの日は祝日です。おまけに我が家の食洗機の製造元の松下電工はパナソニックに変わっています。実際の修理まで数日かかることを覚悟し、取扱説明書に記載されている旧松下電工のサービスセンターに電話してみました。

予想通り「本日は営業していません・・・」という自動音声が流れます。念のため最後まで聞いてみると、「緊急の場合は24時間対応の・・・」と別の番号を読みあげていました。果たして食洗機の故障が「緊急」にあたるのか、しばし躊躇したのち、ダメでもともとという気分でそちらに電話してみました。この時点で朝8時半。

緊急受付の女性はてきぱきと対応してくれました。サービスマンと連絡を取り、その数時間後には修理に来てもらえるよう手配してくれました。午前11時過ぎにサービスマン到着。午後1時には修理終了。

Photo_2[こんなふうに食洗機を引き出して修理しました]

世界広しといえ、こんなに迅速で正確なサービスが受けられるのは日本だけでしょう。祝日の朝に故障した家電製品を、出張修理でその日のお昼すぎまでに直してもらえるのです。

おまけにサービスマンの到着予定時刻、費用の見積もり、到着時刻の変更、所要時間などなど、朝から何度も電話がかかってきて細かい連絡を逐一してくれます。

実際の修理に際しても、どこかどう傷んでいるから、何をどう交換しなければならないか、今後の使用時の注意事項など、実に分かりやすく丁寧に説明してくれます。終わったあとはちりひとつなく、きれいに片づけてくれます。

Photo_3[このホースに亀裂が入っていたそうです。熱いお湯で水圧もかかるし、ホースの耐久年数は5年くらいとのこと]

こんなに手厚いサービスが受けられる社会に住んでいて、この水準を当たり前と感じるようになるのも危険です。電話一本でサービスマンが現れ、クリック一つで欲しい物が数時間後に配達され、エレベーターを降りるだけでコンビニに行ける・・・。そんな便利さは一昔前まではSFの世界の中でのことでした。それが今は現実のものになっています。

確かに快適ですが、快適さや便利さを追求するあまり、一方でどんどん忍耐力が減退しているような気がします。いつでも、どこでも、欲しいものがすぐに手に入る、これに慣れてしまうとやがては「どこでもドア」が欲しいと本気で思ってしまうかもしれません。

Photo_4[修理された食洗機。あればやっぱり便利。夕刻、帰宅したうめぞうも「もう直ったの!」とびっくりしていました]

たまには我慢する経験も必要よね、数日間、食洗機なしの生活だって我慢しなくちゃねと、殊勝にも思っていたのですが、その日のうちに前言撤回。修理直後からまた利用再開です。高度サービス社会にどっぷりつかっていることを自覚した一日でした。

2010年2月13日 (土)

春待つ心

まつこです。

今週末はうめぞうと二人で新潟に帰省しました。まだまだ冬の真っ最中です。朝起きると湿った雪が降っていて、庭の木がまるで白い綿の衣装を着たように雪に覆われていました。

Photo[朝の景色です]

でも北国にも確実に春は近づいているようです。午後になると雲が切れて日差しがさしてきました。気温が上がっていろんなところの雪がいっせいに解け出します。散歩しているとあちらこちらから雪解けの水が流れる音が聞こえてきます。

Photo_2[朝と同じ木です]

今日は訪問看護師さんが私の帰省に合わせて来てくれました。この2週間ほどの間の母の様子などを話してくださいました。母も「専門の知識を持った方に来ていただけると安心感があります、ありがとうございます」と看護師さんに言っていました。スムーズに訪問看護が始りホッとしています。

看護師さんは以前は病院で働いていたそうです。訪問看護の仕事をするようになってから、予想以上にいろんな事情の家庭やさまざまな問題を抱えた病人がいることに驚かれたそうです。「病棟にいるのではわからなかった現実が見えた。良い仕事に就いたと思っている」とおっしゃっていました。

社会を支える仕事に充実感を抱いていらっしゃるその姿勢に、頭が下がる思いでした。医療や介護の現場には、こうして強い使命感と高い職業意識を持って働いている人がたくさんいます。医療制度や福祉政策を安易に批判するだけでなく、リアルな現状を分析しながら、問題点の指摘や分析をするマス・メディアや、それを当事者意識を持って受け止める市民が、この高齢化社会では必要です。

・・・と、うめぞうの演説のようになってしまったので、閑話休題。

Photo_3[今年のお雛様の設置はうめぞうに手伝ってもらいました]

外は雪景色でまだまだ寒いのですが、家の中で少しでも春の気配を感じられるようにと思い、お雛様を飾りました。めんどくさいけれど、飾ってみるとやはりいいものです。

Photo_4[こちらも春の気配]

お雛様を飾ったら、やはり桜餅。今年初めての桜餅です。私はこういう道明寺のほうが好きです。こちらが京風で、焼いた薄い衣で餡を包んだのは江戸風だとか。

Photo_5[雪の上の影法師]

