« 今年のテーマ | トップページ | デパ地下グルメで一人飯 »

2010年1月 3日 (日)

哲学者のイメージ

さっそくうめぞうの第一弾です。

哲学書など読んだことのない人でも、哲学者については一定のイメージをもっているものだ。

そこで新年のクイズ。

カントはどんなタイプの人だった?

(1)  時間にうるさく、気むずかしい人

(2)  社交的で、ユーモアに富んだ人

(3)  深くものを考える、寡黙な人

(4)  旅行好きで、国外事情に通じた人

Photo_6[カントはこんな顔でした。どんなタイプのひとでしょう?]

正解は意外と思われるかもしれないが(2)だ。

弟子のヘルダーはカントについてこんな感想を残している。

「彼は若々しく、はつらつとした生気に満ちていましたが、それは老年になるまで衰えることがありませんでした。彼の広く考え深げな額は、尽きることのない快活さと歓びをたたえており、口からは、含意に富んだ言葉があふれ出し、諧謔や機知やユーモアはたちどころに口をついて出ました。彼の講義はもっとも楽しい談話の時でもあったのです。」 (坂部恵『カント』、講談社、人類の知的遺産43巻、1985、p.102より)

もっとも他の選択肢にも真実が混じっている。たとえば(1)の時間厳守。これは有名だが、小さいときから身体が弱かったこともあり、規則的生活を心がけたもののようだ。朝は執筆、午前は講義や大学業務、午後は散歩と休息、夜は友人たちを家に招いての食事や団欒といった生活。あまりはめをはずすことはなかったかもしれないが、かといって気難しいタイプではなかった。

また(3)の深くものを考える人というのはその通り。でも寡黙ではなく、話好きだった。とくにイギリス商人たちと各国事情について情報交換することは大好きだった。ただし、哲学の議論をふっかけられると露骨にいやな顔をしたそうだ。(4)の旅行好きはまちがいで、生涯のほとんどを生まれ故郷で過ごした。ただし、世界事情にはきわめて詳しかったようで、こんなエピソードが残っている。

「ある日、生え抜きのロンドン人が居合わせたところで、カントはウェストミンスター橋のことを、その形や仕組から長さや幅や高さ、さらに各部分の寸法まで事細かく手に取るように述べました。そのイギリス人はカントに、いったい何年くらいロンドンにお住まいでしたか、そして特に建築のことに従事なさったことがおありですかと尋ねましたところ、カントは、自分はプロイセンの国境を越えたこともなければ建築家でもないと確言しました。」(ヤハマン『カントの生涯』、引用は上掲書p.80)

哲学者というと、引きこもって本ばかり読んでいる気難しいタイプを想像してしまうが、じっさいには色々なタイプがいて面白い。

« 今年のテーマ | トップページ | デパ地下グルメで一人飯 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 哲学者のイメージ:

« 今年のテーマ | トップページ | デパ地下グルメで一人飯 »