華やかなお雛様を眺めながら、本格的な春の到来が待ち遠しく感じられる雪国の如月の一日です。

2010年2月11日 (木)

海舟と最中

まつこです。

文京区が観光振興のために「食の文京ブランド100選」というキャンペーンを始めました。区内在住の料理ジャーナリストの岸朝子さんが選考委員の一人で、選ばれたお店には「おいしゅうございます」印が与えられるのだそうです。

その100店のリストを見てみたら、行ったことのあるお店は40軒弱でした。すぐご近所なのに知らないお店もあります。さっそく地元商店街の振興のために、そのうちの一軒、和菓子の「壺屋總本店」に行ってみました。

Photo_2[こちらが壺屋の名物、壺の形をした最中です]

春日通りに面した小さなお店、がたつく引き戸がレトロな風情です。事前に調べておかなかったので、とりあえずお店の名前そのままの最中などいくつか選んで、お会計をしていたら、ふと店内に飾ってある額に目が行きました。

「神?気旺」-「神」という字の縦線が長く動きがあっておもしろく、「自由だけれどバランスが良い」といった印象の書です。「神」の次の文字は何かな・・・と側に貼ってある釈文を見ると、「神逸気旺」、そして「海舟」という号がありました。え?思わず千円札を握ったまま「海舟とはあの勝海舟でしょうか」とお店の方に聞いてしまいました。

寛永年間の創業で、幕末には神谷町のあたりに店を構えており、勝海舟がごひいきにしてくれたというこの店の歴史を、お店の人が丁寧に説明してくれました。この目立たぬ店構えの小さな和菓子屋がそんな老舗とは知りませんでした。

Photo[こちらは「湯島の白梅」。中に甘みをおさえたきめの細かい白あんが入っています]

勝海舟と山岡鉄舟の字は素晴らしいと聞いたことがありましたが、勝海舟の書の実物を見たのは、今回が初めてでした。ただ、佐々木譲の『武揚伝』を読んで以来、私はすっかり榎本武揚ファンです。『武揚伝』で描かれていた勝海舟というのは口先だけの日和見主義者で、幕臣同士でも武揚とは決定的に対立します。

「書は人なり」―さてこの「神逸気旺」から読み取れる人柄はと、改めて額を見直しました。素人筆跡鑑定家まつこの見るところ、ちょっと面白みがあってバランスが取れた人物といったところ。

時代の転換期にあたり、現実的な妥協を受け入れた勝海舟に対して、榎本武揚は幕臣としての忠誠心を持ちながら、西洋近代の合理主義を受容した志高き知性派。確かに書を見ても、勝海舟の書は曲線の味があり、一方の榎本武揚の書は直線的です。(早稲田大学の古典籍のデータベースで勝海舟、榎本武揚の遺墨をいろいろ見ることができます。)

食の文京ブランド・キャンペーンのおかげで、あんこのぎっしり入った壺形最中を食べながら、しばし幕末の歴史に思いをはせることになりました。

2010年2月 9日 (火)

腰痛対策

まつこです。

腰痛は二足歩行の宿命ともいいます。私も1年ほど前にぎっくり腰を初体験して以来、腰のあたりにちょっと怪しい気配があると、用心してコルセットをするようにしています。

Photo[これがオーソシート。腰の角度が安定します]

我が家ではうめぞうが長年、腰痛に苦しんでいます。これまでさまざまな腰痛緩和グッズを試しています。最近、比較的気に入っているのは「オーソシート」です。アメリカで開発されたものだそうですが、きわめて単純な構造をしています。折りたたみ式の椅子で、90度以上には開かない、ただそれだけのものです。これにスポッとお尻をはめ込むと、体重の移動をしても腰の角度が変わらず、安定した状態で支えられます。

Photo_2[オーソシートに座ってテレビを観るうめぞう]

これでデスクワークはできないと思いますが、テレビを観るときなどに最適です。ただ注意すべきことが1点あります。このオーソシートは体重を椅子の折れ目にあたる狭い面積の部分に集中させます。そのためフローリングの床の上で直接使うと、ワックスやコーティングがはげるなど、床を痛めてしまうことがあります。下に厚めのシートなどを敷いて使った方が良いと思います。

Photo_3[こちらはストレッチ・ポール]

もう一つ、うめぞうが効果があると言っている腰痛緩和グッズは「ストレッチポール」です。これも極めて単純な円柱ですが、この上に横になってバランスを取ることで姿勢がリセットされ、体のゆがみがとれて、痛みが和らぐようです。

このてのエクササイズの道具は押し入れなどにしまい込んでしまうと、出すのがめんどくさくなって、なかなか使わなくなるものです。ただし出しっぱなしにしておくと邪魔ですし、何よりインテリア性ゼロなので目障りです。この円柱が床に転がっていると、間接照明だの観葉植物だので工夫しようと何をしようと、部屋の雰囲気がぶちこわしになります。そこで我が家ではこのストレッチポールを「ぶちこわし棒」と呼んでいます。

しかし今まで愛称などつける間もなく廃棄処分になった腰痛緩和グッズも多々ある中で、このぶちこわし棒は比較的高い頻度で使われ続けています。腰痛に悩むみなさん、どうぞ参考にしてください。

2010年2月 7日 (日)

小人の国のスコーン

まつこです。

日曜日、みなさんいかが過ごされましたか?新潟の母は「こちらはは豪雪で交通機関が不通になっている。私は大丈夫だから来なくていい」と言ってくれました。うめぞうの風邪もほぼ快癒。おかげで私はのんびりした日曜日を過ごすことができました。

Photo[文京区にしてはおしゃれな外観のお店です]

そんなのんびり日曜の午後、近所にスコーン専門店ができたというので出かけてみました。conanocoというかわいい名前、かわいい外観のお店です。しかし足を踏み入れガラスケースにならぶスコーンを見たとたん、「わー、小さい!」と声をあげてしまいました。

一口か二口で食べてしまいそうな、ちっちゃなかわいいスコーンがならんでいます。イギリスのスコーンの大きさと比べると5分の1くらいのミニチュア・サイズです。まるで『ガリバー旅行記』に出てくる小人の国リリパットのスコーンみたいです。

お店の中でいただくこともできますが、今回は自宅にクロッテドクリームがあるので持ち帰ることにしました。バニラビーンズ、紅茶、ノアレザン、酵母プレーン、ブルーベリーなど10種類くらいあります。1個150円前後です。

Photo_2[我が家流アフタヌーンティー]

帰宅して、お茶をいれティータイムです。うめぞうはせっかくのアフタヌーン・ティーだからソーサー付きのカップを使いたいと言いました。私はお茶はがぶ飲みする方なので、マグカップで飲みたい。どちらの発言権が強いかは、写真を見ていただければお分かりかと思います。

Photo_3[クロッテドクリームとジャムをのせていただきます]

バニラビーンズのはいわゆる普通のスコーン。柔らかくてしっとりしています。ほかのはもっとかたくてポロポロ崩れるタイプでした。

イギリスの武骨ででかいスコーンに比べると、小さくて、形も整っていて、味も繊細です。サマセット・モームがアジアを舞台にした小説で東洋の女性を"pretty little thing"と表現していたのを思い出しました。モームならこのスコーンも"pretty little thing"と呼びそうだなと思いながら、あっというまに3個たいらげてしまいました。

2010年2月 4日 (木)

ひとり寿司

まつこです。

新潟出張に行ってきました。いつもの介護帰省ではなく、2泊3日の仕事。実家から通えないこともなかったのですが、仕事の開始が朝早かったので、職場から指定されたホテルに投宿。

一日目の晩、ホテルの部屋で少し仕事をしたあと、夜9時前、一人で食事を取りに外に出てみました。遅めの夕食。こんな時は居酒屋かお鮨屋のカウンターで軽くすますのが適量食べられてよいものです。今回はお鮨。

雪がちらつく寒い夜。「越の寒梅」をお燗してもらいました。板前さんのお勧めで寒ブリとヤリイカを少しずつお刺身にしてもらいました。寒ブリは分厚くコロンとした形に切ってくれました。甘くて、魚臭さがまるでなくて、とてもおいしかったです。

Photo_2[これがどろえび。殻はごく薄く、かすかにクリスピーな歯ごたえがあって、サクッと簡単に食べられます。身にはしっかりとした甘みがあります]

次のお勧めは「どろえびの唐揚げ」。「どろえび」は今まで食べたことありませんでした。知る人ぞ知る日本海の名物だそうです。すぐに泥のような色に変ってしまうので、一般の家庭向けにはほとんど出荷されていないとか。成人男性の人差し指くらいな大きさです。大きさの割に殻が薄くて、身が甘い。これはおいしいです!

握りは、柳カレイ、南蛮エビ、ノドグロ、そしてもう一度寒ブリ、ぜんぶ1貫ずつ。お酒も一合だけ。お一人様のときはほろ酔い加減と腹八分目にしておくのがエレガント。お腹いっぱいで千鳥足のときに、「お店に手袋忘れた!」とか「ホテルのキーがバッグの中で見つからない!」という事態になると、かなり興醒めです。

ホテルに戻り、のんびりパックなどしながら、ベッドの上にゴロンとしてテレビ三昧。ああ、出張、たまりませんっ!

東京に戻ると、数日間一人暮らしを強いられた夫が風邪をひいていました。ウィルス性らしく、お腹を壊してウンウン唸っています。感染力の強いノロウィルスの可能性もあるので、私は使い捨てのゴム手袋をして洗濯、掃除をしています。「親の介護」と「夫の看護」の隙間のお一人時間、あれは優雅な冬の一夜であった・・・と回顧しております。

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